やらない夫は約束を守るようです Episode.二人の騎士 第一章 冒険者の少年と貴族の少年

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40 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:00:13 ID:xfCVc7aR
一1.







       ┌─────────────────────┐
       │ ―第一章   冒険者の少年と貴族の少年―  . │
       └─────────────────────┘







42 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:01:06 ID:xfCVc7aR
一2.
シアード大陸の南東にあるローゼン王国は、かつて大陸最大規模を誇ったバーズ連邦から
ロシュディ地方ローゼン公国が独立して興った。



  ー-..、
     `ー..、
       )''''"丶---‐'''''''''''''''' 、_..-.._______....-...._____     ..- 、__..-
      /            ◎     ̄ ̄´        /  ̄ ̄ ̄"´
     /         マリアンデール            _..ノ
    ./                           _..-‐'"
    ヘ、                         <
     ヘ                        _..-′
___   1                     ..ヒ二               __..-r=r
 ゙゙゙゙̄\  !      首都カーディナル       丿            _n广´   '
    `ゝ、ノ     __..-n===u_◎         'ゝ、........,,       _yl''´
     '广`ー'宀'~~       ""ゝ、、            ヘ   __ul广       ‐
      ヘ               "゙'+v_______..-n=┼宀'''宀=――=n-__
      '、                テレジア河     ヾ---..、         ̄
       |                               ゝ
       '、                              /
       1                              |!          _
      ノ'´                ┌────────┐'、
      '、                 │ ローゼン王国 .....│\
      ゙'、                └────────┘  `ゝ      n
       │                                  `ゝ



まだ王国歴を発布して百六十二年であるが、武力を以て独立した訳でもなく
経済も右肩上がりの成長を続けており、ローゼン公国時代からの王都カーディナルは
周辺の国と比べてもかなり治安がよく穏やかな町である。

どこからでも王城が見えるその町の、比較的大きな街路を彼は歩いていた。


43 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:02:06 ID:xfCVc7aR
一3.
脇の露店から景気の良い啖呵が響いてくる。通り過ぎる際に見れば、よく熟れたバナナを売っているようだ。


   ./| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
   /.::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  ./.::: |  甘くておいしい           |
 /.::  |      黄色いあいつ        |
 "||"'''|_______________|
  .||  ..||                   ||
  .||  ..||                   ||
  .||  ..||          ∧_∧         || イラハイイラハイ
  .||~  _||_____,  ( ´∀`)       .||
  .||  | .||.__.__.__| ( ilつl )      ||  オイシイオイシイナーバーだよー
  .||  | .||          | .|. | Eヨ 銅貨3枚||
  .||/| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  .||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  .||  | ⌒ヽ    ナーバー           |
  .||  |・  ・ ) ∧__∧  ∧_∧    ∧___∧ |
  .||  | ◎ ,ノ ( ´∀` )(・∀・ )∧∧. ´ー` )|
  .||  |   \ノ○∧∧  ○-(_)(*゚ー゚)ハ.ハ  |
  .||  |ノリルレレ⌒(,,゚Д゚)つ ~(   ( .(*゚ロ゚) |



         , -―- 、
      /     \
      /  \_   |      「活気のある町だな。
      (●) (●)   |      治安も良いって評判だし」
      (_人__)    /
      l`⌒´    /
      |      ヽ
      __!、____/  \
    /、 ヽ     r 、 ヽ
    ハ ヽ Y`l     |  >  Y
   { ヽ_ゾノ     | レi i i}
   `¨´  ヽ    ハ  `'''
         >   / ヘ
        /  /ヽ  ヘ
        _,/  / ご_ノ  モキュモキュ
      ( ヽ /
       \__ノ


44 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:03:06 ID:xfCVc7aR
一4.
今日の昼前にはカーディナルに入っていた彼は、昼食をどこで食べようかと考えていたのだが、
前方に人だかりが見えてふと足を止める。



        / ̄ ̄\
       / ヽ、_   \
     . ( (● )    |   (もめ事、か?)
     . (人__)      |
     r-ヽ         |
     (三) |        |
     > ノ       /
    /  / ヽ     /
   /  / へ>    <
   |___ヽ  \/  )
       |\   /|
       |  \_/ |



  |\     /\     / |   //  /
_|  \/\/   \/\/ |∧/ ///
\ くそ、お前ら!            /
∠ 騎士を馬鹿にするのか!?    >
/_                 _ \
 ̄ / /∨| /W\  /\|\  .|  ̄
  //   |/     \/     \|

  ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ .∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
 (    )(    )(    )(    )(    )(    )
     ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ .∧_∧ ∧_∧
    (    )(    )(    )(    )(    )(    )



あごに手をやって考え込んだ瞬間、若い男の声が往来に響いた。
好奇心からか、野次馬根性からか、ついそちらへ足を向けて人混みをかき分け中心に近づいてみると、
一人の少年が数人のならず者に囲まれているらしい。


45 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:04:06 ID:xfCVc7aR
一5.
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./\: : : : : ト、: : : : ト、: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/、.  \ : : |.-\: : |ー∨、: : : : : |
: : : : :./ 1/     .i   l\:|   \|   |: : |\;!  「やや、やめろよ!
: : ,、: :{           |-‐‐-|         .|:ヽi    僕は悪くないぞ!」
: :{ ヽ'           !   |         ハ:_}
ハヽ ヽ_____,ノ   ヽ_______ノ }
ハ: :`-',  ! | |  ! !      ' ! |' | | 川/ ノ
  〉: :.:∧   〃'ー──-----、    ,イ"´
   ̄  \  ヽ______丿  /
        >、         ,イ´
 ,────、__` ,‐──┬'"´ __
/        |   !     | ̄l ̄    `ヽ
.         |  ー──'  リ      }



叫んだ少年の年は彼と変わらない程だった。
身ぎれいな服を着て細工の施されたレイピアを吊しており、先程の発言からして騎士なのだろう。



      ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
       ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
        ゙、';|i,!  'i i"i,
         `、||i |i i l|,       ヽ、_,人_,ノ、_,从,人.ィj、ノv1人.ィj、ノv1人.ィj、ノv1人.ィj、ノv1
          ',||i }i | ;,〃,,       )
          .}.|||| | ! l-'~、ミ   ‐=、´ アァ!?俺達がわりぃってのか!?
         ,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ    )
        .{/゙'、}|||//  .i| };;;   , '⌒r‐v'ヽィ'⌒Yソ、ト、!yヘ!ソ、ト、!yヘ!ソ、ト、!yヘ!ソ、ト、!yヘ!ソ
        Y,;-   ー、  .i|,];;彡
        iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
        {  く;ァソ  '';;,;'' ゙};;彡ミ
         ゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ   _,,__
          ゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
 ;;;;;;;;''''/_  / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
'''''  ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/



対して、下卑た笑いを浮かべる男達は薄汚れた革鎧や腰に短剣を吊すなど、冒険者とおぼしき身なりである。
顔が赤いのは酒を飲んでいるかららしく、足下がややふらついている。


46 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:05:06 ID:xfCVc7aR
一6.
.                      ___r冖‐、___
                _∠-―‐く_/二ゝ―'
.                彡_,ィ_ミ、    {!__}   「騎士らってぇ?
              {V∠ノム}ミ=-  }!  }    それがどうしたってんだブルァァァ!
               `コ匸e] L)ミ    j}´ ̄}
          ,r=ニ二¨ \=イ/_{=ァ\∠ゝ- イ    文句があるならこれでこいよ、ヒャッハー!」
        ィ三/´  `ヽ、\三彡'  ヽ    }
   _r‐ノ⌒´ ̄  _ミ} } `丁´   / / /
  ,イ/´        ノミ}{  {   厶ノ-‐'
_,イ{l{  ヽ― ´_,≦三ミゝ\__廴__/
/_圦,ゝ-―¬}丁´   ` ̄ ̄/ヽ=イ
       厶}_,. -r-i_  /  /
       _//_廴} \_  /
      r仁二) =-、〈\_Y
    /二X^\ ヽ |    }
   /ー=イ\\    }    |
 /  ,/   ` `rz彡、__ゝ-― ´ ̄て



多少ろれつの回っていない男の一人が腰の短剣を抜いたので、周りの見物人に緊張が走った。
相対していた少年は、ギクリと身体を強ばらせるが、それでも自分に非はない、と声を張り上げる

47 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:06:06 ID:xfCVc7aR
一7.
                                      /|___
                                  r 、 / ./   /
                                  i ヽi  /  /´ ̄ ̄ ̄`ヽ
                                 _|  ´            <、
                               /    __   _         _\
「平常時に町中で剣を抜くのは重罪だぞ!」    / , //´ .` ´ `ヽ      \ ̄
                              レ´/ ./  / /.i   | 、      ヽ、
                               ,イ.| /| ∧ | ∧ ト、`ヽ ヽ   /
                                .| .|/ i.| .i\.|/ | .|´ `ヽi\i  r''
                                 .レ レ' ri/ ̄`、r´|/`ヽ V,ハ |  \
                                 / i   .ト|    ├─タ.ノr-‐'´
                                /'   ヽ__〈 ヽ____ノ / |< ト ̄ヽ
                               ,゙  / )ヽ .r--- 、u /ヾlトハフ::::|`ヽ
                                |/_/  ハ .i ̄ ̄i u/:}  V  ::::|  \
                               // 二二二7,==='/u' __ /   :::/ / ヽ
                              /'´r -―一ァ‐ ゙T´ '"´/    |   :::::::}
                              / //   广¨´ / /'  /      /    ::::::イ


                  ,人/    ヽ
                、フ /  /\ Yヘ
          ', 、 Z r'  , \/  ヾ.ヽ
          ', ミ _} (、 { 爪_ / /}i }
    {  {.: .:::::::::::∧kー-<。≧⌒ミ   {l|l!ニ,   「おいおい、騎士は侮辱されたら決闘するんだろう?」
    \ ゝヘ :::::{ ヽゝ 彡^ r_j__ィ  ィ ,l|||三!
     ーr‐'.::::::ヽ   }ト、 ヽ‐--= ´/ ,i|l|l三|
        ヽ.: .:::::::}   l|i!  弋三- ´/ ,|l|l|!厂}
       /^) .:::|  `l|il、,ヽ‐ ⌒´i|l||liィ /
        ̄ヽ.:::::|    ヾi|l|i|l||i|l|i|l|r'//
          ∧.::{   ミミ'弍二二二/ /
        ーヘ>.  ミミミ|彡彡´ /_
              `ヽ、ミミミ|彡彡 /:::::\
                 `ミミ{彡´ /:::::::::..
                  \  {:::/^)



少年の足がガクガクと震えているのを鼻で笑った男は馬鹿にするように言ったが、
さすがにここで武器を振り回すのはまずいと思ったのか、一振りさせて鞘に収める。


48 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:07:06 ID:xfCVc7aR
一8.
それを見た少年が緊張を解くようにほっと息を吐いた瞬間だった。
不意に男が殴りかかり、



                                        .,-イ .,,,、、 ,,,,
                                       .,l゙ .゙‐'` ゙l |,,,|
  、__/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/: /::/::::::\ヘ     ./'゙_,、.r‐',i´.l゙ ゙ ."
   >::::::/::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::/::::V:::/:i::::::ヘ:::\、   .ト'",l゙ l゙ l゙ │
    /:::::::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: : |::::::::::::::ト::iト::┴<:::|:::i::::::\::\    l゙ ,l゙ .l゙‐'"
   /:::::::::::::::::/:::::::: /::::::::::::::::::: ::イ::::::::::::::ハ::|    Vノ: |:::::::::ハ ̄   .レ'"  _,,、,,r、,ーjl
.  /:::::::ィ:::::::/::::::::: /::::::::::::::::::::::/-∠ヽ:::::', ヽ  .イ:::/:::::::::i::ヽ       {-!ト''゙l゙,i´
 /:::/ |::::: {::::::::::::i:::::::::::::::::::/__≧:::::ハ  _∠:/:::::::::人:::::ゝ        ,レ"
.//  .}::::::i::::::::::::|::::::::::::/ ||' r(:::)  . Yヾ:::.://;へ、/!.:.::/:.}       ,__-‐l"´-‐'''-‐''´
     ノ::::::|::::::: : |::::::/|  .|| \ _ i ハト=イヽ  r^ーfノr_-γ--/ /
     ハ:::/i::::::::::ハ/ヽ/  ヾ___ノ ^弋_ソ/       / ///   `
   /=\ レヘ::ハ ヽ {     ̄ ̄ ̄   ゞノ ノ"}          l l |  |
  /'´   \\::::ヽ ヽi        _ ソ /ノ"}|          l   | 丶
  {       ̄\ ̄`ー 、      'ー) '|    _,,,,     ,. -'´ - -'
  ノ`ー ─ ミ、  .\\   ̄}     `ヾ \.r"     /     /\ :_
. ( /      \   \\  i  >──'´〃丶、__ ./⌒ヽ---┬'     \
 .Y         \   \\廴r >'´   /   /
 /          ハ    ミ=V    //  イ



派手な音を立てた彼は数メートル程吹っ飛ばされる。


49 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:08:06 ID:xfCVc7aR
一9.
喧嘩慣れしているのだろう。
転がった少年の脇腹に容赦ない蹴りを加え、横顔を土足で踏みつけた大柄な男は
大きくなるどよめきをかき消すかのように薄汚い言葉を並べ立てた。



              /二二ニノ   ∧_ノヽ_ノヽ_ノ
                //´      ト、ノ
                 //        } や 往 裸 ぼ
        ,r/77くニニノ   __   く   ら 来 に .ろ
        /{r==、ノ    /_r_,<>、  〉 あ に .ひ .く
      く/<} o {>  r、__{ `ハ¨ /}  ノ  // .放 ん ず
       く/ o ゝ_r}ィ=ニ=-く__\ ・・ .り .剥 に
.      くレ´ ̄´ ーr ⌒ ,  ヽヽ/ く     出 い .し
       { {_ ___、  /   ヽ廴ノ    し .た て
          ヽ__,,.rュ―ァ-イ⌒  }/ )     て 後
           {_L/^二二二ニ{ ⌒\     ハ    /
            }/ / ,  _ノ  }}     V⌒//⌒Y⌒
            | /j _}_r-=ニ廴___.   /厶___ くユユ
             ヾ,/, -r ´-=ニニヽ   \// ̄ ̄ ̄´
.               Y',',',',{ ニ=- ―ヽ―‐/厶____
           _rゝ',',',V//´   ー=ゝ∠-――― ´
            /´   ミ\',',V/´    -=ニ',   ___      /!
        r┴- 、_ イ.三>、/´  ー=ニ{    `二二    /|
       /´ ̄`ヽ ヽ} }} >´  ヽ , ―-、ヽ  ` ̄ ̄  //
       〉´ ̄ ゚ }ー厂´       Y /´ ̄>{   ___// /}
       〉-―‐゚/¨7        人V_/´_゚ゝ、` ̄ ̄ ̄_//
        (  _゚イ=/    _/{/ ___ ゝ、__゚ゝ、    ̄ ̄7/
      厂  。}}_/   /Zノ /彡彡^ ヽ} Z___゚ゝ、   ∠/ <77/7
      {__/7   /Y/,  {彡{{   ミ} /\_゚}}、       ∠/
.     /ー―'ニ{   ノ} {{ } 弋 、_Lィ /V\ ヽ―-
  r― ´    }ミ}  (二ニrmt≧-=‐'   ` ―-


50 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:09:06 ID:xfCVc7aR
一10.
四人の男達は、これからよってたかって少年を痛めつけるのだろう。
それはわかりきった事だったが、周りの群衆は困ったように囁きあっているだけで行動を起こそうとはしない。





          ∧,,∧  ∧,,∧ タスケル?
ガードヨボウ ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
      ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` ) コワイヨ
      | U (  ´・) (・`  ) と ノ
       u-u (l    ) (   ノu-u
           `u-u'. `u-u'



そんな中、彼はさらに殴りつけようと指を鳴らしている男のすぐ側に立っていた。

冒険者は基本、町中のもめ事には加わらないものだ。
銅貨一枚分の得にもならない危険など論外であるし、町には町の衛兵が居るのだから。
それでも、考えるまでもなく彼の答えは決まっている。



          / ̄ ̄\
        /       \
        | _ノ  ヽ、   |      (騒ぎは起こしたくないけど
        | (ー)(ー)  |      見て見ぬふりはするなって親父も言ってたしな)
        |  (__人__)   |
        l  `⌒ ´   }
         ヽ      ./
        /:ヽ    .ノ,'ヽ、--、
    ,.-‐,ィ‐"/ゝ.ヽ.___ノゝ::::::::ヽ、:::ヽ.
    //::_,、/,';;;;;;;゙;;;;;;;;;;;;;";;;;;|:゙、::::_::ゝ、ヽ.
  ノ:::i ̄//;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l::::/::::::::::::l:::゙i
 /:::: /::::`ヽ,';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|/:::::::::::::::l:::゙,



自分を納得させるように呟き、一つ息を吸い込むと一歩前に出た。

51 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:10:06 ID:xfCVc7aR
一11.
                                      / ̄ ̄ ヽ
                                     / ,/    |
                                   . { (● )   |
                                   . (ノ、__)     |
                                    .{         |
                                     丶      イ
「大の大人がムキになってみっともないぜ!          /::/::ロ:::::::::ノ
何があったのかは知らないが、                 /:/::`:ー=‐"::ヽ
そこらへんにしとけよ!」                    ノ:io:::::::::::::::::::::::::::i、
                                   r'/::::::::::::::::::;.ィ'⌒゙ヽ
                          _r 、      //:::::::::::::::/:::::::::::::::::::)
                          ヽ\゙t-、 ,、/:::i:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::ノ
                           ,.r\ ヽ i:::::::::::l:::::::::::::i:::::::::::::::::::::::/
                           ヽ)く ノ::::::::::::;!:::::::::::::l::::::::::::::::::::/



瞬間、あたりを涼風が駆け抜けた。
周辺に満ちていた戸惑いや悪意、好奇の気配が一瞬にして払われたのだ。


52 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:11:05 ID:xfCVc7aR
一12.
少し低い、しかし大気に染み入るようによく通る声に、その場の全ての視線が集まった。



      ∧,,∧  .∧,,∧
  ∧∧(`・ω・´)(`・ω・´)∧∧
 (`・ω・´).∧∧) (∧∧(`・ω・´)
 | U (`・ω・´)(`・ω・´) と ノ
  u-u (l    ) (    ノ u-u
      `u-u'  `u-u'



だが次の瞬間には、現れた助っ人が二十歳前の若造である事に落胆した表情が並ぶ。



      ∧,,∧  .∧,,∧
  ∧∧(´‐ω‐`)(´‐ω‐`)∧∧
 (´‐ω‐).∧∧) (∧∧ (‐ω‐`)
 | U (´‐ω‐`)(´‐ω‐`) と ノ
  u-u (l    ) (    ノ u-u
      `u-u'  `u-u'



53 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:12:06 ID:xfCVc7aR
一13.

                   |\  |\
                  |  >|  .\
                  |/  |    \
                  /     u
                  |    \  |||  |
「坊主、やめとけ。      .|        |||  |
かなう相手じゃないぞ」     -         /
                   ヽ       /
                    > -   ⌒ヽ
                   /
                 /            |
                 |            |
                  |   |        |



さらに一歩進んだところで後ろに立っていた誰かが忠告したが、無視した彼は明確に、
かつ端的に要求を突きつけた。


           / ̄ ̄\
         /   _ノ  \
         |    ( ●)(●
.         |      (__人__)
           |,      ` ⌒´ノ           「そいつを離せ」
          │         }
           ヽ、      ソ
          イ斗┴r┐` .;
    / ̄`ーゞ、  / |__ 〈ー─r、
   /     \ ∨\  |,ベ._ / |
   {    . : : : . ヽ>ー\[ ̄{ 〉\|、_
   |        `丶}\  __\_]~∨'\`ヽ
   :|   ._    \_}/r‐-}\ ゙,`''く l ゙,
    ト、: :./ / ̄`` ぐ└f'二)::{  ',  | !,ゞ┐
    `、∨ ´ ,.、-''"~ ̄}_{‐''く:::{_  ', _|_|_,rー'、_
     }{ / _、-'''"~ ̄{_\;;;;;j;><;:::::\:::ヘ}\
      }∨: /  _、-''゙~ ̄ ̄     \::::},之_ ヽ
       〉∨   /           ,.、イ;;ノ_   `ヽ}
     {: \,/\  -‐ '"   /` ̄      :.:}




54 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:13:06 ID:xfCVc7aR
一14.

      ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
       ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
        ゙、';|i,!  'i i"i,
         `、||i |i i l|,
          ',||i }i | ;,〃,,   「小僧!なんか言ったか!?
          .}.|||| | ! l-'~、ミ   アァ!!?」
         ,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ
        .{/゙'、}|||//  .i| };;;ミ
        Y,;-   ー、  .i|,];;彡
        iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
        {  く;ァソ  '';;,;'' ゙};;彡ミ
         ゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ   _,,__
          ゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
 ;;;;;;;;''''/_  / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
'''''  ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/



先程少年を殴りつけた男が不機嫌そうに大声を出した。
言い方は迫力満点、気の弱い善良な一般市民だったら腰を抜かして早々に退散していただろう。
だが―――



                               ‐――――‐‐ 、
                          /           \
                        /              \
                 .       /                 ヽ
                       /                     i
                       |  二二二二 三 二二二二    i
                       |   ― ― ― == ― ― ― ‐  |
「みっともないからやめろ、       l   ___ ノ     ^ー―-   |
 と言ってるんだ」              l   /     ヾ≧=≦Y    ヽ   l
                       !  | {:::::::} | }llllllll{ | {::::::} |   l
                       l.  ヽ ,  彡!!!!!!ゞミ、    /   '
                         ',   /    |    ヽ    /
                        ヽ  ゝ _ /\ _ ノ     /
                         ヽ   ` ー―― ´    ∧__
                          \            / / 〉::`丶、
                          /\         /  / /::::::::::::::丶、
                         /:::::l  ー――‐ ´  / /:::::::::::::::::::::::`丶 _
                      -‐::::::::::::::l        /  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::



―――向き合う彼は全く怯まない。


55 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:14:06 ID:xfCVc7aR
一15.

       ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
       ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
         ゙、';|i,!  'i i"i,
         ` 、||i |i i l|,
          ',||i }i | ;,〃
          .}.|||| | ! l-'~ 、
          , }||| il/,‐'   ヽ
         /゙'、}|||//       ヽ   「う………」
        /  -─‐- .u      ヽ
        |  ,-‐Ll ‐-、     l
       /ヽ iil||||||liill||||||||li!=  /
     /'   ( .u. /  ヽ    )))ゝ
    ,゙  / )ヽ ノ(、__,ノヽ / i_/ハ
     |/_/   i -=‐ >ノ /  V:::::ヽ
    // 二二二7─-─´.u' _/:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ



真向かいに立つ男にしか分からなかったが、黒々とした瞳の奥に潜む気配は猛獣を思わせた。
若干十七歳の気迫にのまれた男が動かないので、彼は少年を踏みつけている大男へ歩み寄ると



    , r ' ⌒ ヽ、
.  /       ヽ,
  /      ,,ヽ、_ヽ
. |    __,ノ 彡(○ )
  |   (○ ) 彡  |
.  |        入,__)    「下がれ」
  |.     ゙'ー'´
.  |      ゙ヽ、__ノ
   ヽ、       ノ\.
  /::ヽ、_   /ノ:::::|
. /:::::::,::::\ゝ、◇ノ::::i:::|
. |:::::::::|:::::::::\¶/::::::::|:::|
. |:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|
. |:::::::::|::::::::::::::::|::::::::::|:::|



一言、命令する。

56 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:15:06 ID:xfCVc7aR
一16.
先程よりもさらに低い声、貫くような視線。



       ,ノ⌒レ'^ヽ
     /  /  /   .:.:.:::::;:;:;;;;;;;;:;:;::.:.:.:. . :.: .
    / `ヽ/  /`i .:.:.:.::::;:;:;:;;:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.::/1
  ,/   ,/  ,r' ,!  .:.:;:;;;;..'"´ ̄ ̄ ̄``/:::l;;:;:.:. :. :..:/:::7
/  `ヽ/  ,′,人 .::::.:/         j!:::::|``ヽ、:;:;;;|:::/r、
 ̄``ー'、   ノ / ,!.:/  ,,:′ ,::;'゙′ ,:' ,j:::::/    \l//::::l::::::::.:.:.:.:.
   、,,__ノ ,:'′,′,ノソ ー-イ(  .::;′ ,イ  j:::/ /\/:K:::::/::::::::.:.:.:.:.:
  `77:;;..ノ  .:;′,′     ,;,' ,.イjj!,;:.'/::/  `介´::::/ 1/.:::::.:.:.:.:.:/:
:;、 //  ``y.:;′/==ュ、  ,.イ イjjjj!``7/ヽ、   .|:::::| ^1.::::::::.:.:/:.::/
`;;:、j!  .:;;'゙.::;; ノ;;'゙ ・) `;;:. ii|| j!从 __'゙     、../:::/.:;;. |:.:::::.:./.:::/,,,
 .:;;;i    V ,リに二ニ''゙;;;.! iiリイ从j;r'fr=rゞ、    リ:::/ ;;;.: !,、-‐':::,、-'''
   ',   .:.;;;リ     `ヾ>>彡ミミL `='゙ `ト、  /::/  jii!!'".::::::::::/
   ;  .:.:;;;;!  -ー`ミミヽjj! , '"´``ー-、ニ''ー `ヾリリ^7イ,,,、ァ''"7:/  /
   ; .::.:;;/   `ミミヾjj彡ー、:::::::::.:.:.:.:..: .   '゙'゙イイ彡ー'、 /:/  '"´
 .::;;,′  !   `ミミヘjjj彡ニ.:.:::ヾ、:::::::::.:.:.:.:. .   〈;;k⌒ヽレ:::/
.::;:;'′  ,′  ,;ヘ、ミミ;;;: .:ィイイ:::::::::.::::::::::.:.:.:.: _ __,,.イjj11 j|:::/  /.:::::
.:; ;;  .:;;;/   .;;‐< 7 7rーr'''7ヽ:::::::::::.:.:.:.:.ー==''¨´jj!ハ //′ /.://::
.:;;' .:;;;/   ノ`77ー-、``'ー'-、j:::.:.:.:.:.:. .  , .ィィイ从  ノ/ /.:/ ,/::/
.;' .:/:/i ;;:、_ 二二ヽ /`r‐r‐r/      , j ii!;;;!`ー 、_ソ  ´ ̄  /::/
.:::/:/:::|  `~`.イイゝ、``ー='゙      ,ィイ リリリL ,.イ"´     //'
.::::/.:;;;;l  .:::ノノノ           ,.ィイjj リリ``7
.:/ .:;;;;i .: :;;;;            ,ィイ从彳.::;:;;i゙
'′ .:::;:;ヽ、             ィイイ从 .:;;;:;;;i゙
   .:.:::;;;;;>ー------‐''''""´.:.:.::::::::;:;:;;:::;:;;;;人
   .:.:;;;;;;:.:.: .:.     .:.:.:.:.:.:::.:.:.:::;:;:;::;:;:;;;;;;,r';;;;;;;;ヾ、,,,,_



一瞬、手刀で頭をかち割られたような錯覚に陥った大男はイヤイヤをするように首を振り、
二歩、三歩と本能に従って後ずさった。


57 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:16:06 ID:xfCVc7aR
一17.

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   「立てるか?」
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ  mm
   /    ̄ ̄ ̄ つノ
   |    | ̄ ̄ ̄


                        /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
                    _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
                   ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //
                     >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/
                     /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
「う、うん………」          ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
                      レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
                        ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
                 ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
                /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
              //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
             .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
            ../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
            /: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



差し出された大きな手を掴み、立ち上がらせてもらった少年は、ふらつく頭を二度振って意識を覚醒させると
何とか頷いて目の前の相手に無事を伝える。

58 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:17:05 ID:xfCVc7aR
一18.

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)
. |  u  (__人__)
  |      |r┬|}  「大丈夫そうだな。
  |      | | |}  君もさっさと立ち去った方がいいぜ」
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、



      ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
       ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
        ゙、';|i,!  'i i"i,
         `、||i |i i l|,
          ',||i }i | ;,〃,,   「ま、まちやがれ!
          .}.|||| | ! l-'~、ミ   何だテメェは!」
         ,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ
        .{/゙'、}|||//  .i| };;;ミ
        Y,;-   ー、  .i|,];;彡
        iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
        {  く;ァソ  '';;,;'' ゙};;彡ミ
         ゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ   _,,__
          ゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
 ;;;;;;;;''''/_  / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
'''''  ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/



そのまま群衆に紛れ込みたかったが、一番遠かった男が我に返った。
素性を問う声と共に自分に注目が集まった事を知った彼は片眉を動かすと、大胆で惚けた返事を叩き付ける。


59 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:18:06 ID:xfCVc7aR
一19.

                                 _ _ _
                                ´      丶
                             /         丶
                            /             丶
                             /             |
                          /           _..,,ノ   |
                           /          (● )   ノ
ヽ                        /           /   |ヽ
:::::`ヽ、                       !           丶_ / /
_, ‐、:::::: ̄ )           | ̄ ̄ ‐ '─ !_               ノ ´  「そうだな………
:::::::::::レ'  ̄            |::::::::::::::::::::::::::::::`‐ _        /     通りすがりの正義の味方。
:::::::::::|              |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`‐、 _   /
:::::::::/       __ _ -‐' ̄`‐- 、_::::::::::::::::::::::::::::`‐ <
:::::V        |::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`‐-、 _:::::::::::::::::::::::::::>       ってなところでどうだ?」
::::::〈       __|::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ _:::::::::::::::/
::::::::}_r──´ ̄::::|:::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`‐、/
::::::´::::::::ヽ:::::::::::::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` ‐-、
::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::\:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
、_______|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r‐‐::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
           |:::::::::::::::::::::::::::::\:::::::: {:::::::::::-‐‐‐:::::::::::::::::::::::::/
_          l::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
::::::::`‐-、_     __ キ:::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::: ̄ ̄ ̄ ̄`‐-、
:::::::::::::::::__ >-‐´::::::::ヽ:::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
:::::::::-‐´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/



振り返らないままの彼の答えで周辺は静まりかえり、直後笑いが巻き起こった。



アハハハ
    ∧,,∧  ∧,,∧
 ∧ (´^∀^) (^∀^`) ∧∧
( ´^∀) U) ( つと ノ(∀^` ) カッコイイナ、オイ
| U (  ´^) (^`  ) と ノ
 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'   ワハハハ


60 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:19:05 ID:xfCVc7aR
一20.

                  ,人/    ヽ
                、フ /  /\ Yヘ
          ', 、 Z r'  , \/  ヾ.ヽ
          ', ミ _} (、 { 爪_ / /}i }
    {  {.: .:::::::::::∧kー-<。≧⌒ミ   {l|l!ニ,   「いきがるなよ、小僧ォォ!!」
    \ ゝヘ :::::{ ヽゝ 彡^ r_j__ィ  ィ ,l|||三!
     ーr‐'.::::::ヽ   }ト、 ヽ‐--= ´/ ,i|l|l三|
        ヽ.: .:::::::}   l|i!  弋三- ´/ ,|l|l|!厂}
       /^) .:::|  `l|il、,ヽ‐ ⌒´i|l||liィ /
        ̄ヽ.:::::|    ヾi|l|i|l||i|l|i|l|r'//
          ∧.::{   ミミ'弍二二二/ /
        ーヘ>.  ミミミ|彡彡´ /_
              `ヽ、ミミミ|彡彡 /:::::\
                 `ミミ{彡´ /:::::::::..
                  \  {:::/^)



だが、その笑いを自分たちへの嘲りと取った四人は、忌々しそうに唾を吐くと酔いの代わりに
殺気をみなぎらせ、たった一人の少年にコケにされた事の恥ずかしさを誤魔化すように剣を抜いた。



.                      ___r冖‐、___
                _∠-―‐く_/二ゝ―'
.                彡_,ィ_ミ、    {!__}
              {V∠ノム}ミ=-  }!  }
               `コ匸e] L)ミ    j}´ ̄}   「このガキが!」
          ,r=ニ二¨ \=イ/_{=ァ\∠ゝ- イ
        ィ三/´  `ヽ、\三彡'  ヽ    }
   _r‐ノ⌒´ ̄  _ミ} } `丁´   / / /   
  ,イ/´        ノミ}{  {   厶ノ-‐'
_,イ{l{  ヽ― ´_,≦三ミゝ\__廴__/
/_圦,ゝ-―¬}丁´   ` ̄ ̄/ヽ=イ
       厶}_,. -r-i_  /  /        
       _//_廴} \_  /
      r仁二) =-、〈\_Y           
    /二X^\ ヽ |    }
   /ー=イ\\    }    |
 /  ,/   ` `rz彡、__ゝ-― ´ ̄て



今度は脅しではないらしく、目に見えて分かるような殺気を周囲にまき散らしながら、
立ち止まったままの彼を囲むようにジリジリと間合いを詰めてくる。


61 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:20:06 ID:xfCVc7aR
一21.

              __
               /    \
          /         \
          |     : :::::::::::|
          |     :::::::::::::::|       「やめておけよ。
          |    ::::::::::::::::::|
          |   ::::::::::::::::::::::|ヽ       恥をかいただけじゃ済まなくなるぞ?」
             ヽ       /_./|:\
               \__,-‐´~/:::::::\
           ∠___ ,-‐'~.:::::::::::::::)
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
           /::::__::::::::::::::::.::::::::::::::/
        //:::::::::::::\::::::::::::::::::::::/
        |:::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::|
        ヽ:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::|
         |\::::::::::::::::.:::::::::\:::::|._



少し右手を動かしただけで振り向かない彼の言葉がはったりなのか、実力に裏付けされたものなのかは
その場に居る誰にも判断がつかなかったが、とにかく男達はこのままで済ます気は毛頭ないようだ。


62 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:21:06 ID:xfCVc7aR
一22.
その時まで、原因となった少年はまだ逃げていなかった。
いつでも走り出せるように頬を押さえて呼吸を整えていたのだが、自分を助けてくれた恩人に危機が
迫っていると知り、一秒の半分の間、逃げるかとどまるか葛藤した。



            /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
        _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
       ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //   (どうする、相手は四人だぞ?
         >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/
         /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´     脇腹も痛いし、今なら逃げられるかも知れない)
        ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
          レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
            ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
     ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
    /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
  //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
 .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



大本の目的はすでに達成している。
相手が四人と知らずに囲まれてしまったが、本当ならさっさと逃げ出していたはずなのだ。
これ以上ここにとどまる事に危険こそあれど、意味があるとは思えない。
だが。


63 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:22:06 ID:xfCVc7aR
一23.

: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、     (けど、けど、あいつは僕を助けにきた!
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、     見ず知らずの僕を!
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,         助けも求めていないのに!)
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`



意味はないかも知れない。だが、意義なら十分にある。
心の中心でそう考えた彼は、血が滲むほど唇を噛むと覚悟を決めた。

64 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:23:06 ID:xfCVc7aR
一24.

                      |::ヽ/::::::〈 へ、
                      ,-┘:::::::::::::::::::::::::::`>
                    ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::\
                    /::〈:::|^^|:::::/\ト、ヽ::::::>
\                     /::::::ハ|_l/l/.__-ヽ|:::」    「待て!
\\                    . ̄7/.|__|─|__|- lj/     こうなったら僕が相手にな、なる!」
  \\                    ヘ.  __;__、u/
   \\                    フヽ辷フイ{ヾ
     \\                  /::::〈`l7:´::::::ヽ
      \\            ノ::::::::::::V::/:::::::::::〉
          \\            /:::::::::::7::ト/:::::::::::/
           \\         /::::::::::/:::::/::::::::://
              \\     /::::::::::/l /:::::::::/::l
            ∠二フ /:::::::::::::/ /:::::::::/::::!
              ヽ,'~つニ〉ヾ:::::::://::::::::::/::::::::j
                ゙へノ7  ヽノ<::::::::::/ヾー--¬
                 くヲ``  ヽ</^ヾフ=/{
                  _,. -ヾソ  ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
           r ' ´:::::::::::::`ー‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::``丶
           l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- 、_:::::::::::::::::::::::::::
              l:::::::::::::::r -- ' ´       ``'ー、:::::::::::::
           /::::::::::::::l               l::::::::::::



   / ̄ ̄\
 /       \
 |          |
. |         |      「!」
  |          |
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽニニニニノ 、_
  /::::::::::::::::::::: ̄`ー
  ヽ:::::::::::::::::::::::ーt-.._:
   ヽ::::::::::::::::::::::::i



レイピアを抜いた構えは正規の訓練を受けていると分かるが、実戦経験は皆無に等しいだろう。
振り返った彼は、震える脚を黙らせようと何度も叩く少年と、怒りをぶつける相手は誰でも構わない四人を
ぐるりと見回し、全員の立ち位置、武器、防具、視線などを瞬時に把握しておく。

65 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:24:06 ID:xfCVc7aR
一25.

             ヾ`\゜"´〃
            ゞ` i l i \//
          彳,   il|.ll !li,'
         ゞ 彡, i| l|!li,'
          イ ヾ i |l|lif  `ヽ
         /    刈 il|l|{    ',
        {     从|l|l|{     }
         |  ,>       <  i
        i.   i _ ':, ! ,'__ _ ヽ i   「ビビリのお坊ちゃんが相手をしてくれるとさ!
       /云i 廴・ ゝⅤ 廴・ >  i     光栄だねぇぇぇェ!
.      { iヾi    ¨ i : ~ー、  i
        ヽ_ i  〃, 、_ _,. ヾ    }
        ミi  i rェエエエェj i  /ミ
        ∧, i .|x‐-‐y_| i  /ミ
         ,'', ∧  爻ェェ爻  ./: :}
    .,..<{: :i: : \i ー / イ: :: :ト、
   /: :: :/i: : i: :: : ≧ ≦´ /: :: :: :i: : \


      ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
       ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
        ゙、';|i,!  'i i"i,
         `、||i |i i l|,
          ',||i }i | ;,〃,,   「だいたい、ちょっかいをかけてきたのは
          .}.|||| | ! l-'~、ミ   テメェだろうが!ナメてんのか!?」
         ,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ
        .{/゙'、}|||//  .i| };;;ミ
        Y,;-   ー、  .i|,];;彡
        iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
        {  く;ァソ  '';;,;'' ゙};;彡ミ
         ゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ   _,,__
          ゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
 ;;;;;;;;''''/_  / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
'''''  ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/


66 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:25:06 ID:xfCVc7aR
一26.

          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}  「何を言ってる!
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|   嫌がる女性に絡んでいたのは
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|   お前らだろ!
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}     そんな不埒なマネ、見過ごせるか!」
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \


                                           ,人/    ヽ
                                          、フ /  /\ Yヘ
                                       ', 、 Z r'  , \/  ヾ.ヽ
                                       ', ミ _} (、 { 爪_ / /}i }
                                {  {.: .:::::::::::∧kー-<。≧⌒ミ   {l|l!ニ,
    「生意気な小僧め!命が惜しくないんだな!」 \ ゝヘ :::::{ ヽゝ 彡^ r_j__ィ  ィ ,l|||三!
                                  ーr‐'.::::::ヽ   }ト、 ヽ‐--= ´/ ,i|l|l三|
                                    ヽ.: .:::::::}   l|i!  弋三- ´/ ,|l|l|!厂}
                                    /^) .:::|  `l|il、,ヽ‐ ⌒´i|l||liィ /
                                     ̄ヽ.:::::|    ヾi|l|i|l||i|l|i|l|r'//
                                      ∧.::{   ミミ'弍二二二/ /
                                     ーヘ>.  ミミミ|彡彡´ /_
                                          `ヽ、ミミミ|彡彡 /:::::\
                                            `ミミ{彡´ /:::::::::..
                                               \  {:::/^)


ぺっ、と唾を吐き出した一人の殺気が弾ける。
瞬間、それを感じ取った少年は剣での戦いならば自信があるとでも言うのだろうか、
レイピアを正眼に構えると高らかに名乗った。


67 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:26:06 ID:xfCVc7aR
一27.


         /|  , イ         ==‐
   `、    / { /             `丶、
    ヽ\  { |/                   ヽ
     乂ヽ { |      \             \ 、、
       /   、 |      ` 丶、       ヽ ヽヽ
    , ',/ //   \|、   `` ‐  `_ヽ、    、ヽ ゙.
    ノ / /// |i |``lヽ     \  `‐ `=-   \ヽ
     //|   レ! | 、ヾ 、ヤ \ ヾ\      ヾ }`
      i// /   | ヾ ヽぃ i iヽヽ\ヽ,,,\  \| | ハ!    「僕はジュン!
      |//   H Aト-仆ヽぃ ヽ! xィ勿 }}\   `レ′     ジュン=サクラダだ!
       /| ,,  キ,,x=≠=x, レ ヽ イ弋_歹 ! \ヽヽ.
        |/| | 代 勿 }}              ト ´|` ゝ     いざ、参る!」
           | / ヽ `‐゛           ,′| | \
           ヾ!      ヽ     〃| |ヽ!  \
            ヽ\    -一  / /|/    _ ,-ン
             \ `ト 、_  _ / | /  _, ‐ ´  ノ
           /´`ヽ,.|     ̄ ____| )_-(_   , /
      ___∠Y ′ ∠,ヽ ヽ _,-‐ ´´  )‐}    ̄
   -‐ ̄   /   ̄_,´` ̄丶_  _/ /   , ヽ_
  // ̄\ /   <__/ .` ー´ ̄ /   //     ̄ト、
 ノ    /    ー 、 \   \ /  //     / \
ノ    ハ    ー- ...`ヽ`ヽ             /    \
    / 人_ノ_ノ ´ ヽ、_    ヘ____ /       ヽ



ジュンと名乗った少年は、やはり訓練に裏付けされた動きで男に斬りかかった。


68 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:27:06 ID:xfCVc7aR
一28.
              , '
             〆
           //                .                      ___r冖‐、___
           ノ /                                _∠-―‐く_/二ゝ―'
          /  i                 .                彡_,ィ_ミ、    {!__}
          ,i  |i                         ヒョイ  {V∠ノム}ミ=-  }!  }
         ,'  |i                             `コ匸e] L)ミ    j}´ ̄}  「おっと!」
         i|   |i                         ,r=ニ二¨ \=イ/_{=ァ\∠ゝ- イ
        i|   .|i                       ィ三/´  `ヽ、\三彡'  ヽ    }
        |    .i、                   _r‐ノ⌒´ ̄  _ミ} } `丁´   / / /
        ゝ     i、                 ,イ/´        ノミ}{  {   厶ノ-‐'
        .i|      ゝ              _,イ{l{  ヽ― ´_,≦三ミゝ\__廴__/
         .i|      丶             /_圦,ゝ-―¬}丁´   ` ̄ ̄/ヽ=イ
         .i|       \                  厶}_,. -r-i_  /  /
          .i|        丶                 _//_廴} \_  /
          .i|        丶丶、、,,           r仁二) =-、〈\_Y
           i|         \ゞ`          /二X^\ ヽ |    }
            i|、       `\ 、、,      /ー=イ\\    }    |
             ゝ       `丶`\ゞ    /  ,/   ` `rz彡、__ゝ-― ´ ̄て
               \  ,.   ミ\丶 `
                 `;丶\丶  、`丶
                       \ 丶
                           \

しかし男達も実戦を積み重ねてきた経験があった、易々とレイピアの攻撃を避けるとお返しとばかりに
短剣で斬りかかり、少年はかろうじてそれを避ける。



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ヽ:::::::::::::::::::::::::| \ヽ     |i!    }::/   r''´ゞハi l:ヽ            「うわっ!?」
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::::::::/   `ー- xゝ rィ彡''´イッ:::リ  /i   ミー=´i: : : : : : :`:-:、: : :}ソヽ
:::::/::ハ_____/ /  / ヒ:::..ソノ {.リ    }.  l-、: : : : : : : : i: ://: :ハ
 ̄ヽ──────、ハ ヾ  ゞ''´  ノノ    ./  ./: :ノ: : : : : : : : l: i l: : : ハ
i ヽ ` -ゝ      ヽヽ ミ=''´ //       /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ、
{  ハ         \\__//    , ィ /: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : \
 `   廴     し   ー─''´    ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>、_   ー                     /: : :/: : : : : : : : ::/: : : : : : : : : : :/
: : : : : >-、_ハ、               ハ/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : :/ハ



69 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:28:06 ID:xfCVc7aR
一29.
戦力差四対一、経験と実力にも大きな差があり結果は目に見えていた。
予想通りすぐに防戦一方に立たされてしまったジュンを見て、頬をかいた彼は意外そうに呟く。



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)        「あいつ、逃げなかったんだな………」
.   |     (__人__)
    |     ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ



実力は伴っていない。精神力すらぎりぎりだろう。
それでも女性を助けるために割って入った行動力、先に逃げなかった気持ち、そして剣を抜いた覚悟は
十分認める事が出来る。



70 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:29:06 ID:xfCVc7aR
一30.
そう言うの、嫌いじゃないぜと呟きながら背中のバスタード・ソードをすらりと抜けば、
それだけで雰囲気が一瞬前と異なった。



                                     / ̄ ̄\
                                    /ノ     \  フッ!
                                     ( ●)        | ,r-、__  ____,r‐''7´7
                                  ((___)      |┬フ   i ̄`''´r--っ二>
                       ___,,,,..,..---‐‐‐‐'''' ヽ           |┴<   r-ニ'''''/ f'''´ /
            ___,,,,....--‐‐‐''''''' ̄__,,,,,...--‐‐‐'''''''' ̄´´ {          |__  lニ;l_,f-、~`ヾ /
     __,,,..--‐‐'' ̄_,,..--‐‐‐''''''''''  ̄               >      '"  ` ̄     /´
 -‐'' ̄,...-‐'''''''  ̄                      ,,/'"~´/               /
 '''  ̄                            /    /           , -‐ ~´
                                〈   l          r~´



呼気が漏れる音と同時に踏み出して、重く狙い澄ました一撃で近くに居た男の剣をはじき飛ばす。



                    \..                /
                     \\..            //
                      \\... o |    //
                       \ \  。/ / /
                     ヽ   \  \ .。 /
                         ヽ\    /
                     - -二         二 - -   ギギンッ
                       o        \ 。
                            o  \  \.
                      / /。/     \ \.
                    / /     `~´   \\
                   //    / 。         \\
                 //                  \
                /
                   


71 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:30:06 ID:xfCVc7aR
一31.
全く見えなかった横からの攻撃で武器を奪われ、驚愕の声を漏らそうとする男を蹴り飛ばし―――



                                          ,、 、'7/.〉    ,,,、、、、、、、、、,
                                     /"ヽ,、/~//.//,/ ,、- ''~;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;;:;:
                                    ,/ ,'''"/ , '' '-' r''~;:;:;:;:;:;;;;;;;r""''''''''''''"
                                    / / / ,/  ,、'';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)"  あ
                                   (,,/ / r'  /;;r"(;;;;;;;;;;;;;;;;;/   べ
      / ̄ ̄\                     ゙i\   /,,/   i;;/  ヽ、;;、 '"ノ    し
    /ノ(  ゝ 、_,ノヽ                    ゙i (,  >'、   t;i i "i  ::://,,,;ヽ   //
    | ⌒(( ●)(●)                   i  ゙i //7 ,、, i|,,|i t、 ;;ii,リ'" )  ・・
.    |     (__人__) /⌒l               i|  (/// ノリ;;;;t;;;、tii~|Yr''",、`L
     |     ` ⌒´ノ |`'''|                 i| i/./ / (`'-、ヽ;;;;、、;r彡;;;三''`''レヽ
    / ⌒ヽ     }  |  |                 i|  /./.irヽヽ'tアミニ彡tレ'(,@,、`'"/
   /  へ  \   }__/ /                i|. r" / |, |i/ ヽ~''ー''"'y/)'",⌒''
 / / |      ノ   ノ                ,.i. |/ /,i |    ', '""リアiiリ".......
( _ ノ    |      \´                 ,.i      ̄ V ,,r、   t ''"ノ'Y'ー;::::::''''""
       |       \_,              ゝ      |  rヽヽ,)ー、. t'" :::~'ー~,,,,_
       .|         \            , '         ヽ,ノ  |,/ ,,,i、 /,,,r(y'fi
       ヽ      \  \        /       ,,、- ー ― - y''''" t"::::)ッ⌒リ
         \      \  \      , '       '"::''''"""'''''''::::|ii ||ii;;;;;i :::/ ,,ノ
          \     ( \   ,, ,. ,., ' , '        "       ソ;; |i;;;;;;;;|、''"~,、;;;;;,,,
            \    \ \  `゙ィ/         |i     :::::/;;;; 从ii;;;},〉'"    ,、'
                    , ,. ,. /`        ,.|i     :::::::〈y|リ  ::::::t,,,,,,,,,,,,,,、 '"<
                    ゙ィ/`, ' `       ゝ     '"  t ii   ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
                   ` , ' /ミ   .,  /    :::: ::::...    リ ;;;;,,, .... ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
                   , ' ` ,.  , ' /, ' ;`     ::::;;;;::::::    |:::::;;;;:::: :::: ;;;;;;;|i;;;;:::::::
                   , '  /              :::;;;;:::::  | :::ヽ;;;;ハ;;;;::ヽ;;:ヽ;;;;


72 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:31:06 ID:xfCVc7aR
一32.
―――その反動で次の男へ間合いを詰めると、一気に懐に入り込んでみぞおちに拳を埋め込んだ。




               / ̄ ̄ ──────────── / ̄ ̄ \
             /    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           /      \ヽ
             |    ─── ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      |       ( ●)
            . |      __             . |      (___ノ)            ” 、 ` /  /,  ゛
              |      .  ̄ ̄ ̄ ── _____|         ノ              ヾノ( _/ ,  ,
            .  |        __              |        }           __ ⌒ヾて
            .  ヽ     ̄ ̄ ̄            .  ヽ    ィ'⌒`────=三─── '⌒")
             /    丶 三二───────────   丶      _≡三_______ ノ ;
           /         ̄ ̄___        /        /´ ̄       =三 ̄  ̄ _ ノ(、
         /   /      /              /   /      /              /Y⌒\
        (   メ /      /三      ___ (   メ /      /
       二 ` 、 ノ      /__ _───  ̄ ̄ ̄` 、 ノ      /___
      三 ̄ ̄             三____/ ̄ ̄ ̄             ヽ
      /  三三__人____    二 ̄ ̄ /  ____人____    i
      /  二            |   ___/  /             |   |
      /  /             三    ̄ ̄ /  /             二    |
   三__丿            三_ ̄ ̄ 三二丿ル/) \从  ヽ从三三___)从/:)




 
 
74 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/28 19:32:18 ID:Sg6XanHV
なんと言う武闘派

73 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:32:06 ID:xfCVc7aR
一33.
革鎧を突き抜ける衝撃に、白目を剥いた男は泡を吹いて崩れ落ちる。
その手からこぼれた短剣を遠くに蹴り飛ばした彼は、流れるような動作で未だ反応できていない三人目へ向かう。



                                 ___
                   /`ー-、__          ,/     \
                _/´::::::::::::::::::::::` ̄´ ̄~ヽ/         |
.             /::::::::::::::::/\:::::::::::::::::://  \_   _ノ /
            /二二二/   ̄\ / /  ( ●) ( ●)
            // / / /〉_〉  /:::::`ヽ_|    (__人__),
            〈_〈_〈_〈_〈_,   /::::::::::::::::|        __//::\
                 /::::::::::::::::::|\__/ヽ/::::::::::::::ヽ
               __/:::::::::::::::::::/    ./\\:::::::::::::::::::|
               /:::::::___/        /........\〉:::::::::::::/\,
            /:::::::::::∠_ /_______ヽ.........../:::::::::::::/::::::::\
            ̄ ̄   |二二 二二二二 ̄\_/:::::::::::::/ ̄ ̄\:\
                     /:::::::::::::::::::::[∥::::::::::::::::/:::::::::::::/、................\|
                  〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::/::::\ ̄ ̄ ̄
                 /::::::::::::::::::::::::::,-──、:::/:::::::::::::/:::::::::::::\
              /::::::::::::::::::::::/      ヽ/:::::::::::/::::::::::::::::::::::\
           __/::::::::::::::::::::::/      ./:::::::::::/、::::::::::::::::::::::::::\
         _/::::::::::::::::::::::::::/       〈´:::::::::::/ `\:::::::::::::::::::::::::ヽ
       _/:::::::::::::::::::::::::::/           /:::::::::::/     \:::::::::::::::::::::ヽ



と、その時だった。宙を舞っていた一人目の短剣が地面に刺さったのと同時に―――



                     <´  \
                    〉= ___j
.                   /  /
                 /  /
                /  /
             i´\  /  /  バスッ!
            \ _ ̄\/
              //\  \
               //   \ {{
            //  /  /-、 \
              //  /  /   `ー'
          //  /  /
            //  /  /
         //  /  /
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75 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:33:06 ID:xfCVc7aR
一34.


                      |::ヽ/::::::〈 へ、 
                      ,-┘:::::::::::::::::::::::::::`>  
                    ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::\
                    /::〈:::|^^|:::::/\ト、ヽ::::::>
                     /::::::ハ|_l/l/.__-ヽ|:::」 
                    . ̄7/.|__|─|__|- lj/     「ああ、くそっ!」
                       ヘ.  __;__、u/
      バキッ                フヽ辷フイ{ヾ
                         /::::〈`l7:´::::::ヽ
      \\            ノ::::::::::::V::/:::::::::::〉
          \\            /:::::::::::7::ト/:::::::::::/
           \\         /::::::::::/:::::/::::::::://
              \\     /::::::::::/l /:::::::::/::l
            ∠二フ /:::::::::::::/ /:::::::::/::::!
              ヽ,'~つニ〉ヾ:::::::://::::::::::/::::::::j
                ゙へノ7  ヽノ<::::::::::/ヾー--¬
                 くヲ``  ヽ</^ヾフ=/{
                  _,. -ヾソ  ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
           r ' ´:::::::::::::`ー‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::``丶
           l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- 、_:::::::::::::::::::::::::::
              l:::::::::::::::r -- ' ´       ``'ー、:::::::::::::
           /::::::::::::::l               l::::::::::::



相手の攻撃を流し損ねたジュンのレイピアが折れた。


76 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:34:06 ID:xfCVc7aR
一35.

                                           ,人/    ヽ
                                          、フ /  /\ Yヘ
                                       ', 、 Z r'  , \/  ヾ.ヽ
                                       ', ミ _} (、 { 爪_ / /}i }
                                {  {.: .:::::::::::∧kー-<。≧⌒ミ   {l|l!ニ,
                   「口ほどにもねぇ!」 \ ゝヘ :::::{ ヽゝ 彡^ r_j__ィ  ィ ,l|||三!
                                  ーr‐'.::::::ヽ   }ト、 ヽ‐--= ´/ ,i|l|l三|
                                    ヽ.: .:::::::}   l|i!  弋三- ´/ ,|l|l|!厂}
                                    /^) .:::|  `l|il、,ヽ‐ ⌒´i|l||liィ /
                                     ̄ヽ.:::::|    ヾi|l|i|l||i|l|i|l|r'//
                                      ∧.::{   ミミ'弍二二二/ /
                                     ーヘ>.  ミミミ|彡彡´ /_
                                          `ヽ、ミミミ|彡彡 /:::::\
                                            `ミミ{彡´ /:::::::::..
                                               \  {:::/^)



周りの状況が見えていない四人目の、野太い勝利宣言と同時の体当たりをもろに喰らい、
体重の軽いジュンは地面に尻餅をついてしまう。



         _, -, =z>、  __
.       / /_,: zソ/.ソヽイ、
.      マ:r:/ \ヽ¨ソ} / l |
    ,- 、 l/    _´ヽ/=、! 、〉
  .ー' 1 Y   / フ  \>! ヽ     「うわあっ!?」
   i  / ハ  ヽ/   /! トヽ
  ,/ {  {,、_ __, ィノレ'j/
 ´ r、 \ iー-{二 ┐
    ´   rー‐' , ┴i、l   , ---
   l     ̄{└〈_,- 〉//    ',
   l      /入__ / 「/      |
   \    \ヽ/ /         {
  \  \ _, - '´ /., -- 、      |
   ヽ - /   /. :/    〉: : : : .  l ドスン!
    ̄'´    /: : : /     ̄ヽ:、: : : .|
         . l : : : { ヽ _    l: :ヽ: :}
   .  . : : : : : : /       \:}:イ


77 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:35:05 ID:xfCVc7aR
一36.
痛む身体に鞭を打って即座に跳ね起きようとしたその眼前に

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         /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´   「う………
        ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
          レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ  ま、まだだっ!」
            ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
     ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
    /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
  //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
 .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



           ./, ,/
             .// /
           // /
        ..// /  スッ
        // /
       .// /
       レ'´



手入れすらされていない、ぼろぼろだが彼の喉を切り裂くには十分な刃が突きつけられた。


78 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:36:06 ID:xfCVc7aR
一37.

        /:.:.:.:.:.:.:.:|ヾ:.:.:.:/:::::|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
       /:.:..:.:..:.:.:.:.:.:|:::::>/-''`.|:.:.:. /:.::.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
     / -''´:.:.:.:.:.::.:.:.|/     |:.:/:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.::.:ヾ:.:.:.:.:.::.、:.:.:::\
      ̄/:.:.:.:.:.:.:.:.V:.:.|       |:/:.:.:.:.:,、:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.::.:V:.:.:.:.:.:ヽ  ̄
.      /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト:.:ヽ __/ハ:.:.:.:.: /__V:|≧、:.:.:.:.:.:.V:.:.:.:.:.∧
     /:.:.:.:.:.:.::V:.:.├弋 ̄__/ .V:.:/_ _V=- 、V:.:.:.:.:V:.:.:.:.:.∧
     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V:.:レ-=≦ ̄ ̄|| i:./i | ゞテ=、-、 ||ヾ:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.∧   「………!」
.   /,;,;:.::.-' /:.:.:.:.Vゞr'て・) }  ||=イ=|.| { ・ .) / || V:.:./ヾ:.:.:.:.:.:.::ゝ
     ̄   /:.://∧ `== ´ /   廴=三三=/ r─、:./ ̄ ̄ ´
.       // { ヾー==''´  {    ̄ ̄ ̄   r  }´
           ヽ .|       __       ///
             ∧      {=---ァ}     /__/
             ヽ、     ─= ‐    ノ
               ` 、       , イ
                  |> 、 _ , ィ´  .|
                r─|         ├‐ 、
                 / ..| .}        V   }
              /   V、      //   |\



だが、絶望に声すら出ないジュンと、勝ち誇って振り向いた四人目の目の前には



    /  ̄ ̄\
  /      ノ ヽ
  |::::::     (● )
.  |:::::::::::   (__人)
   |::::::::::::::   ⌒ノ
.   |::::::::::::::    }
.   ヽ::::::::::::::    }
    ヽ::::::::::  ノ
    /:::::::::::: く
    |::::::::::::::  |
     |:::::::::::::::| |



すでに、たった一人しか立っていないではないか。


79 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:37:05 ID:xfCVc7aR
一38.
その一人が味方ではないと知り目をむいた男はしかし、一対一になっても人質あがる自分が優位だ、と
束を握る手に力をこめる。



                                           ,人/    ヽ
                                          、フ /  /\ Yヘ
                                       ', 、 Z r'  , \/  ヾ.ヽ
                                       ', ミ _} (、 { 爪_ / /}i }
                                 {  {.: .:::::::::::∧kー-<。≧⌒ミ   {l|l!ニ,
             「小僧!               \ ゝヘ :::::{ ヽゝ 彡^ r_j__ィ  ィ ,l|||三!
              剣を捨てねぇと           ーr‐'.::::::ヽ   }ト、 ヽ‐--= ´/ ,i|l|l三|
                こいつの首をかっ切るぞ!」  .ヽ.: .:::::::}   l|i!  弋三- ´/ ,|l|l|!厂}
                                    /^) .:::|  `l|il、,ヽ‐ ⌒´i|l||liィ /
                                     ̄ヽ.:::::|    ヾi|l|i|l||i|l|i|l|r'//
                                      ∧.::{   ミミ'弍二二二/ /
                                     ーヘ>.  ミミミ|彡彡´ /_ ..
                                          `ヽ、ミミミ|彡彡 /:::::\ ..
                                            `ミミ{彡´ /:::::::::..
                                               \  {:::/^)


              / ̄ ̄\
         rヽ  / ノ  \ \
         i !  |  (●)(●) |
      r;r‐r/ |.  |  (__人__)  |   「この間合いなら、お前がそいつを殺すより、
      〈_L (`ヽ .}  |   ` ⌒´  ノ    俺がお前を殺す方が早いだろ」
     l` ( ``/ .  |        }
     ヽ   l  .  ヽ       }
      |,.   l   /⌒   ー‐  ィ ヽ



その言葉に殺気は全く感じられないのにもかかわらず、有利なはずの男はそれ以上口を動かす事が出来なかった。
向かい合う二十歳にも満たないこの相手が、自分よりも多くの人を斬った経験があると本能で感じたからかもしれない。

80 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:38:06 ID:xfCVc7aR
一39.

                                     / ̄ ̄\    チャキッ
                                    /ノ     \
                                     (● )        | ,r-、__  ____,r‐''7´7
                                  ((___)      |┬フ   i ̄`''´r--っ二>
                       ___,,,,..,..---‐‐‐‐'''' ヽ           |┴<   r-ニ'''''/ f'''´ /
            ___,,,,....--‐‐‐''''''' ̄__,,,,,...--‐‐‐'''''''' ̄´´ {          |__  lニ;l_,f-、~`ヾ /
     __,,,..--‐‐'' ̄_,,..--‐‐‐''''''''''  ̄               >      '"  ` ̄     /´
 -‐'' ̄,...-‐'''''''  ̄                      ,,/'"~´/               /
 '''  ̄                            /    /           , -‐ ~´
                                〈   l          r~´




           ,人/    ヽ
           、フ /  /\ Yヘ
        ', 、 Z r'  , \/  ヾ.ヽ
        ', ミ _} (、 { 爪_ / /}i }
 {  {.: .:::::::::::∧kー-<。≧⌒ミ   {l|l!ニ,
  \ ゝヘ :::::{ ヽゝ 彡^ r_j__ィ  ィ ,l|||三!   「く、くそ………」
   ーr‐'.::::::ヽ   }ト、 ヽ‐--= ´/ ,i|l|l三|
   .ヽ.: .:::::::}   l|i!  弋三- ´/ ,|l|l|!厂}
     /^) .:::|  `l|il、,ヽ‐ ⌒´i|l||liィ /
      ̄ヽ.:::::|    ヾi|l|i|l||i|l|i|l|r'//
       ∧.::{   ミミ'弍二二二/ /
      ーヘ>.  ミミミ|彡彡´ /_ ..
           `ヽ、ミミミ|彡彡 /:::::\ ..
             `ミミ{彡´ /:::::::::..
                \  {:::/^)



視線を交差させる二人、地面に座り込むジュン、意識を取り戻して呻く他の三人。
場は膠着し、野次馬は固唾をのんで事の成り行きを見守っている。



    カッコイイ-
 ゴクリ  ∧,,∧  .∧,,∧     アイツツエー
  ∧∧(`・ω・´)(`・ω・´)∧∧
 (`・ω・´).∧∧) (∧∧(`・ω・´)
 | U (`・ω・´)(`・ω・´) と ノ
  u-u (l    ) (    ノ u-u アイツラヨエー
      `u-u'  `u-u'


81 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:39:06 ID:xfCVc7aR
一40.
本気を出せば、ジュンの首に刃が埋め込まれる前に相手を無力化する事は出来る。
むしろ、その際相手に深手を与えないように、と狙いを定めて僅かに身体を傾けたのだが、
その彼の肌に群衆の輪の外から近づいてくる集団の気配が感じられた。



              / ̄ ̄\
             /ノ     \
              ( ●)        | ,r-、__  ____,r‐''7´7
           ((___)      |┬フ   i ̄`''´r--っ二>  (―――ん?)
___,,,,..,..---‐‐‐‐'''' ヽ           |┴<   r-ニ'''''/ f'''´ /
_,,,,,...--‐‐‐'''''''' ̄´´ {          |__  lニ;l_,f-、~`ヾ /
             >      '"  ` ̄     /´
          ,,/'"~´/               /
         /    /           , -‐ ~´
         〈   l          r~´



82 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:40:07 ID:xfCVc7aR
一41.
次の瞬間、鋭い制止の声がかかる。



             _,   ~ ̄ ̄ ̄¨   、
          . -=ミ            \
        /           ⌒\    \
       /   /        ヽ  \ \   ‘,_         ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
    ー=彡' /   ′       八          ∨ミメ      < そこまでだ!            >
      / /   i      | l     \  \     |  ハ     <    二人とも剣を引け!  >
       ′   |l  |   リ ト   \   、 ヽ乂_ リ   リ       VVVVVVVVVVVVVVVVV
.       } i   | 八 |   '/ 八\ _   、\ 介廴'   /
.     ノ人  戈トミ人 /_以rセ爪ヽ | \ 介ト /   {
      〃  } l  弋均ハ/ / 法功㌃ } |  爪ト /    、
         ノ人个ト /          ノ ノ /ノリ /     i|
.            }乂_ /         _彡イ厶ィ  {     j从
            八人 ヽ             / 乂从ハ }  |
               \`~`'       ,   /   ̄V八リ
                \    . イ   '`       ∨/
                    `´ r‐ '"          '¨ ̄\、
                  厶_..  -‐' '`         } :ヽ
                 _,厶;_: : : : \         { : :lヘ
                  /    \ : : : \       | : :} '

                                    __,--、__
                                 /´││    ヽ
  ,-/~/'-、                 /  └┘    ヽ
. / i__l   ヽ               /_          ゙i                        ___,冖、__
|        |              /____―――‐|                     /  |__|  \
|===========|              i__,-‐‐, ,‐‐、 ̄~l  |                    /         l
|l_-‐i i‐‐-、__|/〕〕             |ヘ   l l   `'-l/ ]〕                     i_____ニi
ヘ  l l  / | |             l )  ヘ   /  ||                     .|l_-‐‐i i‐‐-、_l||
i//^^^\ヘ  ヘ            /丿/   \ (_-- ||                   |   l l    |
/      ヽヽ )            l         \  ヘヘ                     |ヘ /"゙\/ |
(O)只(O)ノ 丿            |  i ■ ,'   ヽ  ノ----、               /       ̄ヘ
\      ``i、,--、  ,-----、,---'~(◯)  (◯)  ノ ̄ヘ    \     ,-----、_,-、 l (0) 只 (0)ソ ,----、
  `''‐-、_,ノ―‐ji  /  /´`ヘヘヘ――――┐┐┐ 丿Ξ\    \   /    l  |\`''''´   / ゙̄iヘl   ヘ
    |      / /    l(●)) ) )三三三三」 ] 」__ノ   ヘ\   ヘ  /     ノ  |  `''''''''''‐‐' ´    | ヘ   ヘ
    ,|      | /    ヘ`''''´∠ノノ=三三三ノ ノノ ̄ ̄|   |  \  ヘ /    丿  ノ      l       |   \  ヽ
    |      |   __| ̄ ̄| |≡∩∩====」_=」   |/´ ̄\ヘ i  _,/  丿      l      |ヘ   \|
 ̄ ̄´ヘ_     i___/  └─┘ーーーl l lm|ー|)二)‐‐‐-、    |     \└i´‐‐、  /i         i       |ヽ / ̄´ヽ
 i i  i i`''‐-、 /ヽ/   __/ ソ / / ///〉―⊂≡) ゙i\   |      \i   \| l      ∧____| ヽ    ヽ
 i i  i i     / _/          /  |(ニニ) i  | |\     / ̄/  / l/ ̄ ̄ ̄ ̄        |  ,‐、   ヽ
三三三三「二」 ̄|'´  i  |´ ̄ ̄ ̄/\__   |(ニニ) i  l ̄ ̄ ̄ ̄~`\ ─ヽl ―────|f |l三三三三三「」∥|≡ ゙i

騒ぎを聞きつけたのか、誰かが呼んだのか。見れば数人の衛兵と一人の騎士が現れている。


83 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:41:05 ID:xfCVc7aR
一42.
騎士の装備する、薔薇を意匠化したローゼン王国の紋章が入った鎧を確認した彼が、息を吐いて先に剣をおろした。



                  / ̄ ̄\
                / _ノ  .ヽ、\
                |  (●)(●) |       「逆らうつもりはありません」
.                |  (__人__) .|
                 |   ` ⌒´  ノ
.           r─一'´ ̄`<ヽ      }
.          `ー‐ァ   ,    )     , -'~⌒ヽ、
           ノ   {.   ,ヘ    ,l. ゝ、_ .'ヽ).
.            /, 、 _   /. |    . ',  . ..  .ヽ、
           (/ / // / / ...|      ...|\..\\ \_)
             / // / /         . . \_\_)、_)
            ー' {_/ノ              ."´



剣を地面に置き、抵抗の意志がない事を示すと、



           ,人/    ヽ
           、フ /  /\ Yヘ
        ', 、 Z r'  , \/  ヾ.ヽ
        ', ミ _} (、 { 爪_ / /}i }
 {  {.: .:::::::::::∧kー-<。≧⌒ミ   {l|l!ニ,
  \ ゝヘ :::::{ ヽゝ 彡^ r_j__ィ  ィ ,l|||三!   「ちっ!
   ーr‐'.::::::ヽ   }ト、 ヽ‐--= ´/ ,i|l|l三|    邪魔ァ入ったかよォ!」
   .ヽ.: .:::::::}   l|i!  弋三- ´/ ,|l|l|!厂}
     /^) .:::|  `l|il、,ヽ‐ ⌒´i|l||liィ /
      ̄ヽ.:::::|    ヾi|l|i|l||i|l|i|l|r'//
       ∧.::{   ミミ'弍二二二/ /
      ーヘ>.  ミミミ|彡彡´ /_ ..
           `ヽ、ミミミ|彡彡 /:::::\ ..
             `ミミ{彡´ /:::::::::..
                \  {:::/^)



舌打ちをした相手もさすがに短剣を放り出すしかない。
だが、目の前のジュンだけは見ていた。相手が助かった、と声に出さずに呟く様子を。


84 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:42:06 ID:xfCVc7aR
一43.

    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、 「六人とも詰め所に連行せよ」
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \



        _,,......-........ ..、
      / ,,,,,,,- -- -.... _ `''ヽ、
     / /´       `'' 、`ヽ、
    ノ/              、 ゙i
   /                  ̄ヽ、
   /                   ゙i
   |   __,,.._...._               ,,..ヽ
   r‐‐‐'';;;;;;;;;;;;;;;;丶  ___......-‐‐''ニ二二゙i   「エンジュ団長!了解でありますっ!」
   |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ニニ_ -r─''''' -、;;'〈
   |丶..---‐―''""` イ";;;;;;;;;;;;;;;;;;/  ヽ;;ヘ
   | /\\       ヽ;;;;;;;;;;.r'´     ヘヘ
   |(⌒) ))......、    丶‐'´         ヘヘ
    |  ノ ノノ\ 、 `''''‐-、,,,,        / ヘ
     | ̄´    ヘ       ``'' ‐  //´  ヽ
     |ヘヘヘヘ    ヽ-------ィ  //     ヽ
    / ヘヘヘヘ _......_......_,,,,   //       /j
    |     ,'//////////7            ( )
    ヽ_ ,'丶       ´         ,r/
      ` ゙i...._、_____〈        //
   __/:::: :::::::::::::::::::::::: ''‐-......_.. |( )   ,―――--、
//    ゝ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ̄ ̄\\      ヽ



騎士の指示に従って、衛兵達がばらばらと彼らを取り囲む。
全員が抵抗できない状況である事を確認しようと、近づいてきた騎士の顔を見て―――

85 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:43:06 ID:xfCVc7aR
一44.


                                                /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
                                            _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
                                           ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //
                                             >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/
                        「~~~ッ!             /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
                         と、父さん………」        ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
                                              レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
                                                ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
                                         ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
                                        /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
                                      //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
                                     .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
                                    ../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
                                    /: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



一番知られたくない人だったと知り、歯ぎしりをするジュン。


86 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:44:06 ID:xfCVc7aR
一45.
                           ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }  「馬鹿者。
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {    ………お前も行くのだ」
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/ 
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\



騒ぎに加わっていたのが自分の息子と知って、苦い表情の騎士はそれだけを言うとくるり、と詰め所のある北を振り返る。
行くぞ、と歩き出した彼の後を衛兵達と六人が続けば、最初よりも三倍の人数にふくれあがっていた人垣が
ざぁっと割れて引き上げる一行を通した。



          オツカレサマー
シュウリョウー      ∧,,∧     ∧,,∧
    ∧ ∧    (    )    ( ・ω・) ガードキタネ
   (ω・ )     (  U)     ( つ日ノ   ∧,,∧
   | U       u-u       u-u     ( uω)
    u-u                    (∩∩)

        ∧ ,,∧      ∩ ∧_∧ 
        (・ω・*)    ⊂⌒( ・ω・) ニイチャンカッコヨカッタゾ
       ⊂∪∪⊃      `ヽ_∩∩
  エンジュダンチョーステキ


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━━━━━━━━━━━……

87 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:45:06 ID:xfCVc7aR
一46.
━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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/ || || || ,/ .|| |; : " ;  :   ;:゙: ;": :;  ;  :   ;:゙: ;";゙|; ; ::  : :;: ;": :"#
| |l || ||,/|| || || |; ::゙ .:;  :   ;:゙: :; ; ;  :   ;:゙: ;": :;  ゙;  |: :  ;; |\ :: ゙::
| |l ||,/|| || || || | ;  :   ;:゙:# ;": :;  ;  :   ;:゙: ;": :;   | ::   | ||.\ ; ;"
| |l/.|| || || || || |; : " ;  :   ;:゙: ;": :;  ;  :   ;:゙: ;"゙;| ;; " .| || || \ ;
/..|| || || || || || | ;;: ;  :   ;:゙: ;": :;  ;  :   ;:゙: ;": :; ゙|;; ; ゙  \ || || |
| || || || || || || || |; ::゙ .:;  :   ;:゙: :; ; ;  :   ;:゙: ;": :;  ゙;  |: : ; ; ": \.|| |;
| || || || || || || || |;  :   ;:゙: ;": :;: ;": :;  ; ;:: .:  " ;; ゙:::| :: ; ::; .; ゙\! :
| || || || |レ|| || || | ;  :   ;:゙: ;": :;  ;  :   ;:゙: ;": :;  # |;;";;゙ ;; " :: ; ::
| || || |レ|レ|| || || | ;;: ;  :   ;:゙: ;": :;  ;  :   ;:゙: ;": :; ゙| :: ;: :;: ;": :; ; ;
| || |レ|レ||_|| || || |;; :  " ;  :   ;:゙: ;": :;  ;  : ": :;  ゙; |:: :;:  :: ;
| |レ|レ||_|| || || || | ;;: ; ,;   ;:゙: ;": :;  ;  :   ; ;": :;   | : :;: ;": :
レ|レ||_|| || || || ||  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  : ;": :;
レ||_|| || || || ||                               \: :;: ; ;; ":
|_|| || || || ||                              \: :;:: :;  ;



88 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:46:05 ID:xfCVc7aR
一47.

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)   「剣、抜かなきゃ
. |  u  (__人__)    無罪放免だったかな?」
  |      |r┬|}
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、



衛兵の詰め所の隣、薄暗い留置所の中である。
表情を崩して冗談っぽく言った相手に、緊張を解いたジュンは肩をすくめた。



                          〃::::::::/::::ヾ:::i::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::\
                         /:::::::::/:::::::::i:::`:::::::}::: ト:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                        /:::::::::ィ/:/:::::::: L:_ ∧:ハ::::::::::|ヾ:: l>、::ミ、:::::::::::::::V:_:::::::::::::::::::::::::i
             「さぁ………  . /:::/ /::/::::::::::::ハ    il i::::::: l 刈  ≧ミ> 、::::::::<  ヽ::::::::::::i\ |
               どうだろう」 ..// ./:::::i::::::::::::ト:ハ       l::::://_ ィ=彳司 ||== ̄`{ i }:::::|\ゝ. `
                          i ::::::ハ:::::::::::|\ゝ___  |:/ r/ ´ イt jハ ||    ノ //::::::i
                          l:::::::::::ヾ:::::::|::::::ヾ´ ≧ミ、ィ'''ヾ   ゞ┴ノノ    `./:::ノ`
                          |::::::/i::\:::V::::彳 ィ芯、}}   `ミ==''     r'´:/
                          |:::/  |::::::>:K ヾ、 _ゞノ ,             |/
                          |/   ヽ/ ヾ `ーt   ` _ ノ フ      /  | ____
                               `      ヽ   `ー´       / ̄    _   ヽ
                                       `  、     ノ  /     /  ̄ ̄ ヽ_
                                           >-イ |  〃   ./
                                         / ̄il  // /-= ' ´  _
                                       /   V/ ヽ=.//   / ̄ ̄ ̄>=- 、


だよなぁ、とかび臭く湿っぽい牢屋と鉄格子を眺めて壁に寄りかかった彼。


89 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:47:06 ID:xfCVc7aR
一48.
そこで、言わなければならなかった事に気づき、膝を抱えて座り込んでいたジュンは申し訳ない、と
頭を下げた。

                                           __   -─- _
                                    -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_>
                                       /:::::::::::::___:::::::::::::::::`7
                                  /::::::::::::::::f┴‐ヘ::::::::::::::厶
                                  ∠ イ::::::::i:::::::|_,.∠、ヘ:::-、:::::/
                 「すまない。              |:::::::::|l:::ト〈    } Ⅵ }::/
                  僕のせいだ」           lハ::::|「`Y、 ¨´  `y'´ ̄ ̄`i
                                        ヽ个‐' _ .ィ  // //   ヽ
                                         V ノ> 、__.. </  '     { r
                                              / /      ∨l::|
                                            |         }l::|
                          .                    l         |l::|
                                                ′           |l::|
                                            〈     /    |l::|
                                                /      /     |l::|


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   「冗談だよ。
. |     (__人__)    俺が好きでやった事だ、
  |     ` ⌒´ノ    気にする必要はないだろ」
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ  mm
   /    ̄ ̄ ̄ つノ                      / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
   |    | ̄ ̄ ̄                          l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
                                    ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l
                                    /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|
                                    l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
                 「ありがとう。             l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
                  ………えーっと、そうだ。    l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
                  君の名前は?」              l/ 、__',               / .:.:.
                                             ヽ     r‐‐ッ   /.
                                               入        ,..イ.:.
                                           . '´ i.:.\> -- </
                                         /     |.:./\    ノ.:



90 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:48:06 ID:xfCVc7aR
一49.
親しみを感じ始めているにも関わらず名前をまだ知らなかった事に気づいて今更だけど、と尋ねたジュンに、
彼もそうだったなと苦笑いで答えた。



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \     「俺はやらない夫=D=ビップだ。
   |    ( ●)(●)     やらない夫と呼んでくれ」
   |     (__人__)
   |         ノ
   |     ∩ノ ⊃ }
   /ヽ   / _ノ }
  ( ヽ  /  / ノ
   ヽ “  /_|  |
    \__/__ /
                                     / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
                                       l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
                                     ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l
                                     /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|
                   「僕はジュン=サクラダ。   l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
                    ジュンで良い」          l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
                                      l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
                                          l/ 、__',               / .:.:.
                                              ヽ     r‐‐ッ   /.
                                                入        ,..イ.:.
                                            . '´ i.:.\> -- </
                                          /     |.:./\    ノ.:


         「よろしく」                         「ああ、こちらこそ」
                 `¨ - 、     __      _,. -‐' ¨´
                     | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
                     |  !      `ヽ   ヽ ヽ
                     r /      ヽ  ヽ  _Lj
                、    /´ \     \ \_j/ヽ
                 ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
                          ̄ー┴'^´



立ち上がった彼、やらない夫から差し出された手をジュンが握り替えし、手を離した彼らは
もう一度、今度は並んで壁に寄りかかる。

91 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:49:06 ID:xfCVc7aR
一50.

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ー)(ー)   「で、事の始まりはなんだったんだ?」
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ
.  |       nl^l^l
.  ヽ      |   ノ
   ヽ    ヽ く
   /     ヽ \



  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|  「泥酔してた奴らが女の人に絡んでた。
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV     そのまま手を引いて無理矢理連れて行こうと
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l     してたんでね、ケツを蹴っ飛ばしてやったのさ」
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:



   / ̄ ̄\
 /   _⌒  \
 |   (●)(●)  「おいおい、騎士殿にあるまじき行為じゃないのか、
. |   ⌒(__人__)   そいつは」
  |     |r┬| .}
.  |     ー―' }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ



92 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:50:06 ID:xfCVc7aR
一51.
てっきり真面目に割り込んだと想像していたやらない夫は、意外な展開に吹き出すしかない。
ご機嫌な話の続きを聞こうと視線を向けると、



            /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
        _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
       ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //
         >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/  「本当は、まだ………
         /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´    騎士じゃないんだ」
        ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
          レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
            ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
     ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
    /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
  //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
 .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



予想もしなかった苦しそうな告白が後に続いた。



      __     ━┓
    / ~\   ┏┛
  / ノ  (●)\ ・     「なんだ、見習いなのか」
. | (./)   ⌒)\
. |   (__ノ ̄   \
  \          |
    \       /
.      \  ⊂ヽ∩
      /´    (,_ \.
       /       \. \
      ./   /       |. \ソ
    (  y'      .|



93 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:51:06 ID:xfCVc7aR
一52.
          __   -─- _
  -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_>
      /:::::::::::::___:::::::::::::::::`7
  /::::::::::::::::f┴‐ヘ::::::::::::::厶        「見習いですら、ない。
∠ イ::::::::i:::::::|_,.∠、ヘ:::-、:::::/         十日後の募集試験を受けるつもりだけど」
    |:::::::::|l:::ト〈    } Ⅵ }::/
    lハ::::|「`Y、 ¨´  `y'´ ̄ ̄`i
      ヽ个‐' _ .ィ  // //   ヽ
        V ノ> 、__.. </  '     { r
              / /      ∨l::|
            |         }l::|



はったりだった発言を恥じ入り、俯くジュンの様子にしばしやらない夫は考え込んだ。

ややあって。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)  「ケツ狙いはどうあれ、
. |     (__人__)   性格は騎士向きだろ。
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }   困ってる人を助けたんだから」
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   .>    <
   |     |


94 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:52:06 ID:xfCVc7aR
一53.
 /::::::::::::::::::::::::::::/::::\:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::\::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: \:::::\
 /::::::::::::::::::::/::::::: : :|:::::V/ ̄ V:::::::::::::::::::::::\::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: | ̄     V::ト:::::::::::ハヽ;;::ゞ:::ヘ   「ありがとう。だけど、君だってそうだ。
:::/:::::::::::::::::::|::::::::::::::ハ:|        |::i \:::::::}:::::ト-;;::::ハ   あれだけ見ている人がいて、
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| リ───''  i:リ ニ彡:::iト、;ヽ \::i   助けてくれたのは君だけだった」
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |_,,,-===ヽ/ _||=__メ:| ||   ヾ
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|>'' ̄=.ィ-  ||=||{t..:jア ||
::::::::::::::::::::::::::::i>\:: |||マハ廴ソ  ..川 ハ ̄ iノノ
:::::::::::::::::::::::r-、}''´ \||  ̄    //  ノ ` ̄ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ    ヾ==─''´´      /
:/ |::;;::::::::::ヽ  >        `ー -  /
  レハ:::::/i::::::≧::-:、          /
     レ'  ̄ ̄ ̄Yi      ____./ _
     _...-:::'´ ̄ ̄`:-..、    |ー- ∧ }、_
    i: : : : : : : : : : : : : : : : `::-.┴..、: /: :}: :}: : : ヽ
   /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ /::/: : : : ∧



真剣なジュンの感謝に、ちょっと照れくさくなったやらない夫はいたずらっぽく首を振った。



         / ̄ ̄\
       /   _ノ  \
       |    ( ⌒)(⌒)  「実はちょっと後悔してるだろ。
          |     (__人__)   またしても厄介ごとに首を突っ込んだって」
        |      ` ⌒´ノ
          ,|         }
       / ヽ       }
     く  く ヽ     ノ
       \ `'     く
        ヽ、      |
            |       |


95 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:53:06 ID:xfCVc7aR
一54.


      ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
    /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
   ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
      /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
    ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
    |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧   「はは、言ってら。
   イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ   最初から全部分かってて首を突っ込んだって
   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ   顔をしてるよ?」
    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
   .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
    レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
          i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
           、             r彡;〃´
           ヽ   ヾニフ       ノレ'´
            \          ´ ,L. -‐ 、_
              ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
               ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
             _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
           rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"



確信を以て突っ込んだジュンに、まさしくその通りだった彼は肩をすくめると、いつもの事さ、
と誤魔化すように呟く。



          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|  「ところで君は………」
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´

96 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:54:06 ID:xfCVc7aR
一55.
この町の人じゃないな、とやらない夫の頭からつま先までを見回したジュンは、冒険者そのものの
格好に少しだけ目を細めた。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \   「ああ、世間一般で言うところの冒険者だ。
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)   職業は戦士………で、
  |     ` ⌒´ノ   三年ほど前から一人で旅してる」
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   .>    <
   |     |
    |     |



::::::::::::::::::::::::::ハ::::::::::::::/i// i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::\
::::::::::::::::::::::::::::ハ;;;;;;;;;/-'´   .|::::::::::::::::::::::::ト::::: ト::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ハ ̄       |::::::ハ::::::::::::::| \i \::::::::::::|:::::::::::::::::::::ハ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ハ        |:::/ V::::::::::リ    ィ=ハ:::: |::::::::::::::::::::::::\  「ええっ!?
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ヘ      |:/   V::::::/   /イ=フi}ヾ─────'`  もう一人立ちしてるのか?
ヽ:::::::::::::::::::::::::| \ヽ     |i!    }::/   r''´ゞハi l:ヽ
::::\::::::::::::::::::::|   \   __ニ三イ   ||r j}i| .i lヾ}          家族はどうしてるんだよ」
::::::::::\::::::::::::: |   /::::_,,,ィ彡=''´i/il_,==|.しソハ ノノ-、
:::::::::::/ \::::::::::ヾ /:- ''´>''´ -=イ`  ||r'´` ハ彡 y/: : : :\ニニミ-、
::::::::/   `ー- xゝ rィ彡''´イッ:::リ  /i   ミー=´i: : : : : : :`:-:、: : :}ソヽ
:::::/::ハ_____/ /  / ヒ:::..ソノ {.リ    }.  l-、: : : : : : : : i: ://: :ハ
 ̄ヽ──────、ハ ヾ  ゞ''´  ノノ    ./  ./: :ノ: : : : : : : : l: i l: : : ハ
i ヽ ` -ゝ      ヽヽ ミ=''´ //       /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ、
{  ハ         \\__//    , ィ /: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : \
 `   廴     し   ー─''´    ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>、_   ー                     /: : :/: : : : : : : : ::/: : : : : : : : : : :/
: : : : : >-、_ハ、               ハ/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : :/ハ



97 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:55:06 ID:xfCVc7aR
一56.
        / ̄ ̄\
      /      \
      |::::::: :      |   「………最初は親父と一緒だったんだが、
     . |:::::::::::::     |    三年前に病死した。
       |:::::::::::::      |
     .  |:::::::::::::::     }   おふくろは………顔も覚えていないだろ」
     .  ヽ____    }
        r'ニニヽ._\. ノ
      r':ニニ:_`ー三`:く._
    /: : : : : : :`,ニ、: :_:_;>
 .   /: : : : : : : : / : : : ヽ\
   | : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.
 .   |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''" ̄: : :l: : : :l
    |:.:.:.:.::.:.:.:l -─-: : /:_:_:_:_l
 .   |:.:.::.:.::.::l.__: : : :/::: : : : :l/



ジュン自身二年前に母親を亡くしているが、父に姉、妹は元気すぎるぐらい元気にしている。
少し俯き、抑揚のない声で答えたやらない夫が孤独を思い返していると察し、胸が痛くなった。



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./\: : : : : ト、: : : : ト、: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/、.  \ : : |.-\: : |ー∨、: : : : : |   「ご、ごめん。
: : : : :./ 1/     .i   l\:|   \|   |: : |\;!   余計な事、聞いた」
: : ,、: :{           |-‐‐-|         .|:ヽi
: :{ ヽ'           !   |         ハ:_}
ハヽ ヽ_____,ノ   ヽ_______ノ }
ハ: :`-',  ! | |  ! !      ' ! |' | | 川/ ノ
  〉: :.:∧   〃'ー──-----、    ,イ"´
   ̄  \  ヽ______丿  /
        >、         ,イ´
 ,────、__` ,‐──┬'"´ __
/        |   !     | ̄l ̄    `ヽ
.         |  ー──'  リ      }



裕福な貴族に生まれ、恵まれた環境で育った自分とは、およそかけ離れたやらない夫の境遇を、
彼は的確に想像する事が出来なかったのだ。

98 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:56:08 ID:xfCVc7aR
一57.
    / ̄ ̄\
  /   _ノ  \
  |    ( ●)(●)    「謝る事でもないだろ。
 . |     (__人__)
   |     ` ⌒´ノ     それでジュンは?
 .  |         }      さっきの騎士は親父さんなのか?」
 .  ヽ        }
    ヽ     ノ  mm
    /    ̄ ̄ ̄ つノ
    |    | ̄ ̄ ̄



          __   -─- _
  -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_>
      /:::::::::::::___:::::::::::::::::`7
  /::::::::::::::::f┴‐ヘ::::::::::::::厶        「………そうだよ。
∠ イ::::::::i:::::::|_,.∠、ヘ:::-、:::::/         サクラダ家の男は代々騎士になる事が決まってるんだ」
    |:::::::::|l:::ト〈    } Ⅵ }::/
    lハ::::|「`Y、 ¨´  `y'´ ̄ ̄`i
      ヽ个‐' _ .ィ  // //   ヽ
        V ノ> 、__.. </  '     { r
              / /      ∨l::|
            |         }l::|



先程の、幻滅したような父の視線が思い返される。
改めて自分の無能さを実感して再び俯いたジュンは、どうして僕はサクラダ家に生まれたんだろうと
今まで何遍も繰り返した問いを呟いた。



99 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:57:06 ID:xfCVc7aR
一58.
┏──────────────────────────────────────────────┓

  家には姉、僕、妹しか居ないから逃げ出す訳にもいかないし―――

┗──────────────────────────────────────────────┛
              _
                //⌒ヽ
            //    \ 、
              | |       }_}、__ -┐
              | 廴r…‐ /⌒|i  卞ミ‐ 、_             /   __ヽ、ヽ、, -‐    \ヽ,ィ´ ̄ ̄j
            r ヘヽl| 「 |  !|  } ノ   \          /´ ̄ ̄ rゥ=-\ ヽ、_,ィ――-- 、ヽ___ -‐ヽ.
            > '⌒ヽ_ヽ     l/ _,ノイ  -、   ヽ        /      ,>ァ‐ 丶_rrス7´ ̄ ̄`>ネ-- ニニ、ヽ
        / // /イ ∧   / ィハヽ\  ゙,ヽ  ',            / / __,.ィゝ、ト'ニニニニrベヽヽ.  //
 .        / / /〃/ il トヽ\//厶ハヘ \ ! ゙  i           , イ   ゙ラ´ ̄´/   ,′ !`¨´ヽハ¨Lヾ.、_ヽ\
         ' / /// | 「`l |`⌒ ^""´ ⌒l |^ヽ.ヽト 、l l         / / / ,′   ,′,′i  |    |、  `iー、--ャ
       {/  ′′レ′l |        l |  |l | } | |        / ,:′,' /  / ,' |___|___|__|    j| |', ヽ ',
      /   | ||ト .,_l'__      __,.斗 ‐|l | '! L      /  ∥ ! ||  |.ィ'´| __|_|_、 !` !  /ノ_|_  ハ| |  i
       |,ィ  l |i ! l _⊥_       _l_ l /∧イ ノ 冫        ∥ | || '´| |,ィ´ィ- 、-ミ V ,′/イ´ノ `ソ、! ! !  |
      ( ー人八 {,イ㌃i^ド  __   '1㌃i小!//-、} ヽ {     `ヽ、 ∥ | ||、 レ',:僞孫}}  ,ノ_,ノ_ノ ,ノ=、 ,' ノソ /  ノ
       >'  ノ { ハ. ゞ-'ノ  }´  `{ ゞーノ イ リ ハ`ト、   ゝ-、ヽ.|!、 ヘ. '、く {{刄fj勺     ,:俐} jノ_ノ´/|/
      ∠_ -く_rヘ, ハ  ̄   ′、  、  ̄   /_.ィ_∠.ノノ__ノ    ヽ、__`ヾヽ>、 ヽヾ廴__,ノ      仗V ム_ ´-‐ヘ
     (廴_) )ノ _フヘ ー‐   _ _  ー‐ イ: : 卞 { { {     /   ̄ヾ、  \ \ 、、、      弋シノ゙ハ `ヽ、 |
     `ァーr'´/ ノ/: へ、  ヽ  ′  /ハ: : : i \, -ミ⌒i   < ̄ ̄,ィ‐`ー-、ス¨`        冫 、、、,′冫、 冫
     (   ゝァ '´ i: : : :ハ>  __, <彡'/ |: : : |  \ノ,ノ   =、-`ヽ、__ー-r'-、丶、   r_ァ    ノ ̄ \ `ソ
 .       /   |: : : l| ヽ` ー -   /  |: : : |     ヽ      ̄,>ォ' r`ヽ.` く\ `>--― ァ''´ ̄ ̄`フ¨´
         |     |: : : l|   \   /     |: : :.:|   , '|     //´ ゝ{- _\ノ`ーヽ.___ノ ̄ヽ ̄jヽ二フ´
         |  \. へ、 :|ヽ   / く    .イ|: :_:人 /  |      ヽ{   |´/  ´    \`ヽ  ̄/ ̄ハ
       、    ′: : :`: ┴─'ー-ヘ  /:': ̄: : :ハ'    |
        ト、  l: : ┌───────────┐ |             ┌───────────┐
            │  姉:ノリ=サクラダ  ....│           │  妹:雛苺=サクラダ   .│
            └───────────┘           └───────────┘



100 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:58:06 ID:xfCVc7aR
一59.
┏──────────────────────────────────────────────┓

   ―――正直、重荷なんだ。
   父さんはこの国の騎士団で一つの部隊を預かり、警備隊長をしてる。
   最近騎士団でも派閥争いが激しいらしくて、僕がみっともないマネをすると父さんが馬鹿にされるんだ―――

┗──────────────────────────────────────────────┛

ローゼン王国騎士団構成

  薔薇親衛騎士団  王族警護・王城警備
  第一騎士団       王城警備・王都警備(団長:エンジュ=サクラダ)
  第二騎士団       王国中央警備
  第三騎士団      王国北方警備
  第四騎士団      王国西方警備
  第五騎士団      王国南方警備
  第六騎士団      王国東方警備



101 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 19:59:06 ID:xfCVc7aR
一60.

            /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
        _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
       ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //
         >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/   「だから、余計に、
         /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´    今日の事は………」
        ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
          レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
            ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
     ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
    /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
  //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
 .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



どうしてもっとうまく立ち回れなかったのか。
男を二度蹴って振り返ったそこに、残りの二人が立ち塞がって逃げ出せなかったなんて
状況確認が足りなかったとしか言いようがない。



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)
.   |     (__人__)   (……………)
    |     ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ



ゴッ、と床石を殴りつけたジュンはそれっきり黙り込んでしまい、
なんと言えば良いか分からないやらない夫も、どこからか響いてくるしずくの垂れる音に耳を澄ませるしかなかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━……


 
 
102 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 20:00:08 ID:xfCVc7aR
本日の投下は以上です。
閲覧ありがとうございました。

次回ですが、予告外しまくりなので書きためがある程度出来たら
出すようにします orz

104 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/28 20:01:34 ID:iD8a4WV5
乙でした。
どこかゲームブックを思い出す懐かしい文体ですw。
投下のペースに関しては、のんびりと自分のペースを模索していってくださいw。


106 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 20:02:30 ID:xfCVc7aR
>>104
ありがとうございます。
「14へ行け」とかは言わないから大丈夫かと思いますw

105 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/28 20:01:54 ID:Sg6XanHV
乙です。
正統派ファンタジーでいいね!


108 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 20:04:31 ID:xfCVc7aR
>>105
ありがとうございました。

そのうち「僕の考えた凄い必殺技」とか
「凄い魔法で相手は死ぬ」な世界になりますが、
路線はこんな感じで考えております


109 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/28 20:27:29 ID:2Yeg2Fpn
乙です。面白い
読み応えがあっていいですね


110 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/28 20:47:19 ID:Qx/mqLxj
乙、確かにゲームブックを思い出す
丁寧なつくりでいいね


112 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/28 22:19:54 ID:iHwr42ty

てか今日投下とはwもっと早く帰ってればよかったなw


113 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/28 22:41:30 ID:7ACFboYZ

これは期待できる
変態じゃなくカッコいい、ない夫は久しぶりだwww


114 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/28 22:52:10 ID:xfCVc7aR
>>109-113
閲覧ありがとうございました。


ゲームブック・・・確かにそういった方向性の表現かもしれません。
地の文多めのスタイルどころか、投下自体初心者なもので、
これからどうやり方が変化していくかは分かりませんが。


>>112
予定ハズしまくりですみませんでしたーーーっ!



119 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:00:11 ID:3MQ1iP0I
一61.
━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

しばらくして。

<コツーン コツーン


        ./ ̄ ̄\
      ./      \
      |     ー  ‐ i
      |   ( ●) ( ●)   (誰か来たな)
      |     (__人__)
      |      `⌒´i
      ヽ.       ノ
       ヽ     ノ
    /   \       \
     |     \, -‐- 、-‐- 、
     |\     \.  (" ̄ .入
    |  \    "  ̄ ̄ ̄  )
    |  / \,,_______人
     |      /\    \  \
    ヽ,____/;___\    \,,_ \,,__
              (______)___)



具足が床石を叩く低い足音が近づいてきたと思ったら、ジュンの父親が二人の牢屋の前に立った。
そのまま鉄格子の鍵を外すと、立ち上がった少年達を手招きする。



                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }  「二人とも、出なさい」
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/ 
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\


120 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:01:09 ID:3MQ1iP0I
一62.
そのまま連れて行かれたのは隣の詰め所だった。
通された部屋には先客だった一人の娘が待っており、入ってきたジュンを見つけると慌てて頭を下げてくる。



              __ _____
            '"´        `ヽ、
          /            ヽ
             //           ',
         /  /,' //   /} ∧  ヽ     「あ、あの。
         ,′  ! l }/ {// 〃  ヽ  ! !    助けていただいてありがとうございました!」
          {  j { {仏厶-‐ '/' ` ‐- Ⅵ !
         |  Vノ ォf扞ト    扞刈 }}i |
        } l |  | {{'ゞ='    ゞ='” 川 }
         {ijii {  l            ハレ'′
        ハ!! i  !!、     '    ./小!
         トN !! iiトN、   ´`  ,/ノ { {!
         川 }} j}! }i| `丶 _ イ }'  ! |
        ノハルンノj刈` ‐- 、_,√} {!  i
  / ̄ `く辷=‐…ァ'    }} `くj__厶'´ ̄\
                              ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
                            /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                           ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                              /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
                            ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
                            |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
    「ああ、さっきの。             イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
     いえ、当然のことをしたまでです」  /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
                            !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
                           .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
                           .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
                            レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
                                  i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                                   、             r彡;〃´
                                   ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                                    \          ´ ,L. -‐ 、_
                                      ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                       ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                     _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                                   rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"


ジュンには見覚えがあった娘はなんの事はない、彼が助けたその人だったのである。
自分が囲まれている間にうまく逃げていた事は確認したが、その後どうなったかちょっと心配だったので嬉しくなった。

121 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:02:07 ID:3MQ1iP0I
一63.
                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ  「この方が、お前達は自分を助けてくれて、
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄     正当防衛だったと言ってきたのでな。
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、   聞き込みもしたが、
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }   その通りと裏もとれたので釈放だよ」
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\


父親にも頭を下げた娘はそのまま部屋を出て行き、代わりに入ってきた衛兵が
やらない夫とジュンの剣を持ってきた。
エンジュは差し出された二振りの剣を見比べていたが、やらない夫の剣に違和感を感じ、
正体を見極めようと彼の前に立つ。

122 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:03:07 ID:3MQ1iP0I
一64.
           _ __ _ _
       ,.'"´       、`ヽ、
      /   i    リ ヽ 、  \
     /    .:レ′   j  i !.:.   i
      l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |    「君、名前は?」
     ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
    彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
    |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
    ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
      ヾ::、    ,        !/::/
       仆    :j 、      イ:/
          `、   _ _     /i,ハ
         ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
          `ト、 ___ /   !;;:/、
           /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


    / ̄ ̄\
   / _ノ  ヽ、_ \
 . | ( ●)(● ) |   「やらない夫と言います」
 . |  (__人__)  │
   |   `⌒ ´   |
 .  |           |
 .  ヽ       /
    ヽ      /
    >     <
    |      |
     |      |


           _ __ _ _
       ,.'"´       、`ヽ、
      /   i    リ ヽ 、  \
     /    .:レ′   j  i !.:.   i
      l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |    「そうか。
     ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、   やらない夫くん、君はどこかの国の騎士なのか?」
    彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
    |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
    ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
      ヾ::、    ,        !/::/
       仆    :j 、      イ:/
          `、   _ _     /i,ハ
         ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
          `ト、 ___ /   !;;:/、
           /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


本来冒険者は、自らが渦中にない限り町中のもめ事には手を出さない事をよく知っていたエンジュは、
だからこそ町の衛兵には素早い行動を心がけさせている。


123 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:04:07 ID:3MQ1iP0I
一65.
綿密かつ漏れがない巡回計画、すぐに連絡が取り合える立ち番の配置、そして町中で起こるもめ事なら
確実に解決出来るだけの練度。
事実、彼が第一騎士団長になってから町中の犯罪率は激減、検挙率は跳ね上がっており、
今日だって知らせを受けてからものの一分で十分な人員が確保され、詰め所から出発しているのだ。



    / ̄ ̄\
  /   _ノ  \     「いえいえ、各地を旅して回ってる
  |    ( ●)(●)    ただの冒険者ですよ」
 . |     (__人__)
   |     ` ⌒´ノ
 .  |         }
 .  ヽ        }
    ヽ     ノ  mm
    /    ̄ ̄ ̄ つノ
    |    | ̄ ̄ ̄



それを否定する少年の裏に何かあるのでは、と真意を探るべく表情を見据えるが、
瞳の奥底に隠れるものがあるかは分からなかった。

そうか、とやらない夫の剣を受け取った彼は衛兵に退室するように命じると、
もう一つの違和感の原因である剣をじっと見つめた。


124 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:05:07 ID:3MQ1iP0I
一66.

.         〔ll〕
        |!l|
        |!l|
        |!l|
          !Kl
     〈wl≦《》≧lw〉
        l》 《l                           / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
       〔l〈〉l〕                          / // /       !   |    |       \丶   \  |
       }│{                         ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L
       | l |     「見事な剣だ。             |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、
       | l |      これほどのものは          ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
       | l |      親衛騎士のアンデルセン殿でも      l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
       | l |       持ってはいまい………」          l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
       | l |                                 \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
       | l |                                  ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
       | l |                                      /                 /        V了\   り
       | l |                                     └-- 、     ,        l       ∨   〉
       | l |                                         `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
       | l |                                          ヽ     , く     l   /   / ヽ
       | l |                                           `一'´/ ∧   / /    /   \
       | l |                                             , ィ  //!   ' /      /       \
       l!.l.l!
          !.l.!
          ∨


これまで余裕のなかったジュンが横から見ても分かる。
華美な装飾が施されている訳でもない、どちらかというと質実剛健さを好むドワーフの名工が
打ったかのようなこの剣は人一人がそこに立っているかのような存在感を放っているのだ。



125 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:06:07 ID:3MQ1iP0I
一67.
艶めかしい程に鏡のような光沢を放つ刀身は軽量化のためか中央が肉抜きされており、
不可思議な文字列の刻印が表裏に列んでいる。
鍔元と束頭にあしらわれた二粒の宝石がきらりと輝きを放ち、思わず見入っていたジュンは、
なんだこりゃ、と呟きを漏らした。

: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、   (なんだこりゃ?材質は鋼じゃないし、
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、   細かい傷一つないって事は、魔剣の部類?
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:  少なくとも今の時代のものじゃないだろ、
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,       古代魔法文明の逸品かな?)
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`


神々の武具が地上に残されたとされる聖遺物は、その神と契約する司祭職の者にしか扱うことは出来ないはず、
とあれこれと考えていたら、不意にやらない夫に向き直った父が深々と頭を下げる。


126 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:07:08 ID:3MQ1iP0I
一68.

                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、  「遅れたが、私はエンジュ=サクラダ、
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }   その未熟者の父だ。
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!    父して礼を言う、
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ    息子を助けてくれて感謝する」
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\


                                             / ̄ ̄\
                                          /  ヽ、_  \
                                         (●)(● )   |
                     「とんでもない。           (__人__)     |
                     大した事はしてませんよ」      (`⌒ ´     |
                                     .      {          |
                                          {         ノ
                                       mm   ヽ      ノ
                                      (⊂  ̄ ̄ ̄   ヽ
                                          ̄ ̄ ̄|    |



その時、エンジュは感づいた。
恐縮するように手を振るやらない夫が、時々は居る「見て見ぬ振りが出来ない」冒険者であると。


127 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:08:07 ID:3MQ1iP0I
一69.
そしてその様な事を続けるにはそれなりの実力が必要で、彼はそれを備えている。
決して素晴らしい剣に振り回されているだけではないとの確信と、
近い将来、大人物になるのかも知れないとの直感を感じ、納得して視線を動かした。



           _ __ _ _
       ,.'"´       、`ヽ、
      /   i    リ ヽ 、  \
     /    .:レ′   j  i !.:.   i
      l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |    「ジュンよ、礼は言ったか?
     ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、   彼が居なかったらどうなっていたか、
    彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|   よもや分からないわけでもあるまい」
    |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
    ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
      ヾ::、    ,        !/::/
       仆    :j 、      イ:/
          `、   _ _     /i,ハ
         ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
          `ト、 ___ /   !;;:/、
           /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


            /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
        _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
       ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //  「自分の未熟を痛感したよ。
         >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/   もっと腕を磨かなきゃ」
         /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
        ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
          レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
            ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
     ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
    /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
  //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
 .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



父への報告ではない。
自らに言い聞かせるような節のある言葉は、握りしめた拳同様に少し震えていた。


128 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:09:07 ID:3MQ1iP0I
一70.
何か得るものがあったか、と少しだけ目を細めたエンジュは頼りない我が息子とは対照的に、
礼節を欠かしては居ないが堂々としているやらない夫に視線を向ける。


          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i   「時にやらない夫くん。
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |   今夜の宿はもう決めているのかな?」
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L                            / ̄ ̄\
                                              /  ヽ、_  \
                                             (●)(● )   |
                                             (__人__)     |
                       「やらない夫、で構いません。      (`⌒ ´     |
                       実はまだなのです」       .      {          |
                                              {         ノ
                                           mm   ヽ      ノ
                                          (⊂  ̄ ̄ ̄   ヽ
                                              ̄ ̄ ̄|    |


                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ  「ならば我が家へ来てくれたまえ。
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.     ジュンよ、良いな?
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、   彼を賓客として招待するのだ」
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\



129 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:10:07 ID:3MQ1iP0I
一71.
思うところがあった父の申し出に、単純に歓迎のみを考えた息子は良い考えだ、と同意する。



  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l   「それは良いね。
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|    分かったよ、父さん」
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:                            / ̄ ̄\
                                              / ヽ、_   \
                                            . ( (● )    |
                                            . (人__)      |
                      「エンジュ様、それは………」     r-ヽ         |
                                            (三) |        |
                                            > ノ       /
                                           /  / ヽ     /
                                          /  / へ>    <
                                          |___ヽ  \/  )
                                              |\   /|
                                              |  \_/ |


130 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:11:08 ID:3MQ1iP0I
一72.
                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ  「息子を助けてくれた恩人に何もしないとあっては
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄     このエンジュ、世間に顔向けできぬ。
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、   どうか今夜だけでも逗留してくれまいか」
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\



いきなりな話ではあったが、ここのところ野宿続きであったし今夜の宿が決まっていないのも事実である。
よく分からないが貴族の面子と言うのもあるのだろう、と納得したやらない夫は結局、招待を受ける事にした。



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)      「……………。
.   |     (__人__)       お言葉に甘えさせていただきます」
    |     ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ



131 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:12:07 ID:3MQ1iP0I
一73.


          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i    「ではこの剣を返そう。
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、   ジュンの剣は………」
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L



そこで机の上に置かれていた、ぽっきりと二つに折れたレイピアに視線が集まる。



                                         /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
                                     _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
                                    ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //
                                      >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/
                                      /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´
                   「……………」         ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
                                       レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
                                         ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
                                  ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
                                 /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
                               //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
                              .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
                             ../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
                             /: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ


騎士を目指す者として、大切な剣を失った悔しさは言葉にすら出来るものではない。
消耗品であれど、父から貰ったレイピアは決してジュンの小遣いで買える代物ではなかったのだ。


132 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:13:07 ID:3MQ1iP0I
一74.
俯くジュンとレイピアとを見比べ、エンジュは少しだけ表情を和らげると懐から取り出した財布を息子に握らせた。



                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.   「良い機会であるから、
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、   新しい剣を買ってきなさい。
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {   もうすぐ募集もある、必要だろう」
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\


                        i: : : : : : : :',    \: : : : : : : : ヾ: :\'´\:\\,ヘ: \: : :r-、\: : : \
                       . ,':ハ: : : : : : :',     \\: :\: : :\: :\r''ィ==..、 ̄ヾ\:ヽ `i: \: l ̄
                       /:/ l: : : : : : : :',   __ \\: :ヽ>、:ゝ/ llっ::::芯}  ll iー`.|:\::\
        「は、はいっ!!」    :/ .|: ハ: : : : : ::',ィ''´  _ミヽ \:ヽ  メ  ゞミ=歹  .ll l } l: /:>- '
                         .|::i .',: : : : : : ',   ィ彳=ミ ヽイ  ̄ ヾ    ̄    ノ |  ./i: l\i
                          |:| ',: : : : : トゝ/ {il::::::と、  ',      \___/  |、_/:/:/>ゝ
                          |:|  ',: :ハ: : :ト、  ヘミ=夕   i             il: : /:/
                          |i   ',;i ヾ: i ヘ    ̄   /  `    _        ∧从/
                          i    ';  从\__ _ィ'´    _ ィ''´ /.       / i/    ,- ─ '
                                 `,_ \        `-          /  ト- - -/
                                   ̄ ヽ.>、             /   ヽr=''´ ̄
                                      ',ハ>-  _       /     /
                                        ヽ:ハ  ヽ`  ー        /     / ̄
                                         r=-、 >、  _ _ ,,    ./    /  ̄
                                     __/    _ヽ_       ./   /   _
                                  /             \   /      / ..ー
                                 /                   \''´     ィ ' ´


叱責ではなく、先のことを見据えた父の指示で気に病んでいた表情も一変、
やっと本物の剣を持てる期待に思わず大きな声が出る。

133 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:14:08 ID:3MQ1iP0I
一75.

          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i   「では行きなさい。
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |   私はいつもの時間に帰宅する」
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L



                         ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
                       /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                      ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                         /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
                       ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
                       |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
             「はいっ!」  イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
                      /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
                       !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
                      .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
                      .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
                       レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
                             i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                              、             r彡;〃´
                              ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                               \          ´ ,L. -‐ 、_
                                 ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                  ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                              rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"



                                   / ̄ ̄\
                                /  ヽ、_  \
                               (●)(● )   |
                               (__人__)     |
            「それでは失礼します」      (`⌒ ´     |
                           .     {           |
                                {        ノ
                                 ヽ     ノ
                                 ノ     ヽ
                                  /      |


134 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:15:07 ID:3MQ1iP0I
一76.
退室を促す言葉に、見よう見まねで敬礼した息子と頭を下げたやらない夫が部屋を出て十秒。
静まりかえった室内にふうっと大きなため息を響かせたエンジュは、普段ジュンには決して見せない
柔和な顔で独り言ちた。



    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、  「まったく、世話のかかる息子だよ………」
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \



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135 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:16:07 ID:3MQ1iP0I
一77.
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結局、二時間ほどで釈放された二人は日の傾いた町に出ていた。



      ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
    /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
   ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
      /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
    ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧   「ところでやらない夫。
    |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧   君はどこで剣を習ったんだ?
   イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
   .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
    レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
          i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
           、             r彡;〃´
           ヽ   ヾニフ       ノレ'´
            \          ´ ,L. -‐ 、_
              ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
               ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
             _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
           rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"


                                                   / ̄ ̄\
                                                  / ヽ、_   \
                                                . ( (● )    |
                                                . (人__)      |
                       「小さな頃から親父にみっちりと。     r-ヽ         |
                        あとは必要にかられて、かな」      (三) |        |
                                                > ノ       /
                                               /  / ヽ     /
                                              /  / へ>    <
                                              |___ヽ  \/  )
                                                  |\   /|
                                                  |  \_/ |

事も無げに言ったやらない夫だが、冒険者は自らの腕一本に直接命がぶら下がっている。
未熟な冒険者には死、あるのみと言うことはジュンも分かっていた。

136 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:17:07 ID:3MQ1iP0I
一78.
たった一人でその世界を生きている彼である、それなりの腕はあるに違いない。
大体、一瞬で三人を無力化する事などエンジュにだって難しいのではないか。



  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\| 「よかったら、他の国の話を聞かせてくれないか?
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV   僕は恥ずかしながら、ローゼンから出たことがないから」
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:



彼がどんな冒険をしてきたのかを聞けば、自分も少しは強くなれるかも知れない。
勝手な期待に目を輝かせるジュンに頷いて空を見上げたやらない夫は、
武器屋までの道すがら、この間まで旅をしていた東方の話をする事にした。



   / ̄ ̄\
  / _ノ  ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) |   「そうだなぁ。
. |  (__人__)  │   半年ほど前の事だが………」
  |   `⌒ ´   |
.  |           |
.  ヽ       /
   ヽ      /
   >     <
   |      |
    |      |
     o
      O
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


137 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:18:13 ID:3MQ1iP0I
一79.
┏──────────────────────────────────────────────┓

   この大陸でも珍しい、独特の文化圏である東方を俺は旅していた―――

┗──────────────────────────────────────────────┛
                                          東方異聞録 ―やらない夫と賢者の石―

            i_,.i!/=ニ―'''´~~`'''-、
               /  "'''-.. ̄ ̄  `ヽ、
           / _,..-=ニ´"'-ミ、-=,,,,,、-''''´                         / ̄ ̄\
           〉=‐´‐-'´ :::::::::"'- 、 >  ヽ.                         /  \    \
            <i :::::::::::,、: :ヽ、:::::::、 :: `' =、ニ                        .(●)(● )   . |
         ,.r'´| :::::::::::|、ヽ ヽヽ、',:::::::::::',''ヽ ‐-                       (__人__)      |
       / :::: i!、:::::::::::| 〉<>―、i!、:::::::::i :: ヽ                       .(`⌒ ´     |
.         ,':::::::i ::i!ヽ、 ::|'.,-i!' ):::::i| ',:::::::,'.:::::::::',、                       {         |
       i,:::::::::i、i'´__ヽ、|.i. ヽ __,..ノ |',: / :::::::::::',ヽ                      {       . /
       i>、 ::|',.i´i ヽ ` ` '´   |.∨ ::::::::::: ヽヽ、                      \   彡三ミミ
      / ヽ | ヽヽソ,        i:::::::::i :::::::::::::ヽ ヽ、                    `しノ彡彡ゞ""~  ̄`゙ー、
          ` .|i!.  、=‐ ヽ  /ッ :::: | ::::::::::::: ヾ、 ヽ                  rー¬ ̄  _____   \
           i ヽ、 ヽ   ノ   ,':::::::.i、 :::: ', :::: ヽヽ                   if   ー、f´r─‐亠―┐`!  ヽ
             i,i.:::::::i!''i- ...,, -'7:::::::::',ヽ:::::::i! ::::: ヽヽ                    j     ゝj 亠 |冖亅| |f  ', ヽ
          ノ i:::::::::i | ,-ソ.)i _,.i:::::::::::i', "'iッi、:::::::::ヽ',               ヤ'ヽ j  l  i   ヘ/|\|口亅| | i  ',   ' 、
           ノ :: ;r=ン=ソン ,,.',::::::::::',ヽァ'  `ヽ::::::::ヽ              ヤ i j   l  i    \(_|`). | | i  ',   `ー、
           ,./-''ァ'i!ン'__,,.. ァ三=ヽ、 :: ',ヽ、   l::::::::::iヽ              ヤ ij  l  i      \一,| |  i ',', ,'    ヽ
.         ,r'´  .,.i'´ λ、==''     `ヽ. .!    i!:::::::.i! ::',              ヤj   l  i       ヽ,| |  i,' ,'     /
         /   //:i'''iヽ ヽヽ.       i!ノ      .',: :/' :::: ',              ヤjj  ヽ ヽ       /j-┘  i  ',    /j
.         ',. ,r'/ ,'. l. |   'i. i'       ノ',..、--   ,i// ::: i ::',            l.l.i;;;;ヽ  `ー、     / j  i   i ,',   / ノ
.          >' .i   /´i   λi    .ノ=ソノヾヽ,.-'ン ノ :::: ,'i ::i!             i.i.iゝ;;;;;ヽ   ヽ   / /  i    ヽ,' ', //
      , -'ァi/ヘ  /_,,..',  ,'''ヽ' ‐-'''´   ヽヽ>ヽン´:::::::::,' i! :l             i.i メヽ;;;;;ヽ   ヽ / f   i     ゝノ
   , -'" ./ ' |..', /    ', ,'..-‐‐、.__  ヾ、 i.リ iリ,. ::::::::: / .lリ             ソ / `、ヽ;;;;ヽ   ヘノ   ii        ',
.      ,':::::::7iヾi‐--‐''∨      ヽ iヽ',.i レ''´::i::::::::::/  .i!              j/  ./ ヽ;;;;;;ヽ      〃        〉
      l :: / .i :: 'i,  -ッ'―  '''''''''´ ,iリ ,i i.',i :: i!/i ::: /   ノ                 〈 ヾ ./   ヽ;;;;;ヽ   〃          /
       l /   | :::: ヽ ┌────────────────────────────────┐ ̄`ー― ´ ̄
      ソ   i! ::_,../i│   ???「私が人に戻るには、どうしても賢者の石が必要なのです!」    .│
        _,. -'''´  /i│やらない夫「賢者の石、か」                             ....│
    , -''´      ,'::i└────────────────────────────────┘
  ,-'´       /::::i!          /      .i ヽ                       ヘ       j j


※公開予定はありません


139 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:19:19 ID:3MQ1iP0I

一80.
━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

小一時間ほど歩いた町の大通りに目的の武具屋はあった。
普通の店舗の三倍は大きい建物の裏からは鎚の音がひっきりなしに響いてくる、
どうやら生産直販売の店のようだ。



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●  「ずいぶん大きい店だな。
   |      (__人__)  品数も多いし質も高そうだ」
.   |        ノ
    |      ∩ ノ ⊃
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /
                                /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                               ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                                  /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
                                ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
                                |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
                               イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
                               /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
「ここはカーディナルで一番大きい武具屋さ。     !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
 防具もたくさんあるし、魔法の武具もあるよ」   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
                               .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
                                レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
                                      i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                                       、             r彡;〃´
                                       ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                                        \          ´ ,L. -‐ 、_
                                          ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                           ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                         _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                                       rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"


140 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:20:07 ID:3MQ1iP0I
一81.
―――魔法の武具、と言ってもこの町の鍛冶屋や、魔法使いの多く集まる魔法学院で作成しているわけではない。
現在の技術で魔法の武具を作るのは大変な費用と労力が必要であり、殆ど行われていないのだ。



                  r‐-.、
                   _゙i   \___く ̄ ̄`¨゙ ‐ .r─────────────────────---,
  「 ̄`!┬┬┬┬┬┬┬;'´!`! !, ヘヽ  /   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          ________  ━━━━   /
  └─'‐┴┴┴┴┴┴┴'、.! ,_入..乂√7    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄_______________,./
                  ノ   /' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                 ノ /
                 |/
                               ┌──────────────┐
                               │魔法のツヴァイハンダー    ......│
                               │  材質:ミスリル銀         │
                               │  付加:硬質化、軽量化     │
                               │  金貨(※):四千五百枚   ....│
                               └──────────────┘


┌────────────┐
│※この世界の通貨     ....│
│銅貨100枚=銀貨1枚   .....│
│銀貨100枚=金貨1枚   .....│
│金貨100枚=白金貨1枚    │
└────────────┘


141 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:21:07 ID:3MQ1iP0I
一82.
では、誰がいつ作ったものなのか。
実は現在流通している殆どは、一千二百年ほど前まで人間の世界を支配していた古代魔法文明期に
制作されたものばかりである。




           (  ヽ                   , ⌒ヽ , ⌒ヽ
     , ⌒ヽ  (     ヽ   _,=''''''^~~~~~~~~~^''''=,,,,(    (    '
    (    ' (      ,-='''~ -=^~~~^-^~~~^==- '=,,,    ゝ    `ヽ
    ゝ    `ヽ    <~ -==^~~~^ =^~~^=-=^~~^'=-~'=,  (        )
   (             ヽ'^' __,,,,,,i~~~l===|~~i==|~~|_,,,,,..ノ (          ヽ
  (    (⌒        ヽi~ |  |__レ、l--l--レ.;---i i-、 (           )
 (              r'^~~~~l l   | :| ∩ ∩|,-=,__,-,_| |~i^i,,           ヽ
  (        `)   l^^|,,,,--==.i~~l~~~~~~~~~~|   i l .|~^''''l~^i,,,,           ヽ
   ,ゝ          /i~~i' l ∩∩l .l ∩ ∩  l  |__| .| .∩| .| l-,
  (    '   ,,,,,='~| | |' |,,=i~~i==========|~~|^^|~ ~'i----i==i,, | 'i
 (    (    | l ,==,-'''^^  l  |. ∩. ∩. ∩. |  |∩|   |∩∩|  |~~^i~'i、
(        ,=i^~~.|  |.∩.∩ |,...,|__|,,|__|,,|__|,,|__|,....,||,,|.|,.....,||,|_|,|.|,....,|   | |~i
 (      l~| .|  | ,,,---== ヽノ    i    ヽノ~~~ ヽノ   ~ ソ^=-.i,,,,|,,,|
  ,ゝ    .|..l i,-=''~~--,,,  \  \  l   /   /    /  __,-=^~
 (     |,-''~ -,,,_  ~-,,.  \ .\ | ./   /  _,,,-~   /     ヽ
, ⌒ヽ    ~^''=、_ _ ^'- i=''''''^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^''''''''=i -'^~ (      ヽ
     ヽ        ~^^''ヽ ヽ  i   |   l  i  /  /  ノ   (         )
   , ⌒ヽ          ヽ  、 l  |  l  l / ./  /   (         (
     , ⌒ヽ⌒ヽ        \_ 、i ヽ  i  /   ,,=='   (           ヽ
          , ⌒ヽ      ''==,,,,___,,,=='~      ,ゝ           ヽ




142 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:22:07 ID:3MQ1iP0I
一83.
魔法の武具はその年月を経ても輝きを失わず、一般の物より数段高性能である。
武器を持って戦う者達が必ず、いつかは手にしてみたいと憧れる程のもので、
高額で取引されるために古代遺跡などから発掘される武具を売って生計を立てる冒険者や
トレジャーハンターも少なくない―――




           _ ,,               _,.―'~ ̄|
        _,...- '"  \     __  ,.. ,../   _// \
      /       \  /   \/\\__,../ ~|  |
    /\  _,.. -へ   \| ,..,__,.-、|  |/    / ___|
 ⊂二⌒\ゝ-'    \   /|| (・・) |_|ヽ |    ⊂ ⌒ ヽ
 ⊂二   ,⊃       ヽ / (| ._,|) ヽ|    (|_,.._ ノ
   //l l⌒          | > | | /  / | < |       ~
   U U          | ヽ|ヽ\_ノ/;;;| / |
            Γ ̄\| |;;;;∨〇;;;;;;|/ ヽ
            |    | \;;;;;∧;;;;;;;;|  \ , ヘ、
     ,.  、    _ |  / ∧ /;;;;| L__;;\  ∨;;;;;;;ζ      ,,
    /::`´::\ ,../::|  |  ' ∨;;;;;ヾ   ̄入/;;;;;;;;;;;/_,..,∧  ,./(__
   ├──┤_::::|   `  /|;;;;;;;;;;`ー-´;;;;;;;;γ;;;;;;/ / '\(:::::::::::::::::::::::ヽ
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  \|    ) |:::|:::::::::::|(    \__,.人/    |___/_,//  ,.丿|//
   \ __丿  |::::|:::::::::| >     \,..ノ  __,./ /| ̄/ ミ /⊂  |
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143 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:23:07 ID:3MQ1iP0I
一84.
┌────────┐
│  剣売り場     .│
└────────┘
                                         _                     ∧
                                          | |                    ∧∧
                                          | |                   ∧XX',
           ,.':⌒:ヽ                             | |                   /XXXx',
            い...::;;;ノ\                      ____| |___               l XXXX',
         \ー:'::M:::\                    |______|     .           lXXXXX,
              \;;::::I::::::\                     | ̄~| ̄~|                 lXXXXX,'
              \;;:::Z::::\                    |   :|   |                 !XXXXx,'
   .             \;;::U:::\                  |   :|   |                .,'XXXX','
                  \;;:N:::\                 |   :|   |                ,'XXXX','
                      \;;O::\                |   :|   |                ,'XXXX','
                     \;;::::\              |   :|   |               ,'XXXX','
                        \;;:::\             |   :|   |              /.XXXX','
                            \;;::\           |   :|   |             ./XX XX','
                           \;;:\          |   :|   |            _/XX/iX','
                              \;:\        |   :|   |            ヽX/  |X,
                              \;:ヽ-ャ     |   :|   |       .      i ( '''',;) X'i
                                )_.ノ      |   :|   |             !::::;,-´\ !
                                      |   :|   |       .       ,|;;;;;;i'´ ̄´
                                      | / /            /;;;;;'/
                                      |  /            ,,/;;;;;;/
                                      |/             ! \_,ソ
                                                     ` 、/


144 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:24:07 ID:3MQ1iP0I
一85.
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:   「色々あるけど………
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,        どうしよう?」
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`



品物の多さにジュンは惑わされてしまい、あれこれと頭を悩ませていた。
自由に剣を選べるのが初めじゃ無理もない、と少し笑ったやらない夫が培った経験を活かしての
助言をする事になり、売り場を移動しながら彼の希望を聞いてみる。



145 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:25:07 ID:3MQ1iP0I
一86.



             / ̄ ̄\
        rヽ  / ノ  \ \
        i !  |  (●)(●) |  「まず両手持ちか片手持ちか、
     r;r‐r/ |.  |  (__人__)  |   俺みたいにどっちも使うかを選ぶだろ」
    〈_L (`ヽ .}  |   ` ⌒´  |
    l` ( ``/ .  |        }
    ヽ   l  .  ヽ       }
     |,.   l   /⌒   ー‐  ィ ヽ



別に片手持ちの剣でも束を両手で握って振る事は出来るし、並の腕力では持ち上げるのも大変な大剣であれ、
片手で振り回せるならそれは自由だ。
主に握りに影響されるのは構えや戦技による攻撃・防御、盾を使うかどうか、道具の使いやすさ、
マジック・ユーザーであればそのための仕草、流派、好みの問題である。


146 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:26:07 ID:3MQ1iP0I
一87.


              i::::\    r::'::´::::::::::::::::::::::/_
              ヽ:::::::\.  |::::::::::::::::>-...':::´:::::::::\
           __ ≧::::::::\i!:::::::::r、'::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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       /_:: -─イ::/::::::::::::::i::::::\/:::::|::::::::::::::: \:::::::::::::::::::::::\___::>
       ̄,...-:':´:/::::::::::::::::|:::::::::V:/: |:::::::::::::::::::::ハ::::::\:::::::::::::::::`:-._    「僕はあまり体力も腕力もないから、
       /::::::::::: /::::::::::::::::::::::|:::::_:ィ=-.-|::::::::::::::::::::::::i:::::::::::\:::::::::::::::::::: ヘ   片手剣を片手持ちかなぁ」
        /:::::::::::::i::::::::::::::::::::::::|'´     .|:::::::::::::::::::::: :|:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::ヘ
      /::::::::::::::::ハ:::::::::::::::、:::::|       .|:::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::\::::::::::::::::ヘ
    /:::::::::::::::::::::ハ:::::::::::::i \ヽ    .|:::::イ::::::::::: ハ:::|::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::\
   /::::::::::::::::::::::::::ハ:::::::::::|__ゞ'__ |::/ i:::::::::/_ヾト::::::::::::::::::: |::::::::i ヽ::::::ハ
. /:::::_::_:: - フ:::::::::::::::ト-三ニニ==≦ レ |::::三ニニニ=ヾ:::::::::::::|::::::: |  `ー-`-
       /::::::::::::::::::| |r::::|て芯ミヾ Y}   .|::::/ ≧ニニ=ミヾ::::::: |::::::::ハ
        /:::::;:::::::::_| | ヾ i!;;;....;;}  i }ニニニi」 {ヒイ:::::} > i l\::|::::::::::ヘ
     // /::::::/>‐ハi   ゞー' <iリ    レi l  廴../ イ //::::::ゞ:::::::::::ハ
     /  ハィ::::i -ハヾニニニニ彡   i   ミ、____.//-、::::::::ヽ ̄  ̄
         ヾ i - ヘ           ;     ̄ ̄ ̄ ̄/ハ i:::::i ̄
            ヾ、∧         _        /  ノ-''´
             ーヽ       ´  `       /-'/
               \       ..::       /-'´
            _   ` 、          /
           /: : :`: -..、  `i' 、   , ィ' ´
          /: : : : : : : : : :`: x.ノ  ` ´  |      _
   ,...-::'::´::: ̄::`::-::::_: : : : : : : : :\_     ト、   /: : : :ヽ
 r'´: : : : : : : : : : : : : : : :`:ー-: : :_: : : :`ー. 、 .>'´: : : : : : : : : :>_
 }: : : : : : :-: :、: : : : : : : : :: : : : : : : : : ̄: :ヾ: ::Ⅵ: : :: : : :_: -:'´: : : : :ハ



        / ̄ ̄\
      / _ノ  .ヽ、\
      |  (●)(●) |    「次に直剣か曲刀か細剣かだが………
.      |  (__人__) .|     初回なら直剣で決まりだろう。
       |  . '´n`'  .ノ
       .ヽ .  | |  }      このあたりから選べるんじゃないか?」
        ヽ.. ノ .ュノ
        / { ..ニj、
        |. | "ツ \
        |. | .l  |ヽ、二⌒)



147 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:27:07 ID:3MQ1iP0I
一88.


                         o
                     | |.       ||
          ||      n     _」 L     _」L_
        __||__       」L       |l|      (>O<)
        ´ | |      >》o《<      |l|       |l l|
       | |     |lXl|     |l|       |l l|
       | |     |lXl|     |l|       |l l|
       | |     |lXl|     |l|       |l l|



::::::::::::::::::::::::::ハ::::::::::::::/i// i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::\
::::::::::::::::::::::::::::ハ;;;;;;;;;/-'´   .|::::::::::::::::::::::::ト::::: ト::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ハ ̄       |::::::ハ::::::::::::::| \i \::::::::::::|:::::::::::::::::::::ハ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ハ        |:::/ V::::::::::リ    ィ=ハ:::: |::::::::::::::::::::::::\
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ヘ      |:/   V::::::/   /イ=フi}ヾ─────'`
ヽ:::::::::::::::::::::::::| \ヽ     |i!    }::/   r''´ゞハi l:ヽ
::::\::::::::::::::::::::|   \   __ニ三イ   ||r j}i| .i lヾ}           「う~~ん………」
::::::::::\::::::::::::: |   /::::_,,,ィ彡=''´i/il_,==|.しソハ ノノ-、
:::::::::::/ \::::::::::ヾ /:- ''´>''´ -=イ`  ||r'´` ハ彡 y/: : : :\ニニミ-、
::::::::/   `ー- xゝ rィ彡''´イッ:::リ  /i   ミー=´i: : : : : : :`:-:、: : :}ソヽ
:::::/::ハ_____/ /  / ヒ:::..ソノ {.リ    }.  l-、: : : : : : : : i: ://: :ハ
 ̄ヽ──────、ハ ヾ  ゞ''´  ノノ    ./  ./: :ノ: : : : : : : : l: i l: : : ハ
i ヽ ` -ゝ      ヽヽ ミ=''´ //       /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ、
{  ハ         \\__//    , ィ /: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : \
 `   廴     し   ー─''´    ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>、_   ー                     /: : :/: : : : : : : : ::/: : : : : : : : : : :/
: : : : : >-、_ハ、               ハ/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : :/ハ


148 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:28:08 ID:3MQ1iP0I
一89.
目移りして仕方ない彼は、色々取りだしては構えたり振ったりを繰り返している。
何度かやらない夫の背中のバスタード・ソードに視線をやったジュンは、やがて一振りの剣を選び出してきた。



                      |::ヽ/::::::〈 へ、
                      ,-┘:::::::::::::::::::::::::::`>
                    ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::\
                    /::〈:::|^^|:::::/\ト、ヽ::::::>
\                     /::::::ハ|_l/l/.__-ヽ|:::」    「これはどうだろう?」
\\                    . ̄7/.|__|─|__|- lj/
  \\                    ヘ.  __;__、 /
   \\                    フヽ辷フイ{ヾ
     \\                  /::::〈`l7:´::::::ヽ
      \\            ノ::::::::::::V::/:::::::::::〉
          \\            /:::::::::::7::ト/:::::::::::/
           \\         /::::::::::/:::::/::::::::://
              \\     /::::::::::/l /:::::::::/::l
            ∠二フ /:::::::::::::/ /:::::::::/::::!
              ヽ,'~つニ〉ヾ:::::::://::::::::::/::::::::j
                ゙へノ7  ヽノ<::::::::::/ヾー--¬
                 くヲ``  ヽ</^ヾフ=/{
                  _,. -ヾソ  ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
           r ' ´:::::::::::::`ー‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::``丶
           l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- 、_:::::::::::::::::::::::::::
              l:::::::::::::::r -- ' ´       ``'ー、:::::::::::::
           /::::::::::::::l               l::::::::::::


                ,ィ7
               /,/
            / /
              / /
.             / /
            / /      「どれ。
           / ̄ ̄\
          /\  /  \   ………なかなかいいブロード・ソードじゃないか。
.         | (●)(●)  │  重さはどうなんだ?」
.         /| (__人__)   .|
        / ,| ` ⌒´     |
.    ィ´ /''ヽ      ノ
   (⌒) イi一‐ヽ、   /
    7 .K.`ー--→―― )
    ヽ/ ヾ--‐―‐  /
.       /      /
      /      /



自分にはやや重かった剣を軽々と振り回す腕力、隙のない構え。
どれほどの鍛錬を積めばこうなれるのだろう、と思わず考え込んだジュンに、
やらない夫はもう一度重さはどうなんだ、と聞いた。

149 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:29:07 ID:3MQ1iP0I
一90.


             >'´ /   ∧    |    i| ヽ.      \
           /   /     /::::ヽ _,斗:.:.:.: :   |   !  :...   \
            〉       ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ト、  |   :.:.:... : :..`ー-、
              |   |  il  ::|       ! ::∧:. :.  ,=‐i   :.:.:.:.:...:.:.:..:.:./
             / .:.:.:.:|  i|   ::|       | / ,ィ|,.イ´__ ∧  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/    「あ、ああ。
         / :::/イl|  l|  ::|=、>ー=、 i′|:rレ弍¨ヽ ト :.:.:.:.:.:.:.:.:./      今まで使ってたレイピアに比べれば
        ./::/  /   |  |´戈¨T |ト==、|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:\      そりゃ重いけど、
        レ'゜   / /  iヾヽ! 辷_ソ」|   ヽ=====' マヽ.:.:r-‐'´      それぐらい振り回せるようにならないと」
 rr‐、           レ' レ'〉 ! ヾニ=== ′〈           'ノ::;;;>
 ト' |                  ̄ヾヌ、      `       ,/‐'´
 |  |                 ̄ヽ       ー‐      /
..ノ  l'⌒!                \           _, ィ´
´ ノ^ヽ '、                  `¨ニt-  -‐' ト-┐
  /`ヽ.ヽ、          _   /´iイ      |/ ヽ―-- 、__
   ‐'´`ヽ. i、          /i  ゞ7″ | ′    /    |     `ヽ、
\   イ-'  ヽ       /  i  / ,ヘ |____,_/ |―、  |    /  ヽ.
  ヽ.  ″    l     /-‐'´ | ./// ヽト-―/ニ,ノ  \|     /   \'、



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●    「なら良いんじゃないか。
   |      (__人__)    値段も割にあってると思う」
.   |        ノ
    |      ∩ ノ ⊃
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /



150 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:30:07 ID:3MQ1iP0I
一91.
結局、その剣に決めたジュンは勘定台に行って購入してくると、早速腰に吊してみた。
試着室の鏡に映る自分の姿を見てから、隣で待っていたやらない夫に意見を求める。


          /|, -──---,
       〈  . :.::::.:.:.:.``く
      , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
    ∠.:/.::ハハ|:::::::::1::::.:.:.:. \
     ム:从r'''''|/N:::|.;;;!;;;;;;;「 ̄   「どう、かな?」
      l/N ̄|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
       `| ̄ノ└‐┘``ウ'゙
         \ ー' ,..ィ二[
          ̄r'"´,. -‐L_
         ∠二     1i
         |    `ヽ|  | ',
         |     .:j.  | ト、
         /     〈  | | |
   〈,゙i     / __ __」.  | | |
    ゙i,゙i   | |:::|   |   | 「|
     ゙i '-ー |:/  l   V! |:|
    /、<Y〈_/  /   i:! |:|
   ソ,l⌒゙i . 〉   /.:.:::.:.:. j〈.:リ
       ゙ i   / rrr─┴┴┐
         /   / |:|:|.:.:.i::::::::::::|
       |\゙i ゙i゙i :|:|.:.::{三三:|
       |.:.:.:::l.゙i ir゙i|:::::{三三:|
       ヽ.:.:.|.:.:゙i ゙i゙i ::L::::::::::|
         i.:.:.|.:.:.:.:゙i ゙i゙i:::::「 ̄
         |.:.:.|:::::::::::゙i ゙i゙i::|
        |.:.:.|:::::::::::: ゙i ゙i゙i
        |.:.:.|::::::::::::: ゙i ゙i゙i..
                ゙i ゙i゙i
                 ゙i ゙i゙i.
                  `'、.|

151 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:31:08 ID:3MQ1iP0I
一92.
        (⊃ ̄ ̄\
      (⊃   _ノ  \
     (⊃   ( ●)(●)      「見かけは立派だぜ。
      |     (__人__)       釣り合うように腕を磨くことだな」
      |     ` ⌒´ノ
        |         } \
      /ヽ       }  \
    /   ヽ、____ノ     )
   /        .   | _/
  |         / ̄ ̄(_)
   \   \ /| JJJ (
    \  /   /⊂_)



  /::::::::::::::::::::::::::::/::::\:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::\::::::::-──
 _,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: \:::::\
  /::::::::::::::::::::/::::::: : :|:::::V/ ̄ V:::::::::::::::::::::::\::::ヽ
 /::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: | ̄     V::ト:::::::::::ハヽ;;::ゞ:::ヘ
 :::/:::::::::::::::::::|::::::::::::::ハ:|        |::i \:::::::}:::::ト-;;::::ハ  「分かってるよ」
 /:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| リ───''  i:リ ニ彡:::iト、;ヽ \::i
 :::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |_,,,-===ヽ/ _||=__メ:| ||   ヾ
 ::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|>'' ̄=.ィ-  ||=||{t..:jア ||
 ::::::::::::::::::::::::::::i>\:: |||マハ廴ソ  ..川 ハ ̄ iノノ
 :::::::::::::::::::::::r-、}''´ \||  ̄    //  ノ ` ̄ |´
 ::::/i:::::::::::::::| /ヽ    ヾ==─''´´      /
 :/ |::;;::::::::::ヽ  >        `ー -  /
   レハ:::::/i::::::≧::-:、          /
      レ'  ̄ ̄ ̄Yi      ____./ _
      _...-:::'´ ̄ ̄`:-..、    |ー- ∧ }、_
     i: : : : : : : : : : : : : : : : `::-.┴..、: /: :}: :}: : : ヽ
    /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ /::/: : : : ∧


言われなくても、と苦笑に近い笑みが浮かんだ。
肩をすくめて笑っているやらない夫の胸をとん、と拳で叩いたジュンは、そろそろ行こうと彼を促した。

152 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:32:07 ID:3MQ1iP0I
一93.

                           ..........................................
   ⌒Y⌒                  ...::::::::::;;;;;;;;:::::::::::::;;;;;;;;:::::::::::::::.............
        カァー         .......::::::::::::::;;;; ''''          '''''' ;;;;:::::::::::............
                  .......::::::::;;;;;''''                 '''';;;;:::::カァー:.....
         ⌒Y⌒   .........:::::::;;;'''               ⌒Y⌒  '' ;;::::::::........
           (´(;;;⌒;;;⌒ ) ;;'''     カァー      >>>       ..... ..:::::''.;;::::......
               .....:::::::;;''             (:::::∋:)    ..... ......... :::::.'';;:::::......
             .........::::::::;''     ⌒Y⌒      彡´^:::::〉   ... . ........:::::: :::::::::';::::::....
(;;⌒;;;⌒ ) ... ....::: ::::::::::::::::::::::;'            __|√_________;;:::::::::
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 三三三三三三三三三三三三三三三三三≧! へ || ̄ ̄| ̄ ̄||:.:.::;::.:.:.:.:.::;;|| ̄ ̄| ̄ ̄||:
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 :. .:.:.:.:. |  |  |  | .:.:.:.: : .:.: |  |  |  | .:.:.:.: :|  |┏───────────┓:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
 :. .:.:.:.:. |==|==|==| ;; .:.:.:.: : .:|==|==|==| .:.:.:.: :|  |∥:.:.【   武  具   】 :::::::.∥"゙ ̄ ̄ ̄
 √:.:.:.:.:|_|_|_| .:.:.:.Χ.:.: |_|_|_| .:.:.:.: :|  |┗───────────┛:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
 :. .:.:.:.:.  ̄ ̄ ̄ ̄:. .:.:.:.:.::..:.: ̄ ̄ ̄ ̄ .;.:.;,: :| [ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 :. .:.:.:.:. :.:.#;:. .:.:.:.:. :.;;:. .:.:.:.:. :. .:.:.:.:. :. .:.:.:.:. :. .:|  | )~( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:)~( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

二人が外に出ると、夕闇が迫っていた。
剣を選ぶのに思いの外時間が経っていたらしく、赤く染まる空の下、カーディナルは静かになり始めている。


153 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:33:07 ID:3MQ1iP0I
一94.
家に案内するよと歩き出したジュンに続き、中央の王城を囲むような、
円形の町を突っ切るように西へ向かうやらない夫達。


                          。
                     。  。     |     。  。
                      |.  |     |:|    |.  |
                   ||  ||    |.:.|    ||  ||
                     |:|. |:|   l∧l   |:|. |:|
              。     |.:.|. |.:.|   ,.傘.,   |.:.|. |.:.|      。
               |       .|∧||∧| ,傘傘傘, |∧||∧|       |
     。  。       ||.     (VVVV).傘傘傘.(VVVV)       ||      。  。
     |.  |      |:|      {∽}{∽}}}傘傘傘{{{∽}{∽}      |:|      |.  |
    . ||  ||     |:.:|    ,傘|l~~|l~~|}}个个个{{|l~~|l~~|傘,    |:.:|     ||  ||
    |:|. |:|    lvvl .,.,傘傘|∩||∩|}::::/⌒ヽ :{|∩||∩|傘傘,.,. lvvl    |:|. |:|
    .|.:.|. |.:.|.     |∩|傘傘傘|| l|| l|}:::|:   |:::{|| l|| l|傘傘傘|∩|     .|.:.|. |.:.|
   |∧||∧| ,.,.,傘||"||傘傘傘|| l|| l|}:::|:   |:::{|| l|| l|傘傘傘||"||傘,.,., |∧||∧|
   (vVVVV)傘傘{∽}个个个{∽}{∽}}:|三ニ三|:{{∽}{∽}个个个{∽}傘傘 (VVVVv)        |
   山i!山i山傘傘|三|!|/⌒ヽ!|l~~|l~~|}:/个\ {|l~~|l~~|!/⌒ヽ|!|三|傘傘山i!山i山          ∧
   ||^^||^^|个l个{∽}!||:.  ||{∽}{∽}}:{ニi二iニ}:{{∽}{∽}||:.  ||!{∽}个l个||^^||^^|       /;;;;;ヽ
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   |∬||∬|::|___l: |§|!|:|l  l|:||∬||∬|}:::, '三`、::{|∬||∬||:|l  l|:|!|§|::|___l: |∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
   {})({i})({}iニニニi{({})}!!.!|,,, l|:!{})({|})({}}::|皿l皿|::{{})({|})({}!:!|,,, l|:!!{({})}iニニニi{})({i})({}:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
   || l|| l|鬥l鬥||: ||!|鬥l鬥||| l|| l|}|鬥轟鬥|{|| l|| l||鬥l鬥|!||: ||鬥l鬥|| l|| l|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
   || l|| l|/⌒ヽ||: ||!|/⌒ヽ||| l|| l|}|iiiiiiiiiiiiiiii|{|| l|| l||/⌒ヽ|!||: ||/⌒ヽ|| l|| l|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
   |∬||∬||:.  ||§|!||:.  |||∬|∬||}|iiiiiiiiiiiiiiii|{||∬|∬|||:.  ||!|§||:.  ||∬||∬|:=:=:|:|=:=:|:|=:=:|:|=:=:
   |凶||凶|iニニニi|凶|!|iニニニi||凶||凶|}|二二二|{|凶||凶||iニニニi|!|凶|iニニニi|凶||凶|:::[]::|:|::[]::|:|::[]::|:|::[]::
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


154 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:34:07 ID:3MQ1iP0I
一95.
日が落ちて完全に暗くなった頃、ようやくある豪邸の前でジュンが足を止めたので
やらない夫はここか、とその全景に視線を巡らせた。

              .|
              A
           | _γ ⌒ヽ_
           A ..l.i i:I I:i iI_________∧________
          龠./|.i_i:I I:i_il ________i龠i____/∧ ______i龠i________\
           ./ |.ロ:IロI:ロl/::.::.:::.::.::.::..:::.../ [] `::..:::.::.::.:::.::::.:::.::.:..|
          ===.|   ニニニニニニニニニニ    ニニニニニニニニニニ
            .|∩| l'⌒`l | l'⌒`l l'⌒`l |γΠヽ| l'⌒`l l'⌒`l |
            .|:! !| l.__i__i | l.__i__i l.__i__i | ゝЦノ| l.__i__i l.__i__i |
            .|  | .____ ...| ._____  _____ | .____ | ._____  _____ |
            .|「l | |__|__! | |__|__! |__|__! | |_|II|_| | |__|__! |__|__! |
            .|i_i | |__|__! | |__|__! |__|__! | |_|II|_| | |__|__! |__|__! |
            .|i_i | |__|__! | |__|__! |__|__! | |_|II|_| | |__|__! |__|__! |
            .|  | __∧_..|           |[::圀::]|           |
    :::::::     .|  | .I:I:i | l===l ;l===l | |   i | l===l ;l===l |
     :::::::    .|  | .I:I:i | |__|__|....|__|__l | |....:::::l | l__|__|....|__|__| |
      :::::::   .`:::;:;================ |ニニニニ]:==========i
       :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

            / ̄ ̄\
          _ノ  ヽ、  \
        (○)(○ )   |  「大きいなぁ。
.       (__人__)   u  .|  さすが騎士団長殿の家、ってところか」
.        ヽ`⌒ ´    |
        {       /
        lヽ、  ,ィ'.) ./
        j .}ン// ヽ
        ノ '"´  ̄〉  |
.        {     勹.. |
         ヽ 、__,,ノ . |


155 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:35:07 ID:3MQ1iP0I
一96.

                                             /|, -──---,
                                          〈  . :.::::.:.:.:.``く
                                         , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
                                       ∠.:/.::ハハ|:::::::::1::::.:.:.:. \
                                        ム:从r'''''|/N:::|.;;;!;;;;;;;「 ̄
                                         l/N ̄|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
                                          `| ̄ノ└‐┘``ウ'゙
                  「カーディナル貴族の中じゃ、         \ ー' ,..ィ二[
                           小さなほうさ」          ̄r'"´,. -‐L_
                                            ∠二     1i
                                            |    `ヽ|  | ',
                                            |     .:j.  | ト、
                                            /     〈  | | |
                                             / __ __」.  | | |



それでもやらない夫には広く見える庭をしばし歩き、大きな扉を開けて玄関をくぐると
一人の執事と二人のメイドが彼らを出迎えた。



         , -─-─- 、
        , ':::::::::::::::::::::::::::::::`、
      /:::::/、\、, ,/\ ::::ヽ、
     /:::::::::|        | ::::::`、
     |:::::::::|        |::::::::::|
.     |:::::::::|─-   ,-─|:::::::::|       「ジュン様、お帰りなさいませ」
      |:::::::|=ェェ-  -ェェ=|:::::::|
..      |:::::|⊂⊃'⌒⊂⊃|::::::|
       |::::|    l    |::::|
..       |::|\  ー  /|::|
.        |  lヽ _ 'l  |
,.         /\../\
        /| /Y\ |\
    __,,-'''|:::::::|レ ムムV|:::::::|`-、
  _,,-'   |:::::::::\ | | /::::::::::|  `-、
 |ヽ    |:::::::::::::::\/:::::::::::::::::|   /`、
 | l   |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|  /  、
 |  |  |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| /   `、
 |  |__|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|/    ヽ
 |    | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|\     \
 |    | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|  \_   \
 |    || ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   /     /
 |    | | .............::::::::::::::::::::::::::::::::|  /     /



156 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:36:08 ID:3MQ1iP0I
一97.
彼らにただいまと答えたジュンは、会釈した隣のやらない夫に視線が集まっているので
少し胸を張って何者なのかを伝えた。


                                              ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
                                            /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                                           ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                                              /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
                                            ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
                                            |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
                                           イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
                  「彼はやらない夫。              /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
                   僕の友人で父さんの客人でもある。    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
                   丁重にもてなして欲しい」         .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
                                           .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
                                            レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
                                                  i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                                                   、             r彡;〃´
                                                   ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                                                    \          ´ ,L. -‐ 、_
                                                      ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                                       ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                                     _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                                                   rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"



157 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:37:08 ID:3MQ1iP0I
一98.
お坊ちゃまがご友人を連れてくるなんて初めてじゃないかしら、と言う言葉を寸前で飲み込んだメイドは、
それでも喜ばしい事だ、とジュンよりも背の高い少年を見上げる。
剣と鎧を装備した彼は少なくとも貴族ではなさそうだが、エンジュの客人でもあると言うからには
サクラダ家にとって賓客である事は間違いない。



       ,::/ヽ_/:::::/::::::::::::リ::::::::::::|i::::::::::::`丶、
      /:::ト.、._/::::::::/::::::::::::::::/:::::::::::::: リ::::::、:::::::::::::::ヽ、
      /::::j   j:::::::::::::::::/:::::::/:::::::::::::: /:::::::::::';::::::::、::::::::\
     ,イ:::::::〉ーイ:::::::::::::::ハ::i:::: ハ::::::::::::/::::::::,、:::::}::::::::l:::ハ.  ゛
     i::::i::::弋 }::::::::::::::i::::|:::::::|:::::::::::i::::::::: ハ::::l:::::::::i:::::i
     i::::i::::::::゙iイ:::::::::::::::|::::|:::::::|::::::::::i:::::::/  ゙v::::::::/::::::ト、    「かしこまりました。
     |:::::::::::::::|i:::::::::::::::i::ー─--::::ハ:::::ハ   }:-─:::::::/:リ     やらない夫様、こちらへどうぞ」
    ノ::::::::::::/´i :::::::::::::i: ィテ斥ミュ、ゝイ }  /ィュ、:::::::人
   /ハ:::::j::::{んl:::::::::::::: i:::{弋::':cリ     ,イ:。リ :/:!
   /:::::::::i::::::ヽ':::::::::::::::::i:::i  ` ̄`     `" |::::::::::!
  ./:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::'i:'         〉  ハ::::::::}
    イ:::::::::/::::::::: ハ:::::::::::ハ           ,イ::::::::::::ハ
    .ノ:::::イ::;ヘ::::/:::ハ::::::/:::|.、      ー  /::ハ::::::::::リ
  ////{   イ::/  ';:::::::::i > 、    /ハ::::l |::::::イ
. //////ハ   .イヽ.  ';::::::i   ./、>.イ//7 ::ノ !:::从
////////ハ、    丶、':::リ.  〈  ヽ//////ハ ノ::ツ



                                                    / ̄ ̄\
                                                  _ノ  ヽ、  \
                                                (○)(○ )   |
                                        .       (__人__)   u  .|
                       「えっ?             .        ヽ`⌒ ´    |
                       ジュン、俺はどうすれば?」         {       /
                                                lヽ、  ,ィ'.) ./
                                                j .}ン// ヽ
                                                ノ '"´  ̄〉  |
                                        .        {     勹.. |
                                                 ヽ 、__,,ノ . |


158 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:38:07 ID:3MQ1iP0I
一99.

          /|, -──---,
       〈  . :.::::.:.:.:.``く
      , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
    ∠.:/.::ハハ|:::::::::1::::.:.:.:. \  「部屋でくつろいでてくれ、
     ム:从r'''''|/N:::|.;;;!;;;;;;;「 ̄   着替えたらそっちに行くから」
      l/N ̄|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
       `| ̄ノ└‐┘``ウ'゙
         \ ー' ,..ィ二[
          ̄r'"´,. -‐L_
         ∠二     1i
         |    `ヽ|  | ',
         |     .:j.  | ト、
         /     〈  | | |
          / __ __」.  | | |
        | |:::|   |   | 「|                              / ̄ ̄\
                                              / ノ  \ \
                                              |  (●)(●) |
                                 .             | u.(__人__) .|
                       「わ、わかった」        r、      |   ` ⌒´  .|
                                       ,.く\\r、   ヽ      ノ
                                       \\\ヽ}   ヽ     /
                                        rヽ `   ヽ  /   ァ'´ヽ
                                         └'`{  .   \.|   /   i
                                             ヽ、._   ヽ、_,r'   .|
                                             `ヽ、   /'  |
                                                `'ー'´


159 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:39:07 ID:3MQ1iP0I
一100.
何となく落ち着かない様子のやらない夫はジュンと分かれると、案内されるままに豪華な客室へと通された。


           _,r f 几'7ゝ、
         イ>:'::::::::::::::::弋ゝ,
        イ./::::;x:::::::::::::::、::::::`ト}
        ),'::::/:::::::::::ハ::::::i::::i::::::ソ、
        {l::::i::::::l:::::i }:::::!:::|:::l::}::    「何かありましたら、
        ,イi::::::r‐-、:{ イ::ノ-‐}::j:::!::i    テーブルの上の呼び鈴でお呼びください」
      //:イ:::ヘ 斥i  ´ f孑j::|::ノ:ハ
         _ l:::リハ.   ,   ソ:::}:/- 、
        //ハ/、ハ::: ヽ、 ー ./l:::/ '//ハ
     r/////} .弋.  `ニ´  イ ∨///ハ
     |/////リ    /ハヽ    ∨///l
     j/////    .ゝ〈oゝ'    ∨//ハ
     〈////{.     / } ヽ     }////
     ヽ//人       !o     ノ///{



ああ、あれか、と確認している間にも娘は部屋から消えていた。
調子の戻らないまま広い部屋に一人きりになってしまったので、とにもかくにも装備を外してから
ソファに座ってジュンを待つことにする。



                          , ノ  、 ヽ
         .                l(● ●) l   (落ち着かん………)
         .                | (_人_)u|
         .                 ヽ     ノ!
                (,⌒ ̄ ̄ ̄        ̄ ̄ ̄,⌒)          
        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/      /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|
        |: : : : : : : : : : : : : : : : : /      /:::: : : : : : : : : : : : : : : |:::::::::::::::::|
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160 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:40:11 ID:3MQ1iP0I
一101.
眉を上げ下げ、視線をさまよわせること十分も経っただろうか。
ノックと共に、土埃で汚れた服から着替えたジュンが部屋に入ってきて、口をとがらせているやらない夫に首を傾げた。



      ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
    /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
   ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧    「おまたせ。
      /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
    ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧   どうしたんだよ、落ち着かない様子で」
    |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
   イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
   .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
    レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
          i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
           、             r彡;〃´
           ヽ   ヾニフ       ノレ'´
            \          ´ ,L. -‐ 、_
              ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
               ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
             _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
           rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"


                                       / ̄ ̄\
                                     /   _ノ  \
                                     |    ( ー)(ー)
                 「慣れてないんだ、         |     (__人__)
                 こういう雰囲気。           |     ` ⌒´ノ
                                     .l^l^ln      }
                 ………馬鹿にするか?」  .   ヽ   L     }
                                      ゝ  ノ   ノ
                                     /  /    \
                                    /  /       \
                                  . /  /      |ヽ、二⌒)、
                                   ヽ__ノ



161 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:41:08 ID:3MQ1iP0I
一102.

  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄  「まさか!
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l     貴族とか冒険者とか関係ないだろ。
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV       それに君は僕の恩人じゃないか」
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)    「恩人だなんてやめてくれ、
. |     (__人__)     本当に大した事じゃないんだ。
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }     それより騎士団に何かあったのか?」
.  ヽ        }
   ヽ     ノ  mm
   /    ̄ ̄ ̄ つノ
   |    | ̄ ̄ ̄



162 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:42:07 ID:3MQ1iP0I
一103.

                                          >'´ /   ∧    |    i| ヽ.      \
                                        /   /     /::::ヽ _,斗:.:.:.: :   |   !  :...   \
                                         〉       ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ト、  |   :.:.:... : :..`ー-、
                                           |   |  il  ::|       ! ::∧:. :.  ,=‐i   :.:.:.:.:...:.:.:..:.:./
                「何を突然?」                  / .:.:.:.:|  i|   ::|       | / ,ィ|,.イ´__ ∧  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
                                      / :::/イl|  l|  ::|=、>ー=、 i′|:rレ弍¨ヽ ト :.:.:.:.:.:.:.:.:./
                                     ./::/  /   |  |´戈¨T |ト==、|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
                                     レ'゜   / /  iヾヽ! 辷_ソ」|   ヽ=====' マヽ.:.:r-‐'´
                              rr‐、           レ' レ'〉 ! ヾニ=== ′〈           'ノ::;;;>
                              ト' |                  ̄ヾヌ、      `       ,/‐'´
                              |  |                 ̄ヽ       ー‐      /
                             ..ノ  l'⌒!                \           _, ィ´
                             ´ ノ^ヽ '、                  `¨ニt-  -‐' ト-┐
                               /`ヽ.ヽ、          _   /´iイ      |/ ヽ―-- 、__
                                ‐'´`ヽ. i、          /i  ゞ7″ | ′    /    |     `ヽ、
                             \   イ-'  ヽ       /  i  / ,ヘ |____,_/ |―、  |    /  ヽ.
                               ヽ.  ″    l     /-‐'´ | ./// ヽト-―/ニ,ノ  \|     /   \'、




ジュンが自分の問いに目を白黒させたので、あれ?と腕を組んだやらない夫はさらに続ける。


163 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:43:07 ID:3MQ1iP0I
一104.


      / ̄ ̄\
    /   _ノ  \
    |    ( ●)(●   「新しく騎士を募集すると言うから、
    |      (__人__)   何かあって人員が足りないのかと」
 .   |        ノ
     |      ∩ ノ ⊃
   /     ./ _ノ
   (.  \ / ./_ノ │
   \  “ /___|  |
 .    \/ ___ /
                                              ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
                                            /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                                           ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                                              /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
                                            ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
                                            |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
                                           イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
                                           /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
                                            !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
             「ああ、毎年この時期になると募集するんだ。   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
             騎士だって定年や引退もあるし、          .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
             練度を一定に保つには人員の増減は        レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
             平均的にしなきゃならないし」                    i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                                                   、             r彡;〃´
                                                   ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                                                    \          ´ ,L. -‐ 、_
                                                      ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                                       ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                                     _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                                                   rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"


164 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:44:08 ID:3MQ1iP0I
一105.
納得したジュンは父から聞かされていた事をすらすらと答え、


          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ    「集まってくるのは数百人居るけどね。
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|    ………でも、必ず僕は受かってみせる。
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|    そして父さんの手伝いをするんだ」
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \



固く決意を語った。
それが自分の夢かは分からないが、立場上求められている事は百も承知なのだ。



                                            / ̄ ̄\
                                           /ノ  ヽ、_  \
                                         . (●)(● )   |
                                         . (人__)      |
                       「ちなみに試験って、      . |⌒´      |
                       どんなことをするんだ?」   .  |        /
                                         .  ヽ      /
                                            ヽ     /
                                            .>    <
                                            |     |
                                             |     |


165 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:45:07 ID:3MQ1iP0I
一106.


  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l     「やけに聞きたがるけど
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|      興味あるのかい?」
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:



身体が沈み込まんばかりのソファにも慣れた様子で座ったジュンが尋ねると、
結局立ち上がってしまったやらない夫は肩をすくめた。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \     「この歳で冒険者ってのも何かと辛いだろ。
 |    ( ⌒)(⌒)     どこかの町でしばらく腰を落ち着けるのも良いかなって
. |  u  (__人__)      思ってたんだ」
  |      |r┬|}
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、



苦い表情の彼の言葉は真実だろう。
まだ二十歳前の彼がたった一人で冒険者と行っても、冒険者をある程度知っている者ならまず信用しない。

166 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:46:08 ID:3MQ1iP0I
一107.
普通、多様な職業の者が数人集まって活動するのが冒険者、である。



                         ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
                       <     怪物退治に      >
                       <      行ってきます!! >
                         VVVVVVVVVVVVVVVVV

  Y  ,___ ,   ,    ヽへ_〉 /::::;:::::;::::::i:::::::::;:::::;::ヽ;::i:::|  /  /,  /| イ ,,   ',
 イ  ./ ,ィ _i、ハ  ハ-!、 i  `Y  i:::::i:::/_;:ィハ_L、_!__i:::::i::::|:::| イ  / /-‐/ i ナ_ ハ ヽ ! i
 ! 〈7イ ノル ヽ ハト!、ハ   |  !::::ハ_7(ヒ_]   ヒ_ン )Lハ|::| レ ヘ 7(ヒ_]   ヒ_ン )ト、!| |       ┌─────┐
  `iヽ,ゝ(ヒ_]   ヒ_ン )ハ  /  レY::::7"" ,___, ""ハノ:|::|  !,/7"" ,___,  ""iソ| |          │ 遊び人  ..│_
  ゝ人"  ,__,  " イ/イノ   〈:从       ,イイ::|:::|  |.从  ヽ _ン   / |/ |      ,´└─────┘_ イ
     `>.、.,,____,,.. イナリV     Y::::ノ>--r  イ:::ホ|:::|::|  レ'| i>.、,,__ _,.イ / i  |     'r ´          ヽ ン
,ヘ、∧ ,ィ'!\\__i/ト、´        |Yノ:;:イ´L二」''ヽ!ン、:|::|    レ'| | / k_7_/レヽ, ハ |    ,'==─-      -─==', i
i ヽ、/ `!:::::Y_ノ!ハ∧        }<>{ iヽ}<・>{-'}<>メi|::|     | |/i 〈|/  i ,.ヘ |  |    i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイi |
_ゝ、 i  ,ゝ-、、-.'^ | |       |:〈、__/⌒i-i⌒ヽ__,.イ|::|     |/ / i:   ヘ!  \|    レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| | i |
ラ ンハ     | l |  i i        ! `!,.イ rノ+ヽr  ヽリ':::|     kヽ<、ハ   _,.ヘ、   /、    !Y!""  ,___,   "" 「!ノ i |
>_,.ヘ/ゝ、_____山__ノノヘ       ヽ〈___ン 十  ヽ、ノンレ'     !'〈//`T´', \ `'セ'ーr'    L',   ヽ _ン    L」 ノ/
∠_r┌─────┐        ┌─────┐         レ┌─────┐     | |ヽ、      ,イ| ||イ|/
   │ 戦士  .....│        │ 武闘家   │       │ 盗賊    │     レ ル` ー--─´ルレ レ
   └─────┘        └─────┘       └─────┘



一つの職業を名乗るための技術とて一朝一夕に習得できるものではない。
その道の専門家が集まって臨機応変に様々な状況に対応していき、時には強大な怪物と戦う事だって強いられる。




 
 
222 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:47:29 ID:jAaOOfT9
この世界って魔法ない設定? >>166見てそう感じた

>>222
いえ、複数の系統の魔法が存在します。
ただ、脳筋PTが物理攻撃の効かない敵に遭遇したとき
どうなるか、と考えあのような構成になりましたw

167 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:47:07 ID:3MQ1iP0I
一108.
その怪物とて千差万別であり、相性が悪ければ傷一つつける事が出来ないまま壊滅、敗走するはめになるのだ。



         / 7                                ,ィ!´ ̄``i''ー─- 、、、,,_
.         / /                                ( j〉    」´ ̄ ̄``ー-、ヽ
         /`7--、.  / >                           ``ー─'"´  ̄ ̄ ̄ ̄
     ___,ヘ /)L=T/ >'′
    心ヽ\ ̄`、⊥.く    _                        ,ィ!´ ̄``i''ー─- 、、、,,_
  /Vく__>、」ノ /三}―〈ヽ_.-‐r、」」                      ( j〉    」´ ̄ ̄``ー-、ヽ
 「`ー-/ ト二l-- l|__/i7、l  { ト、ノ                        ``ー─'"´  ̄ ̄ ̄ ̄
 |   |  Ll /  ̄ ト-イ-| `ー'′
 レ⌒ヽ  L/ ̄ ヽl―ト-'                            ,ィ!´ ̄``i''ー─- 、、、,,_
 ヽk三}  | | | _| |\ \\_                          ( j〉    」´ ̄ ̄``ー-、ヽ
      _|_/ ヽ  \__/ \                         ``ー─'"´  ̄ ̄ ̄ ̄
     // \__ノ   | \__ノ
.    /7 / / /.   |   l |ト、                          _,,..,,,,_
    / ./ / /    レ--、___」                         ∩/ ,' 3 `ヽ_
  /⌒I――t、     |   }‐ヘ二>,                      ∪l   ⊃ ⌒ヽ
 ∧__ノ ', ― \    {`ー'ー‐へ____〉                        `'ー---‐''
 L____/l二二
┌──────────┐                      ┌────────────┐
│アイアンゴーレム     .│                      │パーティは全滅した……… .│
│ 物理耐性:高     ..│                      └──────────▼─┘
│ 魔法耐性:中     ..│
└──────────┘




168 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:48:08 ID:3MQ1iP0I
一109.
見た目のみで判断すればまだ駆け出しのひよっこ戦士であるやらない夫が、
たった一人で冒険者と言っても適切な仕事をそうそう紹介して貰えるわけがなかった。
たとえ収入が目的の仕事はやらない冒険者だったとしても、情報の入手や印象などの面からすれば、
彼には名声か年齢のどちらかが不足していたのである。



       / ̄ ̄\
     /       \
     |:::::       |
    . |:::        |
     |::::         |
     .|::::       __}
    /::::        \
    |:::         _)
    |::::         i
    |::::        i  |
    |::::        |  |
    \___、_____  ノ _)



それが分からなかったジュンは、冒険者の暮らしが厳しくて腰を落ち着けようとしているのだと
勘違いしてしまったが。



             >'´ /   ∧    |    i| ヽ.      \
           /   /     /::::ヽ _,斗:.:.:.: :   |   !  :...   \
            〉       ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ト、  |   :.:.:... : :..`ー-、
              |   |  il  ::|       ! ::∧:. :.  ,=‐i   :.:.:.:.:...:.:.:..:.:./
             / .:.:.:.:|  i|   ::|       | / ,ィ|,.イ´__ ∧  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  「それで?」
         / :::/イl|  l|  ::|=、>ー=、 i′|:rレ弍¨ヽ ト :.:.:.:.:.:.:.:.:./
        ./::/  /   |  |´戈¨T |ト==、|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
        レ'゜   / /  iヾヽ! 辷_ソ」|   ヽ=====' マヽ.:.:r-‐'´
 rr‐、           レ' レ'〉 ! ヾニ=== ′〈           'ノ::;;;>
 ト' |                  ̄ヾヌ、      `       ,/‐'´
 |  |                 ̄ヽ       ー‐      /
..ノ  l'⌒!                \           _, ィ´
´ ノ^ヽ '、                  `¨ニt-  -‐' ト-┐
  /`ヽ.ヽ、          _   /´iイ      |/ ヽ―-- 、__
   ‐'´`ヽ. i、          /i  ゞ7″ | ′    /    |     `ヽ、
\   イ-'  ヽ       /  i  / ,ヘ |____,_/ |―、  |    /  ヽ.
  ヽ.  ″    l     /-‐'´ | ./// ヽト-―/ニ,ノ  \|     /   \'、



169 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:49:07 ID:3MQ1iP0I
一110.

                                         / ̄ ̄\
                                       /   _ノ  \
                                       |   ( ●)(●)
                                      . |     (__人__). rm、
                  「出来るなら、              |     ` ⌒´ノr川 ||
                   俺も試験を受けてみたいだろ」 .  |         },.!  ノ'
                                      .  ヽ        r / .|
                                         ヽ     ノノ ノ
                                         /     / ./
                                         |      /
                                          |    i´



      ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
    /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
   ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
      /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧    「本当かい!?
    ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧    君が一緒なら心強い!」
    |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
   イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
   .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
    レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
          i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
           、             r彡;〃´
           ヽ   ヾニフ       ノレ'´
            \          ´ ,L. -‐ 、_
              ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
               ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
             _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
           rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"


170 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:50:07 ID:3MQ1iP0I
一111.

                                              / ̄ ̄\
                                           /  ヽ、_  \
                                          (●)(● )   |
                                          (__人__)     |
                   「受かるかどうかは別だけどな。     (`⌒ ´     |
                    試験内容によっては           {           |
                    辞めるかもしれないし」         {        ノ
                                            ヽ     ノ
                                            ノ     ヽ
                                             /      |


: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、     「筆記試験と、受験者同士の剣の試合と、
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、    面接だけなんだけど………」
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
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: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`



171 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:51:07 ID:3MQ1iP0I
一112.
試合と面接は少なくとも大丈夫そうだが、一般常識やある程度の座学を要求される
筆記試験についてはどうだろう、と眉を動かしたジュンが心配すると、
彼が何を考えたか察したやらない夫は首を振った。



              / ̄ ̄\
         rヽ  / ノ  \ \   「冒険者の知識、ってのも馬鹿にならないだろ。
         i !  |  (●)(●) |   学校に行けない家庭向けの教科書は一通り読んだし、
      r;r‐r/ |.  |  (__人__)  |   親父からもそれなりに教わったしな」
      〈_L (`ヽ .}  |   ` ⌒´  ノ
     l` ( ``/ .  |        }
     ヽ   l  .  ヽ       }
      |,.   l   /⌒   ー‐  ィ ヽ



                                           / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
                                             l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
                    「じゃあ大丈夫さ。            ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l
                                           /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|
                    なら僕と一緒に特訓しないか?    l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
                    僕は父さんに教わってるんだ、      l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
                    頼めば一緒に教えてくれると思う」    l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
                                                l/ 、__',               / .:.:.
                                                    ヽ     r‐‐ッ   /.
                                                      入        ,..イ.:.
                                                  . '´ i.:.\> -- </
                                                /     |.:./\    ノ.:


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |   ( ●)(●)       「それは是非お願いしたいだろ。
. |     (__人__). rm、    正規の訓練を受けてみたかったんだ」
  |     ` ⌒´ノr川 ||
.  |         },.!  ノ'
.  ヽ        r / .|
   ヽ     ノノ ノ
   /     / ./
   |      /
    |    i´



顔見知りの彼が共に試験に臨むというのでとても心強くなり、ソファから勢いよく立ち上がったジュンは、
改めて握手を求めるのだった。

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━━━━━━━━━━━……


172 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:52:07 ID:3MQ1iP0I
一113.
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サクラダ家の夕食。
食堂の大きなテーブルを五人が囲んでいた。



 (W从~j;::: :;'')),                 ||( ゚ω゚)ノ||:                ..:::::: : :
 vW;;;;;wリ:::::リノ               ||(..'V-)::||:              ..::::::::::::: : :
 vWリl从::::::リ                ========i:            ..:::::::::::::::::::: : :
 WvリW从:リ                                 ..::::::::::::::::::::::::::: : :
 ===!|l lリノ==========================================================: :
 圓圓|l;:|圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓圓:::::
 =|\i||ii|/|=========================================================: :
  \:三:/::::                                :::::::::::::::::::::::::::::: : :
    ::::::::::''''                                     :::::::::::: : :
                                              :::::::: : :
                .____________
               /―∞    Ψ ⊂oO⊃  \
               / ―∞ ̄ ̄ ||  ◇⌒:θ:目 \
              ./ / ○ ∞.⊂⊃ \△三@\.  .\..
                 /日 _..○○_   '''***  ̄ ̄ . 日\::...
             / '''/\_/_<****>  ⊂oO⊃\:::::.....
            ./  _ __ '''''_ _:__:__ _ _ __ _ \::::::::.....
            | ̄.:  ::.  ̄:  .:  . :. . :. . :.  :.  :  :. . :. ̄|::::::::::::::.....
           /  ;::i i::.  .::;i .::i   i;::. .i;:.  i;::. i;:.  i::. .i::. i;::. .|:::::::::::::::::::::::::::::...




173 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:53:07 ID:3MQ1iP0I
一114.
一家の長であるエンジュが上座に座り、



          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |   「始める前にやらない夫に紹介しておこう。
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、  長女でジュンの姉であるノリと、
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|  次女で妹の雛苺だ」
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L




そのすぐ隣に長女であるノリ。



    / ,ィ´-イ{ ,、 }ヽ`  ̄ヽ、 `  ヽ
   {i  ゝ、ヽ, -/ |ミⅦム   ヽ ヽ\ 小、
   ヽヽ ..{ `マ  ,’|`~´ }.| i.  }、 } } . \
    ` ̄7 , i| i   ,リi.i-┼‐i-’ヌ= _ .}  「初めまして、こんばんは。
      /, ,{  iハ、_   //’_」」、} ̄、 }/-、 ジュン君の姉のノリ=サクラダです」
      ,’,イ i|ヽ / ‐ 、_ ゝ.'´ ̄ .ノ  }〉'、ヽ
     { iハ i{ゝ、ー-ィ'¨ リ ,  `ー''´、 ,i-' i}
      ヾ ヽゝ{少 _/ `_ -,   ゝニィ 〃
         {i/{. ヽ._ ` ´   .ィ {/.、
          ヽ、{   ヽ¨ 匕   ` .V } /
         、_ノ/  }.ヒ'  .|    ,, -ヽ、
     _   ̄ { {  イ’ ̄ / 才´∠ ̄ ヽ
     {::::ー ̄ ̄≧-ゝ{ヽ /// /´



174 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:54:07 ID:3MQ1iP0I
一115.
ノリの向かいに座っていた長男であるジュンは飛ばされて、ノリの隣の雛苺。



              /  \ヽ
            /     く        ____
          _/    _  ヽ    ,  ´
          {         ヽ /二フ´
          Lュニニニニゝ 〈_/=-
         < __     ´ ニ L \ _
           / /   /  ヽ ヽ. \ ヽ.      /
          ∠ イ/ /         ', ',ヽ ー―‐く{
            /  /      | |  ヽ ヽ ヽ.___ノ    「………ヒナなの」
            N |! |     //   }  |   \\
            ヽ l l|   ィ::7!   /  |、 r 、 |ヽ ヽ
           / 代1_ ノ:::::r-/ ノ/ / / .∨ヽヽj  \
          く /./ ー .:::::::: 弋ソV イ /    \
          く/ミミ ヽ  '    ー彡 j/|       ヽ
           ゝ-ミ \` =   ゝ- 彡リ      イヽ
              \ >― ァ チニ彡  ,  < ル
             , --く{二 ス ヽ 斗ヘ、_ 彡
            /  / /、,ヽ\}} / /   \
          /   . く_/ l! VV/ /       \
         /     //  / /〉,  !           ヽ



最後にジュンの隣に居たやらない夫が自己紹介をした。



             / ̄ ̄\
           / _ノ  ⌒ \
           | ( ●) (●) |
          . |   (__人__)  |
            |   ` ⌒´  |         「こんばんは、やらない夫=D=ビップです。
          .  |         }         本日はお招きに預かり、ありがとうございます」
          .  ヽ        }
               ,、ヽ     ノ-、
             /;;;i/      '、!\
         _,、-/;;;;;;;;| i      i  i;;;;;゙、-、_
    ,-‐'''";;;;;<;;;;;;;;;;;;;!、_`ヽ  、-'_/!;;;;;;ヽ;;;;;`'';;ー;;-,
.   !;;;|;;;;;;;;;;;;;;;\;;;;;;|'ーニ_ー_ニ゙/.|;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;!
   |;;;;;i;;;;;;;;;;;;/´;;;;;;|           |;;;\;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;|
.   |;;;;;;;゙i;;;;;;;;;'、;;;;;;;;;;;;!─┐  ┌─.|;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;/;;;;;;;;i
  /;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;゙、;;;;;;;;;!  l   l   l;;;;;;;;;;/;;;;;;ノ;;;;;;;;;;|



先程食堂に向かう際にジュンから聞いたが、母はすでに亡くなっており
忙しいエンジュに替わって家の事は長女のノリが取り仕切っているのだそうだ。


175 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:55:07 ID:3MQ1iP0I
一116.
エンジュが食事開始の合図を告げ、スープが運ばれてきて一秒。
ずっとジュンとやらない夫を見比べていたノリが遠慮なしに言った。


                                  (  :::,_!" 丶ー-、      |!
                               ,  ´/ ⌒/  ,ヘ,      |:`7__ 〃
                             /       /ヘ | //,. - ‐、 |ト 〆l,、
                              / /  / ..,/ /、j |! /::::1  |\-ーjノ
                           /イ /:::/ .:::/1 /  '' ヽ、:::/  '   !リ「   「ジュンくーん。
                          /'l  :::/_j _:/_.j/      / /     ヽ._   一体何があったのか、
                           i !:::| ! / _ l `   _ /:.,/i::!  /  |`!  お姉さん聞かせてほしいなー?
                       f ⌒ ヽr从fr V-、 ` .     j_メ'. /:: / ! │|
                    、 _ ノ    乂 !  トtイ!  l. _ , ' ,ニ.、 /,ヽ:::! j:: ,/| |  お友達を連れてくるなんて
                    ゝ ィ   /:: :>、|ヽ. `´  ノ  f  r1ィイ /::/ /:/ j/   初めてだよね?」
                      l /::::::/!:ト::|  i    ̄   '  、 ` ′,/_/ !/  /
                      レ、:::/    ,=\  l` ァ  ーイっノf´⌒ !
                       ヽ!_ _ _ !_ /\   ´   /fT´ リ::_ ノ
                    ,.  "´| /ヽ└、_     7  ̄  ノ/:::::! トヽ._
                    _ /´      | ト  ` 、_` ー 、__ヽ___   イ::::::! ノ` ー'
               _ r/::::::...._     | !ヽ\. . . . ̄ ` ──/、 ゝ:ノ::ノ
             _j__    ̄ ̄      | |ヽヽ \__:_: _:_.,  イ ∧   ̄
            i         ./ /´ ̄ ` 、!__ O  / / /  |
          /ヽ/      .::::|/         ` 、i__ / /.  │



     >'´ /   ∧    |    i| ヽ.      \
    /   /     /::::ヽ _,斗:.:.:.: :   |   !  :...  _\
    〉      i r'   ヽ : r|:.: : .      :. :.:.:... : :..`ー-、
   |   |  il r.''''ヽ. _..-''''!/|∧r.._       :.:.:.:.:...:.:.:..:.:./
   / .:.:.:.:|  i.r'' ̄`ヽ=. <(::)>ノ  ~"'-._y  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
  / :::/イl|  li <(:)丿/ヽ.____,,..r'"    i i~ヽ.-:.:.:.:.:.:.:./
 ./::/  /   ヽ__.r'(   '';;        i r'"(:.:.:.:.:.:.:.:\
 レ'゜   / /  i「   ヽ-⌒-'        \i >>.:.:r-‐'´
     レ' レ'〉 i  _...||.-.._         .r-' 'ノ::;;;>
          i ./_.=:==-ヽ       y-.''~~ミ
            i ヽ_,,,.. r"~        i i :ミミ~
           i         .....::::::::/  i~~
            ヽ    ...........::::::::::::'   i
             ヽ-::::::::::::::::::::::::::'    :i
              丿 ::::::::::::::::'     i



176 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:56:07 ID:3MQ1iP0I
一117.
               r~v~y、
             r~7´ ̄ ̄`ヾへ
                //.:/:.:.:.ハ:.:.:.:.:.:.:.∨〉、
            / i/:./:i:|:.:.! Ⅵ:.:.:.:.!:.:Ⅵハ  (さすがお嬢様!
                i小.:ハ:リ Ⅵヘ:.:!:.:.:!j:.:.i  私達が言えない事を平然と!)
             |i!リ:! 0    0 リ:.:.:}:.:.:.!
            /从:.:!        l:.:./:ハヘ
              〈/ハ:リヽ、 △   !:./:从ヘ
              乂Ⅵ>v< |/77ハ
               ////  ムハ ' ∨/∧
                  ////{    |。   Ⅳ/∧
            ∨//ハ   |。    Ⅳ///〉
                ヽ=ゝ、__|_____/7=才



あっけらかんとした姉の言葉に、一瞬すごく嫌そうな顔をした弟。
そして壁際に控えているメイド達はその表情を見逃してはいなかった。

だがそれでも、今日の未熟を戒めるためにも家族に知っていて欲しかったジュンは、
何があったのかを全て告白した。


          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|   「市場からの帰りだったんだけど………」
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \


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177 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:57:07 ID:3MQ1iP0I
一118.
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話が終わった後。
ジュンの無事に安堵した様子のノリは、やらない夫に向けてまさしく貴族的な礼儀正しさで頭を下げた。



          /.: : : :.:.:.::l.:.:./.:ミミ、ィイ彡i.:.:.::l:.:.:.: : : : :、ヽ
       / . : : :.:.::l.:.:.l.::/ 1:lミミV/彡l.:.:.:.l.:.:.:.:.:..:. : : ヽヽ
        / : : : :.l.:.l:.:.:l.:l  |.:l´``'"´ |.:.:.:l:::::::::::::.:.:.:.: : : :',
      ,′. : : l:.:l.:.l.:.:.l.:l  |.:l       |.:.:/l.:.ト、:::::::::l.:l.:l.:.:.:!
      i.:l.:.: : : l:.:l.:.l.:.:.l:.l_|:.lノ    、_|./_.j.::! i:::::::.:l.:l.:l.:.:.:|
      |.:l: : : : |.:.l.:.K´l:「二l/     l' ̄l./`|::::::./.:l.:l.:.:.:!
      |.:l: : : : |:.:l.:.l.ィ行〒`ヽ    / ィ行〒テ.::/i.://:.:.;    「やらない夫さん、ありがとうございます。
      |:ハ. : .:l:.:ト、l/ l f:11  !ニニニ!  iト‐イ! l:/ l//:.:./     弟を助けてくれて感謝します」
         __ヽ.:.l.:.|ト、. ヽりノ ノ    ',  リノ  ノ ハV
     ,.'´. : : .`Yい `ー‐一'  .    `ー---‐' ,ヘく::i
   / . : : :.:.:.:.:.:.::\ヽ      '         /_ノノ.:',
    l : : ::::.:.::.::::::::::::「`ヽ     - ‐‐-      .イ.:.:.:.:.:.:.ヽ
    |: : :::.:.:.:::.::::::::;. '"´ \         /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
    |: :.:.:.:.:.:.:.::/      |`ヽ、 __ _,. ィ ´ ̄`ヽ.:.:.:.:.:.:.:.i
  ∧:.::.:.:.:.::/          |         ノ    /.:.::::::::::::::i
  l: :`ヽ.:.:.:l  ̄`ヽ    L      !     ム─-、.::::::l
  ⌒ヽレ'^フ´    \   \      !   /  ト、  l.::::/
  ,. '"´        `7     \   l  ,.イ  /  V.:/
 /            / ̄ `ヽ、 \__| /∧/:::.:.:.:.:K
,′             ̄ ̄``ヽ\ ヽ//  \.:.:.:.l ',


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)    「ははは、とんでもない。
. |  u  (__人__)     さ、スープが冷めますよ。
  |      |r┬|}     話はこれくらいにして食事にしましょう」
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く  \
   |     \   \
    |    |ヽ、二⌒)、



照れくさいやらない夫がそう言うと、一人を除いた四人の手がやっと動き始める。

178 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:58:08 ID:3MQ1iP0I
一119.

                                       /  \ヽ
                                     /     く        ____
                                   _/    _  ヽ    ,  ´
                                   {         ヽ /二フ´
                                   Lュニニニニゝ 〈_/=-
                                  < __     ´ ニ L \ _
                                    / /   /  ヽ ヽ. \ ヽ.      /
                                   ∠ イ/ /         ', ',ヽ ー―‐く{
                      「……………」      /  /      | |  ヽ ヽ ヽ.___ノ
                                     N |! |     //   }  |   \\
                                     ヽ l l|   ィ::7!   /  |、 r 、 |ヽ ヽ
                                    / 代1_ ノ:::::r-/ ノ/ / / .∨ヽヽj  \
                                   く /./ ー .:::::::: 弋ソV イ /    \
                                   く/ミミ ヽ  '    ー彡 j/|       ヽ
                                    ゝ-ミ \` =   ゝ- 彡リ      イヽ
                                       \ >― ァ チニ彡  ,  < ル
                                      , --く{二 ス ヽ 斗ヘ、_ 彡
                                     /  / /、,ヽ\}} / /   \
                                   /   . く_/ l! VV/ /       \
                                  /     //  / /〉,  !           ヽ

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ー)(ー)
. |     (__人__)    (まぁ、仕方ないだろ………)
  |     ` ⌒´ノ
.  |       nl^l^l
.  ヽ      |   ノ
   ヽ    ヽ く
   /     ヽ \



ちょうど真向かいに座る雛苺からの冷たい視線に気づいていない訳がなかった。
何しろ食堂に入った時からずっと睨み付けるような、蔑むような視線を遠慮なしに叩き付けられているのである。

戦いを知らない人達にとっては冒険者なんて、落ちこぼれとか社会不適合者とかはみ出し者でしかない。
実際その通りかも知れないと彼自身も思うところがあるのだから、
貴族の娘からすればこんな反応は当然なのかも知れなかった。


179 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 20:59:07 ID:3MQ1iP0I
一120.

                                    ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
                                  /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                                 ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                                    /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
        「それで、父さん。               ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
         やらない夫も騎士になろうかと       |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
         考えてるんだってさ。            イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
                                 /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
         良かったらしばらく家に居て貰おう     !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
         と思うんだけど、どうかな?」       .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
                                 .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
                                  レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
                                        i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                                         、             r彡;〃´
                                         ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                                          \          ´ ,L. -‐ 、_
                                            ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                             ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                           _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                                         rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"



    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L      「ふむ、構わないよ」
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \


180 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:00:10 ID:3MQ1iP0I
一121.
ジュンの申し出にエンジュが快諾したので、やらない夫はありがとうございます、と頭を下げたのだが、
そこをまたノリが混ぜっ返す。



                , -== 、ヽ
                 /     ', }
              ,、_        j/
         , -―∧ ̄ヽ,へ-‐ッ┐ /'
     ___∠ ィ  ,、. /ヘ  ヽ、/ヽ==. 、
.   _//     .へ∨/.へ  i \ \  ヽ .
   jソ   /   {‐┴┴―} .    ヽ  、i   「まぁ!
.  /  ,  . {:. .::. |     i. .:::. : ..  丶  i   初めて来た友達がお泊まりもするなんて!
.  /.: j: .i .i:::.::i、:.{  ,     }:::;ィ:.::: }:   i 丿
  {.:: .::i::.:::i. ハ::::!_'、','´   、/:/ }:::i:::::.  . li     ジュン君ったらどうしちゃったのかな」
  i::i:.::::、::::、{-ヽ{__ ``   /'´`ソ:/}::::: イ/i
 .ヘ:ト、:::ト、:iイニ下 ヽ   /不;ノイノィ:イ/ /
  ヽ{ >iヘ`  ̄`゙  rノ⌒{ッ'ー-'ゝイ }く
 / //--ゝ.. ```-'′ , \ ```/'ノ:::i}
 、 ,、{::::::::::\  {`ー-ッ    ̄'゙´、::ノ{
 ノノ .:\::::::::::}丶、``rh、.. <:::::::::...⌒ヽッ'
 7 ...::::::::;-‐''´ }  ソ | | V  \::}:::::::. }、}
 },. -―┼--ッ'7 { i|| }\i{-'::__r―'-、
 ′    '、 /:::{_ } '    !〉::「 ̄ /O   ヽ
   r , O ゙ヽ、:| ノ    ハ::>'´   O  ',
  r ,゙´..     ̄} __,,,.ィ /´     .i: O  {



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./\: : : : : ト、: : : : ト、: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/、.  \ : : |.-\: : |ー∨、: : : : : |
: : : : :./ 1/     .i   l\:|   \|   |: : |\;!
: : ,、: :{           |-‐‐-|         .|:ヽi
: :{ ヽ'           !   |         ハ:_}     「もう勘弁してください、お姉様」
ハヽ ヽ_____,ノ   ヽ_______ノ }
ハ: :`-',  ! | |  ! !      ' ! |' | | 川/ ノ
  〉: :.:∧   〃'ー──-----、    ,イ"´
   ̄  \  ヽ______丿  /
        >、         ,イ´
 ,────、__` ,‐──┬'"´ __
/        |   !     | ̄l ̄    `ヽ
.         |  ー──'  リ      }



その時だった。
見た目は和やかな雰囲気の食堂に似合わない音が響いた。


181 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:01:07 ID:3MQ1iP0I
一122.



  ┏┓┏┳┓                      ┏┓
┏┛┗┻╋┛ ┏┓  ┏┓           ┃┃
┗┓┏┓┃   ┗┛  ┃┃           ┃┃
  ┃┃┃┃   ┏━━┛┃ ┏┳┳┓  ┗┛
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                    ┗━┛  ┗┛




         ___,.. --───-、      ,.-───‐--- 、..._
          ヽ          \(こ)/          :./
           ヽ         \_  _/         :/
           |     _,. -─ ァ'  ̄ヽー--  ..._     |!
          /|_,. -‐ '´    /-──- \    `  、|\
        /  ヽ.     /         \    /\ヽ    「ご飯、もういらないの」
         \   \ ,.イ  /         ヾ、.、イ´  __ヽ
          / __,rッ'´   /            i ゙ヾ   |
         厶r'゙      7'´     |、      ゙i  `'7 |\
       /        /       :ll      ゙i   ゙i `|:  \
      /        ,'       .:l       ',;        \
    /     .   :l..:,:      . :..|.: .      :,:..l:.       `\
   /__ ___         |'       :.:.:|.:.:.:      '!、|:.: =‐-     _ _ヾ
    {-─ ‐- =- 、.__,.ト/         :.:..:|.:.:.:         \       /  ヽ
   \_,.=ニー- 、.._く `_ ........ _   :.:.:|.:.:.:   _ ........ _ニ二二ニ  ノノ
      r─二ニー-干ー__ ....... _ ̄:.`:..:|:.:.:`.: ̄_ ......_-ー-ニ二ニ=: :/
     ヽ=ヘ三ニ-\>=r¬'"´ ̄``:._、ト.:_.:`´ ̄`゛'¬r=ニZ_彡:: ⊇/
         ` ー-ュ-ィ `ヽ=三≧_Tニ,`,ニT_≦三=,r'´ ィ    `ヽイソ
          /     :.:.`¬'"    ‐<゛'¬`.:.:  >‐ー '" `
          ヽ.        ソュ_ァs   r._ュコィ  -=´ ̄ \
         ,.ィ⌒ヽr        ヾ'´`"         /_,ノノ



椅子をはね飛ばす勢いで立ったのは雛苺だった。
不満そうに頬をふくらませ、誰とも視線を合わせずに食堂から走り出して行ってしまう。


182 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:02:07 ID:3MQ1iP0I
一123.
                                               _ __ _ _
                                           ,.'"´       、`ヽ、
                                          /   i    リ ヽ 、  \
                                         /    .:レ′   j  i !.:.   i
                 「やらない夫、すまない。          l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |
                 あれは人見知りが激しい上に      ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
                 反抗期らしくてね。            彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
                                        |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
                 あとで私から言い聞かせておく」    ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
                                          ヾ::、    ,        !/::/
                                           仆    :j 、      イ:/
                                              `、   _ _     /i,ハ
                                             ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
                                              `ト、 ___ /   !;;:/、
                                               /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)      「良いのです、エンジュ様。
.   |     (__人__)       本来俺のような者が居ること自体
    |     ` ⌒´ノ       場違いなのですから」
   .l^l^ln      }
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ


183 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:03:07 ID:3MQ1iP0I
一124.

              >'´ /   ∧    |    i| ヽ.      \
            /   /     /::::ヽ _,斗:.:.:.: :   |   !  :...   \
             〉       ::ー‐^´¨ |:.: : !:.:.. ト、  |   :.:.:... : :..`ー-、  「それは違うよ。
               |   |  il  ::|       ! ::∧:. :.  ,=‐i   :.:.:.:.:...:.:.:..:.:./   君は僕の友達だし、父さんの客人でもある。
              / .:.:.:.:|  i|   ::|       | / ,ィ|,.イ´__ ∧  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/    胸を張ってくつろいでくれて構わないんだ」
          / :::/イl|  l|  ::|=、>ー=、 i′|:rレ弍¨ヽ ト :.:.:.:.:.:.:.:.:./
         ./::/  /   |  |´戈¨T |ト==、|| 弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
         レ'゜   / /  iヾヽ! 辷_ソ」|   ヽ=====' マヽ.:.:r-‐'´
  rr‐、           レ' レ'〉 ! ヾニ=== ′〈           'ノ::;;;>
  ト' |                  ̄ヾヌ、      `       ,/‐'´
  |  |                 ̄ヽ       ー‐      /
 ..ノ  l'⌒!                \           _, ィ´
 ´ ノ^ヽ '、                  `¨ニt-  -‐' ト-┐
   /`ヽ.ヽ、          _   /´iイ      |/ ヽ―-- 、__
    ‐'´`ヽ. i、          /i  ゞ7″ | ′    /    |     `ヽ、
 \   イ-'  ヽ       /  i  / ,ヘ |____,_/ |―、  |    /  ヽ.
   ヽ.  ″    l     /-‐'´ | ./// ヽト-―/ニ,ノ  \|     /   \'、
    \      l. ,.-‐'     : レ' ′  く !  //          /       ヾ、


           / ̄ ̄\
         /       \
         |    ⌒   ⌒
        . |     (__人__)   「ありがとうだろ、ジュン」
          |     ` ⌒´ノ
        .  |         }
        .  ヽ        }
           ヽ     ノ        \
           /    く  \        \
           |     \   \         \
            |    |ヽ、二⌒)、          \


ジュンはもう彼を恩人とは呼ばず、代わりに友達と言った。
それが、本当に嬉しかったやらない夫はにっこり微笑むと、ここに居ることに遠慮するのは辞めようと思った。



184 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:04:07 ID:3MQ1iP0I
一125.
それから、時折ノリが暴走する以外は基本的には和やかな食事が続いた。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ モグモグ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   /    く
   |  \_ \_/ /
    |\__ ̄ヽ_⌒ヽ--====-
   |    `l_l_l_l----∈
   |   / /



家族の食卓とは言え正式な作法が求められる席である。
あまりの自然さに気づくのが遅れたが、やらない夫が隣のジュンと見比べても遜色ない作法で
メインディッシュを食べているので、エンジュはほう、と呟く。

185 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:05:08 ID:3MQ1iP0I
一126.


                                  / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
                                 / // /       !   |    |       \丶   \  |
                                ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L
                                 |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、
                                 ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
                                     l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
                                      l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
        「ジュンも競い合う相手が居れば            \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
         もう少し腕も上がるだろう。               ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
         明日は私も休みだから                     /                 /        V了\   り
         やらない夫と試合をしてみるかな」              └-- 、     ,        l       ∨   〉
                                               `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                                                ヽ     , く     l   /   / ヽ
                                                 `一'´/ ∧   / /    /   \
                                                   , ィ  //!   ' /      /       \



  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄  「父さん、やらない夫は強いよ。
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l     一呼吸の間に三人を無力化するだなんて、
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|     父さんでもなかなか出来ないよね」
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:



もちろん相手にもよるけどさ、と付け加えた息子が実は、やらない夫の方が強いんじゃないかと思っている。
それはまさしく、自分しか知らないジュンが成長するために必要な事とエンジュが狙った事だった。


186 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:06:07 ID:3MQ1iP0I
一127.

                                               _ __ _ _
                                           ,.'"´       、`ヽ、
                                          /   i    リ ヽ 、  \
                                         /    .:レ′   j  i !.:.   i
                                          l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |
                                         ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
                 「知っている、少し見ていた。      彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
                 訓練された剣と言うより、        |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
                 実戦で培ったものに思えたが」     ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
                                          ヾ::、    ,        !/::/
                                           仆    :j 、      イ:/
                                              `、   _ _     /i,ハ
                                             ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
                                              `ト、 ___ /   !;;:/、
                                               /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、   「正式な訓練を受けたことがないんだってさ」
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`



187 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:07:07 ID:3MQ1iP0I
一128.

    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、   「本当か?
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l    少なくともそんなレベルには見えなかったぞ」
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \   「いえ、親父から受けた訓練しか基礎がありません。
   |    ( ●)(●   あとは剣を合わせた相手や、見たことを覚えたぐらいで。
   |      (__人__)
.   |        ノ   恥ずかしながら、剣術と体術を合わせた喧嘩殺法ですよ」
    |      ∩ ノ ⊃
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /



見て覚える。
受けて体得する。
一言で言うには容易く、実行するには並の剣豪ですら難しい事を彼は事も無げに言った。


188 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:08:07 ID:3MQ1iP0I
一129.

                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、   「父上の名は?」
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\


       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \    「ラオウ。
     |    ( ー)(ー)   ラオウ=D=ビップと言いました」
    . |     (__人__)
      |     ` ⌒´ノ
    .  |       nl^l^l
    .  ヽ      |   ノ
       ヽ    ヽ く
       /     ヽ \



 
 
189 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:08:46 ID:YSMIB17h
ラオウかよww

190 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:09:08 ID:3MQ1iP0I
一130.

                                          _ __ _ _
                                      ,.'"´       、`ヽ、
                                     /   i    リ ヽ 、  \
                                    /    .:レ′   j  i !.:.   i
                                     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |
                                    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
                     (ラオウ。         彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
                      ………ラオウ、か) .:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
                                   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
                                     ヾ::、    ,        !/::/
                                      仆    :j 、      イ:/
                                         `、   _ _     /i,ハ
                                        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
                                         `ト、 ___ /   !;;:/、
                                          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L



目を閉じて何度も繰り返す。
確実に記憶のどこかに引っかかるものがあるのだが、今はそれが何かを思い出せない。



          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |    「旅をしていれば疲れもたまるだろう。
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、   今日はゆっくりと骨を休めてくれ」
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L
                                          / ̄ ̄\
                                         / ヽ、_   \
                                       . ( (● )    |
                                       . (人__)      |
                                         |⌒´       |
                     「お心遣い、感謝します」   .  |        |
                                       .  ヽ      /
                                          ヽ     /
                                          .>    <
                                          |     |
                                           |     |



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━━━━━━━━━━━……


191 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:10:09 ID:3MQ1iP0I
一131.
━━━━━━━━━━━……
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<やらない夫、入るぞ?


   / ̄ ̄\
 / ノ  ヽ /\'ー、       ,, ..,、
 |  ( ●)( /  .\` 、   . // /
. |  (__人/     \ヽ、,.// ../  「総歴一九九二年、人間の月十日。
  |    ` /       ``77   /   カーディナル入りしたその日に
.  ヽ   /          / /   /    ジュンという友達が出来た、と………」
   ヽ.. /      fヽ、/ / , -,./
   /./     r-、 ヽ ∨,ノ /
   |. \   〈\.\,〉 `,  f
    | . \  (ヽ ヽ `..   |
    |    .\ \      ノ



食事が終わった後。
満腹のやらない夫が今日一日あった事を軽く手帳に書き留めていると、ジュンがやってきて風呂に入らないかと言った。

192 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:11:08 ID:3MQ1iP0I
一132.

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)  「風呂?俺は最後で良いよ」
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   .>    <
   |     |
    |     |

                                             ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
                                           /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                                          ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                                             /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
                                           ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
                                           |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
                                          イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
              「いや、もう残ってるのは僕らだけなんだ。   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
               広いから平気だし、早くしないと         !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
               執事達が利用する時間になっちゃう」     .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
                                          .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
                                           レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
                                                 i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                                                  、             r彡;〃´
                                                  ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                                                   \          ´ ,L. -‐ 、_
                                                     ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                                      ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                                    _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                                                  rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"


         / ̄ ̄\
       /   _ノ  \
       |    ( ⌒)(⌒)  「それじゃあ、男同士
          |     (__人__)   裸の付き合いといきますか」
        |      ` ⌒´ノ
          ,|         }
       / ヽ       }
     く  く ヽ     ノ
       \ `'     く
        ヽ、      |
            |       |



それで数少ない着替えを持った彼は、こっちだ、と案内するジュンに続いて館の中を歩く。


 
 
194 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:12:43 ID:YSMIB17h
仲いいなぁ。
ジュンもそれほど人懐っこそうには見えないけど、馬が合うってやつなのかな。

193 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:12:07 ID:3MQ1iP0I
一133.

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)   「風呂があるのは羨ましいだろ」
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   .>    <
   |     |
    |     |



脱衣所で脱ぎながら、呟きが漏れるのも当然だった。
一般的に冒険者が使うような宿にはまだあまり風呂ついておらず、殆どは共同浴場を使ったり
適当に水浴びなどで間に合わせるのである。


195 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:13:07 ID:3MQ1iP0I
一134.
殆ど男湯のみの話なのだが、危険な病気を持っている者も平気な顔して湯船に浸かるので、
痒くなる病気をうつされてしまう被害者も少なくない。
開場直後でなければ湯船は泥水であるし、脱衣所に残した貴重品や装備を狙おうとする不届きな輩も数多い。



:.:.. .:. ...:..::::::...::..:: .:: : .. .. .  ..               ,,、、,,,,;;;´"
...::..:::..:::.. . ..::...::.: .: . ...                  ,;;'":::.:.....::.::...
,.,, :.. . ..::...::.: .: . ...                 ,,.r'":::.:.....::.::....::...
;;;,;ヽ、                   ,,、、-'';":`::::::.:.....::.::...:...,..::...
;;;;,';;;;ヽ;,               ,..-''"::::::.:.:.:..:....::..::...:...,..:..:....::...::...
======================,;;r''"::::::.:.:.:..:....::..::...:...,.:...:...,..:..:....::...::...
;;;ii ;;;;;ii,;;;;;,ii.;;;;;ii.;;;;;.ii .;;;;;,ii.;;;;;( ::::::.:.:.:..:....::..::...:...,:...:...,.,,..:..:....::...:..:....::..
''_'''''_'''_'',.'''_''''_''_'''''_'',.'''_''''_''_''''',;;;"''ー-l、,,'""'゙,゙'""'"、.wiルv,iルwviw.:
__- =_≡ _- _-_=_ = - _-_ -_ =≡_-;`--_ _、., _,__  ̄`¬.,v:.:
^ _ _ -_ ^ _ _=_ -_^__ =_ - _ -      ≡         Y,.,lji,; 丱
=__-_ ヘッキシ!  _-_ -_ =_ -_ ^__-_=  -ー"`゙           i ,.,...ユiW
_ -_  0 -_^__ =_ -_ ^__   _,,、。"`゙ :::   :::         ∥,,::iリv,i
_ = _ -_ _ _ = __ __,,、。-ー''"`゙:::                  」:.::.vノiVi
  _,,.,..、。v-ー''"゙~ :: ' ::: : ::: :::    ::  :::: :: :::      「;;,,;;:yハiW
`"゙  :::: :: :::' ,:: ::::  : ::: :                  /,:.;,:.;,:.ナwy



幸いにしてやらない夫はこれまでの冒険で稼いでいたので風呂がある宿屋を狙ってばかりいるが、
町を離れている野宿の間は川で水浴びをする他なかった。
十番目の月の水はもう冷たく、危うく風邪を引きそうな風呂事情が続いていたのである。

196 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:14:07 ID:3MQ1iP0I
一135.

         /|, -──---,
      〈  . :.::::.:.:.:.``く
     , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
   ∠.:/.::ハハ|:::::::::1::::.:.:.:. \  「君はあまり
    ム:从r'''''|/N:::|.;;;!;;;;;;;「 ̄   風呂に入れないみたいだね」
     l/N ̄|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
      `| ̄ノ└‐┘``ウ'゙
        \ ー' ,..ィ二[
         ̄r'"´,. -‐L_
        ∠二     1i
        |    `ヽ|  | ',
        |     .:j.  | ト、
        /     〈  | | |                                         / ̄ ̄\
                                                        / _ノ  ヽ、.\
                                                          |  (●)(●) .|
                    「東方には温泉が多くて楽だったんだけどな。         !  (__人__)  |
                     普通風呂には、町にいる時にしか                 , っ  `⌒´   |
                     入れないだろ」                         / ミ)      /
                                                      ./ ノゝ     /
                                                      i レ'´      ヽ
                                                      | |/|     | |


197 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:15:08 ID:3MQ1iP0I
一136.

     |┃三   / ̄ ̄\
     |┃三 /  \,_.  \
     |┃  (●)(● )    |   「おっ、ずいぶん広いんだな」
     |┃  (__人__)      |
 ガラッ .|┃  ヽ`⌒ ´     |
     |┃   {         |
     |┃三  {        /
     |┃    ヽ     /
     |┃  .   ン    ヽ
     |┃三   /     |
     |┃(⌒二_/|   . |



脱衣所から中に入ってみれば、なるほど二人でも余裕がある風呂が目に飛び込んできた。
これほど大がかりな風呂に水を張り、湯を沸かすとなると執事や下働きの苦労が忍ばれるが、
それも給金の内に入っているのだろうから遠慮をする必要はないのだろう。



         | |   | |          ||          ||          | |         | :| |
         | |   | |          |[]'       |[]'       | |     - 〈ニ| |
         | |   | |          ||          ||          | |     / | :| |
         | |   | |          ||          ||          | |      / .`ー| |
         | |;:;:;:;|_|_____||_____||_____|_|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| |
         | |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| |
         |._.|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|._.|
        / ∧∧_______________________   /|
     ⊂^⌒つ゚Д゚)つ'~''~~~( )~~'~'~~~'''~~'~~~~~/ /
     / // 、ili,l.。 ) )  ~~ ( )   ~~  ( )     ~~  / /
   / //     ~~( )     ~~     ( ) ~~~   / /
  / //          ( )   ~     ( )    ~~   / /u
/ //   ~~~~     ~~     ~( )~~  ~~  / /
_//          ~~                     / /ij
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
[]| ̄|'lj | ̄| ̄| u'| ̄| ̄| ̄| ̄|!j' | ̄| ̄| ̄| ̄|U''| ̄| ̄| ̄| ̄|[]||
[]|  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |[]||




198 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:16:08 ID:3MQ1iP0I
一137.

  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|    「サクラダ家自慢の風呂さ。
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l       ほら、これ使えよ」
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:


      __     ━┓
    / ~\   ┏┛
  / ノ  (●)\ ・
. | (./)   ⌒)\
. |   (__ノ ̄   \   「なんだこれ?」
  \          |
    \       /
.      \  ⊂ヽ∩
      /´    (,_ \.
       /       \. \
      ./   /       |. \ソ
    (  y'      .|



放り投げられたのは、不格好な乳白色の固まりだった。
触ってみるとなにやらぬるぬるしているが、今まで風呂場で見たことがない。

199 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:17:07 ID:3MQ1iP0I
一138.


                                               /|, -──---,
                                              〈  . :.::::.:.:.:.``く
             「セッケンさ。                        , ..-' .:.:.:::::::::::::::::.:.:.:. ヽ
              古代魔法文明の技術を宮廷魔術師長の     ∠.:/.::ハハ|:::::::::1::::.:.:.:. \
              ロイ様が復活させて作ったんだよ。         ム:从r'''''|/N:::|.;;;!;;;;;;;「 ̄
                                             l/N ̄|__r─|/ヾ|;;;;lヾ|
               それで身体を洗うんだ」                `| ̄ノ└‐┘``ウ'゙
                                               \ ー' ,..ィ二[



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)   「ああ、これがセッケンなのか、
. |      (__人__)    面白いな」
  |      |r┬|}
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く    ワシャワシャ
   |     \   。o○
    |    |ヽ、二⌒)。○
          。○○



噂は耳にしていたが、実物を見るのは初めてのやらない夫がお湯をつけて固まりをこすると、
見る見る内に泡立ってくる。
その泡を使って身体を洗うと、なるほど普段手ぬぐいで擦るよりもさっぱりした気がした。

200 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:18:08 ID:3MQ1iP0I
一139.

         | |   | |          ||          ||          | |         | :| |
         | |   | |          |[]'       |[]'       | |     - 〈ニ| |
         | |   | |          ||          ||          | |     / | :| |
         | |   | |          ||          ||          | |      / .`ー| |
         | |;:;:;:;|_|_____||_____|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ;:;:;:;:;:;:;:;:;:| |
         | |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| ふう、極楽だろ | :;:;:;:;:;:;:;:;:;:| |
         |._.|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ_  _____/ ;:;:;:;:;:;:;:;:;:|._.|
        / ∧∧_____________ ∨         ___   /|
     ⊂^⌒つ゚Д゚)つ'~''~~~( )~~'~'~ ~ ~'''~~'~~~~~/ /
     / // 、ili,l.。 ) ) 、/ル'二≧、  ~~    ..ノ 、 、   ~~  / /
   / //     ~ イ 、 ィ  、:._ ~.~    ≡ ≡) l~~   / /
  / //        .イ _ハ「¨lイヤ::. ゝ    ( ) (人__) |~   / /u
/ //   ~~~~  ヽイ{_H__}ソ     ~( ) ヽ    ノ~  / /
_//          ~~ y  - /´               / /ij
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
[]| ̄|'lj | ̄| ̄| u'| ̄| ̄| ̄| ̄|!j' | ̄| ̄| ̄| ̄|U''| ̄| ̄| ̄| ̄|[]||
[]|  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |  |[]||


泡を流して湯に浸かる二人。
と、目を閉じたやらない夫が分からない言葉を呟いたので、顔をばしゃばしゃと洗った
ジュンは首を傾げる。


 、/ル'二≧、
イ 、 ィ  、:._  「ゴクラク?
イ _ハ「¨lイヤ::. ゝ なんだいそれ」
 ヽイ{_H__}ソ
  y  - /´

          「東方だと風呂に入った時にこう言うんだ。      .ノ 、 、
          極楽ってのは、東方で言うエデンの事らしい。  ≡ ≡) l
                                       (人__) |
          うつっちゃってなぁ、癖になっちゃっただろ」    ヽ    ノ



※エデン(安息の楽園)=死後、裁きの大河を渡った善人の魂が向かうと言われているところ

201 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:19:07 ID:3MQ1iP0I
一140.

 、/ル'二≧、
イ 、 ィ  、:._  「東方………
イ _ハ「¨lイヤ::. ゝ ああ、昼間話してくれたミツカミ国か。
 ヽイ{_H__}ソ
  y  - /´   そう言えば何ヶ月か前に、
           鎖国したって聞いたような?」



                                         .ノ 、 、
                      「あぁ、色々あってな。      ≡ ≡) l
                       しばらく他国との国交は   (人__) |
                       しないんだそうだ」      ヽ    ノ



 、/ル'二≧、
イ 、 ィ  、:._  (まるで関係者みたいな
イ _ハ「¨lイヤ::. ゝ  言い方をするんだな?)
 ヽイ{_H__}ソ
  y  - /´


ちょうどその頃東方を旅していたと言うからには、事情を知っているのだろうと
ジュンは自分を納得させた。


202 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:20:07 ID:3MQ1iP0I
一141.

: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、  「それにしても、凄い筋肉だな」
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`



鎧の上からでは分からなかったが、しなやかで強力な力を生み出すやらない夫の体格に、
自分の細い腕を見比べたジュンは情けなさそうに俯く。

203 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:21:09 ID:3MQ1iP0I
一142.

        / ̄ ̄\
      /   _ノ  \
      |   ( ●)(●)   「剣を振り回してれば自然にこうなるぞ。
.      |    (__人__)    ジュンも明日からだろ」
       |     ` ⌒´ノ
.       |         }
.       ヽ        }
        ヽ     ノ
        /  ヾ ソU
     __/    ヾ !   \__
 /''" ̄"'     \  ∠    ̄ヽ
. | /  ゞ       ヾ/    ヾ丿
 ヾ   ソヽ      ソ     | |
. / へ/ ヾ_        |    ソ |
~~~~~~~~~~~~~~~~


  / /.:/.:   i.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:/ l.:.:.:.:.:.:``´.:.:.:.:.:.: |.:.:.、.:.:.:.\
    l.:.:./ .:.: .|.:.:.:l..:/l.:.:/ |.:/l.:.:.l.:l.:.ト、.:.:.:.:. |.:.:.:.\  ̄
  ./.:./ :. :.: :|.:.:.:l/ .l.:/  |/ l.:.:N.::.|__\.:.::|.:.:.:.:.:.:l   「そうだね、
  /.:./ .: .:.:.: :|.:.:.:仁l/二ニ  l.:仁l:/=== ヽ:!.:.:.|\|   明日からたっぷり訓練しよう!
  l:/.l.:.:.:.:.:.:. .ト、.:.l テ示ミヽ1 Ll/ l 「 戍テミ lトV
   l.:.:/l .: ハ:lN{ 辷ソ ノ ! 「 ̄l |弋辷ソ l1 l      本物の剣も買った事だし」
   l:/ l.:/   lL_ __ノ  ,  ヽ _二 ノ.:.:.
       l/ 、__',               / .:.:.
           ヽ     r‐‐ッ   /.
             入        ,..イ.:.
         . '´ i.:.\> -- </
       /     |.:./\    ノ.:


204 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:22:08 ID:3MQ1iP0I
一143.
                                        / ̄ ̄\
                                      /  ヽ、_  \
                                     (●)(● )   |
                                     (__人__)     |
                  「どこで訓練するんだ?     (          |
                   ここの庭か?」     .    {          |
                                     ⊂ ヽ∩     く
                                      | '、_ \ /  )
                                      |  |_\  “ ./
                                      ヽ、 __\_/



      ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
    /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
   ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧    「いつもはそうだけれど。
      /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧    明日は父さんが一緒だから、
    ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧   城にある騎士団用の鍛錬の間へ
    |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧   連れて行ってくれると思う。
   イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ   位の高い騎士が同行していれば
    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |     僕らでも入る事ができるんだ」
   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
   .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
    レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
          i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
           、             r彡;〃´
           ヽ   ヾニフ       ノレ'´
            \          ´ ,L. -‐ 、_
              ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
               ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
             _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
           rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"




                                         / ̄ ̄\
                                       /  ヽ、_  \
                                      (●)(● )   |
    「と言うことは、王城警備の騎士団も居るのか。      (__人__)     |
           良い勉強になりそうだろ」            (          |
                                  .    {          |
                                      ⊂ ヽ∩     く
                                       | '、_ \ /  )
                                       |  |_\  “ ./
                                       ヽ、 __\_/




205 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:23:08 ID:3MQ1iP0I
一144.
そんな事を話しながらゆっくり暖まった二人がさっぱりして風呂を出ると、ちょうど廊下の向こうを雛苺が歩いていた。
どうやら空腹を我慢できずに食堂に行った帰りらしく、満足そうに腹をさすっている。



      ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
    /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
   ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
      /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
    ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧   「ヒナ、こっちに来て
    |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧   やらない夫に挨拶したらどうだい?」
   イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
   .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
    レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
          i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
           、             r彡;〃´
           ヽ   ヾニフ       ノレ'´
            \          ´ ,L. -‐ 、_
              ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
               ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
             _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
           rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"



機嫌が良さそうなので今度は大丈夫かな、とジュンが声をかけると、
一瞬笑顔でこちらを振り返った彼女はしかし、隣にやらない夫が居る事を知って表情を一変させた。



      :                      /  /   /     / /  ヽ
      i            /    /  / _/     ///     〉
      !           /    〃 _,斗'´ ,x七こ二ニ7      /
      ',          /     // '´  //⌒イ´ /      /
  {    '、        /   , '//   //{::::::: 。|         /   __
ヽ {     ヾ        { レ'´//  //   |::::r‐ュ}        _/一' ̄´_ニ=‐
 〉、ヽ、  ``''弌、,_     !  / k ∠/    し'__ノ       く  ‐=二_ ‐=ニ
/  \l\ヘ____二ュ、 `Y                         }   _,二ニ=
/   )} 「`''ー┬--、 `ゞ、',        ///〃'       レ'´ ̄/
    / }       {;;rっ}           / ′           r≦⌒ー=<二
r=千、,/   ////′                          〉  ̄`二ニ=‐
--─一!   /〃'                              └-=´、_
こ二イ_{                     __              _,ノ  `>
_ ,.イ´ I           / 。      /    ̄ ̄ ̄ ̄`'''ー、_   `"ー=≪
\___∧        r-、_{      /. : : : : : : : : : : : : : : : : . ` ̄ ̄\   〉
 /  <ヘ.       \ ヽ    /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .    \
/   / /\       |  /\__/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
\  / ∠.,__>、_     ゝ'   /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
  `^       /7`ー=ュ,,__/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
         ´ ̄______/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
         /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .

206 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:24:07 ID:3MQ1iP0I
一145.
<ダダダッ

: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、    「あ、こらっ!」
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`



雛苺がそのまま逃げていってしまったので、予想外の行動に思わず兄は声を出し、
あそこまであからさまだとやらない夫も苦笑いをするしかない。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \     「どうやら妹さんには
 |    ( ⌒)(⌒)     嫌われてるみたいだろ」
. |  u  (__人__)
  |      |r┬|}
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、


207 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:25:08 ID:3MQ1iP0I
一146.
                                                    __   -─- _
                                             -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_>
                                                /:::::::::::::___:::::::::::::::::`7
                                           /::::::::::::::::f┴‐ヘ::::::::::::::厶
                                           ∠ イ::::::::i:::::::|_,.∠、ヘ:::-、:::::/
               「すまない、わがままな奴なんだ」            |:::::::::|l:::ト〈    } Ⅵ }::/
                                              lハ::::|「`Y、 ¨´  `y'´ ̄ ̄`i
                                                 ヽ个‐' _ .ィ  // //   ヽ
                                                  V ノ> 、__.. </  '     {



父さんも基本ヒナには甘いしと眉を動かすジュンに、確か雛苺は十四歳と聞いていたやらない夫は
腕を組んで知ったような事を言ってみる。



      / ̄ ̄\
    /   _ノ  \   「女の子のことはよく分からないけど、
    |    ( ●)(●   きっと難しい年頃なんだろ」
    |      (__人__)
 .   |        ノ
     |      ∩ ノ ⊃
   /     ./ _ノ
   (.  \ / ./_ノ │
   \  “ /___|  |
 .    \/ ___ /


                                             /l
                                          Λ/ 〈 へ、
                                        ヘ|        ,>
                                      ∠  /   〉ヽ   ̄\
                                      / ノ〈 |^^| /\ト、  ト、l
                                      |/| .ハ|__ |/___ ヽ  ヽ
                「単なる反抗期だと思うけどなぁ」    l/  |‐|   |―ヽ_|
                                         |  ̄ c  ̄   6 l
                                     .   ヽ (____  ,-′
                                          ヽ ___ /ヽ
                                          / \∨/ l ^ヽ
                                          | |      |  |


ジュンも、自分にそう言う時期があった事は否めない。
思い出すだけで恥ずかしくなる暗黒のような過去を慌てて思考から打ち消すと、
彼にはそんな時期がなかったのだろうか、とふと疑問に思って問うてみた。

208 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:26:07 ID:3MQ1iP0I
一147.
                 __   -─- _
          -=ニ二::::::::::::::::::::::::::::_>
             /:::::::::::::___:::::::::::::::::`7
        /::::::::::::::::f┴‐ヘ::::::::::::::厶   「やらない夫は、反抗期とか………
        ∠ イ::::::::i:::::::|_,.∠、ヘ:::-、:::::/    どうしてた?」
            |:::::::::|l:::ト〈    } Ⅵ }::/
           lハ::::|「`Y、 ¨´  `y'´ ̄ ̄`i
              ヽ个‐' _ .ィ  // //   ヽ
               V ノ> 、__.. </  '     { r
                    / /      ∨l::|
                  |         }l::|
.                    l         |l::|
                      ′           |l::|
                  〈     /    |l::|
                      /      /     |l::|


                                     / ̄ ̄\
                                   /     _ノ\
                                   |       (●)
                「反抗期?           .  |       (___ノ)
                 そんなもんなかっただろ」    |        ´ノ
                                 .   |         }
                                 .   ヽ        }
                                     ヽ     ノ



えっ、と意外そうなジュンに、少しだけ目を見開いたやらない夫はやや早口で続ける。

209 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:27:07 ID:3MQ1iP0I
一148.


        / ̄ ̄\
      / ⌒  ⌒\   「物心ついた時から親父と旅をしていて反抗する気なんかこれっぽっちも
      |::::::(○)(○) |   生まれないほど厳しくしごかれてただろ。大体小枝で岩を斬れとか平気で
     . |:::::::::::(__人__)|   言う親父だぞ?割るならともかく斬れとかどんだけ無茶ぶりだろ。戦闘訓
       |::::::::::::::` ⌒´ |   練中も容赦ないし小さいころは数日意識が戻らなかったり二月ほど
     .  |::::::::::::::    }    一人で生活させられたり三百三十三冊の書物と一緒に真っ暗な倉庫に
     .  ヽ::::::::::::::    }    押し込まれて読み終わるまで外に出して貰えなかったり繰気の訓練だって
        ヽ::::::::::  ノ     水の入った樽を十五センチの壁越しに粉砕させられたり………」
        /ヽ三\´
-―――――|:::::::::::::::: \-―



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./\: : : : : ト、: : : : ト、: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/、.  \ : : |.-\: : |ー∨、: : : : : |
: : : : :./ 1/     .i   l\:|   \|   |: : |\;!
: : ,、: :{           |-‐‐-|         .|:ヽi    「うわぁ………」
: :{ ヽ'           !   |         ハ:_}
ハヽ ヽ_____,ノ   ヽ_______ノ }
ハ: :`-',  ! | |  ! !      ' ! |' | | 川/ ノ
  〉: :.:∧   〃'ー──-----、    ,イ"´
   ̄  \  ヽ______丿  /
        >、         ,イ´
 ,────、__` ,‐──┬'"´ __
/        |   !     | ̄l ̄    `ヽ
.         |  ー──'  リ      }


<右手だけで生活させられたかと思えば左手だけでさらに生活させられたり
 指だけで崖登りなんか殆ど日課で突然魔法原語で書かれた本を読めと言われた次の日には
 字列変換された魔法書の解読をさせられたり政治経済の専門家に弟子入りさせられたかと思えば
 礼儀作法や舞踊をたたき込まれたり怪物図鑑を全部暗記させられたり………




聞いているだけで寿命が縮み、心に傷を負わされそうな修行と言うにはあまりにも恐ろしい内容に、
これはこれで別の暗黒のような歴史だ、とジュンは思ったのだが。




 
 
211 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:28:41 ID:YSMIB17h
むしろ、よくまともになれたなw

210 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:28:07 ID:3MQ1iP0I
一149.
肺の中の空気が無くなるまでしゃべり尽くして、大きく息を吸い込んだやらない夫は静かに言った。



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)     「………でも、俺のためを思って鍛えてくれていたのは
.   |     (__人__)      知っていたから全部頑張った。
    |     ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }       それで今まで冒険者として生き抜く事が出来てるんだから
.   ヽ   L     }       親父には感謝してるだろ」
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ



      |:.:.:.:.∧:.:|    |:.::∧:.:.:.:.:.| ≧:.:L-\:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:ヽ
      }:.:.:.:.ヾ:.:.:',   |:./ .V:.:.:.:|ニ-====\:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.∧
      >:.:.:.:.:.|ヾ:.V==/ニ  V:.:.:i{ ゞテ=ァ ||\:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.∧
     /:.::V:.:.:.:レ'´>=ニ示 ヽ、_V:.||  {辷zり  .|| レr -、V:.:.:.:.:.:∧    (ああ、そうか………)
 .   /:.:.:.:.:V∧:.r'´ /ひョリ || ̄ .ヾ∧___ //  / .}:|:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
   /:.:.:.:.:.:.:..:/ヾ::>  ゞ' ´ || {     ̄ ̄ ̄ ̄   入 ソ/:.:.:.:.__/
    ̄ ̄ ̄ |:.:.:∧ヽ_ -=''´ ヽ           / /:.:ヽ ̄
        レ'´ ヽ |        _        /-'´/ ̄
            ヽ       ̄_         / ̄゛゛
               \          _ ィ|
                `   、     イ   y入
                   ニi ´    /  ヽ
                  // }     /    |\
                 / / ノ    /     |   ̄ ' - 、
                /  V'´ ̄ ̄ ../        |      ` ' - 、
             .//   /::::::::::::::/_==-、_ |         /ヽ



自分が親や生まれを選べなかった様に、親も子供を選べないのだ。
子供が一人立ちする際に踏み出す最初の道を、出来るだけ順調に進めるようにと育てるのは当然のことで、
やらない夫はそして冒険者という一歩目を生き抜き、今、騎士となる選択肢を考え始めている。


212 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:29:09 ID:3MQ1iP0I
一150.
自分に、騎士で有り続けなければならない、とは誰も言っていなかった事に気づいた。
事実、サクラダ家の先祖には騎士を早々に引退して冒険者や商売を始めた者も居たし、
武から政へ鞍替えしてローゼン公国の独立に尽力した者も居た。

それらは決して騎士として落ちこぼれたから逃げたのではなく、
騎士を修めた者が二歩目を踏み出す際に、選んだ道だったのだと今更ながらに理解した。



          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|   (僕の一歩目は騎士になる事だ。
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|   だけど、その後は?)
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \



廊下でやらない夫と別れたジュンは、剣を買った高揚とはまた別の興奮が身を包み、
部屋に戻った後もしばらく寝床には入ろうとしなかった。


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━━━━━━━━━━━……


 
 
213 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:29:43 ID:3MQ1iP0I
本日の投下は以上です。
閲覧ありがとうございました。

次回で第一章は終わりになります
また書きためが出来たところで投下しますので
どうぞよろしくお願いします。

215 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:32:27 ID:6pjfAs0m
乙です!
いまさらですが「青いマント」と「バッソ」を身に着けた「やらない夫」は大変俺のツボですw。
次回の投下も楽しみにお待ちしています。


216 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:32:31 ID:YSMIB17h
乙にございました。

やらない夫はチートだけど、嫌味にならないな。
ジュンの家にたじろいだり、ちょいちょい庶民っぽいのがいい。
ジュンもお坊ちゃんな感じだけど、素直なやつだなーと好印象だ。


217 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:35:09 ID:+292q7qk
乙です
これはいいウザ雛


218 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:36:00 ID:J8FjTthC
乙でした
雛さん嫉妬してるんかね? かわいいな


220 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:39:22 ID:3MQ1iP0I
>>214-218
皆様閲覧ありがとうございます。

>>215
序章で装備していた青マントは、
実は現時点では装備しておりません。

>>216
やらない夫のチートはこれからも全開ですが
見捨てないでやってください。

>>217-218
ヒナについては今後スポットが当たりますのでご期待ください。



219 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/29 21:38:45 ID:wdCqlfX0
乙です
まさか今日も投下とは…今日は何とか最後の方は間に合ってよかったぜw


223 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/29 21:48:00 ID:3MQ1iP0I
>>219
閲覧ありがとうございます。

大本のシナリオは元からあって、
それをキャスティングしてコマ割りして
投下用の書きために起こしているため、
コマ割りまで済んでいる部分があればサクサク作れるんです


一章は全てコマ割が終わってるので、
次回も土日のどちらかには投下でき、、できるといいな。


234 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:00:11 ID:df0GwSCa
一150.
━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


翌朝。
久しぶりに熱い風呂に入れたせいか気持ちよく目覚めたやらない夫は、
いつもの訓練をしようと剣を持って庭に出ていた。
まだ夜が明けたばかりの周囲は深い朝靄に包まれている、町の側を大きな河が流れているせいだろうか。



         , -―- 、
      /     \
      /  \_   |
      (●) (●)   |   「さて始めるか」
      (_人__)    /
      l`⌒´    /
      |      ヽ
      __!、____/  \
    /、 ヽ     r 、 ヽ
    ハ ヽ Y`l     |  >  Y
   { ヽ_ゾノ     | レi i i}
   `¨´  ヽ    ハ  `'''
         >   / ヘ
        /  /ヽ  ヘ
        _,/  / ご_ノ  モキュモキュ....  ::...
      ( ヽ /                    ....  ::...
       \__ノ ::... ....     ::... ....  ::... ....
                ::... ....     ::... ....  ::... ....       ::... ....
::... ....  ::... ....  ::... ....     ::... ....  ::... ....  ::... ....       ::... ....     _,:"
  ::... ....  ::... ....    ::... ....     ::... .::... ....    ::... .. _       ,,-,'''゚~ 、
    ::... ....     ::... ....              _,,, ,, --'''..゛'''゙~~~'''゙~~~




235 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:01:11 ID:df0GwSCa
一151.
朝食の準備をするメイドや執事しか起き出していない館から少し離れ、準備運動を開始する。
見事に手入れをされている芝生に座って今日の訓練内容をあれこれと考え、




    / ̄ ̄\
  /   _ノ  \
  |    ( ●)(●)  「この間は良い勝負だったから一段階落としてみるかな?」
  |     (__人__)           ┌─────────────┐
  |         ノ.             │         ↓         │
  |     ∩ノ ⊃ }               │ 自分:訓練 試合 戦闘   ..│
  /ヽ   / _ノ }               │ 相手:訓練 試合 戦闘   ..│
 ( ヽ  /  / ノ                │     ↑             │
  ヽ “  /_|  |            └─────────────┘
   \__/__ /






やがて全身の筋を延ばし終えたところでちょうど今日の設定も考えついた。


236 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:02:11 ID:df0GwSCa
一152.
集中力を最大限に高めるために目を閉じて想像力を働かせると、暗闇の中に大男の姿が浮かび上がってくる。
声、細部の詳細、表情などを記憶から呼び覚ますと、やがてそれは亡き父の形となった。



                      ノヽ)) ヽ,,rーrヽ,, ,,ノi
                  ,ノ~'tiii"(t i}}|j     " "ツヽ|t
               iヽ/ツii|}}从、}iii)''ijリリ}  、      ノツリ、
               ii}}y"}!、iii、'';/r"t}}}(iij,yiiヽ-リヽii}j、,, "リ
              t,`、i、}ヽ''ii);;|iMtヽ''" `" ノ ""ノノノjjり ''フ     (ふむ。かかってくるがよい)
              、)" ミ;;,,t、ti;i、 t;;、、))リiノツノ/""''彡"彡 ョ
              i、`''i ;;;;:::ijj}、`';;;;;;'"":::;;;'" ,,,,   廴r''ツ r'
              't、 ;;;、 t;; ::;;;`;;;;;;;;;;|}:::'"::;;'"ii"  、迄 彡ノツ
              ヽ, ;) (|;;ヽ;;、;;;;;;;;;ノ':::i:::;'":::';;"  ::'≡ " ノ
               'i ,;i,,、;;、、,;; ;;;;、;;;i'i},,ir')ノ,,,,,,,,___ :::ミ≡:r'i
               t ;t;;iitーミゥテ;;、刈シ='r'-ミュォヲヲ  ')'''/'|:|
                '',、,i'"` ̄"::::了 j''"` ̄:::::"   ;;リ/)リ/i       ,,
.                t、i'::::  :::::::| ,'  j""     :::リ'、/イ'(,, 、、 -ー '",、 ~ヽ
                 ヽt::::::: :::::t,,ハ ,、)    ;;;;:::i-ー'"t))::::: ..;、-'",, "  ヽ
                  i;t :::::::::::~'- '":"    了 ,i;;;;:::  t:::;、-'" '"     /
              ,,, 、 - ーt;ヽ ::::::::;;、、、:::,,,   ;;'" /;;;;::: ,、'":::::彡
          ,,、- ''":::::::::::::::::::t:;ヽ :::::":::::::::::::`'  / , ';;;;;;;r''":::::::...
       ,,、-'"::::::::::::::::::::::::::::::::::t::;;ヽ ;;;:::::::::    "/;;;;/::::::::::
   ,,、- '"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::t:::;;;ヽ ::::::::::::  、';;;;;r'"::::::::
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 / ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ソ:::;;;、 - ーー'''"::::::::::: ....::''"
./  ;;;;;;;;;;、 -ーー ''''' """ '''' ー,-ー''''::":::::::::::::::::::::::::::::::::::::
"""           ー ニ"、,,,,,,,,_:::,,,,,,,,,:::__,,,、 -ー'"



237 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:03:11 ID:df0GwSCa
一153.
ここまで来れば、目を開けても影は見えたままになる。

グレート・ソードを片手で持っている今日の父の機嫌が良さそうなので、
ならば先手を取ろうとバスタード・ソードを握りしめたやらない夫は気炎を吐くと鋭く斬りかかった。



        ,へ            |         /
        /、 ,ヽ、      _____     /
       l  ^  |    /        \ /      「いくぜ!」
        l   |  .| \/   , -―- 、      \
       l  |  | /   /     \     \       _
        l .l .|     |        i      |__,.. - ''"
         l l |   /|   ノ  ヽ、_ |      | _______
           l ! i  /  丶 (●) (●) /      |
            l ^ ト、     \(__人_/  ̄ ̄ ̄ / .__
          { ー'U         `ー./_/ ̄/  /// 7
           {,='ヘ     ___/   匚  ./i/i/ ∧∧ ,ヘ
          ミ  ' ̄ ̄         // ./     l /l / / ./
           `ー――------- '  / ./        /./
        /            |   ̄       \  ̄


           /l/ |/!/ ̄/
       /!/^         フ
      ∧!             `¨>
   ト、|ヽ               <__
   l             _         /
 _iヽ         /ヘヽ彡ァ     ¨>   (甘いッ!)
 \    ∧     ,.=-〈〈  /、      `>
  _>::レwト〈-、w-'"^   〉)  77_     /
    7::::::l ` 、 i    '´ ,/7 i  ,ヘ  ゙7_
   ゙レ:::l_  、 i 〈 /   /__^゙ ゙l 〉゙〉〉  /
      {::〉ニ、=、゙j /__,.=ィ弋ソ¨   ', ト‐ j  ヽ、
.      ¨ヘヾ='>li ¨ー=¨    /∨フ/  ヾ、
       ',   ll           ' ├‐ヘ   バ
         ヘ   ll            l   ヾヾ、¨ヽ--、_
         ',  ゙ヾフ _      j       ヽ、 `
          /ヽ, ヽ,¨─,>    /:::j    ト、   ヽ、
.       /  l ヘ _,ニ´ _ノ //i:::/  }  ヾ,ヽ,
    /   i. l ',ヘ、__,/:::/ //   j   ヾ,`ヽ、_
   /    l. l  ',:::::::::::::::__/ /   /l    `ヽ=-
. /⌒ヽ、 _/ '  ',:::::::::〔    /    /::ヽ、_,.-‐'"/



だが上段からの斬り下ろしは避けられ、剣を引き戻す間に突き出された切っ先が眼前に迫る。

238 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:04:11 ID:df0GwSCa
一154.
眉間を抉らんとする突きをなんとかかわし、間合いを取ろうと右に跳んだところで―――



__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄―――  ___―― ̄ ̄___ ̄―==
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄―  ――――    ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄___ ̄―

                                        / ̄ ̄\
''‐-'''‐-`'''‐- 、_                             ノ  `ヽ   \        「うおっ!?」
      \ \--γ-_、ゝr一^ヽ                ( ○)( ○) u |
      ´  ヘヘヘ ヘ          \ゞ              .(__人__)     |
        |  | l l          {゛ゝ ゝ             (`⌒ ´ U  |
      , ' |   l         |{゙ゝヘ.              {       |
          `- - `'- .、    ,,,,,_   |゙              {       .ノ/⌒ ̄ ̄' ̄ ̄) 三 二
       _: /ヽ       \      ` }/             ヽ          / ̄¨ ̄ ̄
      /     ゙┬---/⌒\. __ ,., ' ゙ッ        (⌒ヽ、 / ヽ        く
                                 \  ヽ  /\      \
        /'i                         \__/     \        \
        /. i        /i                         /    ノ   \三 二
       j  |   .,、-'//|r" リ                       /    /\    \
       |  |、-'" ,/:|  || /                      {  ────ヘ    \
       |   ,,、- '" | r'.|/"                        \____ソ ヽ   \ 三 二
    ,、-'"   ii ,/ | |/ /|                                ヽ、_ソ \    \
  r'" ,、-'|.  ノ |  |  ,! |. |                                     )   __〉 三 二
  j  /  .|. / .|  | r".| |. //|                                  (___ノ
 // ,ri  |. i  .|  r' |  |.レ''|  |
  /. |  | |   |/  .| /   |. r'
  |.  |  .| 〉       .|/    |/
  |  |   | /
  |. /.   |i
  |/
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄___ ̄―
 ̄___ ̄―===━___ ̄― ==  ̄ ̄ ̄  ――_――__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―
 ___―===―___   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄ ̄―‐―― ___
 ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄―――  ___ =―   ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄―
 ――――    ==  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ―― __――_━ ̄ ̄  ――_―― ̄___ ̄―=



追撃の裏拳がカウンター気味に襲いかかってきた。

239 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:05:11 ID:df0GwSCa
一155.
弾けるように上に飛び上がり、さらに腕に蹴りを入れる事で跳躍を増す。



            /    /
          /     (
         /      , '、
       ヽ           /     「なんとぉーーー!?」
      .|             /
      |       /~,\   \
( ~ ノ   |      /、    \   \
 \ \ |      ノ   ノ   \   \..               /
   \  へ  /   }~~ヘ ヘ   \ \\..            //
    \ ⌒ヽ     }  |  |     \\\... o |    //       .,-イ .,,,、、 ,,,,、
     |     ,. ⌒、ノ |,,'''|       \\ \  。/ / /        .,l゙ .゙‐'` ゙l |,,,|^|
.    |   (⌒人⌒) ヘ⌒l      ヽ   \  \ .。 /      ./'゙_,、.r‐',i´.l゙ ゙ .""
    | ⌒(( ●)(●)              ヽ\    /       .ト'",l゙ l゙ l゙ │
    \ノ(  ゝ 、~,ノヽ          - -二         二 - -     l゙ ,l゙ .l゙‐'"
      \__/              o        \ 。     .レ'"  _,,、,,r、,ーjl'
                              o  \  \.          {-!ト''゙l゙,i´
                        / /。/     \ \.              ,レ"
                      / /     `~´   \\            l"
                     //    / 。         \\
                   //                  \
                  /




240 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:06:11 ID:df0GwSCa
一156.
着地と同時にさらに三度、素早く宙返りを打って距離をとった彼は、



                                        rt  「l [ト,
               _γ⌒ー^= _   r'//)             i i  l i Y
    , - ァ‐、―-  __/`、  \  `ヽ、////     !       l' i   i l
  /  ) |●, 'ヽ 、  `Y  `ー-一<ノ_ノ \.(っ    ||       i' ,'  '" rl^レゥ
  |    ;ニ、‐< .7   l 〃      ヽ、   ヽ 、_ ..,i_i___    i/    "7'/       rt  「l [ト,
  |   ) |● 、ノ ′  l            ヽ~'  〉  ̄ //    Y、               i i  l i Y
  \   ー'         ノ         /   / Y        l}               l' i   i l
    `/ / /‐ <¨´   ー- _  _. /   // } //  /    l}`¨ ー- .,           i' ,'  '" rl^レゥ
   ノ ノノ   ` 、 〃     ,r‐-ヘ=、./l! / / //      l}_     `¨ ー- .,      i/    "7'/
              ̄` ーγ´  ,-ァ 〉 '=´/ , //       /   ̄  、      `¨ ー- .,
                 /ノ〈〈〈 ー'__  .Z;ー‐//--./-=ニ./      〉、ー- .,    Y⌒ ̄ =-,,           rt  「l [ト,
                   ′. UU   \/に___    ム____///へ    `ヽ、  //////ヲュ、        i i  l i Y
               !i               // ¨/ ¨¨¨¨´..   气///.////ム    `ー∨//////ヲ7ュ,     l' i   i l
             .|i            //  /          /∨///////|       \////////心    i' ,'  '" rl^レゥ
               { { .\        //  /           ///////          ////////∧    i/    "7'/
              ,  、  、     /  /               //             ∨//////∧
                >-=二=-‐<  /                               ∨///////!    .:
                                                            ///////|    .’  ,
                                                            / /////   /   ′
                                                               `¨´   ノし/
                                                                }  て__ ,
                                                                  _ノ  √ ̄
                                                             ,.。-一…´¨ (⌒ヾ
                                                            ⌒'Y'⌒乂ゞ`  `\


241 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:07:11 ID:df0GwSCa
一157.


                  ___// /
                     /    \./  /
                   /       \/
                    |         |
                  |        | /   /
                |        | //  / /
         / ⌒ \  l        |//  / //
        /      \{_    _ノ__/ ⌒\   /
        (__/⌒\          ̄       \/
              \__,,          /⌒\_)
            /⌒/        /
              /  /        /
           / ./        /                  「|「|_
         ,,-‐<  /        /            /´'二   _|
       (,__/   /i____ノ                  ̄  |」| |  「| []
          /   /                         |_|  |」 「|
           /   /                             |/
         /   /
           〉   Y
   ( ヽ:  /    ソ丿 ヘ` ;
 ´ \.从_(__ _/)人/ ;`




追ってこなかった影を振り返り、騙されたと冷や汗を流した。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)  「機嫌が良いなんてとんでもないだろ」
. | u.   (__人__)
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ



242 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:08:11 ID:df0GwSCa
一158.
それからゆっくりと呼気をはき出せば、全身の筋肉が緊張を帯び始める。
ようやく身体が温まってきたと剣を構えた彼は、余裕を見せている父の影に大声を出すと試合用の自分で訓練を開始した。



                ,ィ7
               /,/
            / /
              / /
.             / /
            / /
           / ̄ ̄\
          /\  /  \    「仕切り直しだろ!親父!」
.         | (●)(●)  │    
.         /| (__人__)   .|
        / ,| ` ⌒´     |
.    ィ´ /''ヽ      ノ
   (⌒) イi一‐ヽ、   /
    7 .K.`ー--→―― )
    ヽ/ ヾ--‐―‐  /
.       /      /
      /      /


━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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243 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:09:11 ID:df0GwSCa
一159.
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━━━━━━━━━━━……

小一時間ほど経っただろうか。
ひたすら見えない相手に剣を振るっては飛び回るやらない夫をエンジュとジュンが見学していた。



                                    rf( ̄ヽ -― ´ ̄ ̄ ` ヽ
                                  ,へく入/ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ、   \
                            .    / イ                 \
                            .、  ∠  /     } ヽ   `ヽ、       \
                              ̄.フ´./       /  ハ   V  \    ヽ.    ヽ
                             / /      /    {   ヽ、      ヽ    :.
                            . '/{/         i {     \ \ \_.ノ   \   }
      「ジュン。                 .八 }  /     ! V     \ }  ̄`  _ \.ヽ. l
      彼が戦っている相手が見えるか?」   /  ,イ.   i /\_ヽ_.、.   ヽ! _ ノ    、.、リ
                            . 厶.イ八  i | ,イ ̄ヽ.\\i ヽー―く ̄  ̄ ヽ、∨
                               ヽ{ ヽ. {八 { テt::: ァヾ. 、.!  }、 >) `ヽ___ ヾ{__
                                `  ヾ! ヽ、  ̄     ノハ ノ ) //      ̄`Y `ヽ
                                   /            ノく._〃-――   , イ   〉
                                   ヽ.          ´   / ̄フフツxz、/ .ノヽ  /
                                     \ _ _       /: : : : : :   {ト、     ソ人
                                      ヽ      ノ: : : : : :   ∧. }!   (’
                                          ヽ -― く´: : : : : : :    ∧ノ
                                            }_______∧_
                                          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..}
                                         ∠ ___:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__ヽ.
                                       /:::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄::::::::::::::ヽ



244 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:10:11 ID:df0GwSCa
一160.


          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|   「………見えないけど、分かる。
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|    とんでもない相手と戦ってる」
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \


緊張感がびりびりと伝わってくる戦いは、今、やらない夫が防戦一方に追い込まれているようだった。
庭中を飛び回り、ひたすら後退しながら攻撃を受け流し、避けては相手の隙を窺っている。


245 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:11:11 ID:df0GwSCa
一161.
やがて、狙い通りのチャンスが来た、といきなり横に跳んだ彼は相手に向かって鋭く上段から斬りつけ―――



                                                    /_`゙ヽ
                                                /   }リ    , '⌒ヽ
                                                /   〃   /     }
                     ,                        .ヘゝ、_/'  /`゙ 、_/
                                          /    `7′,く_   /
                                              . ,'   __ ∠ァ'`ゞー";',/
    「そこだ!」                    / ̄ ̄\  、フイト、_,.イ   ` ゙ 、   ∠ ='´- -ー- - - .、
                               /   _ノ  \ィ1:!::jjr'´  :イ ノミ、==、  ̄´(    {   /   `ヽ
                           ( ●)(●)イ::i|:;!:i::jj::レ'  ,:, ノ .ヽ.i `ヾヽ ``、ーrェt冖- ィ 、. ,,.._ノ
                    {        ゙(__人__)   l 儿ム'´  ヽ,ィ'‐ヘ..ノノ   } ヽ ヾ―- 、,, __
                             |         }l{     .ノ     "'ヾ.人 ,,_  、 ,.,_,'  ,' .`")
                      f'r{ト|ト---ri´:;ト、 ヽ        } "'' - ''"           \ >、.  ̄"'''-‐'´
‐- = ============= ==={{ (エ|「`7灯:/|:;:::  ヽ     ノ                 ヾ、_.)
                  ``={.]∟!{ |;ヘノ,!::::::::{:: `ー'_,.ィ




246 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:12:11 ID:df0GwSCa
一162.


                                                          __,ィァ..,─、   ./::\ィヘ ,,
                                                  .        Ⅴ:::/ ./::::::」,.-、|:::::_/.|::::〉
                                                          /:::::〉 レ'´ ー'.レ'_,.ィ ̄ ",勹
                                                  .      f::::::レ<´|.   _/:::::/;; _」:::::二>
                                                     ,イ _」::::::::_;>‐'_/:::_::::::::|./´:::::_:::「
             `   ヾ   、    '   ,   '   `   .          .  /::'<:::_::::::Г __ .「:::::/ .|:::: l.レ'./:/|:::|
         `  ヾ   、    '   ,   '   `   、 ′ 。   `   '  、  /:::::_;.匕..|:::::| .「::::|レ'´  ._」:::::{ /:/ .|:/
    、  `  ヾ  、 ` ヾ 、  ' , ' ` 、′。 `  ' 、 . 、 ′ 。 . ,   . レ'´ /::::| |:::::| .|:::/  ./::::_/ .レ′.´'
  '  ' ヾ 、 ヾ、 `、 . '`、′。.・`; '、.・. '`、′。.、′。.・`; '、. `  ' 、.   /::::: | |::::::〉レ′_/:: /
 。 . ` ;   ' 、 '、′' . '、′' ・. '、ヾ 、` ;人. /;′。.・"; '、.・" 、 ′。 ` '、.    |:::/ |:::/   f:::::/
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  '、′' . '、′' ・. ' 、,,  ',`  :   ::  :   :  ::  : /;′。.・"; '、.・" ` '、.
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 . '・.. '・、`ヽ `、  、                       ,  ,' ', _,. - '. '`、′。.
    `ヾ\'i,  ` 、                           ,  ', ,i '/,′",//
   \.`ヾ\ ,,)`   、                        , ' , ',  ´( / 〃´,. '
     `ヾ\'i,  `                          ,  ', ,i ’/,′",//
      \、ヾ \                            /, 〃, 〃/
      `ヾ\'i,                              ´/,. ',〃/
        \、ヾ                           ,/〃´,. '
         、`ヾ、                         ,〃´/,. '




凄まじい剣圧の衝撃波を受けて、芝生が二メートル四方ほどめくれあがった。


247 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:13:11 ID:df0GwSCa
一163.
だが、それを以てしても父親には全く通用しない。



              __
               /    \
          /         \
          |     : :::::::::::|
          |     :::::::::::::::|
          |    ::::::::::::::::::|
          |   ::::::::::::::::::::::|ヽ        (………ちぇっ、
             ヽ       /_./|:\        試合用じゃ通じないか)
               \__,-‐´~/:::::::\
           ∠___ ,-‐'~.:::::::::::::::)
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
           /::::__::::::::::::::::.::::::::::::::/
        //:::::::::::::\::::::::::::::::::::::/
        |:::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::|
        ヽ:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::|
         |\::::::::::::::::.:::::::::\:::::|._
          |::::\_::::::::::::::::::::\|:\
         〈:::::::::::\:::::::::::::::::::::::|::::::::|
            /:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::|::::::::\
            /:::::::::.::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::`|
           |:::::::::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::::/、
             \:::::::::::::|::::__/|_/:::::ヽ
            /__| ̄____/::::::::::::::::::::ヽ
              ヽ::::::: ̄|   |::/\_:::::::::::::\
_________ヽ/|/   \___\:::::::::::::::ヽ
              | | | ̄〉 〉 〉〉〉_|  \:::::::::::::ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ| ̄::´::´´´ヽ    \:::::::::::ヽ
          .       ヽ:::::::::::::::::::ヽ      ヽ:::::::::::ヽ
                  ヽ::::::::::::::::::::ヽ     ヽ:::::::::::ヽ



背後で笑っている気配に負けを認め、終わりにしようと流れる汗をぬぐったところで二人からの拍手が飛んだ。


248 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:14:11 ID:df0GwSCa
一164.
          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i    「素晴らしい。
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |    本当に正規の訓練を受けていないのかと
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、   疑いたくなったよ」
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


                                         / ̄ ̄\
                                        / _ノ  ヽ、_ \
                                      . | ( ●)(● ) |
                「あ、おはようございます。        |  (__人__)  │
                 見てたんですね」             |   `⌒ ´   |
                                      .  |           |
                                      .  ヽ       /
                                         ヽ      /
                                         >     <
                                         |      |


      ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
    /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
   ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
      /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧      「凄かった。
    ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧      影剣闘ってやつだね。
    |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
   イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ     相手は誰だったんだい?」
   /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
    !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
   .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
   .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
    レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
          i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
           、             r彡;〃´
           ヽ   ヾニフ       ノレ'´
            \          ´ ,L. -‐ 、_
              ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
               ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
             _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
           rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"

249 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:15:11 ID:df0GwSCa
一165.

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)    「全然本気になってない親父さ。
. | u.   (__人__)
  |     ` ⌒´ノ     ………もしかして、騒がしくして
.  |         }      起こしてしまったか?」
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
    i⌒\ ,__(‐- 、
    l \ 巛ー─;\
    | `ヽ-‐ーく_)
.    |      l



実戦訓練をしていると、どうしてもかけ声は出てしまう。
それで安眠妨害だったら申し訳無かったと恐縮するやらない夫に、ジュンはそんなことはない、と首を振った。



                              ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
                            /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
                           ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
                              /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
                            ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
                            |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
                           イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ
  「いや、僕も訓練しようと思ってさ。    /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
  一応毎朝の日課だよ」            !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
                           .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
                           .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
                            レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
                                  i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
                                   、             r彡;〃´
                                   ヽ   ヾニフ       ノレ'´
                                    \          ´ ,L. -‐ 、_
                                      ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                                       ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、
                                     _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
                                   rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"



250 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:16:11 ID:df0GwSCa
一166.

                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、   「まぁいい、早速始めるぞ。
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {     やらない夫はしばらく休んでいると良い」
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\



先に激しい訓練ををこなしていたのだから、とエンジュは言ったが、やらない夫はその申し出を断った。



                                                     / ̄ ̄\
                                                rヽ  / ノ  \ \
                「いえ、大丈夫ですから                  i !  |  (●)(●) |
                 俺もご一緒させてください」            r;r‐r/ |.  |  (__人__)  |
                                             〈_L (`ヽ .}  |   ` ⌒´  ノ
                                            l` ( ``/ .  |        }
                                            ヽ   l  .  ヽ       }
                                             |,.   l   /⌒   ー‐  ィ ヽ


事実、あれだけの影剣闘を長時間をこなしていたにも関わらず、やらない夫はもう呼吸を落ち着かせており、
汗も少しずつ引き始めているのだ。

251 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:17:11 ID:df0GwSCa
一167.
どんな体力だよ、と呆れたジュンは準備運動を終えたので昨日買ったばかりの剣を抜いたのだが、



                      |::ヽ/::::::〈 へ、
                      ,-┘:::::::::::::::::::::::::::`>
                    ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::\
                    /::〈:::|^^|:::::/\ト、ヽ::::::>
\                     /::::::ハ|_l/l/.__-ヽ|:::」    「ハアッ!!」
\\                    . ̄7/.|__|─|__|- lj/
  \\                    ヘ.  __;__、u/
   \\                    フヽ辷フイ{ヾ
     \\                  /::::〈`l7:´::::::ヽ
      \\            ノ::::::::::::V::/:::::::::::〉
          \\            /:::::::::::7::ト/:::::::::::/
           \\         /::::::::::/:::::/::::::::://
              \\     /::::::::::/l /:::::::::/::l
            ∠二フ /:::::::::::::/ /:::::::::/::::!
              ヽ,'~つニ〉ヾ:::::::://::::::::::/::::::::j
                ゙へノ7  ヽノ<::::::::::/ヾー--¬
                 くヲ``  ヽ</^ヾフ=/{
                  _,. -ヾソ  ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
           r ' ´:::::::::::::`ー‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::``丶
           l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- 、_:::::::::::::::::::::::::::
              l:::::::::::::::r -- ' ´       ``'ー、:::::::::::::
           /::::::::::::::l               l::::::::::::



やらない夫の真似をして、力の限り剣を振り下ろす―――が、もちろん芝生の葉っぱ一枚だって戦がない。


252 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:18:11 ID:df0GwSCa
一168.
分かってはいたが何となく顔の赤くなった息子と、深いところでは十センチ以上芝生が根こそぎめくられているのを
見比べたエンジュがとある剣技の名前を挙げる。



              _,   ~ ̄ ̄ ̄¨   、
          . -=ミ            \
        /           ⌒\    \
       /   /        ヽ  \ \   ‘,_
    ー=彡' /   ′       八          ∨ミメ    「凄まじい剣圧だったな。
      / /   i      | l     \  \     |  ハ   あれはオーラスマッシュか」
       ′   |l  |   リ ト   \   、 ヽ乂_ リ   リ
.       } i   | 八 |   '/ 八\ _   、\ 介廴'   /
.     ノ人  戈トミ人 /_以rセ爪ヽ | \ 介ト /   {
      〃  } l  弋均ハ/ / 法功㌃ } |  爪ト /    、
         ノ人个ト /          ノ ノ /ノリ /     i|
.            }乂_ /         _彡イ厶ィ  {     j从
            八人 ヽ             / 乂从ハ }  |
               \`~`'       ,   /   ̄V八リ
                \    . イ   '`       ∨/
                    `´ r‐ '"          '¨ ̄\、
                  厶_..  -‐' '`         } :ヽ



   / ̄ ̄\
 /    _ノ \
 |     ( ●) )   「はい、父から伝授され………」
. |      (__ノ、_)
  |      ` ⌒ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   .>    <
   |     |
    |     |



253 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:19:11 ID:df0GwSCa
一169.
そこでハッ、と息をのんだやらない夫は、自分がとんでもない事をやらかした事に気づいて
慌てて頭を下げた。




              , n / ̄ ̄\ .n
           . / / j.´_ノ  ヽ、u'l lヽ、
           /,イ / (○)(○) .l i i i   「す、すみません!
            〈 .r {u (__人__) .i. } } 〉   見事な芝生を傷つけてしまいました!」
          ', i.  ',   ` ⌒´ /   /
           .i   l.      ,'  ./
         .  ヽ、_.イ、.    人 ノ
             ヽ     〈_ノ ノ
              |     ./
               |    .   |



                                                _ __ _ _
                                            ,.'"´       、`ヽ、
                                           /   i    リ ヽ 、  \
                                          /    .:レ′   j  i !.:.   i
                                           l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |
                                          ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
                  「ははは、気にする事はない。     彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
                   それに後二ヶ月もすれば       |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
                   冬で枯れてしまう品種さ」       ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
                                           ヾ::、    ,        !/::/
                                            仆    :j 、      イ:/
                                               `、   _ _     /i,ハ
                                              ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
                                               `ト、 ___ /   !;;:/、
                                                /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


254 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:20:13 ID:df0GwSCa
一170.
以後気をつけます、ともう一度頭を下げた彼に首を振り、深い傷跡に目をやったエンジュはふむ、と腕を組む。



                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄    (若い騎士の中に、この剣技を使える者は殆ど居ない。
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.     私も習得するのにはかなり時間が必要だったな)
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、 
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/ 
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\



オーラスマッシュ。
気をこめて、剣撃と同時に相手に叩き付ける剣技の一つである。
初級技であれどただ斬りつけるよりも威力は格段に高まり、達人ともなれば鉄の塊をも断つことが可能だと言う。

もちろん初級である故に繰気技術を身につけ、剣をもって戦う者ならばやがては習得出来る。
それでも気をこめる予備動作には時間がかかってしまい、やらない夫ほど自然に高威力の一撃を
繰り出すとなるとエンジュでも難しいだろう。



255 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:21:11 ID:df0GwSCa
一171.
それからエンジュは二人に剣の型を教え始めた。
基本的な型であるが、剣術の基礎故に大事な部分である。

本当に知らなかったのだろう、エンジュが見本を見せるとやらない夫はふむふむと真剣な様子で見つめていたが、
実際に剣を構えてみれば隙のない自然体で素晴らしい出来映えだった。



                       / /    _,,、、、__
                      / /    /     \
                    / /    /        ヽ
                   / /     /\   ノ    |
                     / /         |(●) (●)    |
               / /         | (__人__)      .|
          |ニミヽ久_/           .| ` ⌒´      |
          < Y/ヽ)  ̄ミト、          ヽ         .l
        ィ< \しイ\|ト< i |      ┌// ヽ       _\
      ┌入 ム//   l    ̄     __/∧   |    式斤   ̄\
     / ̄ ̄\ |    |        / / ∧  |   /,≧彳斗\  \
    Eェ_  / ̄ ヽ|   ハ       /| |   ∧彡斗〆 \ο/    ヽ
   / __  l   \彡 ∧      / ∨|  、>、       `´       l
    >イ ./\l  / ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ``トェ<``斤\ \             |
 /ミ/    \__|  |        /   \   ヽ  l   /        |
 ヾ/       ` <_      |      |   |  |  /         /
             ∨  ̄``ヾ<|     /    |  |/     _>< /
             ∨   / |  `ト弋斤ー─乞 /__><″   /))
              |   / ∨|                > ミ、_/:/
              \    ∨                    /
               \   ∨                  /
                 \  ∨                /




256 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:22:17 ID:df0GwSCa
一172.

              _,   ~ ̄ ̄ ̄¨   、
          . -=ミ            \
        /           ⌒\    \
       /   /        ヽ  \ \   ‘,_
    ー=彡' /   ′       八          ∨ミメ   「それでは素振り五百回、始め!」
      / /   i      | l     \  \     |  ハ
       ′   |l  |   リ ト   \   、 ヽ乂_ リ   リ
.       } i   | 八 |   '/ 八\ _   、\ 介廴'   /
.     ノ人  戈トミ人 /_以rセ爪ヽ | \ 介ト /   {
      〃  } l  弋均ハ/ / 法功㌃ } |  爪ト /    、
         ノ人个ト /          ノ ノ /ノリ /     i|
.            }乂_ /         _彡イ厶ィ  {     j从
            八人 ヽ             / 乂从ハ }  |
               \`~`'       ,   /   ̄V八リ
                \    . イ   '`       ∨/
                    `´ r‐ '"          '¨ ̄\、
                  厶_..  -‐' '`         } :ヽ
                 _,厶;_: : : : \         { : :lヘ
                  /    \ : : : \       | : :} '







257 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:22:30 ID:df0GwSCa


                                                |::ヽ/::::::〈 へ、
                                              ,-┘:::::::::::::::::::::::::::`>
                                             ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::\
                                              /::〈:::|^^|:::::/\ト、ヽ::::::>
                ,ィ7           \                     /::::::ハ|_l/l/.__-ヽ|:::」    「2ッ!」
               /,/            \\                    . ̄7/.|__|─|__|- lj/
            / /              \\                    ヘ.  __;__、u/
              / /   「1ッ!」        \\                    フヽ辷フイ{ヾ
.             / /                   \\                  /::::〈`l7:´::::::ヽ
            / /                     \\            ノ::::::::::::V::/:::::::::::〉
           / ̄ ̄\                    \\            /:::::::::::7::ト/:::::::::::/
          /\  /  \                    \\         /::::::::::/:::::/::::::::://
.         | (●)(●)  │                     \\     /::::::::::/l /:::::::::/::l
.         /| (__人__)   .|                      ∠二フ /:::::::::::::/ /:::::::::/::::!
        / ,| ` ⌒´     |                      ヽ,'~つニ〉ヾ:::::::://::::::::::/::::::::j
.    ィ´ /''ヽ      ノ                        ゙へノ7  ヽノ<::::::::::/ヾー--¬
   (⌒) イi一‐ヽ、   /                            くヲ``  ヽ</^ヾフ=/{
    7 .K.`ー--→―― )                          _,. -ヾソ  ノ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
    ヽ/ ヾ--‐―‐  /                        r ' ´:::::::::::::`ー‐'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::``丶
.       /      /                         l::::::::::::::::::::::::::::::::::_,. -─- 、_:::::::::::::::::::::::::::
      /      /                          l:::::::::::::::r -- ' ´       ``'ー、:::::::::::::
                                      /::::::::::::::l               l::::::::::::




258 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:23:11 ID:df0GwSCa
一173.
━━━━━━━━━━━……
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: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : |: : : : ヽ: : ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : :./\: : : : : ト、: : : : ト、: : /: :∨ :.l
: : : : : :∧: : /──{/、.  \ : : |.-\: : |ー∨、: : : : : |
: : : : :./ 1/     .i   l\:|   \|   |: : |\;!  「う、腕、がががが………
: : ,、: :{           |-‐‐-|         .|:ヽi
: :{ ヽ'           !   |         ハ:_}     レイピアとは段違いだ」
ハヽ ヽ_____,ノ   ヽ_______ノ }
ハ: :`-',  ! | |  ! !      ' ! |' | | 川/ ノ
  〉: :.:∧   〃'ー──-----、    ,イ"´プルプル
   ̄  \  ヽ______丿  /
        >、         ,イ´
 ,────、__` ,‐──┬'"´ __
/        |   !     | ̄l ̄    `ヽ
.         |  ー──'  リ      }



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)   「そりゃあそうだ。
. |  u  (__人__)    慣れるまでは大変なもんさ」
  |      |r┬|}
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く
   |     \    モミモミ
    |    |ヽ、二⌒)、




259 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:24:13 ID:df0GwSCa
一174.
昨日までは五百回ぐらい何でもなかったのに、と呻くジュンの痙攣する腕を揉んでやるやらない夫に、
自分の剣を納めたエンジュは先に戻る、と告げた。



                                     / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
                                    / // /       !   |    |       \丶   \  |
                                   ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L
                                    |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、
                                    ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
                「先に戻る。                 l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
                 食事を終えたら王城へ行こう。     l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
                 鍛錬の間で他の騎士達と合同で     \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
                 模擬試合が出来るはずだ」         ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
                                               /                 /        V了\   り
                                              └-- 、     ,        l       ∨   〉
                                                  `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                                                   ヽ     , く     l   /   / ヽ
                                                    `一'´/ ∧   / /    /   \
                                                      , ィ  //!   ' /      /       \



    / ̄ ̄\
  /   _ノ  \
  |    ( ●)(●)  「了解しました」
 . |     (__人__)
   |     ` ⌒´ノ
 .  |         }
 .  ヽ        }
    ヽ     ノ
    .>    <
    |     |
     |     |




261 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:25:11 ID:df0GwSCa
一175.
       ,//: :ヽ: : Y: /:、: : : : : : : :\: : : : : : : : \
     /: :/: : : ∧: : ;′1: : : : : : : : : l: : : : : : : : : :∧
    ∠二ィ: : : : l::∧: :!:::::l: : : : : : : : : :|: : :ヽ: : : : : : :∧
       /.: : : : :|::::::∨::::::l: : : : : : : : : :l: : : : ∨: : : : : :∧
     ,r': : : : : : 「¨¨`""¨1: : : : : : : : : l: : : : : ∨: : : : : :∧
     |! : : : : : : l       l: :;ィ: : : :∧ : | : : : : : ∨: : :ヾ : ∧
    イ!: : : : :i: : !.      !:/ l: : :/ ヽ: ト、 : : : : ∨: : : :\;ハ    「ほら、やっぱり城に行くんだ」
    /l: : : :,∧:厶-‐、  レ' !‐ナ―-ゞ! ヽ、: : : :i: : : : : :l ヾ
     !.:!: : ;ィ: : ト1===ミ:、   l.:/彡==`=ミ:、ヽ : : l.: : : : : |
    .l.;イ : ;ハ イl:i゙ '乍ミ1L..../;」i ィ卞ぅx、 ! ヽト、:l: : : : : :|
    .レ'l: :/  リ |:|  ヒ;リ |「 ̄"゙1l  ヒzリ` l l`ゞ- 、.: : :lヽ:.!
     レ'’   ヾ ___ノ.'   ヾ: 、__.ノノ ´rハ !:、:| ヾ
           i ̄ ̄ i       ̄ ̄ ̄  ムソ:.;ハノ
            、             r彡;〃´
            ヽ   ヾニフ       ノレ'´
             \          ´ ,L. -‐ 、_
               ヽ . _ ,   , ィ´   ,.、二ミ:ォ
                ,.-‐=ニj,.ィ'´   / ̄ "¨ヾ\L、  グゥゥゥ
              _r'´  レ"   _ニ=′    二ニ=   \
            rく ヽ   j ,-=ニ¨       イ=‐- 、    >"



朝食には遅れるな、と言い残して館に戻っていく父の背中を見送り、言ったとおりだったろうと得意げなジュン。
―――だったが、身体から大声で空腹を訴えられ、顔を赤くするともう良いよと立ち上がった。


262 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:26:11 ID:df0GwSCa
一176.
━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

午前九時を告げる鐘の音が町中に響き渡る頃、三人は王城を訪れていた。


                _
             / ̄ ̄\\
           /     ヽ ヽ、
           |、       ゙i ゙iヘ    「おはようございます、団長!」
          〔\`'‐-    └' i
          |∩ \_     _|
          |∪\ |´`''''''''''''''''''''i|
         / |||/  `''''''´´ ̄l 「'''/
         |         ,-l l l
         \iiiiiiiii   ///  ヽ___
        /ヘ`'''''ヽ      ェュ 丿\ ヽ
    / ̄|::::::::::\  \__(⊃-‐‐⊂)‐゙i::::ヽノ
   /    |::::::::::::::゙i   `'‐‐‐‐'´   ヘ::::ヘ
  /   /::::::::::::::::::|      ヽ    ヘ::::::/ヘ



                                     _ __ _ _
                                 ,.'"´       、`ヽ、
                                /   i    リ ヽ 、  \
                               /    .:レ′   j  i !.:.   i
                                l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |
                「うむ。           ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
                 しっかり頼むぞ」   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
                              |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
                              ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
                                ヾ::、    ,        !/::/
                                 仆    :j 、      イ:/
                                    `、   _ _     /i,ハ
                                   ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
                                    `ト、 ___ /   !;;:/、
                                     /.::::| ヽ   /   l::::.:.L



王城警備を担う第一騎士団の団長であるエンジュは、直立不動でお任せください、と敬礼する騎士達に
見咎められる訳でもなく、目的である鍛錬の間へ向かっていたが。

263 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:27:11 ID:df0GwSCa
一177.
┏──────────────────────────────────────────────┓

   おや?これは警備隊長殿ではないですか。息子殿を連れて見学会ですかな?

┗──────────────────────────────────────────────┛


ー┴ー[__]─┴─┴─┴[__]─┴─┴─┴[__]─┴─┴─┴[__]─┴
 ̄ ̄ ̄||: | :||:: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||: | :||:: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||: | :||:: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||: | :||:: ̄ ̄
      ||: | :||::.         ||: | :||::.: .        ||: | :||::. :.        ||: | :||::.
      ||: | :||::.         ||: | :||::.: .        ||: | :||::. :.        ||: | :||::.
      ||: | :||::.         ||: | :||::.: .        ||: | :||::. :.        ||: | :||::.
      ||: | :||::.         ||: | :||::.: .        ||: | :||::. :.        ||: | :||::.
___||: | :||:.______||: | :||:.______||: | :||:.______||: | :||::.__
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      ||: | :||::     .[[[]]]. ..::||: | :||::    .:[[[]]]:.:.  ||: | :||::            ||: | :||::.
ニニニニニニニニ./ /|:l─l二二二l::‐─ー| ||ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
|||||||:/ //|:|           | ||||||||||||||||||
┴┴┴┴┴┴.::/ //|;;|:|,ィ──────:| ||┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴
 ̄:l ̄ ̄厂 ̄:::/ //|///i┴─────‐ | || ̄ ̄厂 ̄::l ̄ ̄厂 ̄::l ̄ ̄厂 ̄:l ̄ ̄
_;|__;/____/ //| |//i┴────── | ||__;/____;;|__;/__;;|__;/__;|__;/_
  ||: | :||:  / //.::| |/i┴──────‐ | ||      ||: | :||::.: .      ||: | :||::. :.
  ||: | :||::::../ // 7|/i┴───────.:| ||      ||: | :||::.: .      ||: | :||::. :.
_||: | :||:::/ //| /:/i┴───────.::::| ||::___||: | :||:._____||: | :||:.__
Τ||: | :||/ //| l//i┴────────‐| ||::ΤΤΤ||: | :||::ΤΤΤΤΤ||: | :||::ΤΤ
|||: | :/ // :| l/i┴─────────| ||::|||||: | :||::|||||||: | :||::||
⊥|| [[[]]]'./:7:/i┴─────────‐[[[]]]⊥⊥⊥||: | :||::⊥⊥⊥⊥⊥||: | :||::⊥⊥
─lニ:|| |:l/ .//r┴─────────‐..:|| |:| ──‐l二二二l:────l二二二l:──
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/___/___/___/___/___/___/___/___/___/__
_/___/___/___/___/___/___/___/___/___/__


不意に、悪意を感じさせる声がエンジュを呼び止めた。

264 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:28:11 ID:df0GwSCa
一178.
眉をしかめた三人が同時にそちらに視線を向けると、大げさに手を広げた男が一人の少年を引き連れて
階段から降りてくる。

                            ,..:.:─:.:.:v:.:.:─.:.:..、
                          /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.
                             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.
                         /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
                         ,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
                            ,:.:.:./:.:/:.:./:.:.:./:∧:.:.:ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.
                        ;:.:.:.|:.:.!:.!:.i:.! !:.|:!  l:|:.:!:!:.:|:.:!|.:.:.:.:.:.:l
                       ,:.:.:.:.!:.:ハ乂_i_|_ハ 八ノノノノハ.:.:.:.:.:.!
                        ,':.:.:.:.:.:ヽ:ヘ. =ェz `、 ´ zュ= ハ.:.:.:.:.:.:.:.l
                   __ /イ:.:.:.:.:.:.:.:ハ.     : i     ;.:.!.:.:.:.:.:l.:.:.ヘ、
                      /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ     ー    /i:.:!.:.:.:.:.:.l:.:.:.:、\
                     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i 、 ‐ 一  /|:.リ.:.:.:.:.l:.l.:.:.:.:ヘ
                    i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:r:i \     イ :!.:.l:.:.:.:.:.:l.:l.:.:.:.:.:.',
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                     /.:.:.:.:/イ:.:.:.:. /イ  \ r‐―ュ ノ /イ:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:\
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265 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:29:11 ID:df0GwSCa
一179.

    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L       「ギャブレー殿か。
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、   大臣様はお元気かな?」
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \



やれやれ、何故ここに。
そう言わんばかりのエンジュの問いかけに、ギャブレーと呼ばれた男は不機嫌そうにむっ、と唸った。



                                   /             \
                                /                  丶
                               /                       `、
                               /                     ヽ  ヽ
                             /                       ヽ  \
                           /                          i    \
                            i/           /!  / |  i        l     ` ー―ァ-‐  ¨  ̄\
  「何故大臣殿が出てくるのかな?」     レ1   i   /  / l   ! ! !l   l              /
                             | /  | │! | l   ! l | ヽ ト、             ∠ _
                             ! |   !  { \L._ヽ! { ヽ ヽ{_,.>‐、_      ヽ_/
                             ヽ!  \_\.ー赱Tヾ ゝ.'" r乏‐   /!      l
                               >!    ヽ     , i       / |        !
                         -‐  ¨  }   ハ    〈. |       / /       |
                              ,イ     ∧    ー       / ,!        Y
                              |      {ヽ   ー_一    //|         !
                              |       ヽ\       ,    j        /
                              ぃ       i  \    . イ   /       /
                                 !      リ   |  ̄ 才´  !     /
                               ヽ    }    |    |  │   l /´
                                \  ,ノ    |    l    !  /イ

266 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:30:11 ID:df0GwSCa
一180.

                            ___
             _ -―――――-< ̄} }!
            ´      -――7  く.7./-、
        ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\       「出てきて不思議でもあるまい。
       /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ   大臣様とギャブレー殿は
     /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄     大層仲がよろしいと評判だが」
     /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.
     |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、
     |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
      {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
.     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
     | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
   ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
  〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
   }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
  八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
    }ハリ {´ i       ヽ       /
   ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
        _∠_____    ヽ.
     /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
     入 _ _____   _厶、
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\



これはご挨拶だな、と演技がかった様子でギャブレーは鼻を鳴らしたが、
第二騎士団長ギャブレット=ギャブレーが大臣の腰巾着である事は城内でも周知の事実である。
二人は外見上穏やかに話し合っているようにも言えたが、その間には殺気にも近しい妙な気配が満ちていた。



267 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:31:11 ID:df0GwSCa

一181.

   / ̄ ̄\
  / ヽ、_   \
. ( (● )    |  (あの、田舎貴族っぽい中年は?)
. (人__)      |
  |⌒´       |
.  |        |
.  ヽ      / ヒソヒソ
   ヽ     /
   .>    <
   |     |
    |     |


                                     : : : : : : /     l.:::\ | |.:.:.:.:.:.:\
                                     : : : : : /      l.:.::::::リ |/´  ̄``,  .:.:.:.::.:.:.:\
                                     : : : : /       l.:.:/      ',    .:.:.:.:.:.:\
                                     : : : /        \        ',     .:.:.:.:.::::ヽ
                                     : : 〈          \       ', .:.::::::::::::::::::|\.::.:|
                                     : : : :',       .:.:.:.:.:  \      ',::::::::ト、.::::::::| ハ:.:l
          (ギャブレットだ。                 : : : : :',      .:.:.:.:.:.:.ト、 \     ',::::::lニ\:::::|
           第二騎士団の団長で、            : : : : : .',     .:.:.:.:.:.:l \ \/  ',::::l   ト、|
           いつも父さんを蹴落とそうとしている)    : : : : ::::::',     .:.:.:.:.:.:l   `y':/ニヽ ',::l1   l |
                                     .:.:.:.:::::::::∧     .:.:.:.:.:.:l  ///  い / l  l |
                                     :.:.:.::::::::/ ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ../∠    い /ハノ/
                                     .:.::::::::./   \.:.:.:.:.:.:.:.:.:V彳o:::ヽ   j! !  `ヽ
                                     .:::::::::〈       \.:.:.:.:.:.:.:}ム:::::::ノ´ //    /
                                     、::::::::::.\_,, -‐  \.:.:.:.:l  ̄ //     ,.イ
                                      ヽ            \:L_//      /
                                       \          └=='     //
                                         \                   /  ボソボソ
                                          \                 ,′
                                            \               ,′
                                             \`ー--------r---‐‐'´
                                               \      ∠ ̄`ヽ


やらない夫に尋ねられ、そっとささやき返したジュンは横目でギャブレットを睨んだままである。
何しろ、隣で会話を聞いているだけでも奴は自分の父親を小馬鹿にしているのがありありと感じられるのだ。
もしここが城内でなくて、もしギャブレットが騎士団長でなかったら、尻の一つや二つは蹴っ飛ばしていたかも知れない。


2 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:32:11 ID:df0GwSCa
一182.

        ;':.:.:.:.:.:.:.:.      !   l          i
        !:.:.:.:.:.:.:.:      ! l  .li 、 、  !    !
        〃:.:.:.:.:.:    l i l .l l i .l l li l l l l    l
       /':.:.:.:.:.:.:.  / / l l l .l l l l !l l /ナ.ノ! l   ヽ、  「確か今日は休暇であったと思ったが。
     ,..、;':.:.:.:.:.:.:  ./ / l /'_/' /ノ/' /''/_、" レ     lヽ  随分と仕事熱心な事で」
     {、.ヽ:.:.:;:: -‐、 l /-'"-tュ='' ノ '  、O弐 /      l
      ヽ ./  , ,...L!.l:.!   ̄  ` .lヽ    ;       l
      lヽ/ ,-'" /ヽ、!.      !. ,    ;'       l
      .l/ ~  / /`ゝ、    ,、,ノ    l      イ
  , -ー'''~{ ,  '''   "  /''/、  丶==ッ  ./l     l .l
. /    丶  ̄ ー― 、{ノ l.\  `ニ~  //!     l ヽ
〈    ヽ  ヽ.、      l l l  \   /~  ll     l l__ヽヽ
.l   l  ヽ  ヽ丶.     l l./、  l .ー '    リl    //  ̄`''''ー、
 !  l   ヽ ヽ「~'''l    }.l ヽ  !     _,,.-/   /        ̄
 l  l      /ヽ ̄   / l  「二i _,,. - '' /  /
 .l  !     /'  `丶、_,,..-イ   / ―   イ //
. /      /0       l   /     /l/~


                                    rf( ̄ヽ -― ´ ̄ ̄ ` ヽ
                                  ,へく入/ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ、   \
                            .    / イ                 \
                            .、  ∠  /     } ヽ   `ヽ、       \
  「息子達を鍛錬の間へ連れてきたのだ。    ̄.フ´./       /  ハ   V  \    ヽ.    ヽ
                             / /      /    {   ヽ、      ヽ    :.
   ………もうすぐ、               . '/{/         i {     \ \ \_.ノ   \   }
        今年の騎士募集があるからな」  .八 }  /     ! V     \ }  ̄`  _ \.ヽ. l
                              /  ,イ.   i /\_ヽ_.、.   ヽ! _ ノ    、.、リ
                            . 厶.イ八  i | ,イ ̄ヽ.\\i ヽー―く ̄  ̄ ヽ、∨
                               ヽ{ ヽ. {八 { テt::: ァヾ. 、.!  }、 >) `ヽ___ ヾ{__
                                `  ヾ! ヽ、  ̄     ノハ ノ ) //      ̄`Y `ヽ
                                   /            ノく._〃-――   , イ   〉
                                   ヽ.          ´   / ̄フフツxz、/ .ノヽ  /
                                     \ _ _       /: : : : : :   {ト、     ソ人
                                      ヽ      ノ: : : : : :   ∧. }!   (’
                                          ヽ -― く´: : : : : : :    ∧ノ
                                            }_______∧_
                                          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..}
                                         ∠ ___:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__ヽ.
                                       /:::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄::::::::::::::ヽ

3 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:33:11 ID:df0GwSCa
一183.
            /             \
         /                  丶
        /                       `、
        /                     ヽ  ヽ
      /                       ヽ  \
    /                          i    \
     i/           /!  / |  i        l     ` ー―ァ-‐  「ほほう!
    レ1   i   /  / l   ! ! !l   l              /     そういえば昨日、町で騒ぎを起こした
      | /  | │! | l   ! l | ヽ ト、             ∠ _      少年が居たそうな?
      ! |   !  { \L._ヽ! { ヽ ヽ{_,.>‐、_      ヽ_/
      ヽ!  \_\.ー赱Tヾ ゝ.'" r乏‐   /!      l          高々四人のゴロツキに囲まれただけで
        >!    ヽ     , i       / |        !          醜態をさらしたとか言う!」
  -‐  ¨  }   ハ    〈. |       / /       |
       ,イ     ∧    ー       / ,!        Y
       |      {ヽ   ー_一    //|         !
       |       ヽ\       ,    j        /
       ぃ       i  \    . イ   /       /
          !      リ   |  ̄ 才´  !     /
        ヽ    }    |    |  │   l /´
         \  ,ノ    |    l    !  /イ



待ってましたと言わんばかりに張り上げられた大声に、周りを通り過ぎていた貴族や騎士達が何事かと立ち止まる。
狙い通り視線が集まって来た事を確認したギャブレーは、そこで自分を睨んでいる小僧に視線を向けた。



  、__/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/: /::/::::::\ヘ
   >::::::/::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::/::::V:::/:i::::::ヘ:::\
    /:::::::::::::/::::::::::/::::::::::::::::: : |::::::::::::::ト::iト::┴<:::|:::i::::::\::\        r‐ー',!
   /:::::::::::::::::/:::::::: /::::::::::::::::::: ::イ::::::::::::::ハ::|    Vノ: |:::::::::ハ ̄   r‐ー1  l゙  .l゙
.  /:::::::ィ:::::::/::::::::: /::::::::::::::::::::::/-∠ヽ:::::', ヽ  .イ:::/:::::::::i::ヽ   ,l゙  ,i´ l゙  l゙
 /:::/ |::::: {::::::::::::i:::::::::::::::::::/__≧:::::ハ  _∠:/:::::::::人:::::ゝ │ ,"  l゙ │
.//  .}::::::i::::::::::::|::::::::::::/ ||' r ̄ (:::). Yヾ:::i  r===レi::::::/:}\i  |  ,l゙  .|,,,,,ノ
     ノ::::::|::::::: : |::::::/|  .|| \ _ i ハト=イ(::)ヽ{:l:: /:::i    L,,,ノ  .,r'"゙゙l
     ハ:::/i::::::::::ハ/ヽ/  ヾ___ノ   }、- i::./ハ.|     r'"^゙l  ヽ-'゜
   /=\ レヘ::ハ ヽ {     ̄ ̄ ̄    ノ  |'´       ヽ-'゜
  /'´   \\::::ヽ ヽi        _ _    /
  {       ̄\ ̄`ー 、      'ー-'   /
  ノ`ー ─ ミ、  .\\   ̄}     ` /┐
. ( /      \   \\  i  >──'´  ヽr-、
 .Y         \   \\廴r >'´   /   /
 /          ハ    ミ=V    //  イ



視線が合いはっと顔を背けたジュンはしかし、昨日の事は自分の未熟さが招いた事だと分かっているから、
ただ拳を震わせる事しか出来ない。


4 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:34:11 ID:df0GwSCa
一184.
ここまでは筋書き通りだ、と内心満足したギャブレットは後ろで出番を待っている息子に合図を送った。



        ;':.:.:.:.:.:.:.:.      !   l          i
        !:.:.:.:.:.:.:.:      ! l  .li 、 、  !    !
        〃:.:.:.:.:.:    l i l .l l i .l l li l l l l    l
       /':.:.:.:.:.:.:.  / / l l l .l l l l !l l /ナ.ノ! l   ヽ、   「そこに居たのが私の息子ならば、
     ,..、;':.:.:.:.:.:.:  ./ / l /'_/' /ノ/' /''/_、" レ     lヽ   醜態は晒さなかっただろうに!
     {、.ヽ:.:.:;:: -‐、 l /-'"-tュ='' ノ '  、O弐 /      l
      ヽ ./  , ,...L!.l:.!   ̄  ` .lヽ    ;       l   ………そうそう、紹介しよう。
      lヽ/ ,-'" /ヽ、!.      !. ,    ;'       l   私の一人息子の、シンジ=ギャブレーだ」
      .l/ ~  / /`ゝ、    ,、,ノ    l      イ
  , -ー'''~{ ,  '''   "  /''/、  丶==ッ  ./l     l .l
. /    丶  ̄ ー― 、{ノ l.\  `ニ~  //!     l ヽ
〈    ヽ  ヽ.、      l l l  \   /~  ll     l l__ヽヽ
.l   l  ヽ  ヽ丶.     l l./、  l .ー '    リl    //  ̄`''''ー、
 !  l   ヽ ヽ「~'''l    }.l ヽ  !     _,,.-/   /        ̄
 l  l      /ヽ ̄   / l  「二i _,,. - '' /  /
 .l  !     /'  `丶、_,,..-イ   / ―   イ //
. /      /0       l   /     /l/~


                 ___...、
                 _,/:.:.:.:.:.:.:.ヽー‐ュ
               ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__
              j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
              /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vヘ:.:.:l.:.:.:ハ
          イ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ `"´}:.:〉:.:.:.:ヘ
          く:.:.:.:./:./ノ):ハ:.)  /:.;ハ:.:.:.:トゝ       「シンジです、エンジュ団長」
           ):.イ:.〈ハリ≧、(   ,)斗ト:.γ
          ノハ/こハ)込) )   込)ヽハリ
               ∨(       、  /
              |ゝト  、___´  /
            ノ从 ヽ      /
              __|  >  イ
               _r┘:.:. ̄ ̄`|||´|
       _.,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ー:.:-.:.:.:.|||:イ¨:...、 _
   ,. <´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}}}.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.ー...、 _
   /.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.,
. /.:.:.:.:.:.:.:.: ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.: i
. ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨ / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.;.:.:.:.l
.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:r――ュ !/.:.:.:.:.l
;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|':.:.:.:.:.:.l



これまた敵意を隠さない様子でギャブレットの裏に立っていた少年が前に出た。
やらない夫とジュン、さらにはエンジュにまでふふんと笑って見せて、格好だけは頭を下げる。

5 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:35:11 ID:df0GwSCa
一185.
        ;':.:.:.:.:.:.:.:.      !   l          i
        !:.:.:.:.:.:.:.:      ! l  .li 、 、  !    !   「今、私も息子を鍛錬の間へ連れて行くところだったのだ。
        〃:.:.:.:.:.:    l i l .l l i .l l li l l l l    l
       /':.:.:.:.:.:.:.  / / l l l .l l l l !l l /ナ.ノ! l   ヽ、   そうだ、ちょうど良い。
     ,..、;':.:.:.:.:.:.:  ./ / l /'_/' /ノ/' /''/_、" レ     lヽ  折角だから息子同士に試合をさせようではないか」
     {、.ヽ:.:.:;:: -‐、 l /-'"-tュ='' ノ '  、O弐 /      l
      ヽ ./  , ,...L!.l:.!   ̄  ` .lヽ    ;       l
      lヽ/ ,-'" /ヽ、!.      !. ,    ;'       l
      .l/ ~  / /`ゝ、    ,、,ノ    l      イ
  , -ー'''~{ ,  '''   "  /''/、  丶==ッ  ./l     l .l
. /    丶  ̄ ー― 、{ノ l.\  `ニ~  //!     l ヽ
〈    ヽ  ヽ.、      l l l  \   /~  ll     l l__ヽヽ
.l   l  ヽ  ヽ丶.     l l./、  l .ー '    リl    //  ̄`''''ー、
 !  l   ヽ ヽ「~'''l    }.l ヽ  !     _,,.-/   /        ̄
 l  l      /ヽ ̄   / l  「二i _,,. - '' /  /
 .l  !     /'  `丶、_,,..-イ   / ―   イ //
. /      /0       l   /     /l/~



一気にサクラダ父子を釣り上げるつもりのギャブレー。



                               rf( ̄ヽ -― ´ ̄ ̄ ` ヽ
                             ,へく入/ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ、   \
                       .    / イ                 \
                       .、  ∠  /     } ヽ   `ヽ、       \
                         ̄.フ´./       /  ハ   V  \    ヽ.    ヽ
       「いや、それは………」   / /      /    {   ヽ、      ヽ    :.
                       . '/{/         i {     \ \ \_.ノ   \   }
                       .八 }  /     ! V     \ }  ̄`  _ \.ヽ. l
                         /  ,イ.   i /\_ヽ_.、.   ヽ! _ ノ    、.、リ
                       . 厶.イ八  i | ,イ ̄ヽ.\\i ヽー―く ̄  ̄ ヽ、∨
                          ヽ{ ヽ. {八 { テt::: ァヾ. 、.!  }、 >) `ヽ___ ヾ{__
                           `  ヾ! ヽ、  ̄     ノハ ノ ) //      ̄`Y `ヽ
                              /            ノく._〃-――   , イ   〉
                              ヽ.          ´   / ̄フフツxz、/ .ノヽ  /
                                \ _ _ u     /: : : : : :   {ト、     ソ人
                                 ヽ      ノ: : : : : :   ∧. }!   (’
                                     ヽ -― く´: : : : : : :    ∧ノ
                                       }_______∧_
                                     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..}
                                    ∠ ___:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__ヽ.



その手には乗らない、と言葉を濁しながらこの場をどう切り抜けるか思考を巡らせるエンジュ。


6 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:36:11 ID:df0GwSCa
一186.
普段ならうまくかわされてしまうが今日はお前一人ではないのだ、と口の端を歪めて笑ったギャブレーは
とどめとばかりに用意してあった台詞を叩き付けた。



              /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ     _       _        _       _       _
             / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.、    | l r、   | l r、    | l r、   | l r、   | l r、
           _/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',   .|_| \>  .|_| \>   .|_| \>  .|_| \>  .|_| \>
       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
      /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
    /.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i  「なぁに、もちろん真剣ではなく訓練刀を
   {.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.イ.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l   使ってやらせるのだよ。
    ヾ|.:./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.i.:.:.|.:.:.:.:八.:.:.:.i.:.:.:!.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|   大事な募集の前に、お子様に怪我でもさせたら
     ∨j:/.:.:.:.:.|:!.:.:!.:.:i!.:.:.:ハハ.:.:.|:.:.:|.:.:|.:ヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l   申し訳無いですからな。
       ∨:.:.!:.:.:j:|:.:.ト、ハ.:.:リ  ∨ヘ:.|:.:.!ト:.:.';.:.!:.:..:.:.:|:!.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.!
        ヽ;ヽ:.:.:.\:>x、_ゝ   ヽj」_!ム斗\:\:.:.:j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.j   ………おおっと、これは失敬。
         ゞゝー∧ <セチ`   ´ ̄<弋アー ヽトヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.リ               ワハハハハハハハハハ!」
         {:.:.:.:.:.:.:',    }             j:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:!.:.:.:.:.l
         リ:.:.:.:.:.:.:',   /          ヾ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:|.:.:.:.:.:l
         ヾ:.:.j:.:.:.:.',   /               リ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:i.:.:.:.:.:.:!
            ∨ノノ:.:∧  `___ ___,       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:|:.:リ:.:.:.:.:.:.:'、
             ノノj:.:.:.∧  V__ /       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.!:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
              /.:.:.リ:.:.:.:.ヽ           {:.:.:{.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:j'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.,
          7:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:'、     _,、<´ ヾリ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ソ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
           /:.:.:.:.j:.:.:.:.:.:.:.:.:`:ー┬<       ∨.:.:.:.:.:.:.:./´リ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.}
            /:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:リ、______/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:/



息子を標的にされ、さすがに人間の出来たエンジュですら拳を少し震わせながら言葉に迷ってしまった。
周囲では知り合いの貴族や部下の騎士、衛兵が自分たちを取り巻いており、
主導権が奪われたままで無視して立ち去るわけにも行かない。


7 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:37:11 ID:df0GwSCa
一187.
これでエンジュか奴の息子が釣れるはず。
どっちが釣れるのか?と期待に満ちた目で見比べると、どうやら息子の方が気が短いようだ。


        ;':.:.:.:.:.:.:.:.      !   l          i
        !:.:.:.:.:.:.:.:      ! l  .li 、 、  !    !
        〃:.:.:.:.:.:    l i l .l l i .l l li l l l l    l
       /':.:.:.:.:.:.:.  / / l l l .l l l l !l l /ナ.ノ! l   ヽ、
     ,..、;':.:.:.:.:.:.:  ./ / l /'_/' /ノ/' /''/_、" レ     lヽ
     {、.ヽ:.:.:;:: -‐、 l /-'"-tュ='' ノ '  、O弐 /      l    (そぉら、食いつくが良い)
      ヽ ./  , ,...L!.l:.!   ̄  ` .lヽ    ;       l
      lヽ/ ,-'" /ヽ、!.      !. ,    ;'       l
      .l/ ~  / /`ゝ、    ,、,ノ    l      イ
  , -ー'''~{ ,  '''   "  /''/、  丶==ッ  ./l     l .l
. /    丶  ̄ ー― 、{ノ l.\  `ニ~  //!     l ヽ
〈    ヽ  ヽ.、      l l l  \   /~  ll     l l__ヽヽ
.l   l  ヽ  ヽ丶.     l l./、  l .ー '    リl    //  ̄`''''ー、
 !  l   ヽ ヽ「~'''l    }.l ヽ  !     _,,.-/   /        ̄
 l  l      /ヽ ̄   / l  「二i _,,. - '' /  /
 .l  !     /'  `丶、_,,..-イ   / ―   イ //
. /      /0       l   /     /l/~


8 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:38:11 ID:df0GwSCa
一188.
ギャブレーの狙い通り、自分の未熟は笑われてしかるべきだが、父親を侮蔑される事は我慢ならないジュンが
試合しますと叫ぼうとした瞬間だった。



          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ    「試あ………」
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \



                                            / ̄ ̄\
                                         /  ヽ、_  \
                                        (●)(● )   |
                                        (__人__)     |
                                         (`⌒ ´     |
                                    .      {          |
                   (ジュン、やめとけ)           {         ノ
                                      mm   ヽ      ノ
                                     (⊂  ̄ ̄ ̄   ヽ
                                         ̄ ̄ ̄|    |

察したやらない夫がそれを事前に妨げる。

9 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:39:11 ID:df0GwSCa
一189.
: : : : :: : :、: : : ::::::,lll,,,,,,,,,,,,,__
: : ::_、,,、‐,l,: : : :,,ll,i,_゙゙゙llllllil,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,__
,,llll,,,lll,,i´,ll,゙l,、:,illilllllli,l,: ,lliill゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゚” ̄
lllil!llil゙゜:lllllllilll,.:llllllllllllllll::llllll!llii,,l,i、
l!lilll゙ιllllllllllllllillllll!lllllllll!,lll゙!liill!llllil,i、
illll!`lll:,lllllll!゙゙l゙!!゙lllll゙!lllllll,llll,,゙!lli゙llll!llil,i、
!l】l::lll゙llllllll:: : : : : : :|llllllllllllil,,゙lli、゙゙lllll,,、
il゚,ll:lll|llllllll: .: : : : :.::|'lllllllllll!lili,゙lll  ゙゙゙!l,,、    (やらない夫!
l゙,lllllll|llllllll:.、:::x,、:、:|'llllllllll.lllllli,lli,    ゚゙=:     なんで止める!?)
,,llll!,lllllllllll: : : : ゙'N,,,.,lllllilll|:l!ll!lli,li,
illlilil!llllllllll、::::::::.,,.::_ll!,l゙'llli,"ll` .'!li,,
llilllll:゙llllllllll、、:、:ハ::゙i!゙,l`|lli"ll
lllllll:_,゙llllllll〆":'│::.゙.:`、.=,「
!|llll'`::'!llll゙li、丶'|,!::::::::::::::i!l゙,!
::)ll′: :゙!ll゙゙l: : ::|:.: : : : :`|::l、
、'l、:: : :゙!!::`::、U,、,:、..,i,|、゙i,、
、::`::: 丶丶丶:::゙!i{h,、_,シ`::::::.|
: : : : : : : : : : : : : : : : `: : : : :l゙
: : :`: : : ::`: : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :: ,″
: : : : : : : : : : : : : : : : : △:′
、、: : : ::::::::`:::::::::::::::::: ,,-`
: `"'ヽ,,: : : : : : :`:_,,r,i´
: : : : : :゙・: : : ::‐'''~`



                                      /  ̄ ̄\
                                    /      ノ ヽ
                  (まぁ、任せておくだろ)    |::::::     (● )
                                  .  |:::::::::::   (__人)
                                     |::::::::::::::   ⌒ノ
                                  .   |::::::::::::::    }
                                  .   ヽ::::::::::::::    }
                                      ヽ::::::::::  ノ
                                      /:::::::::::: く
                                      |::::::::::::::  |
                                       |:::::::::::::::| |


とても収まりそうにないジュンを落ち着かせるよう肩を叩いたやらない夫は、
ギャブレットを視界から外す様に立つとわざとらしい咳払いを一つ。

10 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:40:12 ID:df0GwSCa
一190.

   / ̄ ̄\
 / ⌒  ⌒ \    「んっんー。
 |  ( ●)(●) |    エンジュ様、エンジュ様。
. |   (__人__)  |    この程度の未熟者と、試験のために特訓を重ねてきた
  |   \_)  |    ジュンを戦わせてもなんの経験にもなりませんよ。
.  |         }
.  ヽ        }     むしろヘボ過ぎて悪影響じゃないかなー」
   ヽ     ノ
   /    く


                                               _____
                                           /:::::::::::::::::::::::::::ゝ、
                                        ......::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::ヽ
                                       〈:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ミヽ
               「何!?                     >;;:::::::::::::::ヽ:::::ヾ::::::|ミ::::::::::::::::::::ヽ、
                誰が未熟者だって言うんだ!     .〈:::::|:::::::f:::::::::;;''')::::人::ハミ:::::::::::::::::从
                                        i:::|::::::::トミ''   〈::::{ /}::L ミ::y-ミ::ヽ
                と言うか、お前誰だ!」          |::|::::::::::::::ヽ   ):)fイ:丁 ソr}k ):| )
                                        |::|::::::::::Y}::|__  ~  ¨´     Y/:::l
                                        { ヾ:::::::::t k夕         r':::::jゝ
                                            ̄ゝ(ヘ  <   _     ヾリ
                                          (    ヽ   ´    /   ヽ
                                                > 、___/---──ゝ.
                                                z-≠─- 、   ヽ へ─--ヘ
                                             |      \    `    ゝ、
                                             |        \         \
                                             |         \         \




予期せぬ登場人物に鼻白んだシンジは当然の問いを口にしたのだが、そんな彼にまぁまぁ、と
手を振ったやらない夫は、鼻の下を指で擦りながら剣呑な表情が取れつつあるエンジュに言った。

11 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:41:11 ID:df0GwSCa
一191.
      / ̄ ̄\
    /   _⌒  \
    |   (●)(ー)  「お遊戯がしたい、と言うのなら
    |   ⌒(_,,人__)   今日のところは俺が相手してやりますよ。
    |   ∩ノ |;;;| }   ちょうどダンスの練習がしたかったところですし」
    |  /_ノ"' }
    /ヽ/  /    }
   (  ヽ  /_ ノ
   7.ヽ__/   \


                                         rf( ̄ヽ -― ´ ̄ ̄ ` ヽ
                                       ,へく入/ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ、   \
                                 .    / イ                 \
                                 .、  ∠  /     } ヽ   `ヽ、       \
                「やらない夫………」       ̄.フ´./       /  ハ   V  \    ヽ.    ヽ
                                  / /      /    {   ヽ、      ヽ    :.
                                 . '/{/         i {     \ \ \_.ノ   \   }
                                 .八 }  /     ! V     \ }  ̄`  _ \.ヽ. l
                                   /  ,イ.   i /\_ヽ_.、.   ヽ! _ ノ    、.、リ
                                 . 厶.イ八  i | ,イ ̄ヽ.\\i ヽー―く ̄  ̄ ヽ、∨
                                    ヽ{ ヽ. {八 { テt::: ァヾ. 、.!  }、 >) `ヽ___ ヾ{__
                                     `  ヾ! ヽ、  ̄     ノハ ノ ) //      ̄`Y `ヽ
                                        /            ノく._〃-――   , イ   〉
                                        ヽ.          ´   / ̄フフツxz、/ .ノヽ  /
                                          \ _ _       /: : : : : :   {ト、     ソ人
                                           ヽ      ノ: : : : : :   ∧. }!   (’
                                               ヽ -― く´: : : : : : :    ∧ノ
                                                 }_______∧_
                                               /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..}
                                              ∠ ___:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__ヽ.
                                            /:::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄::::::::::::::ヽ




12 名前なんて無いだろ常識的に考えて 10/07/31 21:42:11 ID:df0GwSCa
一192.
           ___
       ,. -'"´     `¨ー 、
     /          ヾ  ヽ、
    /             };  ヽゝ.
   /      r´   __, ..イ ト┬-、i    「まぁ、どうしても構って欲しィ-!言うのであれば、
   ,'       L._∠,´.!___,.ノ ヾ, ̄ ヽ,    募集の正式な試合で遊んでやれば良いんじゃないですか?
   i                 }    }
   |          ヽ ,___,,ノ`ー-'ヽ,   つまり、ジュンは棚ぼたで勝ち星を一つ手に入れる訳ですが」
   i                ̄ "'''"´  }
   :                     ./
   i   確実に勝てるなんて     ,!
   i    ああ羨ましい羨ましい  !
    ',                   {
    i                   !
    .}    !               }
    i     ヽ、          i  ,'
    l      ヽ、         |. /
    /        ヽ..,,____,,..ノノ
  ノ                  {



ジュンも、真面目で礼儀正しい奴だと思っていたやらない夫の見知らぬ一面に、完全に毒気を抜かれていた。
普段の彼が素なのは疑う余地もないが、こういう演技をこなせるのもまた、冒険者故の強かさなのだろう。

13 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:43:11 ID:df0GwSCa
一193.


          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|  「やらない夫………」
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \


      ._ _ _ コン☆
    (ヽl_l_ll_l,l
     |/ ̄ ̄\
   / ノ  \ \     「ああ、もちろん訓練刀でお願いします。
   |  (>)(●) |     俺は手加減が下手なんです、
.   | //(__人__)//|     真剣だと間違って彼の片腕ぐらい切り落としてしまうかもしれない。
    |   ` U ´  ノ
.    |         }     大事な募集試験の前に、そんな重傷を負わせてしまっては
.    ヽ        }     気の毒ですからねぇ、アハハハハハ!」
     ヽ     ノ
     l/   く   \



何とかこの場の対戦を避けようとするやらない夫とエンジュは、シンジがジュンよりも余程強い事を見て取っていた。
もちろんギャブレットもそれを承知で挑発し、戦いを仕向けているのだが。


14 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:44:11 ID:df0GwSCa
一194.

             r:::::、  _
          r:::::::::::ミ´::::::::::ヽ
           {:::::::::ミ::::::::ヾ:::::::::ヽ        「へぇ、なかなか言うじゃない。
          ノ:::::::Yヘ::::、::::j:::::::::::::)        口だけじゃないと証明出来るか?」
        (:ハ:::::( j:::::}::::}:::::::::::::ゝ
         〈::ィ::,ィ ヾNゝミ::::::::::从
          ネjfヲ  ( fヲYハ ^〉/
          ヽ r        <__
            \マユ / ./:::ゝー、_
           /.:.:.:ゝヘ__/::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ、
           |.:.:.:.:.:.:|l|.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
           |.:.:f.:.:.:゙{l{;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ


   / ̄ ̄\
 / ⌒  ⌒ \
 |  ( ●)(●) |   「どうだろうなー?
. |   (__人__)  |   よく見ればシンジ君ったら意外にお強そう?
  |   \_)  |
.  |         }    もしかしてギャブレットのお父様よりも強かったりする?」
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   /    く


             ___ .,.、.-..、 ,,...___
             >:.:.:.:.:`ヽγ:.:. ̄`ヽ、
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
           /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.、
           /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
         /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',         「くっ、小僧ッ………」
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
.     /イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.|!:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.ヘ:.:.:.:.:.:.:',
       イ:.:.:.:.:.:.:/:.:/:.:.:.:.:./!:ハリ:.:.:.:.|.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:ヘ
         !:.:.:./:.;':.:.:i!:.:.:.//イ ∨ト、:.!.:.:.:.:.:.リ:.:.:.:.!:!.:.:ヽ
       j:.:.:.j:.:.i:.:.:.リハへ〈ノ  ト、ハ∠从リ.:.:.:.:.:.:!:.:.:ヘ\
    .  ノ:.:.:{:.:.:ヽ从こ互ゞ彡゙レ<9ゝ`リ.:.:.:.:. リ:.:.:\
    イ:.:.:.:.:.:.:):.:.:.:ヘ       :i     j.:.:.:.:.:.:リ:.:.:.:.:.:.:\
    //:.:.:.;.イ:.:.:.:.:.:.ヘ     〈:|      /!.:.:.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ
  //:.:.:;ィ彡イ:.:.:.:.:.:.:∧     `´   イリ.:.:.:.:.:ハ、、.:.:.:.:.:.:.:ヘ
  /__,イ/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ.  に コ   /ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:\`::ー―┴――
::: ::::::::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /   \  ー  ,イ/ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j`::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,イ        ー‐<   `リj.:.:.:.:.:リ:::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::リ!:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::l   ___  :|  __  //:.:.:.:.イ::::::::::::::::::::::::::::::::::


普段、自らが口撃を仕掛ける性格だからか、シンジは余り挑発には乗ってこない様子だった。
だが、自分を尻目に勝手な会話を続けるやらない夫を睨むギャブレットは
余程気にくわなかったのか、無意識のうちに右手が剣の束を握りしめている。


15 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:45:11 ID:df0GwSCa
一195.


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              '               ` 、ヽ
              l              ,‐-,.._ ゞ
          .   l              l 弋心 l
          .    l              冫.ー く
             l               l    ノ!
             l               `ー‐ f r'

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



おどけて軽口を叩いてはいるが、目で訴えかけてくるやらない夫の表情に、はっと冷静さを取り戻したエンジュは少し考え
口をパクパクと動かしているギャブレットを冷ややかに見つめた。



          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i    「そうだな。今日はそうしておこう。
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |    ギャブレー殿もそれでかまわないな?」
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


16 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:46:11 ID:df0GwSCa
一196.


               ___ .,.、.-..、 ,,...___
               >:.:.:.:.:`ヽγ:.:. ̄`ヽ、
               /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.、        「か、かまわんっ!
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',         随分大口を叩いてくれるが、
            /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',         そいつの腕は確かなのだろうな!?
          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
       /イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.|!:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.ヘ:.:.:.:.:.:.:',        一瞬で降参して恥をかくのはエンジュ殿だぞ!」
          イ:.:.:.:.:.:.:/:.:/:.:.:.:.:./!:ハリ:.:.:.:.|.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:ヘ
          !:.:.:./:.;':.:.:i!:.:.:.//イ ∨ト、:.!.:.:.:.:.:.リ:.:.:.:.!:!.:.:ヽ
        j:.:.:.j:.:.i:.:.:.リハへ〈ノ  ト、ハ∠从リ.:.:.:.:.:.:!:.:.:ヘ\
         ノ:.:.:{:.:.:ヽ从こ互ゞ彡゙レ<9ゝ`リ.:.:.:.:. リ:.:.:\
     イ:.:.:.:.:.:.:):.:.:.:ヘ       :i     j.:.:.:.:.:.:リ:.:.:.:.:.:.:\
    //:.:.:.;.イ:.:.:.:.:.:.ヘ     〈:|      /!.:.:.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ
   .//:.:.:;ィ彡イ:.:.:.:.:.:.:∧     `´   イリ.:.:.:.:.:ハ、、.:.:.:.:.:.:.:ヘ
  .//__,イ/:.::.:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ.  に コ   /ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:\`::ー―┴
 ::"´::::::::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /   \  ー  ,イ/ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j`:::::::::::::::::::
 :::::::::::::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,イ        ー‐<   `リj.:.:.:.:.:リ::::::::::::::::::::::
 :::::::::::::::リ!:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::l   ___  :|  __  //:.:.:.:.イ::::::::::::::::::::::::



忌々しげに吐き捨てる父とは対照的に、獲物が増えた、と残忍な笑みを浮かべるシンジ。



                 ___...、
                 _,/:.:.:.:.:.:.:.ヽー‐ュ
               ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__
              j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
              /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vヘ:.:.:l.:.:.:ハ         「ただし、募集の時には
          イ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ `"´}:.:〉:.:.:.:ヘ         僕とジュンが初戦で戦えるようにしてくださいね?」
          く:.:.:.:./:./ノ):ハ:.)  /:.;ハ:.:.:.:トゝ
           ):.イ:.〈ハリ≧、(   ,)斗ト:.γ
          ノハ/こハ)込) )   込)ヽハリ
               ∨(       、  /
              |ゝト  、___´  /
            ノ从 ヽ      /
              __|  >  イ
               _r┘:.:. ̄ ̄`|||´|
       _.,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ー:.:-.:.:.:.|||:イ¨:...、 _
   ,. <´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}}}.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.ー...、 _
   /.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.,

17 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:47:11 ID:df0GwSCa
一197.

    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L       「それは簡単だ。
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l    ………決まりだな、鍛錬の間へ行こう」
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \



これ以上言葉を交わすのも無駄に感じられるエンジュを先頭に五人は鍛錬の間へと向かい始め、
はらはらとやりとりを見守っていた貴族や、持ち場を離れても大丈夫な騎士が少し後に続く。


18 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:48:11 ID:df0GwSCa
一198.
::::::::::::::::::::::::::ハ::::::::::::::/i// i:::::::::::::::::::::::::|::::::|:::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::\
::::::::::::::::::::::::::::ハ;;;;;;;;;/-'´   .|::::::::::::::::::::::::ト::::: ト::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::ハ ̄       |::::::ハ::::::::::::::| \i \::::::::::::|:::::::::::::::::::::ハ
::::::::::::::::::::::::::::;:::ハ        |:::/ V::::::::::リ    ィ=ハ:::: |::::::::::::::::::::::::\
:::::::::::::::::::::::::::::iヽ:ヘ      |:/   V::::::/   /イ=フi}ヾ─────'`  (やらない夫!
ヽ:::::::::::::::::::::::::| \ヽ     |i!    }::/   r''´ゞハi l:ヽ           何故あんな事を言ったんだ!
::::\::::::::::::::::::::|   \   __ニ三イ   ||r j}i| .i lヾ}
::::::::::\::::::::::::: |   /::::_,,,ィ彡=''´i/il_,==|.しソハ ノノ-、           アイツに勝たなきゃ意味がないのは僕なのに!)
:::::::::::/ \::::::::::ヾ /:- ''´>''´ -=イ`  ||r'´` ハ彡 y/: : : :\ニニミ-、
::::::::/   `ー- xゝ rィ彡''´イッ:::リ  /i   ミー=´i: : : : : : :`:-:、: : :}ソヽ
:::::/::ハ_____/ /  / ヒ:::..ソノ {.リ    }.  l-、: : : : : : : : i: ://: :ハ
 ̄ヽ──────、ハ ヾ  ゞ''´  ノノ    ./  ./: :ノ: : : : : : : : l: i l: : : ハ
i ヽ ` -ゝ      ヽヽ ミ=''´ //       /: : i: : : : : : : : : l: i l: : : : :ヽ、
{  ハ         \\__//    , ィ /: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : \
 `   廴     し   ー─''´    ir'_´'´ ./: : :/: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : /
>、_   ー                     /: : :/: : : : : : : : ::/: : : : : : : : : : :/
: : : : : >-、_ハ、               ハ/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : :/ハ



途中、熱くなりっぱなしのジュンの囁きに、声を落としたやらない夫は落ち着けよと首を振った。


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)  (今試合をして負けたら、それこそ
. |     (__人__)   エンジュ様の顔に泥を塗ることになるぞ。
  |     ` ⌒´ノ   まぁ、今日は俺に任せておくだろ。
.  |         }
.  ヽ        }    それよりも―――)
   ヽ     ノ  mm
   /    ̄ ̄ ̄ つノ
   |    | ̄ ̄ ̄

19 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:49:14 ID:df0GwSCa
一199.


                ̄    、
            ´          \
     /                ヽ
      /           、_  ヽ
    '               ` 、ヽ
    l              ,‐-,.._ ゞ    「―――見逃すなよ?」
.   l              l 弋心 l
.    l              冫.ー く
   l               l    ノ!
   l               `ー‐ f r'
   l                  ノ'
   !                     /
   ,'                   /
 ̄ `ー -               /
        `  、        /
:.:.:.:.:.:...        、      /
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..      .:.:ヽ _ ´
ー- :.:.:.:.:.:.:.:..   ..:.:.:.:.:.:ヽ
    ` 、:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
       、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
       ..:.`:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
      ..:.:.:.:.:.:.:.`:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



男であるジュンですらハッとする程の強い眼差し、胸を突き抜ける声。
将来、英雄と呼ばれる男の有無を言わせぬ圧力と、何らかの意図を感じる言葉に遮られ、
ジュンはもうそれ以上言うことは出来なくなっていた。

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━……

20 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:50:13 ID:df0GwSCa
一200.
━━━━━━━━━━━……
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一行が到着した鍛錬の間はかなり広く、多くの騎士が汗を流していた。
騒がしかった室内に二人の団長が訪れたので見物していた騎士も、試合をしていた騎士も、
訓練の手を止めて敬礼をしてくる。



                      _/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/|
                      \  エンジュ団長!ギャブレー団長!      /
                      <     おはようございます!!        >
                      /                           \
                        ̄|/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/ ̄
             _                       _                       _
          / ̄ ̄\\                  / ̄ ̄\\                  / ̄ ̄\\
        /     ヽ ヽ、              /     ヽ ヽ、               /     ヽ ヽ、
        |、       ゙i ゙iヘ              |、       ゙i ゙iヘ              |、       ゙i ゙iヘ
       〔\`'‐-    └' i             〔\`'‐-    └' i             〔\`'‐-    └' i
       |∩ \_     _|             |∩ \_     _|             |∩ \_     _|
       |∪\ |´`''''''''''''''''''''i|            |∪\ |´`''''''''''''''''''''i|             |∪\ |´`''''''''''''''''''''i|
      / |||/  `''''''´´ ̄l 「'''/           / |||/  `''''''´´ ̄l 「'''/           / |||/  `''''''´´ ̄l 「'''/
      |         ,-l l l            |         ,-l l l            |         ,-l l l
      \iiiiiiiii   ///  ヽ___          \iiiiiiiii   ///  ヽ___          \iiiiiiiii   ///  ヽ___
     /ヘ`'''''ヽ      ェュ 丿\ ヽ       /ヘ`'''''ヽ      ェュ 丿\ ヽ      /ヘ`'''''ヽ      ェュ 丿\ ヽ
 / ̄|::::::::::\  \__(⊃-‐‐⊂)‐゙i::::ヽノ   / ̄|::::::::::\  \__(⊃-‐‐⊂)‐゙i::::ヽノ  / ̄|::::::::::\  \__(⊃-‐‐⊂)‐゙i::::ヽノ


21 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:51:11 ID:df0GwSCa
一201.
          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i       「皆ご苦労。
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |        済まないが少しばかり
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、           試合場を借りる」
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L



エンジュの言葉を聞くなり騎士達はばたばたと片付けを行い、試合場の端に整列した。
と言っても彼らの殆どが第一騎士団所属の者、つまりエンジュ直属の部下である。
逆側のギャブレー親子の周りには誰も立とうとせず、これだけで敵陣と味方とが分かれた形になってしまう。



22 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:52:11 ID:df0GwSCa
一202.
その間、ジュンに案内されたやらない夫は訓練刀の棚に向かっていた。
ざっと見回した後、取り出したのは普段彼が使っているのとほぼ同じ大きさのバスタード・ソードである。


          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i    「やらない夫、頼むぞ」
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L
                                                      / ̄ ̄\
                                                     _ノ  ヽ、  \
                                                   ( ●)( ●)   |
                                                   (__人__)      | ../}
                                             _       ヽ`⌒ ´     | / /    __
                                          (^ヽ{ ヽ      {        ./ /  . / .ノ
               「任せてください。               ( ̄ ヽ ヽ i      ヽ      / 厶- ´ /
               相手の癖、得意技、弱点、組み立て、 .(二 ヽ i i |,r‐i    ノ.   ヽ /     /
               全て暴いてやりますよ」            ヽ   /  ノ  /    r一'´ ー 、   ̄ ̄ ̄)
                                          i   {   イ―イ /   .`ー―. 、__ .〈 ̄ ̄
                                          ヽ. `ー '/   /           /\ \
                                             `ー '  ̄ ̄!           |  ヽノ



そこへ近づいてきた父との会話を聞いて、やっと彼の真意を理解する事が出来た。
やらない夫はジュンの避ける事の出来ない相手であるシンジと予め戦う事で、相手を分析しようとしているのだ。
そして、試験までの短い間にそれを伝えようとしている。

23 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:53:11 ID:df0GwSCa
一203.

            /:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|:.:.\
        _ - ' ´:.:.::.:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.::\   ,
       ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::、:.:.:.:/ //
         >:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.:.:.:.:.:.:レ:.:.:/
         /:.:.:.:.:.:./:.:.:.:._;,;,-‐''''´:.:.:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.-='´     (今の僕じゃ、確実に負ける………からか)
        ` -、:.:.:/:.// ゞ:.x 、-ー ''´|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.\
          レ、:レ´∧ / `  \ .ヾ|:.:/|:.:.:.:.:.|:.:.:r、_::ゝ
            ミ,;,;:.::|       `>ミ_.|:.:.∧|:.:.:.:}
     ,__ r‐─ v'´  ヽ     /ヾ∠.|:/|:./:.:.:.:.|
    /.: : : : : : \: : : :\   、   _ ヽ '´ |'' ´ レハ:.:./
  //\: : : : : : \: : :: :>v \  ヾ_ , -―
 .//: : : : :\: : : : : : V/: : K: : : ミ'´
../: : : : : : : : :\: : |: : V: ∨: V: 入
/: : : : : : : :: ::: : :V: : : : : : \//: :/ヽ



シンジの名は知っていたが、剣の腕については全く把握しないまま試合を受けようとしていた自分の浅はかさが恐ろしい。
激情に流され相手の実力を計れないまま、負けることの出来ない戦いに赴く事のなんと無謀な事だろう。

24 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:54:11 ID:df0GwSCa
一204.
そして、誰かの為に戦う事がどんなに勇気の要る事か少しだけは知り始めていたジュンにとって、
さも当然のように先に立ったやらない夫はとても大きく見えた。



              i::::\    r::'::´::::::::::::::::::::::/_
              ヽ:::::::\.  |::::::::::::::::>-...':::´:::::::::\
           __ ≧::::::::\i!:::::::::r、'::::::::::::::::::::::::::::::::::\
         /::::::::::::::::/\:::::::::|:::::: /:::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::\
        /::::::::::::::::/:::::::::\::::::::/:::i:::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::...::::`:::-.._
       /_:: -─イ::/::::::::::::::i::::::\/:::::|::::::::::::::: \:::::::::::::::::::::::\___::>
       ̄,...-:':´:/::::::::::::::::|:::::::::V:/: |:::::::::::::::::::::ハ::::::\:::::::::::::::::`:-._
       /::::::::::: /::::::::::::::::::::::|:::::_:ィ=-.-|::::::::::::::::::::::::i:::::::::::\:::::::::::::::::::: ヘ
        /:::::::::::::i::::::::::::::::::::::::|'´     .|:::::::::::::::::::::: :|:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::ヘ
      /::::::::::::::::ハ:::::::::::::::、:::::|       .|:::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::\::::::::::::::::ヘ    (僕は弱い。何故だ?
    /:::::::::::::::::::::ハ:::::::::::::i \ヽ    .|:::::イ::::::::::: ハ:::|::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::\   彼は強い。何故だ?
   /::::::::::::::::::::::::::ハ:::::::::::|__ゞ'__ |::/ i:::::::::/_ヾト::::::::::::::::::: |::::::::i ヽ::::::ハ
. /:::::_::_:: - フ:::::::::::::::ト-三ニニ==≦ レ |::::三ニニニ=ヾ:::::::::::::|::::::: |  `ー-`-
       /::::::::::::::::::| |r::::|て芯ミヾ Y}   .|::::/ ≧ニニ=ミヾ::::::: |::::::::ハ       僕は強くなりたい!
        /:::::;:::::::::_| | ヾ i!;;;....;;}  i }ニニニi」 {ヒイ:::::} > i l\::|::::::::::ヘ      やらない夫みたいになりたい!)
     // /::::::/>‐ハi   ゞー' <iリ    レi l  廴../ イ //::::::ゞ:::::::::::ハ
     /  ハィ::::i -ハヾニニニニ彡   i   ミ、____.//-、::::::::ヽ ̄  ̄
         ヾ i - ヘ           ;     ̄ ̄ ̄ ̄/ハ i:::::i ̄
            ヾ、∧         _        /  ノ-''´
             ーヽ       ´  `       /-'/
               \       ..::       /-'´
            _   ` 、          /
           /: : :`: -..、  `i' 、   , ィ' ´
          /: : : : : : : : : :`: x.ノ  ` ´  |      _
   ,...-::'::´::: ̄::`::-::::_: : : : : : : : :\_     ト、   /: : : :ヽ
 r'´: : : : : : : : : : : : : : : :`:ー-: : :_: : : :`ー. 、 .>'´: : : : : : : : : :>_
 }: : : : : : :-: :、: : : : : : : : :: : : : : : : : : ̄: :ヾ: ::Ⅵ: : :: : : :_: -:'´: : : : :ハ



昨日、やらない夫に助けられてから感じていた心の中のくすぶりが燃え上がる。
自分の弱さが恨めしい。自分の未熟がもどかしい。
彼の強さが羨ましい。彼の様にふるまいたい。

今まで見つける事の出来なかった未来に向かうための道しるべが、
いつの間にかやらない夫の背中を指している事を、彼はおぼろげながらに自覚し始めていた。


25 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:55:11 ID:df0GwSCa
一205.
試合場の反対側。
ギャブレットはエンジュの息子については情報を集めさせていたが、昨日の最終的な顛末は
詰め所に連行された事しか聞いていない。
やらない夫と言うのは、どうせ大した事のない相手だと高をくくって息子に残忍な指示を出す。



        ;':.:.:.:.:.:.:.:.      !   l          i
        !:.:.:.:.:.:.:.:      ! l  .li 、 、  !    !
        〃:.:.:.:.:.:    l i l .l l i .l l li l l l l    l
       /':.:.:.:.:.:.:.  / / l l l .l l l l !l l /ナ.ノ! l   ヽ、    「あの小僧、少しはやるとの話だったが
     ,..、;':.:.:.:.:.:.:  ./ / l /'_/' /ノ/' /''/_、" レ     lヽ    お前の敵では無いだろう。
     {、.ヽ:.:.:;:: -‐、 l /-'"-tュ='' ノ '  、O弐 /      l    何ならアレを使っても構わないぞ」
      ヽ ./  , ,...L!.l:.!   ̄  ` .lヽ    ;       l
      lヽ/ ,-'" /ヽ、!.      !. ,    ;'       l
      .l/ ~  / /`ゝ、    ,、,ノ    l      イ
  , -ー'''~{ ,  '''   "  /''/、  丶==ッ  ./l     l .l
. /    丶  ̄ ー― 、{ノ l.\  `ニ~  //!     l ヽ
〈    ヽ  ヽ.、      l l l  \   /~  ll     l l__ヽヽ
.l   l  ヽ  ヽ丶.     l l./、  l .ー '    リl    //  ̄`''''ー、
 !  l   ヽ ヽ「~'''l    }.l ヽ  !     _,,.-/   /        ̄
 l  l      /ヽ ̄   / l  「二i _,,. - '' /  /
 .l  !     /'  `丶、_,,..-イ   / ―   イ //
. /      /0       l   /     /l/~



わざわざ階段の上で待ってまで、エンジュとジュンを陥れようとしていた自称頭脳派は
自分の描いた筋書きを覆した生意気な小僧を許すつもりは無かったのだ。



                 ___...、
                 _,/:.:.:.:.:.:.:.ヽー‐ュ
               ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__
              j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
              /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vヘ:.:.:l.:.:.:ハ     「もちろんそのつもりだよ。
          イ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ `"´}:.:〉:.:.:.:ヘ     人間相手に使ってみたかったんだ。
          く:.:.:.:./:./ノ):ハ:.)  /:.;ハ:.:.:.:トゝ
           ):.イ:.〈ハリ≧、(   ,)斗ト:.γ     ………試合中に相手が死んでも
          ノハ/こハ)込) )   込)ヽハリ      罪には問われないんだよな?」
               ∨(       、  /
              |ゝト  、___´  /
            ノ从 ヽ      /
              __|  >  イ
               _r┘:.:. ̄ ̄`|||´|
       _.,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ー:.:-.:.:.:.|||:イ¨:...、 _
   ,. <´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}}}.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.ー...、 _



いかに刃を潰して訓練用にと切れ味を無くしてある訓練刀でも、当たれば怪我をするし下手をすれば死に至る事もある。
事実、数日前に第二騎士団の訓練中に死人が出たほどだ。


26 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:56:11 ID:df0GwSCa
一206.
そして、『予定通り起こった不幸な事故の犠牲者』の相手していたギャブレットは、
遺族に支払われる補償金を国庫に任せて今ものうのうと城内を闊歩している。



        /                     ヽ  ヽ
      /                       ヽ  \
    /                          i    \
     i/           /!  / |  i        l     ` ー―ァ-‐  「出来れば息子を殺って欲しかったが
    レ1   i   /  / l   ! ! !l   l              /    なぁにあいつもエンジュの知り合いの様子、
      | /  | │! | l   ! l | ヽ ト、             ∠ _     最悪でも再起不能にしてくれると
      ! |   !  { \L._ヽ! { ヽ ヽ{_,.>‐、_      ヽ_/      この父としてもやりやすい」
      ヽ!  \_\.ー赱Tヾ ゝ.'" r乏‐   /!      l
        >!    ヽ     , i       / |        !
  -‐  ¨  }   ハ    〈. |       / /       |
       ,イ     ∧    ー       / ,!        Y
       |      {ヽ   ー_一    //|         !
       |       ヽ\       ,    j        /
       ぃ       i  \    . イ   /       /
          !      リ   |  ̄ 才´  !     /
        ヽ    }    |    |  │   l /´
         \  ,ノ    |    l    !  /イ



当然、と言うべきか。
騎士団でも鼻つまみ者のこの親子に近づく騎士などおらず、怪しい二人の不吉な囁きは他の者には届かなかった。



27 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:57:11 ID:df0GwSCa
一207.
時間が経つにつれて、注目は剣を持って柔軟するやらない夫と、そのやらない夫を睨んでいる
シンジの二人に集まっていった。



                                                  _____
                    _                         /:::::::::::::::::::::::::::ゝ、
                     巛.4゛\                   ......::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::ヽ
                 _  ⊂ ̄  ヽ,,                〈:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ミヽ
               O(((<ヽ   ~゛.-=ニニi                >;;:::::::::::::::ヽ:::::ヾ::::::|ミ::::::::::::::::::::ヽ、
               .\^( .|_,,,,....,,,,_|    .|               .〈:::::|:::::::f:::::::::;;''')::::人::ハミ:::::::::::::::::从
             ,,.. -=彡 ̄      .|   .|,,丶              i:::|::::::::トミ''   〈::::{ /}::L ミ::y-ミ::ヽ
            / /.        |    | \ \            |::|::::::::::::::ヽ   ):)fイ:丁 ソr}k ):| )
          // _/  _,,...,,_,. ..,,__,」、   |  \ \          |::|::::::::::Y}::|__  ~  ¨´     Y/:::l
         ./y'  > /  / ノ    !\.  |   Yコl二i        { ヾ:::::::::t k夕         r':::::jゝ
        /」 / ./._(  ノ           .|   ! . ヽ!            ̄ゝ(ヘ  <   _     ヾリ
        / イ .i ̄ \、_____,,... -ー''    |  \i          (    ヽ   ´    /   ヽ
   / ̄ ̄\ | ヽ、      ,,,,.. ー-<_,,...      |   |                > 、___/---──ゝ.
   {      \ ノ ~彡='^゛     i\       .|    |                z-≠─- 、   ヽ へ─--ヘ
   { ,ー、      ヽ            | ゛ヾ    . |   |             |      \    `    ゝ、
  ( ̄人 ̄)     }             L,,_      .|   .|              |        \         \
   (●)(●)     |            |゛ー-= 、  |   .|              |         \         \
    ヽ         /           .!    !~゛~  . |              |                     \
     \__/      .       ヾ    !     .|               |           イ          }
                          |    !      .|               f\   ノ       ヘ          }
                                                {  \イィ´ ̄      ヘ         }



腕組みをして微動だにしないエンジュの横で、はらはらしながらもやらない夫の勝利を信じてるジュン。
正反対側では、これから起こるはずの不幸な事故を想像したギャブレットが一人でにやにやとしている。


28 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:58:11 ID:df0GwSCa
一208.
                             ___
              _ -―――――-< ̄} }!
             ´      -――7  く.7./-、
         ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
        /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
      /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
      /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.     「君、審判を頼む。
      |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、    二本先取だ」
      |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
       {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
 .     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
      | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
    ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
   〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
    }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
   八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
     }ハリ {´ i       ヽ       /
    ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
         _∠_____    ヽ.
      /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
      入 _ _____   _厶、
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\



そろそろか、とエンジュはそばにいた騎士に指示を飛ばした。
彼は自分の部下であるので、少なくともやらない夫に不利な事はしないだろう。



                                      | ̄|
                                 / ̄|  | ̄`\
                                /    .|  |   ヽ      「ハッ!」
                               /     .|  |    ヽ
                             /|ヘ    .|_|     //ヘ
                             | ヘヘ______,// | ,--------、 ,------、
            ,-‐'´ ̄ ̄ ̄ヘ-'''''ヘ |'''‐-,___________,,--‐l/ ̄l/        V \\ |
          /         ゙i | | ヘ,,,-‐‐‐‐i i‐‐‐--,,l///|        |  ヽ l |
         /           ||( ヽヽ   ゙i .i   / / ) |        /   ヘ| ||ヘ
         /            || ゙i  \,,,,,,,-i i-,,,,,/ / / |\      ノ __--/ //  |
     ,,,-‐‐‐\__      /|  ヽ' ̄        ̄`ノ  |::::ヽ___ノ_,,-‐‐ヘテ    |
   /_        `'''''|─‐‐'::::::|   \   ,--、   丿  |::::::::::::::/      ヘ     |
 /_    ̄        |,,::::::::::::/      ⊂⊃   ⊂⊃     ヘ::::/          ヘ   |
/::::::::/ ̄ ̄ ̄\、/ ̄`\___ ̄'''i         i         /|           ,-、|__|
| |::::/        \      `''‐-、_      |        / |           ヽ::::/ ̄|
\ \       / ̄'´ ̄ ̄`'ヽ     ''‐-、_  |         / ノ             〉__\//




29 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 21:59:11 ID:df0GwSCa
一209.
よくある一本制ではなく、二本先取の指示に不思議に思いながらも壇上に駆け上がった騎士は
両側の二人を呼び寄せ、



          mm
         // ///
       // ̄ ̄/          ,______
       ゝ   /n        //  `ヽ
      ,--l---、 丿       /─'     ヽ     「実戦形式、二本先取の試合である。
      /    /         l___エニニi
     /    /         |-i ,-、_  / Θ|     一本目、始め!」
    /     |          | ll  `-'/i||||l
    /     |          i /\ '´    |
   /     |          /    \    )
  〈__,----'  ,_     (0)只(0)  -‐ ̄,――、
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ ̄ヘ  ̄'ヘ,-----/ ヘヽ    l/ ヘ\  \
   ヘ;;;;;;;;;;ノ  /;;;;j   /___i  ヽ_,'´ ̄  ヘ;;;;\  ヘ
  /;;;;,,,,/  /;;;;;;;;|   ヘ;;;;;;;;;;;;;;ノ     |    ヘ;;;;;;;;\|
  `ヽ____/;;;;;;;;/    ヘ;;;;;;;;/      ヘ     ヘ/ ̄j
           ヽ___l;;;;;;;;/      ∧     /   |



さっ、と腕を振り下ろした合図で試合が始まった。


30 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:00:11 ID:df0GwSCa
一210.
やらない夫はバスタード・ソード、シンジはロング・ソードをそれぞれ構えているが、お互い出方を探るように
その場から動こうとしない。



                  r:::::、  _
                 r:::::::::::ミ´::::::::::ヽ
                 {:::::::::ミ::::::::ヾ:::::::::ヽ
                ノ:::::::Yヘ::::、::::j:::::::::::::)        (死ね!死ね!死ね!
               (:ハ:::::( j:::::}::::}:::::::::::::ゝ          今から僕が殺してやるから
                〈::ィ::,ィ ヾNゝミ::::::::::从                 速やかに死ね!)
                 ネjfヲ  ( fヲYハ ^〉/
                 ヽ r        <__
    ,.':⌒:ヽ           \マユ / ./:::ゝー、_
    い...::;;;ノ\         /.:.:.:ゝヘ__/::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ、
    \ー:'::M:::\       |.:.:.:.:.:.:|l|.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
      \;;::::I::::::\      |.:.:f.:.:.:゙{l{;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
        \;;:::Z::::\     |.:.:ヘ.:.:.:.゙ミx:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:)
         \;;::U:::\   |.:.:.:.|.:.:.:.:|l|.:.:=====:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:j、
           \;;:N:::\  |.:.:.:.|.:.:.:.:|l|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ー-、:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
             \;;O::\|.:.:.:.|.:.:.:.:|l|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.ヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:\
               \;;::::\:.:.:.:|.:.:.:.:|l|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
                \;;:::\.:.:.:.:|l|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:イ ヽ..:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
                  \;;::\:.:|l|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノl ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
                  |.:.:.\;;:\|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  辷ニー-::.:.:.:.:



   .     . / ̄ ̄\
        / _ノ  ヽ、 \
        | (●)(●)  |  ./´`;       (二本先取なら
  .      |  (__人__) .|. ./   / ,. -、    一本目はアイツに取らせるだろ)
        |   ` ⌒´  ノ .ィ.  / / /
         ヽ      }./  /''  ∠__,,,...、
       / ̄ヽ   _....ノ_   . ´    __.ノ
     . /  ∧r'"´    `ヽ    <´
   .  /    i | `''ーr 、,        ,._ `ヽ.
     {  /\ノ       ̄'ヽ、.,__,.イ  `' ー'
   .. `‐|\ \___
      |_ヽ-' /
       ヽ__/



31 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:01:11 ID:df0GwSCa
一211.
なるべく長い間、シンジの剣術をジュンに見せておきたいやらない夫が先に動いた。
間合いを詰めて軽く突きを繰り出すと



                  / ̄ ̄ \
                /      \ヽ    「ハッ!」
               |       ( ●)
               |      (___ノ)
                |         ノ
               . |        }
               γ    ⌒` ̄ ̄二─=三── ̄\
             //      _ _≡三_____i´i´i´{:lニニニニニニニニニニニニニニニゝ
             / /         /      =三 ̄
               ゝ__/         /
                 /         /
            /       /   \
           /    / `\     \
         /    /    `ン    !
        /    /      /    /
      /    /       !、____`)
       !、____`)



                                    __,l'''''‐-.,_ ___
                                _,,r‐'''´:.:.:';.:.:.:.:.:.:`'´:.:. ̄''ヽ、
                                `i,;,;.:':.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
                                ,/',;,;,;,;',;/.:.;.':.l:ヾ,r''7:.:.;.:.:.:.:,;,;`、
                   「チョロいね!」   ム7:,/:.:.:,iヾ,;,<´`''''7:,;.:.i;,:.:.:,;,;,;,;,`
                                く;レ!;r',r-ゝV_  _!.:i;.:.iヾ,;.:,;,;r'´
                               .r'´、ト! ' ,f。 ,!   レ'--'、i'i,;,i,;,ヽ
                               .i  ! ヽ`ー'    f。 ,! ,! レ';,r''''’
                               . `ーl        `ー'っ ,!''<
                                  `、  `ー‐‐‐‐ 、   /  ,ノ
                                    `i、  ̄''‐---' _,,./--'’
                                    `Y`ー--‐‐i7’
                                   i´ ̄ ̄ll ̄''‐┐
                                   ''''''''''''''''‐‐-- !



相手の出方を探るための、完全な基本形で突いた剣をシンジは軽々と弾き、
殺気をこめたなぎ払いを返してくる。


32 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:02:11 ID:df0GwSCa
一212.

         , -―- 、
      /     \     _
      /  \_   |  /  |  「おっと」
      (●) (●)   |///
      (_人__)   ///
      l`⌒´  ///
      |   .///、              .-.,,,_
      __ト、///  \ ミミ           .´゙"''―- ....,,__    ズバッ
    /、 ヽ\/   r 、 ヽ                .´゙"''―-....,,,_ ̄^''''''―-- ....,,,,___
    ハ ヽ Y`l`‐`    | >  Y                       `゙゙.''''―- ....,,,_、  . ̄ ゙゙̄"'''''¬―
   {'ッヽ_ゾノ     | レi i i}                                   ⌒゙'''''¬ー-- ..__
   `¨´  ヽ    ハ  `'''
         >   / ヘ
        /  /ヽ  ヘ ミミ
        _,/  / ご_ノ
      ( ヽ /
       \__ノ



易々と、しかし見かけは何とか斬撃をかわしたやらない夫は、急所を狙っていた攻撃で
相手が自分を殺そうとしている事に気がつき、少し作戦を修正した。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |   ( ●)(●)
. |    (__人__)   (そっちがその気なら、
  |     ` ⌒´ノ    こっちもやり方を変えるだろ)
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   .>    <
   |     |
    |     |



単純な試合目的であれば話は簡単だった、要はジュンをシンジよりも鍛えれば良いのだから。
しかし、命のやり合いともなるとまた別の覚悟が必要になってくる。

ジュンがその覚悟を得られるかは別問題なので、予め布石を打っておこうと思った彼は
取りあえず今はシンジの癖を探るのが先、と相手よりも少しだけ力が劣るように剣を合わせていった。
しかも、今朝教わったばかりの基本的な型のみで。


33 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:03:11 ID:df0GwSCa
一213.
一方、瞬きすら忘れた様子で試合場を見守るジュンに彼は言った。見逃すな、と。
ならばそれに全身全霊を傾けなければならない。



          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}   (見るんだ、ジュン!
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|    その全てを頭にたたき込め!)
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | |  ○` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
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     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \



瞳すら拡大する程の集中力で試合を見続けるジュンの中で、今まで真面目にこつこつと続けてきた基礎訓練と、
今朝方見たやらない夫の影剣闘とが大きな意味を持ち始める。
基礎と実戦とが結びつき始めたのは、やらない夫だけでは無かったのだ。

34 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:04:11 ID:df0GwSCa
一214.
試合開始から五分も経っただろうか。
余程拮抗した同士でなければなかなかここまで戦いが続く事はない。
その為か、次第に動きの鈍くなるシンジは息が上がってしまい、剣を持つ腕すら下がり気味になっている。


                                       ,、,,,_
                                   __,,,、イ´;;;;;`>=-、,,,
                                  /;;;γ;;;;;;;;┌;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/_
                                    ノ;;;;;;;;i;;;;;/;;;;ノ;;;;;;/;;;/i;;;;;;;;;;;;;;7
                                 {;;;;;;;;ノ;;;;ノ;;く;;一〈;;;;;!wノ/i;;;;;;;′
                                 i;;;;ノ;;;;;;;イルイ>(;;;γu 彡';;;八   「ま、まて、く………そ」
                               ノ;;;/じソ u`で;;)`);ト u(;;ノ;;;ソ)
                                 !;;トj ( u  `ー= ソ u ヘ;);;(´ソ
                        ヒューヒュー   );〉ー  u u  u u  6ソ)ノ)リ
                                 (;/ u; u u/ ⌒ 、 ゝ/  ゼェーゼェー
                                ) u\  uヽ - u   ′
                       ,.-ー-:.、__    ┌‐┴¬、,,,, > _ /   ハァハァ
                     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄´¨`.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:. ̄i
               __r:.:¬':.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 「;i;;i':.:.:.:.:.:.:`ー─‐--、,,,,_
              /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;:;:;:;:;:;:;:;:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.ヽ
         _...,.,..:-:ー:':.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i;;i;;i':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.',
      /:.:.:.:.:.:.:.:_.,.,-、:.:.:.:.:.:.;:;:;:;:;:;:;:;:;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|;;|;;|:.:.:.:r───ュ:.:.:.:i:.:.:;:;:;:;:;L
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       ',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!;;;l:.|  ー- u  ⊂ニ〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
       `"ー、:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!;;;l: L u  ー⊆二ソ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,';:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\.
           ` ̄ " ー - 、_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!;;;!:」:.:.>、 uー''つ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
                    ̄ ̄ ̄´i ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:>ー"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ヽ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L
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                       ノ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l           ∨ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\

35 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:05:11 ID:df0GwSCa
一215.
頃合いだなと、一度休憩を挟んでやろうと思ったやらない夫は、鈍い斬り下ろしを不格好に防御し、
その勢いで剣を後ろに放り投げた。



           / ̄ ̄\
        / ヽ、_  \
       (●)(< )   |   「しまった、剣が!
       (__人__)    |    さすがに握力が続かないだろー」
 .       (`⌒ ´     |
   .     {           |
        {        ノ
         ヽ     ノ
        i        、\
        |   !    /__}
       ,-| . |ー-、/ ゞノヽ
      {_ i、___,l   |    |
       )ソ(___i)---|    |
              ゝ-i--i´
                `-゙



剣を追う仕草と、がっくりと座り込むおまけ付きである。
試合場の端に転がったバスタード・ソードと、武器を失ったやらない夫とを見比べた騎士は少し残念そうに
シンジの勝ちを宣言した。



     m
    ,m´i i l
    l     l           ,-‐‐‐‐‐、
    ヽ    ノ           /     ヽヽ
    ゝー―/           /ニユ___l     「そこまで!
    |     i            / /Θ/ l二ンルl    一本目、シンジ!」
    |     |         / / /,\i  i |
    .|     |        \_iiiiiii/ /ヽ
    |    l____,----,----、,--,'`--'_/0ノノ--、
   └i─'´゙i ヽヽ  /_______/i `''‐‐i--' ヘ\  \
    /ヽ 丿 ノ;;;;l   i;;;;;;;;;;ノ    |   ヘ;;;;;;>ー、l
   ヘニニ'_/,,l__ヘ;;;;;;;;/     |   ヘ/  ヘ
              ̄ ̄/ヘ,,,--‐‐‐´`‐‐-、ノ    ヘ
               |          |ヽ-、,,,'´´ヘ



     __,l'''''‐-.,_ ___
 _,,r‐'''´:.:.:';.:.:.:.:.:.:`'´:.:. ̄''ヽ、
 `i,;,;.:':.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
 ,/',;,;,;,;',;/.:.;.':.l:ヾ,r''7:.:.;.:.:.:.:,;,;`、    「あ………?」
ム7:,/:.:.:,iヾ,;,<´`''''7:,;.:.i;,:.:.:,;,;,;,;,`
 く;レ!;r',r-ゝV_u _!.:i;.:.iヾ,;.:,;,;r'´
.r'´、ト! ' ,f。 ,!   レ'--'、i'i,;,i,;,ヽ
.i  ! ヽ`ー' u  f。 ,! ,! レ';,r''''’
. `ーl u  u u `ー'っ ,!''<  ゼェゼェ
   `、  `ー‐‐‐‐ 、 u /  ,ノ
     `i、  ̄''‐---' _,,./--'’
     `Y`ー--‐‐i7’
    i´ ̄ ̄ll ̄''‐┐
    ''''''''''''''''‐‐-- !



36 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:06:11 ID:df0GwSCa
一216.

             ___...、
             _,/:.:.:.:.:.:.:.ヽー‐ュ
          ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__                                      _
          j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!                                 / ̄ ̄\\
        /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vヘ:.:.:l.:.:.:ハ                                /     ヽ ヽ、
      イ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ `u´}:.:〉:.:.:.:ヘ                               |、       ゙i ゙iヘ
      く:.:.:.:./:./ノ):ハ:.) u/:.;ハ:.:.:.:トゝ    「フ、フン!  ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧ 〔\`'‐-    └' i
       ):.イ:.〈ハリ≧、( u ,)斗ト:.γ      一本目は <  十分の休憩のち、   > |∩ \_     _|
      ノハ/こハ)込) )   込)ヽハリ             <   二本目を始める!  > |∪\ |´`''''''''''''''''''''i|
          ∨(  u  u u 、 u/                 VVVVVVVVVVVVVVV  / |||/  `''''''´´ ̄l 「'''/
          |ゝトu 、___´  / ゼェゼェ                              |         ,-l l l
        ノ从 ヽ u u  /                                    \iiiiiiiii   ///  ヽ___
          __|  >  イ                                     /ヘ`'''''ヽ      ェュ 丿\ ヽ
          _r┘:.:. ̄ ̄`|||´|                                 / ̄|::::::::::\  \__(⊃-‐‐⊂)‐゙i::::ヽノ
   _.,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ー:.:-.:.:.:.|||:イ¨:...、 _                             /    |::::::::::::::゙i   `'‐‐‐‐'´   ヘ::::ヘ
<´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}}}.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.ー...、 _                      /   /::::::::::::::::::|      ヽ    ヘ::::::/ヘ
:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.,                     |  /―--、::::::::::|       ヽ    ヘ/ ヘ
:.:.:.:.: ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.: i                     | /     ヘ::::::::/       ∧___----|
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.:.:.:.:.:.:.:.∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:r――ュ !/.:.:.:.:.l
:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:l:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|':.:.:.:.:.:.l



どうして勝てたのかがよく分からないシンジの口上を遮った審判の声が響き、
鍛錬の間に見物の騎士達の残念そうなため息が満ちた。
彼らを見回して次は勝からさ、と苦笑したやらない夫は落ちていた剣を拾うと試合場の外に戻り、
待っていたジュンに尋ねてみる。



        / ̄ ̄\
      / _ノ  .ヽ、\
      |  (●)(●) |   「どうだ?
.      |  (__人__) .|   あいつの剣を覚えたか?」
       |  . '´n`'  .ノ
       .ヽ .  | |  }
        ヽ.. ノ .ュノ
        / { ..ニj、
        |. | "ツ \
        |. | .l  |ヽ、二⌒)


37 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:07:11 ID:df0GwSCa
一217.
          > -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
          >:.-:.-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`´:.:./
        r‐ ':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:./::|:.:.:.:.:.:.:/
      /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| ̄`''- 、;i:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ヽ
       /:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.|      |∧:.:.:.:.:|:.:.:.:.:}  「うん。
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V:.:.:./ -V:|_    //:::.:.:.:.:.:K:.:.:.:|   次から好きにしてくれて構わないよ」
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∠V:./={´rvミ、=、_,, ,/ |:.:.:.:.:.:.ヾ:.:.:.|
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´\-;/ ̄ V ̄ | |イ≧ミ=、/   |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
  ` '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.    | | 辷り` |}_ r-Vソ:.:∧}
      /:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::    ヽ廴_  <テ=/rァヾ:∧:.|
      フ/:.:.:.:.:.\::::::::::::::::      ̄ヾ=ノ  <-ン /:| .V
      ´''- 、:.:.:.:./::::::::::::::::          /=テヾ|
          ヾ/:::::::\::::::..     ー -    /
           /:::::::::::::::::::::::::...     -  ./
      /\./::::::::::::::::::::::\:::::::::...    /
     /   ∧:::::::::::::::   /` 'ー - ' ´
   ノ |      }ヽ::::    /_
 ̄ ̄  .|       \   { ヽ
     .|      / ` ー='´  \



よし、と微笑んだやらない夫が確認するように見れば、エンジュもこくりと頷いた。



                             ___
              _ -―――――-< ̄} }!
             ´      -――7  く.7./-、
         ,  ´      ̄  ,. -―/   Y´ \\
        /     ,   ,  イ   /        ヽ.` 、_.ノ
      /     ,/  /  ,/    {   {       \ ̄
      /    /        ,ノ    }  ハ  }     、ヽ.     「任せる」
      |!     /     _./ ,ィ / /   }  !      ヽ.}ヽ、
      |   /     `才  /:/ ,    / /    ヽ.  ヽ. }
       {   /  、 .___./ / / ,. __/ ハ  ハ   }! i {
 .     Y /   ` .ナー-r七´ //7 :/二.!_/}! }  ハ ハ!
      | / , -― 〈 /  {!  ,イ | / ´tテ::ナ}ノ ./ / リ ノ
    ,イ⌒Y´ ̄ ̄  ハヽ (ヽ. i ヾ 、_    ̄ ノイ}/
   〈   人  ――- ヽゝxくヽ、        ∨
    }!  ∧_ ヽ. ,xxzrく⌒´ヽ!             /
   八 {〈   ,.イ}   `    {        ,   _ '´
     }ハリ {´ i       ヽ       /
    ノ'  }!  ヽ/        {ヽ. ___/
         _∠_____    ヽ.
      /: : : : : : : : : : : :  ̄ ̄ ̄\
      入 _ _____   _厶、
    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:\


あとは任せてくださいと言い残し、自分は汗一つかいていないやらない夫は
すぐに試合場にあがってギャブレットとシンジの様子に視線を向けた。

38 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:08:11 ID:df0GwSCa
一218.
     __,l'''''‐-.,_ ___
 _,,r‐'''´:.:.:';.:.:.:.:.:.:`'´:.:. ̄''ヽ、
 `i,;,;.:':.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
 ,/',;,;,;,;',;/.:.;.':.l:ヾ,r''7:.:.;.:.:.:.:,;,;`、   「あいつ、なんだあの体力。
ム7:,/:.:.:,iヾ,;,<´`''''7:,;.:.i;,:.:.:,;,;,;,;,`   化け物かよ、くそっ」
 く;レ!;r',r-ゝV_  _!.:i;.:.iヾ,;.:,;,;r'´
.r'´、ト! ' ,f。 ,!   レ'--'、i'i,;,i,;,ヽ
.i  ! ヽ`ー'    f。 ,! ,! レ';,r''''’
. `ーl        `ー'っ ,!''<
   `、  `ー‐‐‐‐ 、   /  ,ノ ハァハァ
     `i、  ̄''‐---' _,,./--'’
     `Y`ー--‐‐i7’
    i´ ̄ ̄ll ̄''‐┐
    ''''''''''''''''‐‐-- !


                                                  /             \
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                                              /                       `、
                                              /                     ヽ  ヽ
                                            /                       ヽ  \
                                          /                          i    \
                                           i/           /!  / |  i        l     ` ー―ァ-‐
                                          レ1   i   /  / l   ! ! !l   l              /
       「シンジ。                                | /  | │! | l   ! l | ヽ ト、             ∠ _
       二本目は開始と共に本気で行け。                 ! |   !  { \L._ヽ! { ヽ ヽ{_,.>‐、_      ヽ_/
       見たところ相手は基礎と体力はかなりのものだ、        ヽ!  \_\.ー赱Tヾ ゝ.'" r乏‐   /!      l
       疲れたら危ないかもしれん」                      >!    ヽ     , i       / |        !
                                        -‐  ¨  }   ハ    〈. |       / /       |
                                             ,イ     ∧    ー       / ,!        Y
                                             |      {ヽ   ー_一    //|         !
                                             |       ヽ\       ,    j        /
                                             ぃ       i  \    . イ   /       /
                                                !      リ   |  ̄ 才´  !     /
                                              ヽ    }    |    |  │   l /´
                                               \  ,ノ    |    l    !  /イ


一本目の拮抗した戦いに違和感を覚えていながらも、基礎的な攻撃しか出さないやらない夫をギャブレットは見誤った。
いわゆる「基礎しか出来ない体力バカ」の部類と勘違いしたのである。
当初の目的であった「基礎しか出来ない」ジュンと比べれば面倒な相手であるが、
剣技を覚えているシンジの敵では無い、と作戦を授けた。

39 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:09:11 ID:df0GwSCa
一219.
     __,l'''''‐-.,_ ___
 _,,r‐'''´:.:.:';.:.:.:.:.:.:`'´:.:. ̄''ヽ、
 `i,;,;.:':.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
 ,/',;,;,;,;',;/.:.;.':.l:ヾ,r''7:.:.;.:.:.:.:,;,;`、
ム7:,/:.:.:,iヾ,;,<´`''''7:,;.:.i;,:.:.:,;,;,;,;,`   「わ、分かった」
 く;レ!;r',r-ゝV_  _!.:i;.:.iヾ,;.:,;,;r'´
.r'´、ト! ' ,f。 ,!   レ'--'、i'i,;,i,;,ヽ
.i  ! ヽ`ー'    f。 ,! ,! レ';,r''''’
. `ーl        `ー'っ ,!''<
   `、  `ー‐‐‐‐ 、   /  ,ノ
     `i、  ̄''‐---' _,,./--'’
     `Y`ー--‐‐i7’
    i´ ̄ ̄ll ̄''‐┐
    ''''''''''''''''‐‐-- !



無理に呼吸を整えながらのシンジも同様の感想だったので涙目ながら何とか頷き、それから静かな八分が経過した。




          mm
         // ///
       // ̄ ̄/          ,______
       ゝ   /n        //  `ヽ
      ,--l---、 丿       /─'     ヽ     「では二本目を始める!
      /    /         l___エニニi
     /    /         |-i ,-、_  / Θ|     二人とも、開始線に!」
    /     |          | ll  `-'/i||||l
    /     |          i /\ '´    |
   /     |          /    \    )
  〈__,----'  ,_     (0)只(0)  -‐ ̄,――、
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ ̄ヘ  ̄'ヘ,-----/ ヘヽ    l/ ヘ\  \
   ヘ;;;;;;;;;;ノ  /;;;;j   /___i  ヽ_,'´ ̄  ヘ;;;;\  ヘ
  /;;;;,,,,/  /;;;;;;;;|   ヘ;;;;;;;;;;;;;;ノ     |    ヘ;;;;;;;;\|
  `ヽ____/;;;;;;;;/    ヘ;;;;;;;;/      ヘ     ヘ/ ̄j
           ヽ___l;;;;;;;;/      ∧     /   |



審判の指示に従って、再び試合場で対峙する二人。


40 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:10:11 ID:df0GwSCa
一220.
まだ少し苦しそうなシンジは額の汗をぐいっ、とぬぐって息を整える事に必死である。
だが、もうあちらの都合に合わせるつもりのないやらない夫は、自分の中の集中をすでに切り替えていた。



       __
      / ./}\
    / ,r'"/  .\
   ハ / / ヽ、 /"i  「お疲れのところ悪いが、
  .ソ ノ / / (●/ ..,ィ´   少し脅かすぜ?」
  |  レ'   '- '~  /..|_
  l        t".,.-┘.)
.  ',        、-ーr'、
   .\       ゛''´.ノ
    )      /`´
    /     /ヽ
  . /    /  │


                                               _____
                                           /:::::::::::::::::::::::::::ゝ、
                                        ......::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::ヽ
                                       〈:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ミヽ
                                         >;;:::::::::::::::ヽ:::::ヾ::::::|ミ::::::::::::::::::::ヽ、
                   「あ?                 .〈:::::|:::::::f:::::::::;;''')::::人::ハミ:::::::::::::::::从
                    今なんて言った?」         i:::|::::::::トミ''   〈::::{ /}::L ミ::y-ミ::ヽ
                                        |::|::::::::::::::ヽ   ):)fイ:丁 ソr}k ):| )
                                        |::|::::::::::Y}::|__  ~  ¨´     Y/:::l
                                        { ヾ:::::::::t k夕         r':::::jゝ
                                            ̄ゝ(ヘ  <   _     ヾリ
                                          (    ヽ   ´    /   ヽ
                                                > 、___/---──ゝ.
                                                z-≠─- 、   ヽ へ─--ヘ
                                             |      \    `    ゝ、
                                             |        \         \
                                             |         \         \
                                             |                     \
                                             |           イ          }
                                             f\   ノ       ヘ          }
                                             {  \イィ´ ̄      ヘ         }



41 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:11:11 ID:df0GwSCa
一221.

<二本目、開始!


   \       .\    ヽ.    ..l.  ..l      │      l       . /      ,/      . /
     ゙'-、      .\    .ヽ    .l,   !      !      l       ./     /      . /
       `'-、     \.   ヽ,   ...l   !      !      l      /     ./     . ,/゛
`'‐、、      ゙'-、     \   .\   ヽ  .l,     .|     l      /    ./     ,, '"      _..-''
   .`''-..、     `'-、   .\   ヽ,  .ヽ  l.    :!    ./     /    /    . /      _..-'″
      .`''-、、    `'-、 /  /  /                                  .,..-'"
- ..,_       ゙゙'-、、   ./  /  /                                _..-'″
   .`'''ー ,,_     `''-..、/  /  /                 / ̄ ̄ ̄ ̄\                      _,,
       `''ー ,,    /  /  /       ,/゙ ̄"'/         \               . _,,.. -''''"゛
              `゙ ゚'X.  /  /         /   /            \        _,, -''''"
‘''''―- ..,,,,_,       \ `─-、'        /    |                   |丶                 _,,
        `゙゙"''―/⌒'y"`ヽ.\______,,;,/ r''\  |               |. :::::\     ,,,.... --ー'''''''゙゙ ̄゛
            /゙ヽ(_,X., ゙r、\_    | _) |                 |. : ::.:::.:.ヽ
_________/゙`‘,' _  /、\_,〉 . : ::| く    |   "ー、_   、_,ノ'′  ,|. : : : ::::::,r'ヽ  _______
             ̄⌒ソ`;、i : , ': : : : : : : :!  \ |  ( ●)  ( ●)     ,|.: :: :: : ::::.::::ハ
         _,,,,.... ,r''゙,r"⌒゙ヽ;_:_; : : : ::::|  : ::;;\}      j、        /.: :: :: .:::::::::::::.::i
..... --ー¬''^゙ ̄   ::;;" /       `・、_::::|  : :;: : :,i:}  ヽ _ ノヽ___ノ  ,/ : : :: ::: :::::::::::.:::'、 ..,,_,
         _,,,  _!_,r′        :ヽj : : :;;::./ ヽ   ` ⌒ ´    /: :: :: :: :: .::/ .:::::::i      `゙"''― ..,,,_
    _,,, ー'''"゛    {、         _,,..,`-、;;:/   l ̄ ゙゚゙̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄”゙`'''" .:' ..::::::::::|
-‐''"゛       ._.. ‐'"`r::      ,;'" ''゙゚゙ ̄⌒ヽ、.,,__\ ,; : ; : ; : : : : :`'':; , '   ..::::::::::::j`゙'ー .._
       ._..-'"´    {: : : :              \  ̄ ̄.:'⌒゜ ̄ ゙`'': :: :/: : : ..::::::::::::::'|、    `''ー .._
   . _..-'"´       . ,\::::::゙ヽ.      ;、 、   \ ゙' 、      ,r:: /: : : ..:::::::::::::::';;;|`'-..、     `゙''- .
.. -'"             /   \::::゚、 ゙ヽ.   , ヽ. ヽ   ゙ヽ `・、,_   /: :/  ..::::::::::::::::::::::i、   .`'-、、
             /      .\::::゙,、 `.、 ,    . : : : 、   \   ヽ, /: : i ..:::::::::::::::::::::::::::::i,\     `''-、、
        /       ./    /       l゙   │     l    ヽ .ヽ   .\.      ゙'-、     `''-、
      /        ./     ./       !    ,!      !    ヽ  .ヽ.   \       \
   . /         ,./      /        ,!     !      l    ヽ  ヽ  ┌─────────┐
 /            /      ./        │    │      l     ヽ  ヽ │―――破剣撃!    │
                                                 └─────────┘



42 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:12:11 ID:df0GwSCa
一222.
開始の合図と同時にやらない夫が動いた。
素早く間合いを詰めると気を流し込んだバスタード・ソードを真横に振り払い、合の瞬間にのみ全身の力を解放させる。

                                                   ,r':⌒:'、
                          l ̄/                     /(,;;;::...r j
                          l /   _                 /:::M::':ー/
                    | ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄/                /::::::I::::;;/
                    |___     / __ __        /::::Z:::;;/
                         / / ̄l /  l ./ l. / l  /      /:::U::;;/
                        /./  //.  l/ l/ l /     /:::N:;;/
                        //  //         //    /::O;;/
                       .`´   ´       l/   /::::;;/                  `、\N\
  ────────────────────────────────────────→    >
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7 /7 /
                        \;;:::\                                     //
                            \;;::\
                           \;;:\
                              \;:\
                              \;:ヽ-ャ
                                )_.ノ

武器破壊の剣技は狙い違わずロング・ソードを根本から叩き折り、
                     ,、,,,_
                 __,,,、イ´;;;;;`>=-、,,,
                /;;;γ;;;;;;;;┌;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/_
                  ノ;;;;;;;;i;;;;;/;;;;ノ;;;;;;/;;;/i;;;;;;;;;;;;;;7
               {;;;;;;;;ノ;;;;ノ;;く;;一〈;;;;;!wノ/i;;;;;;;′
               i;;;;ノ;;;;;;;イルイ>(;;;γ  彡';;;八
             ノ;;;/じソ  `で;;)`);ト  (;;ノ;;;ソ)   「う、うわっ!」
               !;;トj (    `ー= ソ   ヘ;);;(´ソ
              );〉ー  u        6ソ)ノ)リ
               (;/  ;    / ⌒ 、 ゝ/
              )  \  ヽ - '  ′
   ,.-ー-:.、___   ┌‐┴¬、,,,, > _ /
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄´¨:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:. ̄i
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 「;i;;i':.:.:.:.:.:.:`ー─‐--、,,,,_
  :.;:;:;:;:;:;:;:;:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.ヽ
  :.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i;;i;;i':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.',
  ;:;:;:;:;:;:;:;:;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|;;|;;|:.:.:.:r───ュ:.:.:.:i:.:.:;:;:;:;:;L
 :──‐┴┬┬ュ:.:.:.:__:.」>-、:.:.: ̄ ̄ ̄:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!;;;l | ̄     ⊂ソ┐.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!;;;l:.| ー-    ⊂ニ〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i;;;l: L    ー⊆二ソ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,';:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!;;;!:」:.:.>、  ー''つ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
  ̄ ̄ ̄´i ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:>ー"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L
      ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ

剣に気を込め始めようとしていたシンジは全く動くことが出来ず、重い一撃に目を白黒させる。

43 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:13:11 ID:df0GwSCa
一223.

     m
    ,m´i i l
    l     l           ,-‐‐‐‐‐、
    ヽ    ノ           /     ヽヽ
    ゝー―/           /ニユ___l     「待て!
    |     i            / /Θ/ l二ンルl     剣が折れてしまったので、
    |     |         / / /,\i  i |      この勝負やらない夫の勝ちと………」
    .|     |        \_iiiiiii/ /ヽ
    |    l____,----,----、,--,'`--'_/0ノノ--、
   └i─'´゙i ヽヽ  /_______/i `''‐‐i--' ヘ\  \
    /ヽ 丿 ノ;;;;l   i;;;;;;;;;;ノ    |   ヘ;;;;;;>ー、l
   ヘニニ'_/,,l__ヘ;;;;;;;;/     |   ヘ/  ヘ
              ̄ ̄/ヘ,,,--‐‐‐´`‐‐-、ノ    ヘ
               |          |ヽ-、,,,'´´ヘ



いきなりの事にあっけに取られていた審判はガラン、と破片が床に落ちる音で我に返ると
右手を挙げて宣言しかけたが。


44 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:14:11 ID:df0GwSCa
一224.
だが、首を振ったやらない夫がそれをさせまいと白々しく提案をした。



   / ̄ ̄\
 / ⌒  ⌒ \
 |  ( ●)(●) |   「きっと訓練刀にヒビでも入っていたんですよ。
. |   (__人__)  |    取り替えて再開しませんか?
  |   \_)  |    シンジ君もこんな負け方では納得できないでしょうしー」
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   /    く



    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l   「やらない夫がそう言うのだ、
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |   続行で良いだろう」
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \



エンジュもすでに、ギャブレー側がやらない夫を殺そうとしていた事と、
それに気づいた彼の作戦を察していた。
ならば援護をしよう、と判断に迷う審判に指示を出して結局試合は続行される事になる。

45 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:15:11 ID:df0GwSCa
一225.
敵から塩どころか猛毒を送られたシンジはと言えば、新しい訓練刀を取りに試合場を降りていたのだが、
その背中を冷たい汗が滝のように流れ落ちていた。



     __,l'''''‐-.,_ ___
 _,,r‐'''´:.:.:';.:.:.:.:.:.:`'´:.:. ̄''ヽ、
 `i,;,;.:':.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
 ,/',;,;,;,;',;/.:.;.':.l:ヾ,r''7:.:.;.:.:.:.:,;,;`、   (あいつ、もしかして
ム7:,/:.:.:,iヾ,;,<´`''''7:,;.:.i;,:.:.:,;,;,;,;,`    本当は凄く強いんじゃ?)
 く;レ!;r',r-ゝV_  _!.:i;.:.iヾ,;.:,;,;r'´
.r'´、ト! ' ,f。 ,!   レ'--'、i'i,;,i,;,ヽ
.i  ! ヽ`ー'    f。 ,! ,! レ';,r''''’
. `ーl        `ー'っ ,!''<
   `、  `ー‐‐‐‐ 、   /  ,ノ
     `i、  ̄''‐---' _,,./--'’
     `Y`ー--‐‐i7’
    i´ ̄ ̄ll ̄''‐┐
    ''''''''''''''''‐‐-- !



背筋が凍るような恐怖と、頭の中の不安を消すことが出来ない。
絶対に相手が自分よりも格下だと分かっていないと強気になれない性格のシンジは、
本能的にやらない夫が自分の何倍も、格段に、果てしなく強い事を感じ取り始めていたのだ。



            _____
        /:::::::::::::::::::::::::::ゝ、
     ......::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ::ヽ
    〈:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::ミヽ
      >;;:::::::::::::::ヽ:::::ヾ::::::|ミ::::::::::::::::::::ヽ、
    .〈:::::|:::::::f:::::::::;;''')::::人::ハミ:::::::::::::::::从
     i:::|::::::::トミ''   〈::::{ /}::L ミ::y-ミ::ヽ   (くそっ!
     |::|::::::::::::::ヽ   ):)fイ:丁 ソr}k ):| )   けど僕が剣技使いだとは知らないだろう!?
     |::|::::::::::Y}::|__  ~  ¨´     Y/:::l
     { ヾ:::::::::t k夕         r':::::jゝ   油断している内に死ね!)
         ̄ゝ(ヘ  <   _     ヾリ
       (    ヽ   ´    /   ヽ
             > 、___/---──ゝ.
             z-≠─- 、   ヽ へ─--ヘ
          |      \    `    ゝ、
          |        \         \
          |         \         \
          |                     \
          |           イ          }
          f\   ノ       ヘ          }
          {  \イィ´ ̄      ヘ         }



相手が自分より強いという悔しさと、コケにされていた事に気づいた恥ずかしさを合わせた表情の彼はしかし、
残虐な笑みを口の端に浮かべると先程のと同じ長剣を選んで、呼吸を整えながら試合場に戻る。

46 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:16:11 ID:df0GwSCa
一226.
                     ,--‐‐、
                   /   凵 ヽ
                  l」''l_____________゙i   「試合再開!」
                  r " ∟-''TT''‐|
                  'll `ー、 _ ll ヘ、
                  ィイイイ ヽ,ヘ/ ヽ
               ___ `ゝ、  (0)只(0)/
            /´  /l  ( __ >-- 、,----、
           / ....-‐''´/      |     |     ヽ



                 ___...、
                 _,/:.:.:.:.:.:.:.ヽー‐ュ
               ,.イ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.L.__
              j:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
              /:.:.:.:/:.: /:.:.:.:.: /Vヘ:.:.:l.:.:.:ハ
          イ:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:./:./ `"´}:.:〉:.:.:.:ヘ
          く:.:.:.:./:./ノ):ハ:.)  /:.;ハ:.:.:.:トゝ   「はぁぁぁぁぁぁ!」
           ):.イ:.〈ハリ≧、(   ,)斗ト:.γ
          ノハ/こハ)込) )   込)ヽハリ
               ∨(       、  /
              |ゝト  、___´  /
            ノ从 ヽ      /
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   ,. <´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}}}.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.ー...、 _
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今度は合図と共にシンジが動いた。
開始線から真後ろに跳び下がると、剣に気を込め始めたのだ。

47 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:17:11 ID:df0GwSCa
一227.

                                    /             \
                                 /                  丶
                                /                       `、
                                /                     ヽ  ヽ
                              /                       ヽ  \
                            /                          i    \
                             i/           /!  / |  i        l     ` ー―ァ-
           「やっとやる気か」      レ1   i   /  / l   ! ! !l   l              /
                              | /  | │! | l   ! l | ヽ ト、             ∠ _
                              ! |   !  { \L._ヽ! { ヽ ヽ{_,.>‐、_      ヽ_/
                              ヽ!  \_\.ー赱Tヾ ゝ.'" r乏‐   /!      l
                                >!    ヽ     , i       / |        !
                          -‐  ¨  }   ハ    〈. |       / /       |
                               ,イ     ∧    ー       / ,!        Y
                               |      {ヽ   ー_一    //|         !
                               |       ヽ\       ,    j        /
                               ぃ       i  \    . イ   /       /
                                  !      リ   |  ̄ 才´  !     /
                                ヽ    }    |    |  │   l /´
                                 \  ,ノ    |    l    !  /イ



元からシンジの狙いを知っていたギャブレットは勝ち誇ったように呟くが―――

48 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:18:11 ID:df0GwSCa
一228.
―――その予備動作だけで何をしようとしているか分かってしまった者が二人。



               / ̄ ̄\
             / _ノ   ヽ_\
             |  (●)(●) |   (オーラスマッシュか)
             |.  (__人__)   |
             |  ` ⌒´   ノ
             |.        }
             ヽ        }
               ヽ     ノ
       ./ ̄\/           ∮./ ̄\
三三三三三三三三三三三三三三三三□i::::::::::::::::|四四四∥
       .\;;;;;/.. l          l  ∮\;;;;;:/
            ...」        L



              _,   ~ ̄ ̄ ̄¨   、
          . -=ミ            \
        /           ⌒\    \
       /   /        ヽ  \ \   ‘,_
    ー=彡' /   ′       八          ∨ミメ   (何!?
      / /   i      | l     \  \     |  ハ   シンジは剣技使いなのか!)
       ′   |l  |   リ ト   \   、 ヽ乂_ リ   リ
.       } i   | 八 |   '/ 八\ _   、\ 介廴'   /
.     ノ人  戈トミ人 /_以rセ爪ヽ | \ 介ト /   {
      〃  } l  弋均ハ/ / 法功㌃ } |  爪ト /    、
         ノ人个ト /          ノ ノ /ノリ /     i|
.            }乂_ /         _彡イ厶ィ  {     j从
            八人 ヽ             / 乂从ハ }  |
               \`~`'       ,   /   ̄V八リ
                \    . イ   '`       ∨/
                    `´ r‐ '"          '¨ ̄\、
                  厶_..  -‐' '`         } :ヽ



49 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:19:11 ID:df0GwSCa
一229.
そしてジュンは、確信は持てないながらも違和感を感じてシンジに注目している。



              i::::\    r::'::´::::::::::::::::::::::/_
              ヽ:::::::\.  |::::::::::::::::>-...':::´:::::::::\
           __ ≧::::::::\i!:::::::::r、'::::::::::::::::::::::::::::::::::\
         /::::::::::::::::/\:::::::::|:::::: /:::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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       /_:: -─イ::/::::::::::::::i::::::\/:::::|::::::::::::::: \:::::::::::::::::::::::\___::>
       ̄,...-:':´:/::::::::::::::::|:::::::::V:/: |:::::::::::::::::::::ハ::::::\:::::::::::::::::`:-._
       /::::::::::: /::::::::::::::::::::::|:::::_:ィ=-.-|::::::::::::::::::::::::i:::::::::::\:::::::::::::::::::: ヘ      (何だ?
        /:::::::::::::i::::::::::::::::::::::::|'´     .|:::::::::::::::::::::: :|:::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::ヘ       今朝やらない夫が見せた
      /::::::::::::::::ハ:::::::::::::::、:::::|       .|:::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::\::::::::::::::::ヘ       剣技に似てる?)
    /:::::::::::::::::::::ハ:::::::::::::i \ヽ    .|:::::イ::::::::::: ハ:::|::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::\
   /::::::::::::::::::::::::::ハ:::::::::::|__ゞ'__ |::/ i:::::::::/_ヾト::::::::::::::::::: |::::::::i ヽ::::::ハ
. /:::::_::_:: - フ:::::::::::::::ト-三ニニ==≦ レ |::::三ニニニ=ヾ:::::::::::::|::::::: |  `ー-`-
       /::::::::::::::::::| |r::::|て芯ミヾ Y}   .|::::/ ≧ニニ=ミヾ::::::: |::::::::ハ
        /:::::;:::::::::_| | ヾ i!;;;○;;;} i }ニニニi」 {ヒ:○};; > i l\::|::::::::::ヘ
     // /::::::/>‐ハi   ゞー' <iリ    レi l  廴../ イ //::::::ゞ:::::::::::ハ
     /  ハィ::::i -ハヾニニニニ彡   i   ミ、____.//-、::::::::ヽ ̄  ̄
         ヾ i - ヘ           ;     ̄ ̄ ̄ ̄/ハ i:::::i ̄
            ヾ、∧         _        /  ノ-''´
             ーヽ       ´  `       /-'/
               \       ..::       /-'´
            _   ` 、          /
           /: : :`: -..、  `i' 、   , ィ' ´
          /: : : : : : : : : :`: x.ノ  ` ´  |      _
   ,...-::'::´::: ̄::`::-::::_: : : : : : : : :\_     ト、   /: : : :ヽ
 r'´: : : : : : : : : : : : : : : :`:ー-: : :_: : : :`ー. 、 .>'´: : : : : : : : : :>_
 }: : : : : : :-: :、: : : : : : : : :: : : : : : : : : ̄: :ヾ: ::Ⅵ: : :: : : :_: -:'´: : : : :ハ



50 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:20:11 ID:df0GwSCa
一230.
やらない夫は二秒待った。
その間十手を超える今後の展開を読んだ彼はやがて、シンジが動くのと同時に一つの詰め方を選択する。



                   __
                 /:::::::::::ヽ
            ___ノ;;;::::::::::::::::::ヽ
                |:::::::::::::/;;;:::::::::::::::ヽ::::::\_
           ト|::::|:::::::;;;;;;:::::::::ヽ:::::ヽ::::::::::ヽ、    「これで終わりだ!」
           |:|:::j:::::::|ヾY''´):::::)::::::::):::::ハ::j     
              j:|:::{:::::::ヽ  (::::(::(ヾ::从ミ:::ヽ
           |:{:::::ヽ::::人  )イィt7ハノ/^i:::ヾ
              `ト(::::::j:::汽ソ ゝ'  ¨    /::/
             (''ソヽ`¨ ,        ハ;)
                     ',.   r-ヲ   / .l)
                  丶、  ̄ /  |、
                    |`==.´-一゙゙:.:t_
        _____,,-一'.:.:.:.:.:|:l:|:.:.:.r.yヽ:.:.:`ー───、
         /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:l:|:./ / /ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ
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準備を終えたシンジが素早く迫り、勝利を確信して剣を大きく振り下ろした。



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               /                !   ,!
              フ                !   .|
             ″                !    !
                           /    l
                              ,!    l゙
                          !   〈  ̄l
                            /   /ー'  ヽ、     ハ       __
                            /    .ヽ、   r'     ノ   !      / ヽ
                           /    /r‐'    ̄ヽ/ ̄   !      !  !
                        /    l/  =  ゙   ハ   __ノ      /  j
                       /    ./ ヽ  = ゙ / !  `ヽ-―、     /  /
                         /    /  ヽ__  = ⌒     _ノ   /  ノ
                      /     ./  l` ̄   〈⌒/ /ヽ  ノ    /  ノ
                        /     ./   ヽ-‐ヘ ヽr'_/  | |     /,、__!
                    /     /        ヽ.j.    | |   / {
                      /     /             | | _,.-、⌒
                   /     ./             ,ノ l {   `!
                  ,i′    ./             `¨ー  `ー'
                    /      /
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                /      ./
               /       ,/




51 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:21:12 ID:df0GwSCa
一231.
なるほど、確かに剣技を名乗っても良い威力、速度、気力だっただろう。
ギャブレットが作戦の裏付けとして期待できる程の実力をシンジは備えていた、
性格はどうあれ剣については真面目に修行しているに違いない。

だが―――



                            /´   ム -イ;‐ァ
                           ,!      〃 /
                          /      ィ! |l i¨7
                        /     ;'´ i  l| | |
                        l  /|   !: !  |L/| !〉
                / ̄ ̄\   |./  l   |! l  |  .|__|     /`l
              / ヽ、. _ノ \     |   l! |  |     ,、   l  |/ 〉
              |  (●)(●) |      !  |l' |  |     ,l |  l  |レ'
              |   (__人__)  |     |  |! .|/     ,! L.-ヾi=,'
              |   ` ⌒´  |     |/      _,.-'´  _, - '_´
       _ ,ヘ |   ヽ  \\从/ rn|m         |_,.- '´| L-'´_|
  ⊂ニニニ((ニ(ヽ| |三三三 三 そ   て三三三三三三三三三三 ,.-'´  ,.-'"
.      ヽ、 .`゙\/⌒    ゝ,    そゝ  |          |,.- '´| |      /|
        \          "`/'^r    |             |,i    //   __     _
          `ー‐イ          |`ー'゙                / ィ'  /__ノ   /丿
             |          |                  く/レ         / /
             ノ          〈                         ,____,. - '´ /
           /             \                       /____,/
         /      /``\     \
         /      _/      ゝ     !
       /    /"        /    /
      ノ    /         〈________`)
     (´______∨
      ` ̄ ̄ ̄

避けるでも、受け流すでもない。シンジの期待通りに致命傷を負うでもない。
一歩前に出て、出かかりを押さえつけるだけで事は足りた。
真っ向から受け止めた剣と振り下ろされた剣とがぶつかり合い、火花と派手な金属音をあげる。

52 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:22:11 ID:df0GwSCa
一232.
往々にして、一流の戦士達は自分が身につけている戦技を見切れるのである。
余程の実力差がないと決め手にするには難しいほどに。



     __,l'''''‐-.,_ ___
 _,,r‐'''´:.:.:';.:.:.:.:.:.:`'´:.:. ̄''ヽ、
 `i,;,;.:':.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
 ,/',;,;,;,;',;/.:.;.':.l:ヾ,r''7:.:.;.:.:.:.:,;,;`、
ム7:,/:.:.:,iヾ,;,<´`''''7:,;.:.i;,:.:.:,;,;,;,;,`   「う、受け止めた!?」
 く;レ!;r',r-ゝV_  _!.:i;.:.iヾ,;.:,;,;r'´
.r'´、ト! ' ,f。 ,!   レ'--'、i'i,;,i,;,ヽ
.i  ! ヽ`ー'    f。 ,! ,! レ';,r''''’
. `ーl        `ー'っ ,!''<
   `、  `ー‐‐‐‐ 、   /  ,ノ
     `i、  ̄''‐---' _,,./--'’
     `Y`ー--‐‐i7’
    i´ ̄ ̄ll ̄''‐┐
    ''''''''''''''''‐‐-- !


シンジは、この時点でそれに気がつくべきだった。

53 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:23:14 ID:df0GwSCa
一233.
一気に脱力する剣を押し返し、よろけるように数歩下がった相手を見据えてやらない夫は言った。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)    「殺すつもりで来たって事は―――
. |     (__人__)     殺される覚悟もあるって事だよな?」
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   .>    <
   |     |
    |     |
                                          ,、,,,_
                                      __,,,、イ´;;;;;`>=-、,,,
                                     /;;;γ;;;;;;;;┌;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/_
                                       ノ;;;;;;;;i;;;;;/;;;;ノ;;;;;;/;;;/i;;;;;;;;;;;;;;7
             「は、はあっ!?」            {;;;;;;;;ノ;;;;ノ;;く;;一〈;;;;;!wノ/i;;;;;;;′
                                    i;;;;ノ;;;;;;;イルイ>(;;;γ  彡';;;八
                                  ノ;;;/じソ  `で;;)`);ト  (;;ノ;;;ソ)
                                    !;;トj (    `ー= ソ   ヘ;);;(´ソ
                                   );〉ー  u        6ソ)ノ)リ
                                    (;/  ;    / ⌒ 、 ゝ/
                                   )  \  ヽ - '   ′
                          ,.-ー-:.、__    ┌‐┴¬、,,,, > _ /
                        /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄´¨`.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:. ̄i
                  __r:.:¬':.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 「;i;;i':.:.:.:.:.:.:`ー─‐--、,,,,_
                 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;:;:;:;:;:;:;:;:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.ヽ
            _...,.,..:-:ー:':.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i;;i;;i':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.',
         /:.:.:.:.:.:.:.:_.,.,-、:.:.:.:.:.:.;:;:;:;:;:;:;:;:;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|;;|;;|:.:.:.:r───ュ:.:.:.:i:.:.:;:;:;:;:;L
           /:.:.:.:.:.:´ ̄:.:.:.:.:.:.:.`:.:.──‐:─:┴┬┬ュ:.:.:.:__:.」>-、:.:.: ̄ ̄ ̄:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
           {:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!;;;l | ̄     ⊂ソ┐.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ
          ',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!;;;l:.|  ー-    ⊂ニ〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
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              ` ̄ " ー - 、_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!;;;!:」:.:.>、  ー''つ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
                       ̄ ̄ ̄´i ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:>ー"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ヽ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L
                           ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/    \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ

シンジは耳を疑った。
こいつは何を言っているんだ。殺されるつもりなんかあるはずがないだろう。
絶対的有利に殺すのはいつだって自分で無ければならないし、
一方的に殺されるのはいつだって相手で無ければならない。

彼は言葉には出さなかったが、困惑した表情からはそれがありありと読み取れた。

54 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:24:11 ID:df0GwSCa
一234.
同じ騎士団長の息子でも、ここまで性根が違うものか。
内心でため息を吐いたやらない夫は、終わりにしようと自分の中の歯車を二つ、入れ替える。



訓練用から、試合用へ。



     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)   「そうか。
.   |     (__人__)    じゃあ、次からは試合は試合らしく戦うだろ」
    |     ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \





試合用から―――




                                                                      ,ィ
                                              ,,              ,,.    ,.    ./::i
                                          / |   /| /|     _,,.r':/  /::|   /::::::/
                , --────―‐-- 、                /:::::i  /::i |:::::i  ./'''"´:::::/ ./:::::::|  ./::::::::::/
            /               \                ./::::::::i  |::::! .i::::::i /::::::::::,,.//:::::::/  /::::::::::/
           /                /  \            i::::::::::i  i::::i i:::::::i/:::;.r''" /:::::::/  /::::::::/
       ./   \            /     \             i:::::::::i. i::::i,/i:::::/'"´ ./:::::::/   ./::::::/
       /       `ヽ:::::::::::::::::::::/          \            i:::::::::i. i:::/::::i:::/  /:::::::/    /::::::/
        l     ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::      l           i:::::::::i i/:::::::i/:| /::::::::/     /::::::/
        l      :::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;/ノ==ミ     l         i:::::::::"::::::::::/ |:::::::/      /::::::/
        l    `トミ=- 、:::::::;;;;;;;;;;;;/f´くヽ ノ 1     l            i:::::::::::::::/  i::/      ./::::::/
        l     {i  下、でヽ;;;;;;;:::ノ八゜ー'' ノ  リ     l          i:::::::::/     i/        /:::/
        l     ヽト弋 心ソ::;;;;;;;ヽ、 `二´ .イ      .l            .i::::::::i            //
        l       .,    ::::i:::::::   、     .     l             i:::::::i            ^
        l       |::.   ::::i!::::     |          l           i:::::::i               /i
        l       ゝ----´`ー-----′       l            .i:::::::i          /::::::i
        |.                             |             .i::::/          i::::::/
        |                         |             i/           i/
        |                       |\
      丶                       /::: \     「一つしか無い命のやり取りなんてのはな、
      /;;\                         /;;;;;::: \    軽々しくするもんじゃぁないだろ?
    /::::::;;;;;;; \                    /;;;;;;;::::. . \   ―――常識的に考えて」
    . : ::::::;;;;;;;;; |ヽ                  イ;;;;;:::::::::.. . .  \
.   ⌒ヽ     |                      |



―――戦闘用へ。



55 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:25:11 ID:df0GwSCa
一235.


                                               /´〉,、     | ̄|rヘ
                                         l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧
   「ヒッ………                                 二コ ,|     r三'_」    r--、 (/
      ヒィィィィ!!!!」    ,、,,,_                    /__」           _,,,ニコ〈  〈〉
                 __,,,、イ´;;;;;`>=-、,,,                           (__,,,-ー''
                /;;;γ;;;;;;;;┌;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/_                         / ゙̄フ
                  ノ;;;;;;;;i;;;;;/;;;;ノ;;;;;;/;;;/i;;;;;;;;;;;;;;7          ,ヘ__         ノ   /
               {;;;;;;;;ノ;;;;ノ;;く;;一〈;;;;;!wノ/i;;;;;;;′        /ヘ ,:´⌒ヽーー─ノ二二  ヽ |
               i;;;;ノ;;;;;;;イルイ>(;;;γ  彡';;;八        / \ |; ; ; ; ; ; ; ; ; ;.゙ヽ、(l )ヽ、_ヽ、
             ノ;;;/じソ  `で;;)`);ト  (;;ノ;;;ソ)        /  \_⊥___; ; ; ; ; ; ;;;;  ̄ ̄; ; ; ; ヽ|
               !;;トj (    `ー= ソ   ヘ;);;(´ソ        |/|/|/|/|/|/ヽ___; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ヽ
              );〉ー  u        6ソ)ノ)リ         |/゙´; ; ; ; ; ; ; ;; |/|/|/|/|/`:ー-´⌒ヽ ゙ヽ
               (;/  ;    / ⌒ 、 ゝ/             ヽ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; |/|/|ノ|ノ/  ヽ_,| .
              )  \  ヽ - '  ′             ヽ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; (  ノノ(
   ,.-ー-:.、___   ┌‐┴¬、,,,, > _ /                  ヽ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ヽノノ  ヽ
  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄´¨:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:. ̄i                    .|; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; |゙ヽ.ノ   ノ
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 「;i;;i':.:.:.:.:.:.:`ー─‐--、,,,,_             .|; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; |゙ヽノ    /
  :.;:;:;:;:;:;:;:;:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.ヽ          ヽ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; |゙ヽノ    /
  :.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i;;i;;i':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.',           ヽ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; |゙ヽノ    ノ
  ;:;:;:;:;:;:;:;:;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|;;|;;|:.:.:.:r───ュ:.:.:.:i:.:.:;:;:;:;:;L           ヽWWWWヽノ    /
 :──‐┴┬┬ュ:.:.:.:__:.」>-、:.:.: ̄ ̄ ̄:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.|            ヽ、∴∵∴     /
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!;;;l | ̄     ⊂ソ┐.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ               \∵∴   /
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!;;;l:.| ー-    ⊂ニ〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i;;;l: L    ー⊆二ソ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,';:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!;;;!:」:.:.>、  ー''つ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
  ̄ ̄ ̄´i ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:>ー"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L
      ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|;;|;;|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ



ねっとりと絡みつくような殺気が首筋を撫で、シンジは人生で初めて自分の命の危機を感じた。
巨大な魔物の顎が、生暖かい吐息を吹きかけながら眼前に迫っているような錯覚を覚え、
震える手からロング・ソードを取り落として一歩、二歩と後ずさる。



56 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:26:11 ID:df0GwSCa
一236.
┏──────────────────────────────────────────────┓

   良いかいシンジ君。
   オーラスマッシュってのはな―――

┗──────────────────────────────────────────────┛

         __      __   _      __
    /::ヽ.   「::::l /}  /:::/ /´::::/     /´::::> ,.-.、_        __,,..、
    〈:::::::ハ  |:::::j '´   |:::::/ /:::::::/./!   /:::::/ /:::::/      /::::::::j__
    ';:::::::l l/ _    l::::i /:::::::://:::/  /:::::/ /::::://::7   ,:'::::::::/::::::〉    __
     V:::::l /::::}.   l:::::!ヽ一' l/   /::::::< └-' 〈_:/  /::::://:::::::/,.ヘ.  /:::::/
     V:::レ::::::::r'  .l:::::l       /:::;へ::::\      /:::::<  ー-'<:://::::::://:ヽ
       .';:::::::::/   ;:::::└‐:::ァ    ∨  丶;::::>.    ,'::::;ヘ::丶、  ´ /::::::::/':::::::/
       .';::::〈     !::::;_:::::::/          `     レ'   `¨   /:::::::< ヽ;;/::::>
       ヽ::::〉    |::/  ̄                        /::::;::::::::\ ヽ'
          .V     U                             〈:::/ \/

57 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:26:19 ID:df0GwSCa
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:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;        :;:;:;:;   __ヽ,, ' 、-‐、 \  `"  \      .,.,:.,      .;.;.;.;.;.;.;/:.:.:.:
-、r―、:;:;:;:;:; :;:;:;:;:;  -‐ '' "`  `  `、 `  ヽ  \_.、 ;:_,,"\   .,.,.,.,.,.,:      .,.,.;.;.;.;.; :.:.:.:.:
  .i.(~ `ヾ、''i´ ',  ',  ',     !   !   ! .!  i   / \. `" ̄ヽ\.,:  .,.,    .,.,.,., .;.;.;.; .;.; .;.;:
.__ .|._ヽ、,  `i  !  .!   !   ノ  " __ノ_'__.ノ. /   `>.-―‐ `''、\  .;.;.;.;.; .;.;.,.,.,;.;.;.; :.:.:.:.:.:
i__iノ'i__'/‐-、.| __' ,, " -‐   '''   " ̄   .\. /   //' , ̄ ̄  ヽ,__,,'/―ー''":.:.:.:ノ:.:.:.:.:.:.:.:
., '"  ー--、|                   ヽ.    //  ヽ    ./:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.,/:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.
゛ _,,,, 、:;:;:; ,:;:;       :;:;:;:;:;         \ ./ ' 、   ',  __, ',,_:.:.:.:.:.:.:.:.:., ":.:.:/:.:.:.:.:.:/
,"   `ヽ、/         :;:;:;:;:;            ゛ ̄ ,` 、 .'、/:.:.:.i !:.:.:.,  '":.:.:.:, ':.:.:.:.:.:/
.- -、 /:;      :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; :;:;:;      ,ノ:: ̄:::::/ l `/:.:.:.:.l !/:.:.:.:.:., '":.:.:.:.:.:.,'
- -ー‐ヽ:;:;:;    :;:;:;:;:;  :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; :;:;:;:;:;, " ._,,   '" ヾ{二ニ ,,_| -ー '":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ

58 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:27:11 ID:df0GwSCa
一237.
┏──────────────────────────────────────────────┓

   ―――こうやるんだよ。

┗──────────────────────────────────────────────┛




             ‐ = =‐ ‐ =       |      == ‐ ‐= =‐
                        ,;;;';'".:;i i:;
                      ,.;:;';" . :il li: .
                  ,.;;:':.;:;'" : : ::ll ll: :
                 ,.;;:':;::.'"  : : ::ll ll: . .
               ,.;';:;;:.':"   : : : ;ll ll; : .
              ,.;';:;';::'."   : : : : ;ll ll; . : .
             ,:';;:.:;:':."    : : : : ::;li il;: : : .
             ,:';::;:;;':;."    : : : : :.:;li il;: : : .
           ,:';::;:;:;':;."     . : : : : :.:il: :li: : : :.
           ,';::;:;:;':;.'' .     : : : : : ::ll: :ll:: : : :.                  /゙\
          ,:';:;:;:;:;':;''   :   . : : : : : ::ll: :ll:: : : :             /   \
         ,';::;:;:;':;:.:''.    :   : : : : : : ::li il: : : .               く     \
         ,';::;:;:;':;:.::.''     :   .: : : : : :li il: : : .                  \     \
        ,':.:.:;:;:;':.:;' '.     :  : : : : : : :li il: : :                    \     \
        ,'.:.;:;:;:;:;':;.' , .    :   : : : : : :li il: : :.                 >    /
       ,'.':.;::;:;:;':;.' :,  .   :  : : : : :;li il; : :.                 /    /
       .'.:. .:.;:;:;;':;. : .  .    : . : : : : :.;li il; : :                /     ,、|
      ,' .: .::.;:;:;':;.'. . .;. .   .: : : : : :.;li il; : .                ヽ    /| |      「|
      ' . :;.; ;':;: ' o     .   . : : : : :.:;li il;: :.                  \ /  .! !   「| .|」 ./〉
      :o'. : .:;.:':;. ,.、   .,.  .    . : : : ::.;li il; : ::.                     `   | |   .¨ / /
      ; . ::;.:;  `.' 。        : : :.;li il; : .                    l」   /./
      : . : .;. .,、 o .: : , .       :.:;li il;: :.                             レ'
       : .,. ;:`.'   : : :.;. ゚      // ̄ ̄`ハ
       : ': ;.  。  ,,、 ,,,,     /´,'_,'-==-<` 、
       : . .,.  ゚ o `;´: : `ヽ. l ソ-=ー- 、 )ノ
      . : . : : . .   l:: :. . ; .l |l,:'"`ー=-、 )
        ' : .: ;. . . ゞ、._;;:_ノ  |i ,;;;;;;ッー-ィ、
        :  : . 。 o .   .,:  l' il::::r'.;‐==__゛ヽ
         : :  : :   : . . : : i,;::ハ;;r´  ___ヾ`i
         : :: : : :  : :  l :i;; ; ,ヒ ̄ _ ,` .l
           :: . . .,. ,、 :  :  l ;::;  ヒ´ ̄     l
           : : : :: : :   i ;::::; |`=ニ=イ,;,;'  ヽ
           : : : : : :   : : | ;::::;  |.   i:::::.   丶



59 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:28:09 ID:df0GwSCa
一238.

   rt  「l [ト,      |\     /\     / |   //  /
   i i  l i Y    _|  \/\/   \/\/ |∧/ ///
  l' i   i l     \   降参!              /
  i' ,'  '" rl^レゥ ∠    降参するから命だけは   >
  i/    "7'/∠ /_    助けてェェェ!!! _ \
       フ"、,,  ̄ / /∨| /W\  /\|\  .|  ̄
      〈´:::::::::::::: ̄//   |/     \/     \|
      /:::;;;::::::::..ヾ::...::;;;゙:::ノ"::|
     /=-;;;;;;;:::::::::::::::::::::..:::::...l
    {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..:::::.. l
  /r-==ー、::::.... .::::::::::::;;.:::::  l
 r^ヨ":::ミ:::`ニュ\..:::::::::"../:::: ..:
./ノ~::ツ:リ:`⌒ヽ  |:::: .::::::::i:::::::::. ..:
.l !彡:::ノル:: 代_い..:::: |ヾ、__;;  ジョロ…ジョロ…
.>ヾl:.::i ! ::. : l`ー"1...::::l ̄ヽ --‐'::::::)
ヾ:::\:..::il、  : り::::::::l:::::::l:::::::::_::-‐´'
 ヾ::::ヾ、 ,;ヘ ノ|::::::::::l:::::/
  ヾ::::::`:::::i/ .l:::::::::....:ノ
   \、:::::ノ ヾ:::::::::/



剣が振り下ろされる前に決着がついた。
異変を察したギャブレットが止めに入る間もなく、無様に土下座をしたシンジは必死に命乞いを繰り返しており、
その股間を熱い液体が濡らしている。



60 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:29:11 ID:df0GwSCa
一239.
          / ̄ ̄\
         /´ ̄ ̄ ̄``ヽ
         |____ニニ゙i    「おいおい、
         l___---i―'''''べ    アレ見ろよ」i
         ゙i0)l-、ヘ/  〉l
          l      //ヘ
         / ̄,'lllllll,' ` ノソ
      _....,,_.. >――-、___/ノ/`゙゙゙'ヽ
    /    ニ  '  ゙i    ヘ`'‐、 \
    /  ,--'''´ l     |    ヘ广   ゝ、



          l^`二二二二二二^l
          | l / ̄|  | ̄\.l |
          | | /   `'''´   .l |
          | |ll         | |     「うへぇ、小便漏らしてら」
          l〔|━━━━━━|〕|Ц
          〔| |_-‐''''i i''''‐-_l| .||
           〕 ヽ   ∨ 丿〔 .||
          / \ ゙i/\l ノ//`つ
         (   〉 ,-‐''' ̄´// ̄⊃
      ,-| ̄ ̄\、⊂)/l    //三B--、___
     /  |.:.:.:.:.:.:.:.:/  l__//__-‐'.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/
    /   l///     /.:.:|.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/ヽ



騎士達の嘲笑に、はっと我に返ったシンジは恥ずかしさと憎らしさで顔を青ざめさせてすらいたが、
立ち上がろうにも腰が抜けて動けない。

61 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:30:11 ID:df0GwSCa
一240.


     __,l'''''‐-.,_ ___
 _,,r‐'''´:.:.:';.:.:.:.:.:.:`'´:.:. ̄''ヽ、
 `i,;,;.:':.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
 ,/',;,;,;,;',;/.:.;.':.l:ヾ,r''7:.:.;.:.:.:.:,;,;`、
ム7:,/:.:.:,iヾ,;,<´`''''7:,;.:.i;,:.:.:,;,;,;,;,`
 く;レ!;r',r-ゝV_  _!.:i;.:.iヾ,;.:,;,;r'´   「とと、父さん………」
.r'´、ト! ' ,f。 ,!   レ'--'、i'i,;,i,;,ヽ
.i  ! ヽ`ー'    f。 ,! ,! レ';,r''''’
. `ーl        `ー'っ ,!''<
   `、  `ー‐‐‐‐ 、   /  ,ノ
     `i、  ̄''‐---' _,,./--'’
     `Y`ー--‐‐i7’
    i´ ̄ ̄ll ̄''‐┐
    ''''''''''''''''‐‐-- !



見捨てるわけにも行かず、試合はもう終わりだと一方的に言い捨てたギャブレットが
失禁した息子を引きずりながら出て行ってしばし。



               ___ .,.、.-..、 ,,...___
               >:.:.:.:.:`ヽγ:.:. ̄`ヽ、
               /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.、      「ええい、情けない奴め!」
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
            /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
       /イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.|!:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.ヘ:.:.:.:.:.:.:',
          イ:.:.:.:.:.:.:/:.:/:.:.:.:.:./!:ハリ:.:.:.:.|.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:ヘ
          !:.:.:./:.;':.:.:i!:.:.:.//イ ∨ト、:.!.:.:.:.:.:.リ:.:.:.:.!:!.:.:ヽ
        j:.:.:.j:.:.i:.:.:.リハへ〈ノ  ト、ハ∠从リ.:.:.:.:.:.:!:.:.:ヘ\
         ノ:.:.:{:.:.:ヽ从こ互ゞ彡゙レ<9ゝ`リ.:.:.:.:. リ:.:.:\
     イ:.:.:.:.:.:.:):.:.:.:ヘ       :i     j.:.:.:.:.:.:リ:.:.:.:.:.:.:\
    //:.:.:.;.イ:.:.:.:.:.:.ヘ     〈:|      /!.:.:.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ
   .//:.:.:;ィ彡イ:.:.:.:.:.:.:∧     `´   イリ.:.:.:.:.:ハ、、.:.:.:.:.:.:.:ヘ
  .//__,イ/:.::.:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ.  に コ   /ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:\`::ー―┴
 ::"´::::::::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /   \  ー  ,イ/ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j`:::::::::::::::::::
 :::::::::::::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,イ        ー‐<   `リj.:.:.:.:.:リ::::::::::::::::::::::
 :::::::::::::::リ!:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::l   ___  :|  __  //:.:.:.:.イ::::::::::::::::::::::::



逆恨みも甚だしい呪詛を呟いていた背中を見送り、やれやれと息を吐いたやらない夫は
お疲れ様でした、と審判に頭を下げ、エンジュとジュンのところに戻った。


62 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:31:11 ID:df0GwSCa
一241.
戻ってきたやらない夫が、目的もなしに他人を脅したり攻撃するような人間では無い事は、
知り合ってまだほんの少しであるエンジュにも分かっていた。
あそこまでしたのは自分の想像通りの目的か、と尋ねると、彼は簡単に頷き返す。



          _ __ _ _
      ,.'"´       、`ヽ、
     /   i    リ ヽ 、  \
    /    .:レ′   j  i !.:.   i
     l    .:/   , /  i .::|:::.:l  |     「後のために
    ノ    ,.ィイ.:::/  .::l.:|:|::::::|:::. ト、     色々と仕込んだようだな」
   彳  ,ィイ 1:|::,'  .:;ィイハi::::::|::.:.:.ヽ|
   |.:.:|, イ‐リ-トト、::.;ィイ仁=ト-ヾ::::.:.:.ト、
   ト、:i { r‐ェテ ヽl/ ''テェ‐ァ .:!.:ト、:;!/
     ヾ::、    ,        !/::/
      仆    :j 、      イ:/
         `、   _ _     /i,ハ
        ヽ  ー `   / .|;;;:;:|
         `ト、 ___ /   !;;:/、
          /.::::| ヽ   /   l::::.:.L


                                             / ̄ ̄\
                                          /  ヽ、_  \
                                         (●)(● )   |
                 「ええ。                    (__人__)     |
                 こちらに苦手意識を持てば         (`⌒ ´     |
                 実力も発揮できないでしょうし」       {           |
                                          {        ノ
                                           ヽ     ノ
                                           ノ     ヽ
                                            /      |


深く刻み込まれた恐怖と言うのはなかなか消し去れるものではない。
ギャブレットの企みを打ち砕いただけではなく、次の為に、より効果的な一手を放った彼に
内心頭の下がる思いだった。


63 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:32:11 ID:df0GwSCa
一242.
 /::::::::::::::::::::::::::::/::::\:::::|::::::ヽ:::::::::::::::::\::::::::-──
_,,- -ィ::::::::::::::::::::/::::::::::i:::V::::::::::::>:::::::::::::::::: \:::::\
 /::::::::::::::::::::/::::::: : :|:::::V/ ̄ V:::::::::::::::::::::::\::::ヽ
/::::::ィ:::::::::::::::{:::::::::::::::i: | ̄     V::ト:::::::::::ハヽ;;::ゞ:::ヘ      「やらない夫。
:::/:::::::::::::::::::|::::::::::::::ハ:|        |::i \:::::::}:::::ト-;;::::ハ      君は本当に強いな」
/:::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::| リ───''  i:リ ニ彡:::iト、;ヽ \::i
:::::::::::::::::::::::::::::|::::::: :: |_,,,-===ヽ/ _||=__メ:| ||   ヾ
::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::-::|>'' ̄=.ィ-  ||=||{t..:jア ||
::::::::::::::::::::::::::::i>\:: |||マハ廴ソ  ..川 ハ ̄ iノノ
:::::::::::::::::::::::r-、}''´ \||  ̄    //  ノ ` ̄ |´
::::/i:::::::::::::::| /ヽ    ヾ==─''´´      /
:/ |::;;::::::::::ヽ  >        `ー -  /
  レハ:::::/i::::::≧::-:、          /
     レ'  ̄ ̄ ̄Yi      ____./ _
     _...-:::'´ ̄ ̄`:-..、    |ー- ∧ }、_
    i: : : : : : : : : : : : : : : : `::-.┴..、: /: :}: :}: : : ヽ
   /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : ヽ /::/: : : : ∧


実力の片鱗を垣間見て、そう言うしか無かったジュンが小さく笑みを浮かべた時だった。



    _/\/\/\/|_
    \ やった!   /
    < 凄いな君は!>
      ̄|/\/\/\/ ̄                    \_人_人∧从_人_∧_人_从_//
                                     ) 見たかよ!?        >
                                    < ギャブレー様の顔をよ! >
                                     < 緑色になってたぜ!   (
  ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人__从人__从人ノ      /^Y ̄∨ ̄∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
 <                             >
<   シンジもこれで大きな顔は出来ないだろ!  >
<   なんつったってお漏らし小僧なんだから!  >
 <                             >
   Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒⌒Y⌒WY


64 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:33:16 ID:df0GwSCa
一243.
周りにいた騎士達がわっ、とやらない夫を取り囲んでしまい、わぁわぁと騒ぐ彼らに
目を丸くしたやらない夫はなんだ、と笑いながら尋ねてみる。


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)    「なんだ、皆さんあの親子の事、
. |     (__人__)      嫌いなんですねぇ」
  |      |r┬|}
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、



                _
             / ̄ ̄\\
           /     ヽ ヽ、
           |、       ゙i ゙iヘ    「当たり前さ!
          〔\`'‐-    └' i    我々第一騎士団はエンジュ様を筆頭に
          |∩ \_     _|    薔薇のように優雅で凛とした騎士を目指しているんだ!」
          |∪\ |´`''''''''''''''''''''i|
         / |||/  `''''''´´ ̄l 「'''/
         |         ,-l l l
         \iiiiiiiii   ///  ヽ___
        /ヘ`'''''ヽ      ェュ 丿\ ヽ
    / ̄|::::::::::\  \__(⊃-‐‐⊂)‐゙i::::ヽノ
   /    |::::::::::::::゙i   `'‐‐‐‐'´   ヘ::::ヘ


騎士の余りに真剣な声に、サクラダ様ではなくエンジュ様、エンジュ団長と呼ぶ彼らとエンジュとが
どれだけ気持ちを一体にして任務に当たるか分かるようだった。

65 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:34:11 ID:df0GwSCa
一244.
          ,--、_
     /´ヘ ヘ ヽ       「そうだそうだ!
     lュ_____ヽ      剣の腕だけで心のない
     ト i――――.i      第二の連中とは気概が違う!
     l ヽ'´ ̄l l ̄`i
     /   /\ヽ ,       第一騎士団ばんざーーい!」
   ,--、ヽ i (0)只(0)ノ ̄ ̄ヽ、
   / /;;/  i     iヽ     ヘ
  //;;;;;;i  |      ヘ;;;;;;ゝ---丿



           ______
          l^`二二二二二二^l
          | l / ̄|  | ̄\.l |
          | | /   `'''´   .l |    「万歳!」
          | |ll         | |
          l〔|━━━━━━|〕|Ц
          〔| |_-‐''''i i''''‐-_l| .||
           〕 ヽ   ∨ 丿〔 .||
          / \ ゙i/\l ノ//`つ
         (   〉 ,-‐''' ̄´// ̄⊃
      ,-| ̄ ̄\、⊂)/l    //三B--、___
     /  |.:.:.:.:.:.:.:.:/  l__//__-‐'.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/



        _,,......-........ ..、
      / ,,,,,,,- -- -.... _ `''ヽ、
     / /´       `'' 、`ヽ、
    ノ/              、 ゙i
   /                  ̄ヽ、
   /                   ゙i     「万歳!」
   |   __,,.._...._               ,,..ヽ
   r‐‐‐'';;;;;;;;;;;;;;;;丶  ___......-‐‐''ニ二二゙i
   |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ニニ_ -r─''''' -、;;'〈
   |丶..---‐―''""` イ";;;;;;;;;;;;;;;;;;/  ヽ;;ヘ
   | /\\       ヽ;;;;;;;;;;.r'´     ヘヘ
   |(⌒) ))......、    丶‐'´         ヘヘ
    |  ノ ノノ\ 、 `''''‐-、,,,,        / ヘ
     | ̄´    ヘ       ``'' ‐  //´  ヽ
     |ヘヘヘヘ    ヽ-------ィ  //     ヽ
    / ヘヘヘヘ _......_......_,,,,   //       /j
    |     ,'//////////7            ( )
    ヽ_ ,'丶       ´         ,r/
      ` ゙i...._、_____〈        //
   __/:::: :::::::::::::::::::::::: ''‐-......_.. |( )   ,―――--、
//    ゝ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ̄ ̄\\      ヽ


彼らも、今まで余程腹に据えかねるものがあったのだろう。
興奮は伝染して万歳の大合唱が始まってしまったが、
騒ぎの中、やらない夫とジュンはこの騎士団だったら是非入ってみたいな、と囁き合っていた。


66 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:35:11 ID:df0GwSCa
一245.

    / / / '         l     l       ヽ\   丶  \!
   / // /       !   |    |       \丶   \  |
  ‐十'′/ /       l  ト、   |     \  \     ヽ、 L      「もう良いだろう。
   |l  { l  ,′   l  ハ |`、  ト、     ヽ <⌒ヽ、_   ∨厂`丶、  皆、静まるのだ」
   ヽ、ヽ|  l   l   | { l |   ヽ  、丶、 ヽ \\ l }  ̄二7′   l
       l  |  |   | レ七ニ二 ̄\丶  }ヘ |\ ` / 厶   ハ !   |
        l ト、\ ヽ\=キtぞラ  }ノ/ j/  了/ ̄   /  }∧   l |
         \ヽ`ヽ、 \__ ̄      /    -ヘ/レヘ /_,  l   | ト
          ヽ}  `7ー一′          ,′     {´ ̄`ヽ、い |
              /                 /        V了\   り
             └-- 、     ,        l       ∨   〉
                 `ーこ ̄     ,    |     /  ハ
                  ヽ     , く     l   /   / ヽ
                   `一'´/ ∧   / /    /   \
                     , ィ  //!   ' /      /       \



エンジュが静かにそう言ったので、ぴたりと口を閉ざした騎士達は次の言葉を待った。
そして、彼は自分の息子に向き直る。

67 ◆GV1zPRS/Lk 10/07/31 22:36:11 ID:df0GwSCa
一246.

                                      _,   ~ ̄ ̄ ̄¨   、
                                  . -=ミ            \
                                /           ⌒\    \
                               /   /        ヽ  \ \   ‘,_
                            ー=彡' /   ′       八          ∨ミメ
                              / /   i      | l     \  \     |  ハ
                               ′   |l  |   リ ト   \   、 ヽ乂_ リ   リ
          「ジュンよ。       .       } i   | 八 |   '/ 八\ _   、\ 介廴'   /
          経緯はどうであれ、  .     ノ人  戈トミ人 /_以rセ爪ヽ | \ 介ト /   {
          お前がシンジと戦う事は      〃  } l  弋均ハ/ / 法功㌃ } |  爪ト /    、
            避けられないようだ」        ノ人个ト /          ノ ノ /ノリ /     i|」
                        .            }乂_ /         _彡イ厶ィ  {     j从
                                    八人 ヽ             / 乂从ハ }  |
                                       \`~`'       ,   /   ̄V八リ
                                        \    . イ   '`       ∨/
                                            `´ r‐ '"          '¨ ̄\、
                                          厶_..  -‐' '`         } :ヽ
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